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1章 新しい住まい――魔界、王宮
21. 王都を歩きながら
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隠し通路から出て王都の一角に入ったレイは、ユースティスの導きで移動陣店へと向かっていた。
魔界一の賑わいを見せる王都は、今日も多くの人で溢れかえっている。
ユースティスの案内がなければ、レイはたちまち迷子になっていただろう。
さまざまな商店が立ち並ぶ区域に入ると、人通りは一層激しくなり、ユースティスはレイに手を差し出した。
「はぐれたら大変だ。手を繋ごう。あのひとには内緒にしてくれよ。……殺されたくないから」
声を潜めて物騒な冗談を言うユースティスの目には、半ば本気の色が見えた。彼は綺麗な緑色の瞳を茶目っ気たっぷりに輝かせ、話を続ける。
「今回、<霧の宮>の警備に選ばれた5人、どういう理由であのひとに選び出されたか、分かるか?」
人ごみの中で誰に会話を聞かれても大丈夫なよう、ユースティスは魔王のことを『あのひと』と言うことにしたらしい。それを知りレイも、魔王と言うのは控えることにした。
「ん? まだ秘密にしている俺の……ことを話すくらいだから、特に信頼できる者を選び出したんだろう? 魔王は、『何かあれば、この5人もしくはヴェンツェルを頼れ』って言ってたくらいだから」
それを聞いてユースティスの顔が嬉しそうに輝いた。鼻の穴が全開になり、誇らしげに胸を張ると、レイに頷いた。
「そうだな。確かに、口が堅く、あのひとに対する忠誠心が厚いのは絶対事項だが、それと同じくらい重要な選定基準がもう一つあると、俺は思う」
「???」
「選ばれた5人は俺と、俺の<運命の相手>クルガー、ゲオルグ、モナ、クリスティンだが……」
「うん?」
「この5人には、共通点がある」
「うん? その共通点って、何だよ? もったいぶらずに、教えてくれ」
どんな重要な選定基準が秘められているのか、レイは想像もできず、答えを早く知りたがった。
「よし。教えてやろう。『絶対にレイに手を出さない』という共通点がずばり、選定基準だ!」
「……は?」
「あのひとにとっては、最重要事項だったのではないかと、俺はにらんでるね!」
「はあ?」
「俺とクルガーは運命の絆同志だから、お互い以外を恋愛対象にすることは皆無だ。で、古参のゲオルグ先輩だが、あの人は有名な愛妻家なんだ。<神聖な誓い>の真の成就も得たらしいぞ。絆同志以外では、真の成就を得るのは難しいのに」
「そうなのか?」
「ああ。結婚したらみんな<神聖な誓い>に挑戦するが、真の成就を得られずに、途中であきらめる夫婦の方が断然多い。しかもな、ゲオルグ先輩の奥さんは女性だから、先輩にはなんと、12人も子供がいるらしいぞ!! 12人だぞ!! 12人!!!! 魔族の場合、受胎して出産するかは女性が決めることだから、ゲオルグ先輩は相当、奥さんに愛されてる証拠だ。そういえば、ゲオルグ先輩の弁当、すごいんだぜ。こう、お重が段になっててな、それぞれの段に、そりゃあ手の込んだおかずが何種類も……」
「へえ……」
何だか話が逸れてきている気もするが、ユースティスが楽しそうに話すので、レイはおとなしく聞き手に徹することにした。それを知ってか知らずか、ユースティスの舌は絶好調で回り続けた。
「つまりだな、ゲオルグ先輩がレイに手を出す可能性も、やはり皆無だろう。それで、モナとクリスティンだが、この二人が恋愛対象に選ぶのは、必ず女性で、しかも!!」
「しかも?」
「二人は最近夫婦になったばかりの、熱々の新婚なんだよ!! やはりレイに手を出す可能性はゼロ!!!だっ!!!」
「なるほど……」
「この共通点は、偶然じゃないと、俺は思う。警備隊の中にはあのひとに忠誠を誓い、俺たちより腕の立つ奴は沢山いるからな。あ、クルガーは除くけどな。クルガーの実力は隊長と競い合うくらいだから。すごいんだぜ、俺のクルガーはさ……。おっと、俺の惚気なんか聞きたくないよな。すまんすまん。とにかくだ、あのひとは、『絶対に安全な者』を君の特別な警護に選び出したのさ。だからさ、これは」
言いながらユースティスはレイと繋いだ手を持ち上げ、視線を投げた。
「絶対、あのひとに言うなよ。俺、任務を解かれてしまうから」
「まさか……。手を繋いだだけで?」
「おい、これは冗談じゃないぞ? 君、気付いていないのか? あのひとがどんなに、レイの周囲に気を配っているか」
「……そういえば、球技を禁止されたな……。みんなが俺をゲームに誘ったのは、下心があるからだって言うんだが、考え過ぎだと思うんだよなあ……心配し過ぎというか」
「…………呆れるほど、無自覚だよな、君は……。あのひとも気を揉むわけだ。無防備すぎる」
「ユースティスまでそんなこと言うのか?…………そんなに、俺、鈍いか……?」
「ああ、恋愛事情に関しては、鈍いな。まあ、気にするなよ。そこが君のいいとこだ。天然というか、天真爛漫というか、純粋なところが可愛くて、ついちょっかいを出したくなるというか、あ、今の、内緒な! あのひとに殺されるから!」
「あのなあ……殺すわけないだろ。そういう冗談、やめろよ」
「悪い悪い! まああれだ、<運命の相手>と結ばれたばかりのころは、特に、相手を独占したいと強く思うものさ。俺もそうだった。まあ、絆の相手でなくても、こういう気持ちは、恋愛感情には付き物だけど、<運命の相手>は特別な存在だから、あのひとも神経質になるだろう。俺だって未だに、クルガーを独占したくてたまらなくなるしな」
――独占したい。自分以外、見つめないでほしい。
確かにそうだ、とレイは心の中で同意した。
そして、以前から疑問に思っていたことを口に出す。
「なあ、ユースティス。<運命の相手>には、どれくらいの人が出会えるんだ?」
「どれくらいだと思う? 1000人いたとしたら、何組くらいだと?」
「う~ん……珍しいんなら、二人くらいで……ひと組くらい?」
「もっと少ない。この広い王都には、およそ10万人が暮らしているんだが……」
「10万人?! えっ、10万人?!」
レイは驚きのあまり、聞き返した。人間界では、一番大きな都でも、せいぜい3万人程度だ。
「ああ。思ったより少ないってか? 10万人というのは王都だけだ。王都周辺には、500万人ほど住んでるぞ」
レイの驚きを勘違いしたユースティスが、さらりと告げ、続けた。
「その10万人のうち、絆の相手を伴侶にしている者は、俺が知る限り俺たちを含めて19組だ」
「え……。10万人のうち、19……組、だけ?」
「そうさ。すごく運がいいんだ、俺も、君も」
「………………」
まさかそんなに少ないと思わず、レイは言葉もなく黙り込んだ。
「しかもな、せっかく出会えても、相手が老齢だったりして、すぐ死に別れる悲劇も実際あるらしいから、年齢差のほとんどない相手に出会えた俺も君も、更に幸運だ」
それを聞いて、レイはふと思った。
(……そういえば、俺は魔王の年齢を知らない)
魔族は人間よりはるかに長寿で、成人するまでは、人間とほぼ同じ見た目の成長を辿るが、成人した後はゆっくり年を取るため、はっきりした年齢はわかりにくい。
魔王は自分よりは年上なのは確実だが、どれくらい上かと言われると、さっぱり見当もつかない。見た目でいくと、25、6にしか見えないが、漠然と、兄と同じくらい、32かそれくらいかな、と思うくらいで、今まで気にしたこともなかった。
「なあ、ユースティス、魔王は……何歳なんだ?」
「あのひとは確か、52歳だ」
「!!」
レイはショックを受けた。
30も年上とは思わなかったのだ。
人間の感覚のレイには、きつい事実だ。
もし自分より30年も先に魔王が死んでしまったら……レイはそう想像して真っ青になった。
更に、もっと心配なことがある。
(俺、魔族と同じ寿命なんだろうか? 俺の体には、人間の血も流れてる……。もし俺が人間の寿命で死んでしまったら、魔王は、長い年月、一人で残され…………)
考えただけで、その苦しみに息が詰まる。自分だったら耐えられない。魔王にその苦しみを与えるかもしれないと思うだけで、胸がきりきりと痛んだ。
青ざめて固まったレイの表情を見て、ユースティスが慌てて口を開いた。
「52歳と言っても、人間とは感覚がずいぶん違うぜ? 人間なら52歳は中年で、人生の半分をとうに過ぎた印象だけど、魔族の平均寿命は250歳だから、あのひとは見た目通り、まだまだ若い。それと……レイは22歳だったよな? 30の年の差なんて、魔族には全く問題ない。それくらいの夫婦は多いぜ? あと、額瞳を具えているなら、人間の寿命で死ぬなんてことは、まずないから安心しろ」
「そう……なのか?」
「ああ。俺の生まれ故郷はこれから向かうレンティアルの町なんだが、<界門>があるせいだろうな、魔族と人間の混血は結構見かけるんだ。だから知ってるんだが、寿命については、額瞳を具えてるかどうかで分かれる。レイみたいに額瞳が隠れてるのは珍しいけど、あるんだから心配するな。な?」
勇気づけるように、ユースティスが握った手に力を込める。
レイはその温かさに感謝し、ホッと息をついた。
「うん……そうか。ああ……良かった。ありがとう、ユースティス」
レイの顔に生気が戻ってきたのに安心し、ユースティスは視線を前方に向けた。
今歩いている街道の先に、時計塔の建つ大きな広場が見えてくる。
魔界一の賑わいを見せる王都は、今日も多くの人で溢れかえっている。
ユースティスの案内がなければ、レイはたちまち迷子になっていただろう。
さまざまな商店が立ち並ぶ区域に入ると、人通りは一層激しくなり、ユースティスはレイに手を差し出した。
「はぐれたら大変だ。手を繋ごう。あのひとには内緒にしてくれよ。……殺されたくないから」
声を潜めて物騒な冗談を言うユースティスの目には、半ば本気の色が見えた。彼は綺麗な緑色の瞳を茶目っ気たっぷりに輝かせ、話を続ける。
「今回、<霧の宮>の警備に選ばれた5人、どういう理由であのひとに選び出されたか、分かるか?」
人ごみの中で誰に会話を聞かれても大丈夫なよう、ユースティスは魔王のことを『あのひと』と言うことにしたらしい。それを知りレイも、魔王と言うのは控えることにした。
「ん? まだ秘密にしている俺の……ことを話すくらいだから、特に信頼できる者を選び出したんだろう? 魔王は、『何かあれば、この5人もしくはヴェンツェルを頼れ』って言ってたくらいだから」
それを聞いてユースティスの顔が嬉しそうに輝いた。鼻の穴が全開になり、誇らしげに胸を張ると、レイに頷いた。
「そうだな。確かに、口が堅く、あのひとに対する忠誠心が厚いのは絶対事項だが、それと同じくらい重要な選定基準がもう一つあると、俺は思う」
「???」
「選ばれた5人は俺と、俺の<運命の相手>クルガー、ゲオルグ、モナ、クリスティンだが……」
「うん?」
「この5人には、共通点がある」
「うん? その共通点って、何だよ? もったいぶらずに、教えてくれ」
どんな重要な選定基準が秘められているのか、レイは想像もできず、答えを早く知りたがった。
「よし。教えてやろう。『絶対にレイに手を出さない』という共通点がずばり、選定基準だ!」
「……は?」
「あのひとにとっては、最重要事項だったのではないかと、俺はにらんでるね!」
「はあ?」
「俺とクルガーは運命の絆同志だから、お互い以外を恋愛対象にすることは皆無だ。で、古参のゲオルグ先輩だが、あの人は有名な愛妻家なんだ。<神聖な誓い>の真の成就も得たらしいぞ。絆同志以外では、真の成就を得るのは難しいのに」
「そうなのか?」
「ああ。結婚したらみんな<神聖な誓い>に挑戦するが、真の成就を得られずに、途中であきらめる夫婦の方が断然多い。しかもな、ゲオルグ先輩の奥さんは女性だから、先輩にはなんと、12人も子供がいるらしいぞ!! 12人だぞ!! 12人!!!! 魔族の場合、受胎して出産するかは女性が決めることだから、ゲオルグ先輩は相当、奥さんに愛されてる証拠だ。そういえば、ゲオルグ先輩の弁当、すごいんだぜ。こう、お重が段になっててな、それぞれの段に、そりゃあ手の込んだおかずが何種類も……」
「へえ……」
何だか話が逸れてきている気もするが、ユースティスが楽しそうに話すので、レイはおとなしく聞き手に徹することにした。それを知ってか知らずか、ユースティスの舌は絶好調で回り続けた。
「つまりだな、ゲオルグ先輩がレイに手を出す可能性も、やはり皆無だろう。それで、モナとクリスティンだが、この二人が恋愛対象に選ぶのは、必ず女性で、しかも!!」
「しかも?」
「二人は最近夫婦になったばかりの、熱々の新婚なんだよ!! やはりレイに手を出す可能性はゼロ!!!だっ!!!」
「なるほど……」
「この共通点は、偶然じゃないと、俺は思う。警備隊の中にはあのひとに忠誠を誓い、俺たちより腕の立つ奴は沢山いるからな。あ、クルガーは除くけどな。クルガーの実力は隊長と競い合うくらいだから。すごいんだぜ、俺のクルガーはさ……。おっと、俺の惚気なんか聞きたくないよな。すまんすまん。とにかくだ、あのひとは、『絶対に安全な者』を君の特別な警護に選び出したのさ。だからさ、これは」
言いながらユースティスはレイと繋いだ手を持ち上げ、視線を投げた。
「絶対、あのひとに言うなよ。俺、任務を解かれてしまうから」
「まさか……。手を繋いだだけで?」
「おい、これは冗談じゃないぞ? 君、気付いていないのか? あのひとがどんなに、レイの周囲に気を配っているか」
「……そういえば、球技を禁止されたな……。みんなが俺をゲームに誘ったのは、下心があるからだって言うんだが、考え過ぎだと思うんだよなあ……心配し過ぎというか」
「…………呆れるほど、無自覚だよな、君は……。あのひとも気を揉むわけだ。無防備すぎる」
「ユースティスまでそんなこと言うのか?…………そんなに、俺、鈍いか……?」
「ああ、恋愛事情に関しては、鈍いな。まあ、気にするなよ。そこが君のいいとこだ。天然というか、天真爛漫というか、純粋なところが可愛くて、ついちょっかいを出したくなるというか、あ、今の、内緒な! あのひとに殺されるから!」
「あのなあ……殺すわけないだろ。そういう冗談、やめろよ」
「悪い悪い! まああれだ、<運命の相手>と結ばれたばかりのころは、特に、相手を独占したいと強く思うものさ。俺もそうだった。まあ、絆の相手でなくても、こういう気持ちは、恋愛感情には付き物だけど、<運命の相手>は特別な存在だから、あのひとも神経質になるだろう。俺だって未だに、クルガーを独占したくてたまらなくなるしな」
――独占したい。自分以外、見つめないでほしい。
確かにそうだ、とレイは心の中で同意した。
そして、以前から疑問に思っていたことを口に出す。
「なあ、ユースティス。<運命の相手>には、どれくらいの人が出会えるんだ?」
「どれくらいだと思う? 1000人いたとしたら、何組くらいだと?」
「う~ん……珍しいんなら、二人くらいで……ひと組くらい?」
「もっと少ない。この広い王都には、およそ10万人が暮らしているんだが……」
「10万人?! えっ、10万人?!」
レイは驚きのあまり、聞き返した。人間界では、一番大きな都でも、せいぜい3万人程度だ。
「ああ。思ったより少ないってか? 10万人というのは王都だけだ。王都周辺には、500万人ほど住んでるぞ」
レイの驚きを勘違いしたユースティスが、さらりと告げ、続けた。
「その10万人のうち、絆の相手を伴侶にしている者は、俺が知る限り俺たちを含めて19組だ」
「え……。10万人のうち、19……組、だけ?」
「そうさ。すごく運がいいんだ、俺も、君も」
「………………」
まさかそんなに少ないと思わず、レイは言葉もなく黙り込んだ。
「しかもな、せっかく出会えても、相手が老齢だったりして、すぐ死に別れる悲劇も実際あるらしいから、年齢差のほとんどない相手に出会えた俺も君も、更に幸運だ」
それを聞いて、レイはふと思った。
(……そういえば、俺は魔王の年齢を知らない)
魔族は人間よりはるかに長寿で、成人するまでは、人間とほぼ同じ見た目の成長を辿るが、成人した後はゆっくり年を取るため、はっきりした年齢はわかりにくい。
魔王は自分よりは年上なのは確実だが、どれくらい上かと言われると、さっぱり見当もつかない。見た目でいくと、25、6にしか見えないが、漠然と、兄と同じくらい、32かそれくらいかな、と思うくらいで、今まで気にしたこともなかった。
「なあ、ユースティス、魔王は……何歳なんだ?」
「あのひとは確か、52歳だ」
「!!」
レイはショックを受けた。
30も年上とは思わなかったのだ。
人間の感覚のレイには、きつい事実だ。
もし自分より30年も先に魔王が死んでしまったら……レイはそう想像して真っ青になった。
更に、もっと心配なことがある。
(俺、魔族と同じ寿命なんだろうか? 俺の体には、人間の血も流れてる……。もし俺が人間の寿命で死んでしまったら、魔王は、長い年月、一人で残され…………)
考えただけで、その苦しみに息が詰まる。自分だったら耐えられない。魔王にその苦しみを与えるかもしれないと思うだけで、胸がきりきりと痛んだ。
青ざめて固まったレイの表情を見て、ユースティスが慌てて口を開いた。
「52歳と言っても、人間とは感覚がずいぶん違うぜ? 人間なら52歳は中年で、人生の半分をとうに過ぎた印象だけど、魔族の平均寿命は250歳だから、あのひとは見た目通り、まだまだ若い。それと……レイは22歳だったよな? 30の年の差なんて、魔族には全く問題ない。それくらいの夫婦は多いぜ? あと、額瞳を具えているなら、人間の寿命で死ぬなんてことは、まずないから安心しろ」
「そう……なのか?」
「ああ。俺の生まれ故郷はこれから向かうレンティアルの町なんだが、<界門>があるせいだろうな、魔族と人間の混血は結構見かけるんだ。だから知ってるんだが、寿命については、額瞳を具えてるかどうかで分かれる。レイみたいに額瞳が隠れてるのは珍しいけど、あるんだから心配するな。な?」
勇気づけるように、ユースティスが握った手に力を込める。
レイはその温かさに感謝し、ホッと息をついた。
「うん……そうか。ああ……良かった。ありがとう、ユースティス」
レイの顔に生気が戻ってきたのに安心し、ユースティスは視線を前方に向けた。
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