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沈丁花禄郎でございます!
沈丁花禄郎でございます!
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episode2 「好きなものを好きと言える人」
町保存会のメンバーが駅前を歩いていた。
真美は絵梨奈に、「あれ?この前の劇団の人じゃない?」と話しかけた。
絵梨奈は「そうだ!いろいろ聞きたいことあるし、話しかけてみようよ」と真美
に言った。
真美は「やめときなよ」と首を横に振った。
しかし絵梨奈はすでに町保存会のメンバーの元へと駆け出していた。
絵梨奈は「この前のなんとか殺人事件の劇団の人たちですよね?観ましたよ」と話しかけた。
沈丁花は「えと、写真はお断りしてるんですよ。すみません」と応じた。
絵梨奈「写真とかはいらないですけど、お芝居の内容がイマイチよくわからなかったのでいろいろお聞きしたくて」と興味深そうに言った。
町保存会のメンバーは誰からとなく喋り始めた。
「下手の横好きですみません」
「これでも、立ち位置だったり、表情だったり、セリフのテンポとか、あと声のトーンなんかは一応こだわってみなやってるんすよ」などと嬉々として話し始めた。
絵梨奈と真美は無言で一瞬顔を見合わせた後、何故だか周りをみわたして、なんとなくあたりに人がいないかどうか確認した。
真美は「ところで何してるんですか?」と面倒臭い展開になるのを避けるように遮った。
メンバーは「駅前の行きつけのカラオケボックスに行くところなんですよ」と声を弾ませた。
絵梨奈と真美は同時に「じゃあ、また」と口を揃え、早めに立ち去ろうとした。
メンバーは即座に「奢りですから、さあ行きましょう!」
絵梨奈と真美は町保存会のメンバー全員の200%の満面の笑みに圧倒され、カラオケボックスへと歩き出すことになった。
一向はカラオケボックスに入室した。
すると町保存会のメンバーは鬼のような形相で、部屋の照明、空調、椅子の様子などの確認作業に取り掛かった。
それが終わった後、カラオケの機材本体のサウンドチェックをメンバー全員、一丸となって調整し始め、みな躍動していた。
絵梨奈と真美は一連のメンバーの流れを無表情で黙ってみつめるしかなかった。
特に着物姿のライママの屈んでる後ろ姿をみて、絵梨奈と真美の頭の中に哀しい音楽が流れた。
沈丁花が「じゃあ行きますか」とみんなに声を掛けた。
絵梨奈と真美は「な、何がですか?」と声を震わせた。
「みんなカツ丼大盛りでいいよね?」と沈丁花は不敵な笑みを浮かべて問いかけた。
メンバーも食い気味に絵梨奈と真美に「いいよね?」と確認した。
絵梨奈・真美「私たちはいいです」
メンバー「じゃあ普通盛りだね」
絵梨奈・真美「カツ丼自体いらないです」
メンバー「ええ?!」
絵梨奈・真美「ポテトフライかなんかで」
メンバー「……」
絵梨奈と真美はカラオケボックスでがっつり腹を満たそうとするメンバーの意図がよくわからなかった。
沈丁花「頼んじゃっていいかな?」
メンバー「どうぞ!」
この部屋にいる絵梨奈と真美以外みんな心を躍らせた。
10秒後
部屋の電話の前で頭を下げて話す男。
そして
沈丁花「大盛りないそうです」
メンバー「……」
沈丁花「カツ丼自体やってないそうです」
メンバー「……」
絵梨奈・真美「でしょうね…」
絵梨奈「さっき行きつけがどうのこうのって…」
約5分間この部屋にいる全員が無言でうつむいた。
通りかかった店員がそれを不思議そうに見ていた。
重苦しい空気を切り裂くように真美が口を開いた。
真美「後でお蕎麦屋さんに行って食べればいいじゃないですか」
メンバー「お金無いし」
絵梨奈・真美「私たち一応お金には余裕がありますので、お蕎麦屋さんで出しますよ」
メンバー「すんません!」
一連の部屋での様子を小学生が廊下の窓から見ていた。
小学生の頭の中のなかに哀しい音楽が流れた。
それから、みんな最高に楽しく歌って騒いだ。
町保存会のメンバーはみなマイクを離さなかった。
絵梨奈と真美はどこからくるのかわからない得体の知れない不思議な楽しさを感じていた。
カラオケ屋さんを後にした。
程なくして、一行は蕎麦屋さんに到着した。
店員さんが注文を取りに来た。
真美が「私たちはきつねそばで。他は…」
沈丁花が真美の注文を途中で遮って、食い気味に「私はうな重の松を大盛りで。それから肝吸いもつけてください。大至急お願いします」と頼んだ。
メンバーも食い気味に「私もおなじで」「俺も同じで。」「アタシも同じで」と続けた。
絵梨奈と真美の頭の中に哀しい音楽が流れた。
さらに一連の様子を後ろの方の席の家族連れの母親と子供がギュッと寄り添ってずっと見ていた。
その母親と子供の心の中に哀しい音楽が流れた。
つづく
町保存会のメンバーが駅前を歩いていた。
真美は絵梨奈に、「あれ?この前の劇団の人じゃない?」と話しかけた。
絵梨奈は「そうだ!いろいろ聞きたいことあるし、話しかけてみようよ」と真美
に言った。
真美は「やめときなよ」と首を横に振った。
しかし絵梨奈はすでに町保存会のメンバーの元へと駆け出していた。
絵梨奈は「この前のなんとか殺人事件の劇団の人たちですよね?観ましたよ」と話しかけた。
沈丁花は「えと、写真はお断りしてるんですよ。すみません」と応じた。
絵梨奈「写真とかはいらないですけど、お芝居の内容がイマイチよくわからなかったのでいろいろお聞きしたくて」と興味深そうに言った。
町保存会のメンバーは誰からとなく喋り始めた。
「下手の横好きですみません」
「これでも、立ち位置だったり、表情だったり、セリフのテンポとか、あと声のトーンなんかは一応こだわってみなやってるんすよ」などと嬉々として話し始めた。
絵梨奈と真美は無言で一瞬顔を見合わせた後、何故だか周りをみわたして、なんとなくあたりに人がいないかどうか確認した。
真美は「ところで何してるんですか?」と面倒臭い展開になるのを避けるように遮った。
メンバーは「駅前の行きつけのカラオケボックスに行くところなんですよ」と声を弾ませた。
絵梨奈と真美は同時に「じゃあ、また」と口を揃え、早めに立ち去ろうとした。
メンバーは即座に「奢りですから、さあ行きましょう!」
絵梨奈と真美は町保存会のメンバー全員の200%の満面の笑みに圧倒され、カラオケボックスへと歩き出すことになった。
一向はカラオケボックスに入室した。
すると町保存会のメンバーは鬼のような形相で、部屋の照明、空調、椅子の様子などの確認作業に取り掛かった。
それが終わった後、カラオケの機材本体のサウンドチェックをメンバー全員、一丸となって調整し始め、みな躍動していた。
絵梨奈と真美は一連のメンバーの流れを無表情で黙ってみつめるしかなかった。
特に着物姿のライママの屈んでる後ろ姿をみて、絵梨奈と真美の頭の中に哀しい音楽が流れた。
沈丁花が「じゃあ行きますか」とみんなに声を掛けた。
絵梨奈と真美は「な、何がですか?」と声を震わせた。
「みんなカツ丼大盛りでいいよね?」と沈丁花は不敵な笑みを浮かべて問いかけた。
メンバーも食い気味に絵梨奈と真美に「いいよね?」と確認した。
絵梨奈・真美「私たちはいいです」
メンバー「じゃあ普通盛りだね」
絵梨奈・真美「カツ丼自体いらないです」
メンバー「ええ?!」
絵梨奈・真美「ポテトフライかなんかで」
メンバー「……」
絵梨奈と真美はカラオケボックスでがっつり腹を満たそうとするメンバーの意図がよくわからなかった。
沈丁花「頼んじゃっていいかな?」
メンバー「どうぞ!」
この部屋にいる絵梨奈と真美以外みんな心を躍らせた。
10秒後
部屋の電話の前で頭を下げて話す男。
そして
沈丁花「大盛りないそうです」
メンバー「……」
沈丁花「カツ丼自体やってないそうです」
メンバー「……」
絵梨奈・真美「でしょうね…」
絵梨奈「さっき行きつけがどうのこうのって…」
約5分間この部屋にいる全員が無言でうつむいた。
通りかかった店員がそれを不思議そうに見ていた。
重苦しい空気を切り裂くように真美が口を開いた。
真美「後でお蕎麦屋さんに行って食べればいいじゃないですか」
メンバー「お金無いし」
絵梨奈・真美「私たち一応お金には余裕がありますので、お蕎麦屋さんで出しますよ」
メンバー「すんません!」
一連の部屋での様子を小学生が廊下の窓から見ていた。
小学生の頭の中のなかに哀しい音楽が流れた。
それから、みんな最高に楽しく歌って騒いだ。
町保存会のメンバーはみなマイクを離さなかった。
絵梨奈と真美はどこからくるのかわからない得体の知れない不思議な楽しさを感じていた。
カラオケ屋さんを後にした。
程なくして、一行は蕎麦屋さんに到着した。
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真美が「私たちはきつねそばで。他は…」
沈丁花が真美の注文を途中で遮って、食い気味に「私はうな重の松を大盛りで。それから肝吸いもつけてください。大至急お願いします」と頼んだ。
メンバーも食い気味に「私もおなじで」「俺も同じで。」「アタシも同じで」と続けた。
絵梨奈と真美の頭の中に哀しい音楽が流れた。
さらに一連の様子を後ろの方の席の家族連れの母親と子供がギュッと寄り添ってずっと見ていた。
その母親と子供の心の中に哀しい音楽が流れた。
つづく
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