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橙色
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色はその場の空気すら染めてしまう。
その中でも、橙色は幸せの象徴。
幸運と敬愛の色である。
橙の周りはいつもありとあらゆる種類の花で溢れている。
彼女が歩くと魔法のように、歩いた場所が花で満たされるのだ。
これは魔法のようで、魔法でない。"この世界"の理なのだ。
微笑む彼女はまるで神の使い。慈愛に満ちそれでいて、生命力に溢れている。
花々は嬉しそうに日の光を浴び、風に身を任せる。胞子が高く飛び、しばらくすれば、落ち着いたその先でまた新たな生命がその地に宿るだろう。
丘から草原を見渡す場所で見かけた無色透明と目があった。話すには及ばず、無色透明が持つ気高さに
、橙色は敬愛を持って微笑んでお辞儀した、無色透明が無表情でそれに返す。
すれ違った青には真っ白くて大きな花を。
話しかけて来た黄色には額にキスをあげた。
"あぁ、世界はなんて美しいのかしら"
そんな想いを胸に抱き、彼女は素足のまま地面を軽く蹴った。
さあ、世界をもっと体感せねば!
色は善悪を表すもの。
人間たちによって、膳と悪を分けられてしまう始末。
果たして本当に膳は良き、悪は悪い?
数ある色。その中でも、白は無垢な存在。
濁れば淀むことなく吸収してまた白くなる。
進歩もなければ退化もない。ただ、あるがまま。
雲は減れば増え、増えれば世界の反対でそれが消える。
そう、それがこの世界の理。普遍の真理。
白は今日も無色透明が作り出す枠に息を吹きかけ雲を造る。丘の上に立ってるのを見かけて話しかけたのはつい先程。この世界を覆う雲が少なくなって来たのを感じていたから。白にお願いして様々な雲の姿を作ってもらった。そこに息を吹きかけると、途端に真っ白な雲の出来上がり。
.....たまに、馬の形とか、ボールとか、花とかの形をした輪郭があるようだけど、それは無色透明の好みだと思っている。聞いたことないし、いつもの無色透明からは想像できなくて、なんだか聞きづらくもあり、聞いたことは無かったけれど....
『因みに、この雲の形はどうやって決めてるの?無色透明の好きなものとか?たまに動物とか物が混ざってるよね。』
それとはなく聞いてみた。
『ただの気分だよ。すぐに飽きちゃうから、もとに戻すけど。』
そう言って、生み出しながらも、次々に生み出した雲の輪郭の形を変えていく。
無色透明にとって、普遍のものなどない。
それは、無色透明にとって、ある方が遥かにおかしいのだ。
『そうか、気分だったんだね、ずっと気になってて、白の好みなのかなと思っていたからね、聞いてみたんだ。』
『あっそ。』
無色透明はそっけなく返事して、立て続けに雲の輪郭を作っていく。
そこに白は色を入れていく。
そうこうしてると、面白そうだと近寄ってきた黄色にイタズラされたり、「俺も混ぜろ!」と言ってきた青に主導権をとられたり、「みんなして楽しそうね」と言い寄り道してきた橙から投げキッスを寄こされたりしているうちに........『あ~ぁ、こうなるとは思っていたけど、たまーーーに、出来ちゃうよね、この色の雲。』
出来上がった雲は七色の雲。彩雲。
『「縁起が良いって、」言われてるんだぜ!』
と、青は言う。
『誰に?』
無色透明が胡散臭そうに青を睨む。
『誰だったかな?聞いたんだ。違う世界では、縁起が良いと、そう言われてるらしいぜ。』
口からでまかせではないらしい。
思い出そうの頬をポリポリかいていた。
彩雲、ここに現る。
皆が集まって、今を生きる、なんと良きことかな。......と、 この世界の創設者は思ったとか、思わなかったとか。
その中でも、橙色は幸せの象徴。
幸運と敬愛の色である。
橙の周りはいつもありとあらゆる種類の花で溢れている。
彼女が歩くと魔法のように、歩いた場所が花で満たされるのだ。
これは魔法のようで、魔法でない。"この世界"の理なのだ。
微笑む彼女はまるで神の使い。慈愛に満ちそれでいて、生命力に溢れている。
花々は嬉しそうに日の光を浴び、風に身を任せる。胞子が高く飛び、しばらくすれば、落ち着いたその先でまた新たな生命がその地に宿るだろう。
丘から草原を見渡す場所で見かけた無色透明と目があった。話すには及ばず、無色透明が持つ気高さに
、橙色は敬愛を持って微笑んでお辞儀した、無色透明が無表情でそれに返す。
すれ違った青には真っ白くて大きな花を。
話しかけて来た黄色には額にキスをあげた。
"あぁ、世界はなんて美しいのかしら"
そんな想いを胸に抱き、彼女は素足のまま地面を軽く蹴った。
さあ、世界をもっと体感せねば!
色は善悪を表すもの。
人間たちによって、膳と悪を分けられてしまう始末。
果たして本当に膳は良き、悪は悪い?
数ある色。その中でも、白は無垢な存在。
濁れば淀むことなく吸収してまた白くなる。
進歩もなければ退化もない。ただ、あるがまま。
雲は減れば増え、増えれば世界の反対でそれが消える。
そう、それがこの世界の理。普遍の真理。
白は今日も無色透明が作り出す枠に息を吹きかけ雲を造る。丘の上に立ってるのを見かけて話しかけたのはつい先程。この世界を覆う雲が少なくなって来たのを感じていたから。白にお願いして様々な雲の姿を作ってもらった。そこに息を吹きかけると、途端に真っ白な雲の出来上がり。
.....たまに、馬の形とか、ボールとか、花とかの形をした輪郭があるようだけど、それは無色透明の好みだと思っている。聞いたことないし、いつもの無色透明からは想像できなくて、なんだか聞きづらくもあり、聞いたことは無かったけれど....
『因みに、この雲の形はどうやって決めてるの?無色透明の好きなものとか?たまに動物とか物が混ざってるよね。』
それとはなく聞いてみた。
『ただの気分だよ。すぐに飽きちゃうから、もとに戻すけど。』
そう言って、生み出しながらも、次々に生み出した雲の輪郭の形を変えていく。
無色透明にとって、普遍のものなどない。
それは、無色透明にとって、ある方が遥かにおかしいのだ。
『そうか、気分だったんだね、ずっと気になってて、白の好みなのかなと思っていたからね、聞いてみたんだ。』
『あっそ。』
無色透明はそっけなく返事して、立て続けに雲の輪郭を作っていく。
そこに白は色を入れていく。
そうこうしてると、面白そうだと近寄ってきた黄色にイタズラされたり、「俺も混ぜろ!」と言ってきた青に主導権をとられたり、「みんなして楽しそうね」と言い寄り道してきた橙から投げキッスを寄こされたりしているうちに........『あ~ぁ、こうなるとは思っていたけど、たまーーーに、出来ちゃうよね、この色の雲。』
出来上がった雲は七色の雲。彩雲。
『「縁起が良いって、」言われてるんだぜ!』
と、青は言う。
『誰に?』
無色透明が胡散臭そうに青を睨む。
『誰だったかな?聞いたんだ。違う世界では、縁起が良いと、そう言われてるらしいぜ。』
口からでまかせではないらしい。
思い出そうの頬をポリポリかいていた。
彩雲、ここに現る。
皆が集まって、今を生きる、なんと良きことかな。......と、 この世界の創設者は思ったとか、思わなかったとか。
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