239 / 250
第二十三章 海辺での争奪戦(ルーカス/ミランダルート)
240.誘導尋問
しおりを挟む
「おぅ、久しぶりだなぁ、お前達」
無駄に陽気な声が響く。
そこは剥き出しの岩レンガで造られた、薄暗い牢獄。
窓一つ無く、通路側の壁には、木製の格子が填め込まれている。
そんな格子の隙間から、僅かに覗く兵士の顔には見覚えが。
「あっ、バウルさん!」
物憂げに寝転んでいた少年は、弾ける様に飛び起きると、声のする方へ急ぎ駆け寄って行く。
「で、どうだい? たまの牢獄暮らしも悪いもんじゃねぇだろう?」
「何言ってるんすかぁ。たまのって言いますけど、牢獄なんて、初めて入りましたよぉ。それに、もう暇でヒマで、やる事って言ったら、鼻くそを丸める事しか無かったんっすから」
ちなみに、鼻くそを丸めていたのは、ルーカス本人ではなく、先輩のクリスではあるが。
「たはは。いいじゃねぇか。どうだい、ちっとはまともな鼻くそが丸められる様になったかい?」
「えぇ、そりゃあもう、職人技ですよ。エレトリアの中でも一、二を争う頭領にだってなれそうです」
鼻くそまるめの頭領って一体……。
「ほほぉぉ、そいつぁ良かったなぁ。それでこそ俺も、お前達を牢屋にぶちこんだ甲斐があるってもんだぜぇ」
「えぇ、本当にその節はありがとうございました。これでオイラも一端の頭領に……なーんて、言う訳無いでしょ! バウルさん本当にもう、堪忍して下さいよぉ。お願いですから、もう外に出して下さい。お願いします!」
と、最初は悪ふざけにノリノリであったルーカスも、いい加減、懇願モードに変更。
「たはは、まぁなぁ、もともとほとぼりが冷めるまで……って思ってたんだが……」
と、そこで言葉を濁すバウル。
彼は顎に生えた無精ひげを弄りながら、少し考え込む様な仕草を見せる。
「思ってたんだが……って、どういう事? その後、何が続くの? まさか、まだ俺達を閉じ込めておく気じゃないでしょうね?」
「いやいや、そう言う訳じゃあ無くてだなぁ……」
終いには、少し申し訳無さそうに頭を掻き始めてしまう。
「はっ! まっ、まさか……」
バウルのそんな様子に、突然ある事に思い当たる少年。
「もしや、忘れてたって事? 今のいままで、俺達の事忘れてた……って事じゃあ、無いですよね?」
「んん? うぅぅん。……まぁ、そのまさかだな。たははは」
「うきー! マジか? マジっすかぁ。バウルさん。マジですかぁぁ。さっきは助けに来てくれて、神様か? って思いましたけど、今は悪魔にしか見えない。もう、どう見ても悪魔にしか見えないぃぃ!」
少年は木製の格子をガタガタと揺する事で、その不満を強くアピール。
「まぁまぁ、そう怒るなよぉ。出してもらえるだけでも、めっけもんだろう?」
「まっ、まぁ。そうですけどねぇ……」
非常に理不尽な話ではあるけれど、ここでバウルの機嫌を損ねても良い事は無い。
その程度の事ぐらいは、ルーカスにだってわかってる。
とにかく今は、出してもらえるだけでも『ありがたい』と思うしか無いだろう。何しろ彼は一刻も早くミランダ達の元へと行かなければならないのである。
そう考えた少年は、何気に話題を変えながらも、バウルの様子を探る事に。
「そんな事よりバウルさん、ほとぼりって……」
「あぁ、その事なんだがなぁ。お前達は知らねぇだろうがなぁ。お前達が女便所覗いて捕まった日に、奴隷が屋敷から逃げ出したらしい」
少年は、何食わぬ顔で、いつの間にか隣に佇むクリスの方へと視線を送る。
「しかもだ。今日、湾岸砦で働く男から密告があってなぁ。どうやら、その隠れ家を見つけたらしいんだ」
後で思えば、なぜこの時、彼がこんなに詳しく話してくれるのだろう? と、警戒すべきであった。
しかし、一週間もの間、牢獄に閉じ込められ、何の情報も与えられていなかった少年には、外の情報が喉から手が出る程欲しかったのである。
「えぇ! かっ彼女達は? 彼女達は無事なんですか?」
――チッ
隣で話を聞いていたクリスが思わず舌打ちをする。
この段階においても、ルーカスはその発言の重要性を認識してはいなかった。
「えっ?」
思わず隣にいるクリスの方へと振り返る少年。
もちろん、意図的に情報を漏らしたバウルにしてみれば、その一言を聞き逃すはずも無い。
「なぁ、ルーカス。俺とお前は歳は違えど友達だよなぁ。俺は前から、お前とは話が合うと思ってたんだ。そこでだ。一つ聞きたい事がある」
口元を綻ばせながら、格子の閂を引き抜き始めるバウル。
ただ、彼の目からは、先程までの親愛の感情はすっかり抜け落ちていた。
「どうしてお前は、逃げたヤツが彼女……いや、彼女達だって、知ってるんだ?」
「あぁ、いやっ……えぇぇっとぉ、あの、そうそう、僕たちがいたのは、奴隷妾専用館だったから。だから、メイドの誰かが逃げたのかなぁって……」
ようやく事の重大さに気付いたルーカス。
何とか言い訳を始めてはみたものの、背中には冷たい汗が滴り落ちる。
「ルーカス。今ここで知ってる事を全部俺に話しちまえ。そうすりゃ、俺だって悪い様にはしねぇ」
すっかり閂を引き抜き終わり、ゆっくりと牢屋の中へ入ろうとするバウル。
その後ろには、恐らくバウル配下の兵士なのだろう。
守衛兵とは異なる兵装の二人が、短槍を突き出した状態のまま身構えている。
軽装備とは言え、完全武装の野戦兵三人。
バウルとルーカスの会話を横で聞いていたクリスは、腰に隠していた短刀へそっと右手を伸ばし始めた。
しかし、いくらクリスが手練れとは言え、野戦兵三人と正面切って戦えるはずも無い。
正直、彼は少女達がどうなろうと、この際、仕方が無いと思っていた。
それよりも、自分達の不始末で、組織に迷惑を掛ける訳には行かないのだ。
残念ではある。
残念ではあるが、もしルーカスが隣で組織の情報を漏らす様な事があれば、ひと思いにルーカスを刺し殺し、自分も自決するつもりだ。
そんな彼の脳裏に、薄紅色の髪を持つ少女の面影が過る。
しかし、彼はそんな自分の心の弱さを振り払うかの様に、短刀を持つ手に力を籠めた。
ちょうどその時。
――ピーーーー!
突然のけたたましい警笛の音。
幾人もの守衛兵達が慌てた様子で廊下を走り去って行く。
「ちょっと待ってろ? 何かあったみたいだ」
バウルは配下の兵士二人を残し、慌てた様子で玄関フロアの方へと駆け出して行った。
無駄に陽気な声が響く。
そこは剥き出しの岩レンガで造られた、薄暗い牢獄。
窓一つ無く、通路側の壁には、木製の格子が填め込まれている。
そんな格子の隙間から、僅かに覗く兵士の顔には見覚えが。
「あっ、バウルさん!」
物憂げに寝転んでいた少年は、弾ける様に飛び起きると、声のする方へ急ぎ駆け寄って行く。
「で、どうだい? たまの牢獄暮らしも悪いもんじゃねぇだろう?」
「何言ってるんすかぁ。たまのって言いますけど、牢獄なんて、初めて入りましたよぉ。それに、もう暇でヒマで、やる事って言ったら、鼻くそを丸める事しか無かったんっすから」
ちなみに、鼻くそを丸めていたのは、ルーカス本人ではなく、先輩のクリスではあるが。
「たはは。いいじゃねぇか。どうだい、ちっとはまともな鼻くそが丸められる様になったかい?」
「えぇ、そりゃあもう、職人技ですよ。エレトリアの中でも一、二を争う頭領にだってなれそうです」
鼻くそまるめの頭領って一体……。
「ほほぉぉ、そいつぁ良かったなぁ。それでこそ俺も、お前達を牢屋にぶちこんだ甲斐があるってもんだぜぇ」
「えぇ、本当にその節はありがとうございました。これでオイラも一端の頭領に……なーんて、言う訳無いでしょ! バウルさん本当にもう、堪忍して下さいよぉ。お願いですから、もう外に出して下さい。お願いします!」
と、最初は悪ふざけにノリノリであったルーカスも、いい加減、懇願モードに変更。
「たはは、まぁなぁ、もともとほとぼりが冷めるまで……って思ってたんだが……」
と、そこで言葉を濁すバウル。
彼は顎に生えた無精ひげを弄りながら、少し考え込む様な仕草を見せる。
「思ってたんだが……って、どういう事? その後、何が続くの? まさか、まだ俺達を閉じ込めておく気じゃないでしょうね?」
「いやいや、そう言う訳じゃあ無くてだなぁ……」
終いには、少し申し訳無さそうに頭を掻き始めてしまう。
「はっ! まっ、まさか……」
バウルのそんな様子に、突然ある事に思い当たる少年。
「もしや、忘れてたって事? 今のいままで、俺達の事忘れてた……って事じゃあ、無いですよね?」
「んん? うぅぅん。……まぁ、そのまさかだな。たははは」
「うきー! マジか? マジっすかぁ。バウルさん。マジですかぁぁ。さっきは助けに来てくれて、神様か? って思いましたけど、今は悪魔にしか見えない。もう、どう見ても悪魔にしか見えないぃぃ!」
少年は木製の格子をガタガタと揺する事で、その不満を強くアピール。
「まぁまぁ、そう怒るなよぉ。出してもらえるだけでも、めっけもんだろう?」
「まっ、まぁ。そうですけどねぇ……」
非常に理不尽な話ではあるけれど、ここでバウルの機嫌を損ねても良い事は無い。
その程度の事ぐらいは、ルーカスにだってわかってる。
とにかく今は、出してもらえるだけでも『ありがたい』と思うしか無いだろう。何しろ彼は一刻も早くミランダ達の元へと行かなければならないのである。
そう考えた少年は、何気に話題を変えながらも、バウルの様子を探る事に。
「そんな事よりバウルさん、ほとぼりって……」
「あぁ、その事なんだがなぁ。お前達は知らねぇだろうがなぁ。お前達が女便所覗いて捕まった日に、奴隷が屋敷から逃げ出したらしい」
少年は、何食わぬ顔で、いつの間にか隣に佇むクリスの方へと視線を送る。
「しかもだ。今日、湾岸砦で働く男から密告があってなぁ。どうやら、その隠れ家を見つけたらしいんだ」
後で思えば、なぜこの時、彼がこんなに詳しく話してくれるのだろう? と、警戒すべきであった。
しかし、一週間もの間、牢獄に閉じ込められ、何の情報も与えられていなかった少年には、外の情報が喉から手が出る程欲しかったのである。
「えぇ! かっ彼女達は? 彼女達は無事なんですか?」
――チッ
隣で話を聞いていたクリスが思わず舌打ちをする。
この段階においても、ルーカスはその発言の重要性を認識してはいなかった。
「えっ?」
思わず隣にいるクリスの方へと振り返る少年。
もちろん、意図的に情報を漏らしたバウルにしてみれば、その一言を聞き逃すはずも無い。
「なぁ、ルーカス。俺とお前は歳は違えど友達だよなぁ。俺は前から、お前とは話が合うと思ってたんだ。そこでだ。一つ聞きたい事がある」
口元を綻ばせながら、格子の閂を引き抜き始めるバウル。
ただ、彼の目からは、先程までの親愛の感情はすっかり抜け落ちていた。
「どうしてお前は、逃げたヤツが彼女……いや、彼女達だって、知ってるんだ?」
「あぁ、いやっ……えぇぇっとぉ、あの、そうそう、僕たちがいたのは、奴隷妾専用館だったから。だから、メイドの誰かが逃げたのかなぁって……」
ようやく事の重大さに気付いたルーカス。
何とか言い訳を始めてはみたものの、背中には冷たい汗が滴り落ちる。
「ルーカス。今ここで知ってる事を全部俺に話しちまえ。そうすりゃ、俺だって悪い様にはしねぇ」
すっかり閂を引き抜き終わり、ゆっくりと牢屋の中へ入ろうとするバウル。
その後ろには、恐らくバウル配下の兵士なのだろう。
守衛兵とは異なる兵装の二人が、短槍を突き出した状態のまま身構えている。
軽装備とは言え、完全武装の野戦兵三人。
バウルとルーカスの会話を横で聞いていたクリスは、腰に隠していた短刀へそっと右手を伸ばし始めた。
しかし、いくらクリスが手練れとは言え、野戦兵三人と正面切って戦えるはずも無い。
正直、彼は少女達がどうなろうと、この際、仕方が無いと思っていた。
それよりも、自分達の不始末で、組織に迷惑を掛ける訳には行かないのだ。
残念ではある。
残念ではあるが、もしルーカスが隣で組織の情報を漏らす様な事があれば、ひと思いにルーカスを刺し殺し、自分も自決するつもりだ。
そんな彼の脳裏に、薄紅色の髪を持つ少女の面影が過る。
しかし、彼はそんな自分の心の弱さを振り払うかの様に、短刀を持つ手に力を籠めた。
ちょうどその時。
――ピーーーー!
突然のけたたましい警笛の音。
幾人もの守衛兵達が慌てた様子で廊下を走り去って行く。
「ちょっと待ってろ? 何かあったみたいだ」
バウルは配下の兵士二人を残し、慌てた様子で玄関フロアの方へと駆け出して行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる