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異世界建築士の弟子編
第27話 グレゴリーのスキル
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「ふむ。見た目に似合わずなかなかしっかりと刀を扱うし力もある。これならば加減の必要もあるまい。この魔切丸は我の自信作だが、正面から受けても刃こぼれをおこさないとは、その刀も中々の業物と見える。是非とも頂きたいところだな」
そういうや否やユキヒラは二の太刀三の太刀と、次々とコルビーに切りかかった。
しかしコルビーは全てをクニオから借りた刀で受け止めていく。そうして攻撃の間隙をついて逆にユキヒラに切りかかった。ユキヒラは刀で受けることは無く、またも後ろに下がって太刀をかわした。そんなやりとりが次々と繰り返されていく。そうして繰り返されるたびに、どんどんとその速度は上がって行った。
「あのユキヒラってやつはなかなかやるね。成体の数%の力とは言っても相手は魔王だぜ。冒険者でもない人間が、あれだけやれれば大したもんだ」
コウは感心ひとしおだ。
コルビーとユキヒラの立ち合いがしばらく続いた後、二人の動きは一旦止まり、またお互いに構えて向き合った。しかしそこでコルビーは
「こんなところですかね」とだけ言って回れ右をして歩き出した。
先ほど橋に置いた鞘を拾い上げると、刀を納めて橋の袂にいる三人の所に戻ってきた。一人残されたユキヒラは構えを解いて、訳も分からず仁王立ちしている。
「最近体を動かしていなかったのでいい運動になりました。あとは師匠がどうぞ」
コルビーはそう言って刀をクニオに渡す。
「いや、コル殿それはずるいですぞ。拙僧も最近はめっきり出番が少ない。先にもう少し拙僧もユキヒラとやらの太刀筋をクニオ殿に見せましょうぞ」
グレゴリーはそう言いながら、右こぶしを左の手のひらにポンポンと当てながら、構わずユキヒラの元へと橋を渡っていった。
ユキヒラの前に立つと、グレゴリーは自分の拳を確認して呟く。
「ふむ。魔法は使えなくともスキルは使えるようですな。今度は拙僧がお相手いたそう」
ユキヒラは改めて刀を前方に構えて言った。
「見たところ素手の様だが、貴殿はそれで構わないのか?」
「心配は御無用です。遠慮なく掛かって参られよ」
グレゴリーのその言葉を聞いて、今度はユキヒラの方から先に上段で切りかかってきた。グレゴリーはその太刀を体を逸らして避ける。ユキヒラは次に横一文字に刀を振り抜く。すると今度はグレゴリーは後ろに下がってかわした。更に次々とユキヒラは刀を振ってくるが、全てをグレゴリーは器用に体捌きでかわしていった。受けるでもなく、自分から攻撃をするでもなくグレゴリーはことごとくユキヒラの太刀筋をかわして行った。ユキヒラは刀を振るのをやめて、構え直して息を整えている。
「今度はこちらの番ですな」
そう言って今度はグレゴリーが拳を振り上げた。ユキヒラは刀を顔面の横に構えてそれを受けようとする。しかし刀に拳が触れる直前…グレゴリーの動きは止まり、拳は刀の前で寸止めの形となった。
「ほう、魔法を重ねがけしない限り、スキルの身体強化と身体硬化ではその刀の切れ味は超えられないようですな。その刀を打たれたとはなかなかの鍛冶職人の様だ。拙僧もここまでで失礼するとしましょうかな」
そう言ってグレゴリーも拳をひくと後ろを振り返り、3人の所に戻ってきた。またもユキヒラは橋の上に1人置き去りとなる。
3人の元に戻ったグレゴリーは
「あの者が打ったとかいう刀はなかなかのものですな」
そう言ってガハハと笑った。
「どうしてスキルの身体硬化じゃあの魔切丸には通じないと分かったんだい」
コウがグレゴリーに聞く。
「拙僧のジョブスキル、先見(さきみ)があれば少し先の事が見えますからな。この湖の上…橋の上も同じことですが、魔法は使えなくともスキルは発動できる様です」
「ん?そんなスキルをいつの間にか身につけてたんだ」
クニオは驚いてグレゴリーに聞いた。それまで全く気が付かなかった。
「いやですなクニオ殿。貴殿に初めてお会いした時から持ってましたよ。でなければドラゴンの吐く炎からなんて逃げられるわけがないでしょう。まぁそれはいいとして、どうですかクニオ殿、あのユキヒラとやらに勝つ算段はつきましたかな?」
これにはクニオより先にコウが答えた。
「何言ってるんだよ。クニオが勝てるわけないだろう。この湖の上は魔法が使えないんじゃ蘇生も回復もアイテム頼りになっちゃうじゃん。勿体ないだろう? そもそもクニオの刀とられちゃったら、ここに何しに来たのか分からなくなる……魔法が消されるって言っても限度があるだろう? 上空からでかい隕石でも落とそうか?」
コウが言うと冗談に聞こえないのが怖い。
「それは流石に色々な方に迷惑をかけるでしょうな。魔法が制限されていたら先日の居酒屋の机の様に、直ぐに橋を復旧することもできないでしょうし……」
グレゴリーがコウを諭す。
「まぁ負けて刀取られちゃったら、その時はたらふく日本酒飲んで帰ればいいか」
コウは全くクニオには期待していないようだ。
「まぁ、とにかくやるだけやってみるよ」
しかしそう言いながら、クニオ自身にも勝てるビジョンは全く浮かんでいなかった。
「師匠なら大丈夫です。でも一応これをお守り代わりにどうぞ」
そういってコルビーは自分の冒険者の認識票を外して、クニオに手渡した。何かのおまじないだろうか、クニオは認識票をポケットに入れて、仕方がないのでユキヒラの方へ橋を歩いていく。数m程度まで近づいたところで、腰に差した刀を鞘から抜いて構えをとった。アマリアの盾は邪魔にならないように左上腕部に固定している。
「やっと本命の登場というわけでしょうか。しかし魔法なしであれだけ戦えるとは、いいパーティーメンバーですね」
何かユキヒラは勘違いをしているようだが、あえてそこは黙っておこう。
「なんかあいつ上から発言で気に食わないな」
コウはコルビーに言う。コルビーとグレゴリーは黙って橋上の戦いを見つめていた。
そういうや否やユキヒラは二の太刀三の太刀と、次々とコルビーに切りかかった。
しかしコルビーは全てをクニオから借りた刀で受け止めていく。そうして攻撃の間隙をついて逆にユキヒラに切りかかった。ユキヒラは刀で受けることは無く、またも後ろに下がって太刀をかわした。そんなやりとりが次々と繰り返されていく。そうして繰り返されるたびに、どんどんとその速度は上がって行った。
「あのユキヒラってやつはなかなかやるね。成体の数%の力とは言っても相手は魔王だぜ。冒険者でもない人間が、あれだけやれれば大したもんだ」
コウは感心ひとしおだ。
コルビーとユキヒラの立ち合いがしばらく続いた後、二人の動きは一旦止まり、またお互いに構えて向き合った。しかしそこでコルビーは
「こんなところですかね」とだけ言って回れ右をして歩き出した。
先ほど橋に置いた鞘を拾い上げると、刀を納めて橋の袂にいる三人の所に戻ってきた。一人残されたユキヒラは構えを解いて、訳も分からず仁王立ちしている。
「最近体を動かしていなかったのでいい運動になりました。あとは師匠がどうぞ」
コルビーはそう言って刀をクニオに渡す。
「いや、コル殿それはずるいですぞ。拙僧も最近はめっきり出番が少ない。先にもう少し拙僧もユキヒラとやらの太刀筋をクニオ殿に見せましょうぞ」
グレゴリーはそう言いながら、右こぶしを左の手のひらにポンポンと当てながら、構わずユキヒラの元へと橋を渡っていった。
ユキヒラの前に立つと、グレゴリーは自分の拳を確認して呟く。
「ふむ。魔法は使えなくともスキルは使えるようですな。今度は拙僧がお相手いたそう」
ユキヒラは改めて刀を前方に構えて言った。
「見たところ素手の様だが、貴殿はそれで構わないのか?」
「心配は御無用です。遠慮なく掛かって参られよ」
グレゴリーのその言葉を聞いて、今度はユキヒラの方から先に上段で切りかかってきた。グレゴリーはその太刀を体を逸らして避ける。ユキヒラは次に横一文字に刀を振り抜く。すると今度はグレゴリーは後ろに下がってかわした。更に次々とユキヒラは刀を振ってくるが、全てをグレゴリーは器用に体捌きでかわしていった。受けるでもなく、自分から攻撃をするでもなくグレゴリーはことごとくユキヒラの太刀筋をかわして行った。ユキヒラは刀を振るのをやめて、構え直して息を整えている。
「今度はこちらの番ですな」
そう言って今度はグレゴリーが拳を振り上げた。ユキヒラは刀を顔面の横に構えてそれを受けようとする。しかし刀に拳が触れる直前…グレゴリーの動きは止まり、拳は刀の前で寸止めの形となった。
「ほう、魔法を重ねがけしない限り、スキルの身体強化と身体硬化ではその刀の切れ味は超えられないようですな。その刀を打たれたとはなかなかの鍛冶職人の様だ。拙僧もここまでで失礼するとしましょうかな」
そう言ってグレゴリーも拳をひくと後ろを振り返り、3人の所に戻ってきた。またもユキヒラは橋の上に1人置き去りとなる。
3人の元に戻ったグレゴリーは
「あの者が打ったとかいう刀はなかなかのものですな」
そう言ってガハハと笑った。
「どうしてスキルの身体硬化じゃあの魔切丸には通じないと分かったんだい」
コウがグレゴリーに聞く。
「拙僧のジョブスキル、先見(さきみ)があれば少し先の事が見えますからな。この湖の上…橋の上も同じことですが、魔法は使えなくともスキルは発動できる様です」
「ん?そんなスキルをいつの間にか身につけてたんだ」
クニオは驚いてグレゴリーに聞いた。それまで全く気が付かなかった。
「いやですなクニオ殿。貴殿に初めてお会いした時から持ってましたよ。でなければドラゴンの吐く炎からなんて逃げられるわけがないでしょう。まぁそれはいいとして、どうですかクニオ殿、あのユキヒラとやらに勝つ算段はつきましたかな?」
これにはクニオより先にコウが答えた。
「何言ってるんだよ。クニオが勝てるわけないだろう。この湖の上は魔法が使えないんじゃ蘇生も回復もアイテム頼りになっちゃうじゃん。勿体ないだろう? そもそもクニオの刀とられちゃったら、ここに何しに来たのか分からなくなる……魔法が消されるって言っても限度があるだろう? 上空からでかい隕石でも落とそうか?」
コウが言うと冗談に聞こえないのが怖い。
「それは流石に色々な方に迷惑をかけるでしょうな。魔法が制限されていたら先日の居酒屋の机の様に、直ぐに橋を復旧することもできないでしょうし……」
グレゴリーがコウを諭す。
「まぁ負けて刀取られちゃったら、その時はたらふく日本酒飲んで帰ればいいか」
コウは全くクニオには期待していないようだ。
「まぁ、とにかくやるだけやってみるよ」
しかしそう言いながら、クニオ自身にも勝てるビジョンは全く浮かんでいなかった。
「師匠なら大丈夫です。でも一応これをお守り代わりにどうぞ」
そういってコルビーは自分の冒険者の認識票を外して、クニオに手渡した。何かのおまじないだろうか、クニオは認識票をポケットに入れて、仕方がないのでユキヒラの方へ橋を歩いていく。数m程度まで近づいたところで、腰に差した刀を鞘から抜いて構えをとった。アマリアの盾は邪魔にならないように左上腕部に固定している。
「やっと本命の登場というわけでしょうか。しかし魔法なしであれだけ戦えるとは、いいパーティーメンバーですね」
何かユキヒラは勘違いをしているようだが、あえてそこは黙っておこう。
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