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愉快な学園生活
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「アレは駄目だろ」
開口一番そう言われ、私は首を傾げた。
「アレとは」
「オズワルドだよ。何だあの会話」
何かいけなかっただろうか? いつもの数段大人しめに終わったけどな~。
「確認なんだが、お前オズワルドのこと好きなんだよな?」
「やだな~改まって何言わせる気ですか」
照れ隠しにジャックの腹を撫でまくってやった。
「やっ、やめてくれ! ふひゃははっ」
時は昼休みで場所は開かずの間だ。ここなら人目に付くことは無いので思い切り猫姿のジャックを愛でられる。
「って誤魔化すんじゃねぇよ!? アレのどこが片想いしてる乙女の発言だ馬鹿野郎」
「キレ方がおかしい」
「もっとあっただろ!! 「心配したんだぞ、クロア」「オズワルド様.......ありがとうございます」「ほらもっと俺の傍においで。今度は守ってやるから」的な!!」
声真似上手いな。でも内容が気持ち悪い。
「ありえませんよそんな事」
そもそもオズワルドとは仲が悪いのだ。「お前がいなくなると思って清々したのに」「ご期待に応えられず申し訳ございませーん」くらいのやり取りなら予想できるが。
「.......そんなんでいいのかよ」
悪魔のくせに心配してくれているらしい。
「仕方のないことです」
それにもう慣れてしまった。購買で買ってきたパンを頬張りながら私は考える。
「はぁ、それにしてもオズワルド様かっこよかったな~」
私の手をぐいっと、引き寄せた時なんか顔近くてびっくりしてしまった。あれを思い出しただけで食が進む進む。
「お前さんよく食べるな」
「午後から魔法を使った授業があるんですよ、それに備えて体力つけておかないと」
ただでさえ居残りは免れないのだから今のうちにしっかり蓄えておかないとね!
「それ俺様もついて行っていいのか?」
駄目だと言ってもついてくるくせに。
「構いませんがちゃんと猫のフリしといて下さいよ」
「任せろ!!」
本当に大丈夫かな?
午後の授業は大の苦手な対魔法訓練だ。肩を落としながら教室に向かう。
「よお、出来損ない」
「ケイレブ様.......」
嫌な奴と会ってしまった。今朝から数度絡まれては退学処分にならなかった事でネチネチと不満を垂れているのだ、いい加減放っておいて欲しい。
「私に構ってる暇があるんですか?」
「まさか! 俺はお前と違ってモテるからな~まぁ一応婚約者だし気をつかって話しかけてやってんだよ」
いらない気遣いだ。邪険に扱う私が気に入らないのかまだ何か言いたげな顔をするケイレブ、彼が口を開く直前に受講講師の先生が来てくれた為何も起きず終わった。対魔法訓練の教科担当は今年から入った新人教師のダグラス・テンペラーだ。クールビューティと噂されるだけある整った顔立ちに細身でスラリと伸びた長い足。髪は淡いブルーのくせ毛、瞳は落ち着いたヘーゼルカラー。華やかな印象を保ちつつも冷静なイメージを与えやすい風貌だ。
ダグラスは今日も今日とて女子生徒から熱い視線を向けられているが一向に気にもとめない。歳下好きじゃないのか、単に仕事とプライベートを分けるタイプなのかは謎。
ダグラスの号令で授業が始まると、彼はすぐさま私たち生徒に強い口調で言い放つ。
「私の授業の邪魔になるようなら容赦なく追い出すからそのつもりで」
冷淡にも聞こえるその言葉に何故かうっとりとため息を吐く女子生徒たち。本当にそれでいいのか?
ダグラスの授業を受けてもうすぐ一年になるが、彼の教え方は端的で分かりやすい。そして授業が終われば即座に帰ることでも有名だ。彼を呼び止め授業中の分からない所を聞こうものなら「何故授業中に言わない?」と冷ややかな目で見られる、らしい。
鬼教師のあだ名を持つダグラス、彼の授業中だけは普段ふざけ口調な生徒も背筋を伸ばして受けることを徹底している。
ダグラスの素晴らしい点を一つ挙げるなら補習授業を滅多に行わないことぐらいかな。
「前回の授業で私が教えた対魔法術の基本魔法は何種類だったか言ってみろ.......ケイレブ・フランク」
「はい! に、にしゅる」
「違う」
最後まで言わせてやれ!!
「フランクは腕立て二百回。次、イングラム」
「三種類です。それぞれ防衛魔法、治癒魔法、攻撃魔法」
「よしそこまでだ座っていいぞ。今日はこの基本魔法のより細かい部類分けについて話していく」
流石オズワルド。座学で毎回私に張り合ってくるだけある。
ケイレブが息を荒く吐き出しながら腕立てしているが皆そちらには目もくれない。よそ見なんてしたら自分も二の舞になるからね!
対魔法の訓練は結構身体を使う為か、ダグラスはよくこうした罰を与えている。ざまぁとは思わないけど、ほんの少しだけいい気味だ。
つつがなく過ぎていく授業に集中していれば、一時間なんてあっという間だった。チャイム音がしてダグラスが号令をかける。
今日は実践訓練がなくて助かったな~、補習がないなら早めに開かずの間に行ってジャックについてもっと詳しく調べてみようか。
「ユーリアス、お前は残れ」
.......さいですか。私だって謹慎上がりにはっちゃけたかったんですけど!!
開口一番そう言われ、私は首を傾げた。
「アレとは」
「オズワルドだよ。何だあの会話」
何かいけなかっただろうか? いつもの数段大人しめに終わったけどな~。
「確認なんだが、お前オズワルドのこと好きなんだよな?」
「やだな~改まって何言わせる気ですか」
照れ隠しにジャックの腹を撫でまくってやった。
「やっ、やめてくれ! ふひゃははっ」
時は昼休みで場所は開かずの間だ。ここなら人目に付くことは無いので思い切り猫姿のジャックを愛でられる。
「って誤魔化すんじゃねぇよ!? アレのどこが片想いしてる乙女の発言だ馬鹿野郎」
「キレ方がおかしい」
「もっとあっただろ!! 「心配したんだぞ、クロア」「オズワルド様.......ありがとうございます」「ほらもっと俺の傍においで。今度は守ってやるから」的な!!」
声真似上手いな。でも内容が気持ち悪い。
「ありえませんよそんな事」
そもそもオズワルドとは仲が悪いのだ。「お前がいなくなると思って清々したのに」「ご期待に応えられず申し訳ございませーん」くらいのやり取りなら予想できるが。
「.......そんなんでいいのかよ」
悪魔のくせに心配してくれているらしい。
「仕方のないことです」
それにもう慣れてしまった。購買で買ってきたパンを頬張りながら私は考える。
「はぁ、それにしてもオズワルド様かっこよかったな~」
私の手をぐいっと、引き寄せた時なんか顔近くてびっくりしてしまった。あれを思い出しただけで食が進む進む。
「お前さんよく食べるな」
「午後から魔法を使った授業があるんですよ、それに備えて体力つけておかないと」
ただでさえ居残りは免れないのだから今のうちにしっかり蓄えておかないとね!
「それ俺様もついて行っていいのか?」
駄目だと言ってもついてくるくせに。
「構いませんがちゃんと猫のフリしといて下さいよ」
「任せろ!!」
本当に大丈夫かな?
午後の授業は大の苦手な対魔法訓練だ。肩を落としながら教室に向かう。
「よお、出来損ない」
「ケイレブ様.......」
嫌な奴と会ってしまった。今朝から数度絡まれては退学処分にならなかった事でネチネチと不満を垂れているのだ、いい加減放っておいて欲しい。
「私に構ってる暇があるんですか?」
「まさか! 俺はお前と違ってモテるからな~まぁ一応婚約者だし気をつかって話しかけてやってんだよ」
いらない気遣いだ。邪険に扱う私が気に入らないのかまだ何か言いたげな顔をするケイレブ、彼が口を開く直前に受講講師の先生が来てくれた為何も起きず終わった。対魔法訓練の教科担当は今年から入った新人教師のダグラス・テンペラーだ。クールビューティと噂されるだけある整った顔立ちに細身でスラリと伸びた長い足。髪は淡いブルーのくせ毛、瞳は落ち着いたヘーゼルカラー。華やかな印象を保ちつつも冷静なイメージを与えやすい風貌だ。
ダグラスは今日も今日とて女子生徒から熱い視線を向けられているが一向に気にもとめない。歳下好きじゃないのか、単に仕事とプライベートを分けるタイプなのかは謎。
ダグラスの号令で授業が始まると、彼はすぐさま私たち生徒に強い口調で言い放つ。
「私の授業の邪魔になるようなら容赦なく追い出すからそのつもりで」
冷淡にも聞こえるその言葉に何故かうっとりとため息を吐く女子生徒たち。本当にそれでいいのか?
ダグラスの授業を受けてもうすぐ一年になるが、彼の教え方は端的で分かりやすい。そして授業が終われば即座に帰ることでも有名だ。彼を呼び止め授業中の分からない所を聞こうものなら「何故授業中に言わない?」と冷ややかな目で見られる、らしい。
鬼教師のあだ名を持つダグラス、彼の授業中だけは普段ふざけ口調な生徒も背筋を伸ばして受けることを徹底している。
ダグラスの素晴らしい点を一つ挙げるなら補習授業を滅多に行わないことぐらいかな。
「前回の授業で私が教えた対魔法術の基本魔法は何種類だったか言ってみろ.......ケイレブ・フランク」
「はい! に、にしゅる」
「違う」
最後まで言わせてやれ!!
「フランクは腕立て二百回。次、イングラム」
「三種類です。それぞれ防衛魔法、治癒魔法、攻撃魔法」
「よしそこまでだ座っていいぞ。今日はこの基本魔法のより細かい部類分けについて話していく」
流石オズワルド。座学で毎回私に張り合ってくるだけある。
ケイレブが息を荒く吐き出しながら腕立てしているが皆そちらには目もくれない。よそ見なんてしたら自分も二の舞になるからね!
対魔法の訓練は結構身体を使う為か、ダグラスはよくこうした罰を与えている。ざまぁとは思わないけど、ほんの少しだけいい気味だ。
つつがなく過ぎていく授業に集中していれば、一時間なんてあっという間だった。チャイム音がしてダグラスが号令をかける。
今日は実践訓練がなくて助かったな~、補習がないなら早めに開かずの間に行ってジャックについてもっと詳しく調べてみようか。
「ユーリアス、お前は残れ」
.......さいですか。私だって謹慎上がりにはっちゃけたかったんですけど!!
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