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十二話
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使用人の仕事はケイトさんから学ぶことになった。
「至らない点だらけだと思いますが宜しくお願いします」
「うん任せてくれ。ノアくんも分からない事があれば遠慮しないで聞いてね」
ケイトさんはアーノルドもといセオ(せがまれて結局二人の時はこう呼ぶことになった)の秘書的な存在らしい。
「では旦那様仕事の方はご自身で宜しくお願いします」
「へ~い」
気の抜けた返事のセオ。こんな調子で仕事なんて本当にするのか? 聞けばケイトさんが見張っていないとよく屋敷を抜け出して街に出ていってしまうらしい.......。
「ケイトさん俺に付きっきりで大丈夫なんですか?」
「いつもなら書類仕事なんて投げ出すんだけど今日は取っておきの方法で縛り付けてきたから大丈夫だよ」
物騒事じゃなければいいけど。
「ノアが仕事覚えるまでサボらなかったら二人でデートしてきていいってさ」
「あっ秘密だって約束したじゃないですか!!」
デート?
「誰と誰が?」
「俺とノアが」
「それはデートではなく護衛になるのでは?」
「まぁ思うのは自由ですから」
放っておいていいですよ、なんてケイトさんが言うので俺は少し気にはなったけどそれ以上深く追求しなかった。ただセオはやたら俺に構おうとするのが不思議でならない。
今まで剣術や戦い方を誰かに教わった事はない。上手い動きを勝手に盗み見て学んだことはあれど指導を受けた経験がないのだから実際には教育される事自体が初めてなんだ。分からないことがあればその都度聞いていいと言われたがどの程度なら迷惑だとか思われないのだろう?
「じゃあまず屋敷の案内からするね。広いから迷子にならないよう気をつけて!」
「はい承知しました」
確かに屋敷の中は広い。左右に伸びた内装で左は書斎や寝室・書庫主にセオが使うプライベート空間だ。反対に右は応接室や食堂にパーティーホールといった客人を迎えたり普段から人の集まる場所になっている。邸内の構造が多少入り組んでいるのは辺境という土地柄敵に攻め込まれた事態を想定してのことだろう。俺たち使用人には別邸の宿舎が与えられており俺にも自分の部屋が用意されているらしい。今まで客用の寝室を使っていたので、俺には豪華すぎる内装に肩身の狭い思いをしていたので大変ありがたい。
「だいたい紹介できる所はしてみたけど、覚えられそう?」
「構造自体は確かに覚えにくいですが全く知らない土地の戦場よりはずっと楽ですね」
地図すらなかった時を思い起こせば優しすぎるぐらいだ。
「そ、そう? 物覚えがよくて助かるけどその話旦那様にはしてはいけないよ? 濡れた枕洗濯する羽目になるからね」
「かしこまりました?」
どういう意味かよく分からないけどセオには悪影響を及ぼすのかもしれない、気をつけよう。
「私達使用人は交代で食事の時間が設けられているけど、旦那様だけは不定期なんだよねぇ~」
「仕事熱心なんですね」
意外だ。三十分以上大人しく椅子に座っている姿すら想像つかない。
「いや剣術の訓練に夢中になったら時間忘れる人だから」
子供みたいなところあるなぁ。
「今度ノアくんに手合わせ願いたいって言ってたよ」
「俺なんか別に凄くもないのに」
剣術の腕ならセオの方がきっと上だ。俺は剣の型すら学んでない。奇襲や相手のペースを崩すのは得意だがそれも日頃から鍛えている彼には及ばないかもしれない。
「旦那様は戦馬鹿なので他領地の人から狂犬だなんて言われていますが、戦場以外なら基本人の良い方ですよ。最も私は戦に出たことの無い身ですがね」
「それが一番だと思います」
「.......そ、そんな話よりもせっかく天気もいい事だし外に出てみようか! ここに来てから缶詰め状態でしたよね」
そういえばアーノルド邸に来てから屋敷内は歩き回ったが外には出てなかった。
「是非お願いします」
「よぉし張り切って案内しますよ!!」
「至らない点だらけだと思いますが宜しくお願いします」
「うん任せてくれ。ノアくんも分からない事があれば遠慮しないで聞いてね」
ケイトさんはアーノルドもといセオ(せがまれて結局二人の時はこう呼ぶことになった)の秘書的な存在らしい。
「では旦那様仕事の方はご自身で宜しくお願いします」
「へ~い」
気の抜けた返事のセオ。こんな調子で仕事なんて本当にするのか? 聞けばケイトさんが見張っていないとよく屋敷を抜け出して街に出ていってしまうらしい.......。
「ケイトさん俺に付きっきりで大丈夫なんですか?」
「いつもなら書類仕事なんて投げ出すんだけど今日は取っておきの方法で縛り付けてきたから大丈夫だよ」
物騒事じゃなければいいけど。
「ノアが仕事覚えるまでサボらなかったら二人でデートしてきていいってさ」
「あっ秘密だって約束したじゃないですか!!」
デート?
「誰と誰が?」
「俺とノアが」
「それはデートではなく護衛になるのでは?」
「まぁ思うのは自由ですから」
放っておいていいですよ、なんてケイトさんが言うので俺は少し気にはなったけどそれ以上深く追求しなかった。ただセオはやたら俺に構おうとするのが不思議でならない。
今まで剣術や戦い方を誰かに教わった事はない。上手い動きを勝手に盗み見て学んだことはあれど指導を受けた経験がないのだから実際には教育される事自体が初めてなんだ。分からないことがあればその都度聞いていいと言われたがどの程度なら迷惑だとか思われないのだろう?
「じゃあまず屋敷の案内からするね。広いから迷子にならないよう気をつけて!」
「はい承知しました」
確かに屋敷の中は広い。左右に伸びた内装で左は書斎や寝室・書庫主にセオが使うプライベート空間だ。反対に右は応接室や食堂にパーティーホールといった客人を迎えたり普段から人の集まる場所になっている。邸内の構造が多少入り組んでいるのは辺境という土地柄敵に攻め込まれた事態を想定してのことだろう。俺たち使用人には別邸の宿舎が与えられており俺にも自分の部屋が用意されているらしい。今まで客用の寝室を使っていたので、俺には豪華すぎる内装に肩身の狭い思いをしていたので大変ありがたい。
「だいたい紹介できる所はしてみたけど、覚えられそう?」
「構造自体は確かに覚えにくいですが全く知らない土地の戦場よりはずっと楽ですね」
地図すらなかった時を思い起こせば優しすぎるぐらいだ。
「そ、そう? 物覚えがよくて助かるけどその話旦那様にはしてはいけないよ? 濡れた枕洗濯する羽目になるからね」
「かしこまりました?」
どういう意味かよく分からないけどセオには悪影響を及ぼすのかもしれない、気をつけよう。
「私達使用人は交代で食事の時間が設けられているけど、旦那様だけは不定期なんだよねぇ~」
「仕事熱心なんですね」
意外だ。三十分以上大人しく椅子に座っている姿すら想像つかない。
「いや剣術の訓練に夢中になったら時間忘れる人だから」
子供みたいなところあるなぁ。
「今度ノアくんに手合わせ願いたいって言ってたよ」
「俺なんか別に凄くもないのに」
剣術の腕ならセオの方がきっと上だ。俺は剣の型すら学んでない。奇襲や相手のペースを崩すのは得意だがそれも日頃から鍛えている彼には及ばないかもしれない。
「旦那様は戦馬鹿なので他領地の人から狂犬だなんて言われていますが、戦場以外なら基本人の良い方ですよ。最も私は戦に出たことの無い身ですがね」
「それが一番だと思います」
「.......そ、そんな話よりもせっかく天気もいい事だし外に出てみようか! ここに来てから缶詰め状態でしたよね」
そういえばアーノルド邸に来てから屋敷内は歩き回ったが外には出てなかった。
「是非お願いします」
「よぉし張り切って案内しますよ!!」
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