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十四話
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「騒がしかったでしょう? 気はいい人達だからあまり気にしないでね」
先程のレオとボンズさんのことを言っているんだろう。確かに多少(?)騒々しい人達だったけれど初対面の俺のことを疑いもなく受け入れてくれたのは純粋に嬉しかった。
「俺はああいう風に誰かと交流してこなかったので見ているだけで楽しい気分になれました」
こんな温もりを感じたのはいつ以来だろう。戦場にいた時、ほんの一時期だけ俺にも友達と呼べる間柄の人がいた。今はもう何処にいるのか生きているのかすら分からないけれど、それでも。
「なんだか懐かしくなってしまいました」
鼻の奥がツンと、痛むのは気のせいに違いない。ケイトさんに心配をかけないよう次の案内を催促した。
「屋敷の中は大体こんな感じですね。私たちが使うのは主に建物の左ですので、仕事と言っても最初は清掃などからになるので難しいことはありませんよ」
ケイトさんの言葉に胸を撫で下ろした。正直不安で仕方ないのだ、今まで刀を握ったことはあっても料理用ナイフすら手に取ったことは無い。俺には荷が重いかもとか悩んでいた。
「とりあえず今日は旦那様の所に戻りましょうか。仕事が慣れてきたら恐らく旦那様の世話係を命じられると思いますのでそのつもりで」
.......え?
「世話係って俺がですか!? 何で俺が」
「セクハラされたばかりだし嫌だとは思うけど堪え、いや本当に嫌なら遠慮なく言ってください。私が何とかするので」
「そうじゃなくて俺ですよ? 隙をついて、とか考えてないんですか?」
ほんの少し前まで敵だったんだぞ。
「多分旦那様はもうノアくんのこと敵だなんて思ってないでしょうね。ノアくんも色々あったとは思うけど気にしなくていいですよ、戦場のことは私には分かりかねますが少なくともノアくんに殺されるなら本望だと思いますし」
それはそれで嫌だな。
「俺に人の世話とか出来るとは思えませんが」
「大丈夫です、適度に構い時々餌をやってあげれば大人しくなりますので」
ここの旦那様猛獣扱いしてないか?
セオの書斎に戻ると、彼はそわそわ窓辺に寄り添うよう立っていた。
「何してるんですか旦那様」
「うおっ!? そっちにいたのかよ.......探してたのになぁ」
「ノアくんのこと気になるのは分かりますが最低限仕事してくださいよ」
「あ? そんなの終わらせてるに決まってるだろ?」
場の空気が凍りついた。
「う、嘘ですよね!? あの旦那様が真面目に仕事を!! 天変地異です、ノアくん今すぐ緊急避難の準備を」
「落ち着いてくださいケイトさん。まずは深呼吸、次にその場で一番権限のある方に指示を仰ぐんですよ」
「お前のそれは慌ててんのか素なのか分からねぇな」
呆れたように笑うセオ。
「出かけるぞノア、お前さんの日用品屋買いに行くんだ」
「それなら私の方から贈っておきますが」
「適当な理由つけてこいつと出掛けたいだけなんだから察しろよ!! 俺頑張って仕事しただろ~」
子供のように駄々をこねる彼の姿からは皆から恐れられていた狂犬の面影はない。こいつのこの態度こそ素なのか計算なのか分かり兼ねる。
「.......はぁノアくんがいいなら行ってきてもいいですよ」
「俺は」
俺に決定権あるのかこれ?
「ノア行こうぜ!! お菓子買ってやるから、な? いいだろ?」
「誘拐犯みたいな台詞やめてください。俺としてはセオ様のお手をわずらわせるのは少し気が引けて」
「いいってさ!! 行ってくるなケイト」
「言ってませんけど!?」
体良く断ろうとした隙も与えられず手を引かれる。ケイトさんに目で助けを求めたが、深々とお辞儀して見送られてしまった。
「行ってらっしゃいませ」
先程のレオとボンズさんのことを言っているんだろう。確かに多少(?)騒々しい人達だったけれど初対面の俺のことを疑いもなく受け入れてくれたのは純粋に嬉しかった。
「俺はああいう風に誰かと交流してこなかったので見ているだけで楽しい気分になれました」
こんな温もりを感じたのはいつ以来だろう。戦場にいた時、ほんの一時期だけ俺にも友達と呼べる間柄の人がいた。今はもう何処にいるのか生きているのかすら分からないけれど、それでも。
「なんだか懐かしくなってしまいました」
鼻の奥がツンと、痛むのは気のせいに違いない。ケイトさんに心配をかけないよう次の案内を催促した。
「屋敷の中は大体こんな感じですね。私たちが使うのは主に建物の左ですので、仕事と言っても最初は清掃などからになるので難しいことはありませんよ」
ケイトさんの言葉に胸を撫で下ろした。正直不安で仕方ないのだ、今まで刀を握ったことはあっても料理用ナイフすら手に取ったことは無い。俺には荷が重いかもとか悩んでいた。
「とりあえず今日は旦那様の所に戻りましょうか。仕事が慣れてきたら恐らく旦那様の世話係を命じられると思いますのでそのつもりで」
.......え?
「世話係って俺がですか!? 何で俺が」
「セクハラされたばかりだし嫌だとは思うけど堪え、いや本当に嫌なら遠慮なく言ってください。私が何とかするので」
「そうじゃなくて俺ですよ? 隙をついて、とか考えてないんですか?」
ほんの少し前まで敵だったんだぞ。
「多分旦那様はもうノアくんのこと敵だなんて思ってないでしょうね。ノアくんも色々あったとは思うけど気にしなくていいですよ、戦場のことは私には分かりかねますが少なくともノアくんに殺されるなら本望だと思いますし」
それはそれで嫌だな。
「俺に人の世話とか出来るとは思えませんが」
「大丈夫です、適度に構い時々餌をやってあげれば大人しくなりますので」
ここの旦那様猛獣扱いしてないか?
セオの書斎に戻ると、彼はそわそわ窓辺に寄り添うよう立っていた。
「何してるんですか旦那様」
「うおっ!? そっちにいたのかよ.......探してたのになぁ」
「ノアくんのこと気になるのは分かりますが最低限仕事してくださいよ」
「あ? そんなの終わらせてるに決まってるだろ?」
場の空気が凍りついた。
「う、嘘ですよね!? あの旦那様が真面目に仕事を!! 天変地異です、ノアくん今すぐ緊急避難の準備を」
「落ち着いてくださいケイトさん。まずは深呼吸、次にその場で一番権限のある方に指示を仰ぐんですよ」
「お前のそれは慌ててんのか素なのか分からねぇな」
呆れたように笑うセオ。
「出かけるぞノア、お前さんの日用品屋買いに行くんだ」
「それなら私の方から贈っておきますが」
「適当な理由つけてこいつと出掛けたいだけなんだから察しろよ!! 俺頑張って仕事しただろ~」
子供のように駄々をこねる彼の姿からは皆から恐れられていた狂犬の面影はない。こいつのこの態度こそ素なのか計算なのか分かり兼ねる。
「.......はぁノアくんがいいなら行ってきてもいいですよ」
「俺は」
俺に決定権あるのかこれ?
「ノア行こうぜ!! お菓子買ってやるから、な? いいだろ?」
「誘拐犯みたいな台詞やめてください。俺としてはセオ様のお手をわずらわせるのは少し気が引けて」
「いいってさ!! 行ってくるなケイト」
「言ってませんけど!?」
体良く断ろうとした隙も与えられず手を引かれる。ケイトさんに目で助けを求めたが、深々とお辞儀して見送られてしまった。
「行ってらっしゃいませ」
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