暁の彼方

Mono

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#11 風呂会話の軌跡

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 さすが、帝国最大規模の魔術学園。その施設も、尋常ではなかった。

 どこのスーパー銭湯だよ、そうツッコミたくなるくらいのバカでかい風呂。一部の貴族生徒が文句を言っているが、俺としてはこれでも満足だ。

 何せ我が家の風呂は、元はそれなりに大きかった筈なのにアインが改修して小さくしたのだ。そのお陰で家の湯船は人が二人入れる程度しかない。そのくせして風呂に乱入してくるため、湯船でかなり密着する事になるのだ。

 だからこそ、こんな広々とした風呂に入れるなんて夢のようだ。

「はは、そんなに驚く事か? お前の家なら、このくらいの風呂はあるんじゃないか?」

 夕食を食べ終えた俺はセドリックと共に風呂に入る事になったのだが、目を丸くして驚愕する俺にセドリックは疑問を呈ししていた。ちなみに、セドリックは俺の事情を知ってくれているので俺としても気が楽になる。

「……家の風呂はあいつが小さくして、一般家庭くらいしかないんだよ。まあ、それでも十分と言えば十分なんだけどな」

「ふーん、どうしてわざわざ小さくなんてしたんだ? あの人なら土地をケチったわけじゃないんだろうけど……」

「それが分かれば苦労しない。おまけに、小さくしてからというもの何度も風呂に乱入してくるんだ。湯船に一緒に入ったりするんだけど、狭いんだよな」

「それって、まさか……」

「なんだ、理由が分かったのか?」

「……多分、風呂でレンと密着したかったんじゃないか?」

 なるほど。確かに、あの親バカアインならやりかねないか。それにしても、まさかそんな事に金を使っていたとは……次にあった時には、キツいお灸を据えておこう。

「そういえばレン」

「どうしたんだ、セドリック?」

 体を洗って湯船に浸かった俺達だったが、唐突にセドリックが口を開いた。

「レンは《灰》の使い手だけど……魔術の実践授業はどうするんだ? 君、《黒》と《白》は殆ど使えなかっただろ?」

 あー……そういえば、全然考えてなかったな。

 俺の得意な魔術はかなり特殊なのだが、その反動で普通に使われている魔術を殆ど扱えないのだ。だが授業では、その普通使われる魔術を扱えるかが重要になるだろう。そうなると、俺としてはかなり困った事になる。

「俺が使えるのといえば、初級の魔術ばかりだしな……。まあ、こうなったら正直にやるしかないだろう」

「はは、レンのそういうところは尊敬できるんだけどな」

「なんだよ、その含みのある言い方は」

「いや、もう少し、女心を察せられるようになればと思って……エリーゼもそれで苦労してるからなぁ……」

「──? どうしてここでエリーゼの名前が出てくるんだ?」

「はぁ……そういうところだよ」

「⁇」

 結局、理解できなかった俺は諦めて風呂を堪能する事にした。久方振りの大きな湯船だし、今のうちに味わっておこうと思う。
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