暁の彼方

Mono

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#13 教室変貌の軌跡

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 次の日から、俺に対する生徒達の態度は豹変した。

 完全に自分より下の者を見る、軽蔑の眼差しだった。

 ──昨日まであれだけ仲よかったのに……なんて事は思わない。昨日までのは、編入生への期待や好奇心ゆえの態度だった。しかし今は、単なる無能でしかない。そんな奴とわざわざ仲良くなる物好きなどいない。

 所詮、ここは魔術学園なのだ。どれだけ綺麗事をほざいても、最終的には実力がものを言う世界だ。そんな狭い世界に於いて、俺は初級魔術すらも満足に扱えないゴミのような存在なのだ。ならば、落差が激しい気もするがこの扱いも致し方ないだろう。

 朝になって俺が席に着くと、早速クラスメイト達からの冷ややかな視線が向けられる。誰も俺に近付こうとせずに、あくまで距離を取ってヒソヒソと俺を見ながら話す。あまり気分は良くないが、いちいち構っていてもキリがないので無視する。

「……おはようございます」

 教室の扉が開いたかと思うと、入ってきたのはアルティナだった。彼女にもあれだけ良くしてもらったのに……ちょっと悪いことをしたかもな。

 とはいえ、どうせ彼女も適当にカバンだけ机に置いたら、あとは向こうにいる生徒達と一緒になって俺を見下すんだろうな──────そう、思っていた。

「…………いいのか? あっちに加わらなくても」

 しかしアルティナは丁寧にカバンを掛けると、そのまま席に座った。俺の隣の席にだ。

 それを不審に思った俺は、皮肉交じりのそう言った。

「私は、昨日のあれがレンの実力の全てだと思っていない。だから、いいの」

 しまったな。そういえば、初めてアルティナと会った時には制限なんて無かったから遠慮なく《灰》を使っていたんだった……それを踏まえれば、アルティナが俺の実力を別の意味で疑うのも仕方ないかもしれない。

 チラリと彼女の顔を一瞥すると、そこには確固たる意志の宿った瞳があった。こういう手合いは、何を言おうとも絶対に引かない。例えがおかしいが、暴走アインと似たようなものだ。

「──ありがとう」

「……私に礼を言われる筋合いはないけど」

「なんとなく、俺が言いたかっただけだよ」

「……勝手にすれば」

 俺達は目も合わせずに、小さくそんな会話をした。

 相変わらず、周囲からの視線はキツい。だが、ここまでが出来すぎていただけだ。むしろこれが正常な反応とすら言える。だから俺はそれらを気にする事もなく、ただボンヤリと黒板を見つめている。

 それからアイリス先生がやってきてホームルームが始まっても、クラスメイトからの突き刺すような視線が収まる事は、無かった。
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