クラスのボッチが恋愛をする話。

Mono

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Ⅱ.不穏な作戦

クラスのボッチが恋愛する話。6

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「本当に、いいのかしら……。あんな作戦、今までの真美だったら……」

 それから数時間後。

 門限が迫っているという真美を送った凛子は、夕食を食べ終え、風呂に入っていた。

 それこそ町の銭湯に勝るとも劣らないほどの大浴場に一人で入るのは、どこか物悲しさを覚える。だからといって、使用人達と入るというわけにもいかない。だって彼女達は、凛子の事をただの仕える人としか見ていないから。それ以上の何かがあるわけじゃない。

 そしてそれは、学校でも同じだった。自分にペコペコするだけの女子、自分に反抗するだけの男子。どちらも、どこかで見たような者ばかりだ。教師ですら前者しかいないのだから、つまらない事この上ない。

 現状、凛子と近しい者の中にそういった有象無象のような行動をしない者は、たったの二人しかいない。

 一人は真美だ。幼稚園からの友人である真美は、既に親友と言っても過言ではない間柄だ。何よりも、こちらに対して媚び諂うような態度を取らない。唯一、普通の友人として接してくれるのだ。だからこそ凛子は、彼女の事を全面的に信頼している。

 だが、今日の真美はどこかおかしかった。普段の彼女は、事を荒立てず、それでいて望む結果を得られる──要するに、賢い勝ち方の出来る女だ。もっとも、それを知っている者は少ない。殆どのクラスメイトや教師は、真美の事をマイペースでふわふわした少女だと思っているのだろう。勿論、それも間違ってはいないが、それ以上に彼女はどこかでスマートなのだ。

 だというのに、今日の真美の立案はおかしかった。凄く強引で、まるで結果の為ならば手段を選ばない暴君のようで──。だが、凛子はそれに反論できなかった。それほどまでに彼女の作った作戦は完璧だったのだ。

 醜く、汚い。それでいて、考えうる限り最上の結果を得られる。まさに、手本のような作戦だ。でも、違うのだ。彼女は、そうじゃない。真美という人間は、そんな者じゃなかった筈なのだ。

「いったい、何が真美をあそこまで変えてしまったの? …………いえ、それも栓なき事ね。まずは作戦の実行──彼女の事については、それからね」

 そこまで言うと、水飛沫の音が浴場に響いた。凛子が湯船から立ち上がった音だ。それによって、彼女の生まれたままの姿が露わになる。

 普段は適当に伸ばしているだけの金色の髪を、今はタオルを使って纏めている。クラスの他の女子達より幾分か成長の早い身体は、平均的な身長よりも少し高いし、何よりも下手をすれば男性を悩殺しかねないプロモーションをしている。

 それでいて、あどけなさを残した碧眼と、僅かながら丸みを帯びた輪郭。そしてピョコっと一本だけ立っているアホ毛が、彼女の幼さを醸し出している。

「ふぅ…………とにかく、例の作戦。手筈通りなら明日には決行されるのよね…………。彼の妹さんには申し訳ないし、ただ巻き込まれただけだけど……まあ、彼女だって許してくれるわよね。いえ、むしろ私達女子連盟の役に立てた事を誇りに思うはずだわ」

 その言葉は、単に自分に言い聞かせているだけ。そんな事実に、幼い彼女は気づく事は無かった。
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