11 / 19
Ⅱ.不穏な作戦
クラスのボッチが恋愛する話。11
しおりを挟む
「はぁー……疲れた……」
あれから、意識を失った美咲をおんぶしながら帰路に着いた志貴は、彼女をベッドに寝かしつけると、リビングのソファにボフッと倒れ込んでしまった。
「今日は色々ありすぎたな……」
彼としては、真美の作戦の波状攻撃が辛すぎた。三回も攻撃されると、正直キツい。というか、一番酷かったのが真美の誤解を解く事だった。
どんなに志貴が「いや、脈なんて無いから」と言っても、真美は聞く耳を持たなかったのだ。あれを引き剥がすのが、一番めんどくさかった気がする。
なんとか離してもらってこうして家へと帰ってきたわけだが、明日からが憂鬱になる。それに何より、
「俺が女子連盟のスパイ、か──」
結局、真美の作戦にまんまと引っかかって承諾してしまったのだが、いったい何をされるのか分かったものではない。やはり、警戒するに越した事はないだろう。──と、志貴はそこまで思考すると
「──まあ、その前に美咲の様子を見にいくか。起きてたら、一応話も聞いておかくちゃしけないしな」
ソファから立ち上がった志貴は、そのまま二階にある自分の部屋──の正面にある美咲の部屋の前へと辿り着く。ガチャリと音を立てて彼が部屋に入ると
「……ぁ……お兄ちゃん……」
明らかに憔悴した様子の美咲がいた。
そんな美咲を心配した志貴は、彼女の寝ているベッドまで近づいて座った。
「……ここって、私の部屋、だよね……?」
上半身だけ起こした美咲は、掠れるような声で訊いてきた。
かつてここまで弱りきった美咲を見たのは、二年前に彼女の両親が死去した時以来だ。
「ああ。……美咲、あの時何があったか、覚えてるか?」
そう、志貴が問い掛けると美咲は弱々しく喋り始めた。
「……あの時、私校舎裏にまで行って……でも誰もいなくて、どうしたんだろう? って思ってたら、急に大きな男の人が現れて、それで……」
──大きな男の人、というのは例の男子高校生の事を言っているのだろう。確かに、小学四年生の女子からしてみれば大きな人でも間違いはないかもしれない。
「…………それで、いきなり、私の服を引っ張って……抵抗したけど、そうしたら殴られて、私、私……っ!」
「──もういい! もういいよ。ごめんな、無理に聞こうとしちゃって。大丈夫、大丈夫だ。美咲には、俺が付いているから」
全身をガクガクと震わせる美咲を見た志貴は、心底で後悔する。何故、わざわざ彼女のトラウマを抉りにいくような事をしてしまったのか、と。
そして、どこか焦点の合っていない目を伴って、蒼白になった彼女の顔面を見た志貴は、それ以上聞きたくないと言わんばかりの怒声を発し、謝罪と共に妹を全力で抱きしめた。
「…………うん。大丈夫だよ、私にはお兄ちゃんがいるから。男の人は怖いけど、お兄ちゃんの事は大好きだもん。だから、私にはお兄ちゃんだけがいればそれでいいの」
狂気的にすら思えてくるその言葉を受けて、なおも志貴は彼女の後頭部に手を回してゆっくりと動かしながら喉を震わせる。
「ああ。俺も、美咲の事が大好きだ。これから暫く忙しくなるかもしれないけど、それでも絶対に美咲の事を見放したりしないから。俺は、例え何があろうとも美咲を守ってみせる」
「うん……ありがとう、お兄ちゃん……っ」
彼の胸の中で泣きじゃくる美咲を、志貴はただひたすらに撫で続ける。右手で背中を、左手で頭を。この先、一生の誓いを込めて──。
あれから、意識を失った美咲をおんぶしながら帰路に着いた志貴は、彼女をベッドに寝かしつけると、リビングのソファにボフッと倒れ込んでしまった。
「今日は色々ありすぎたな……」
彼としては、真美の作戦の波状攻撃が辛すぎた。三回も攻撃されると、正直キツい。というか、一番酷かったのが真美の誤解を解く事だった。
どんなに志貴が「いや、脈なんて無いから」と言っても、真美は聞く耳を持たなかったのだ。あれを引き剥がすのが、一番めんどくさかった気がする。
なんとか離してもらってこうして家へと帰ってきたわけだが、明日からが憂鬱になる。それに何より、
「俺が女子連盟のスパイ、か──」
結局、真美の作戦にまんまと引っかかって承諾してしまったのだが、いったい何をされるのか分かったものではない。やはり、警戒するに越した事はないだろう。──と、志貴はそこまで思考すると
「──まあ、その前に美咲の様子を見にいくか。起きてたら、一応話も聞いておかくちゃしけないしな」
ソファから立ち上がった志貴は、そのまま二階にある自分の部屋──の正面にある美咲の部屋の前へと辿り着く。ガチャリと音を立てて彼が部屋に入ると
「……ぁ……お兄ちゃん……」
明らかに憔悴した様子の美咲がいた。
そんな美咲を心配した志貴は、彼女の寝ているベッドまで近づいて座った。
「……ここって、私の部屋、だよね……?」
上半身だけ起こした美咲は、掠れるような声で訊いてきた。
かつてここまで弱りきった美咲を見たのは、二年前に彼女の両親が死去した時以来だ。
「ああ。……美咲、あの時何があったか、覚えてるか?」
そう、志貴が問い掛けると美咲は弱々しく喋り始めた。
「……あの時、私校舎裏にまで行って……でも誰もいなくて、どうしたんだろう? って思ってたら、急に大きな男の人が現れて、それで……」
──大きな男の人、というのは例の男子高校生の事を言っているのだろう。確かに、小学四年生の女子からしてみれば大きな人でも間違いはないかもしれない。
「…………それで、いきなり、私の服を引っ張って……抵抗したけど、そうしたら殴られて、私、私……っ!」
「──もういい! もういいよ。ごめんな、無理に聞こうとしちゃって。大丈夫、大丈夫だ。美咲には、俺が付いているから」
全身をガクガクと震わせる美咲を見た志貴は、心底で後悔する。何故、わざわざ彼女のトラウマを抉りにいくような事をしてしまったのか、と。
そして、どこか焦点の合っていない目を伴って、蒼白になった彼女の顔面を見た志貴は、それ以上聞きたくないと言わんばかりの怒声を発し、謝罪と共に妹を全力で抱きしめた。
「…………うん。大丈夫だよ、私にはお兄ちゃんがいるから。男の人は怖いけど、お兄ちゃんの事は大好きだもん。だから、私にはお兄ちゃんだけがいればそれでいいの」
狂気的にすら思えてくるその言葉を受けて、なおも志貴は彼女の後頭部に手を回してゆっくりと動かしながら喉を震わせる。
「ああ。俺も、美咲の事が大好きだ。これから暫く忙しくなるかもしれないけど、それでも絶対に美咲の事を見放したりしないから。俺は、例え何があろうとも美咲を守ってみせる」
「うん……ありがとう、お兄ちゃん……っ」
彼の胸の中で泣きじゃくる美咲を、志貴はただひたすらに撫で続ける。右手で背中を、左手で頭を。この先、一生の誓いを込めて──。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
結婚したくない腐女子が結婚しました
折原さゆみ
恋愛
倉敷紗々(30歳)、独身。両親に結婚をせがまれて、嫌気がさしていた。
仕方なく、結婚相談所で登録を行うことにした。
本当は、結婚なんてしたくない、子供なんてもってのほか、どうしたものかと考えた彼女が出した結論とは?
※BL(ボーイズラブ)という表現が出てきますが、BL好きには物足りないかもしれません。
主人公の独断と偏見がかなり多いです。そこのところを考慮に入れてお読みください。
※番外編に入り、百合についても語り始めました。
こちらも独断と偏見が多々あるかもしれないのでご注意ください。
※この作品はフィクションです。実際の人物、団体などとは関係ありません。
※番外編を随時更新中。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる