婚約者の本性を知るのは私だけ。みんな騙されないで〜!

リオール

文字の大きさ
7 / 17

7、

しおりを挟む
 
 
「ね、ね、ディーちゃん、ねえ知ってる?カルシスって実は猫舌なのよ!熱いの駄目だからフ~フ~してあげなきゃいけないの!ね、知ってた!?」

 この言葉。ただこの言葉を言われただけなんだけど、それだけで『あ、こいつ嫌いだわ~』とか思った私は心が狭いんでしょうかね!?

 ちなみに発言者はミルザ王女です。一緒にご飯してる最中に、カルシス様が呼び出されて席を離れた途端これ。何なのこれ。

「知らなかったでしょ?ね、ね、知らなかったんでしょ?だと思った~、カルシスの事はミルが一番知ってるからぁ~。ディーちゃん、カルシスの事で知りたい事あったら何でも聞いてね☆」

 最後にオマケの星をつけて、ウィンクまでされました。ウィンクと同時に☆が飛んできた気がするので打ち返してもいいですかね。打ち返してその頭に星をブッ刺したいです。嘘です、冗談。いや99%本気だけどね。

 これは所謂マウントというやつだろうか?
 カルシス様の婚約者である私に対する牽制?カルシス様の事は自分の方が良く知ってる?いやいや、そんなの子供の頃の話でしょうが。私だって幼馴染その1・2の二人の事なら色々あれこれ知ってるけど、それもやっぱり幼い頃の話だ。今現在の彼らのアレコレにそんな詳しくはない。

 それはミルザ様にとってのカルシス様も同じこと。
 彼女が知ってるのはあくまで幼い頃の話だ。今の彼のこと、大して知るはずもないというのに……。

「カルシス様は、かつて熱いのが苦手だったそうですが、別に猫舌ではありません。その証拠に、今では熱い方がお好きですよ。真夏だろうと汗ひとつかかずにお茶飲んでるのとか、むしろ感心しますから」

 本気で感心するからね。
 真夏だろうと熱いスープに熱いお茶が大好き。なんならお風呂も熱々が良いとかで、ちょっと私には理解できない。なんて言おうものならホッペを引っ張られる刑が待ってるので、私も汗ダラダラになりながらお茶付き合ってるけど。

 そんなわけで、今のカルシス様の事は私の方が良く知ってますよ。
 と、これまた牽制してみるのだが。

「やっだーディーちゃんったら!そんなマウントとろうとして楽しいの~?器ちっさ!ちっさすぎるとカルシスに嫌われちゃうよ~?☆」

 牽制にもならずに、肩バシバシ叩いてまた星を飛ばされてしまった。痛いんですけど。その華奢な体のどこにそんな力が?と聞きたくなるくらいの力で叩かれる。いやマウント取りに来たの、そっちが先なんですけど。

 というか、その『ディーちゃん』ってのやめてもらえませんかね。非常にイラッときます。

「ミルザ様、その呼び方はちょっと……」
「そんなことより~聞いてよ~!」

 お前が私の話聞け。そんな私の心の声は届くことなく、ミルザ王女は話し続ける。

「カルシスったらミルに甘いんだよ~。昨夜もね、眠れないからカルシスの部屋に行ったの」

 お前一緒の城住んでるからって調子乗んなよ?年頃の女性が夜中に男性の部屋に侵入って、マジで何やってんの?
 私の目が白目になってるのとか剣呑な光を宿してるとか、ちゃんと見ろ。

「子供の頃みたく一緒に寝よ~って言ったらあ、メイドに温かいミルクを用意させたの!これ飲んだらグッスリ眠れるよって部屋まで送ってくれたんだ~。ね、ね、優しいでしょ~?」

 夜這いをそんな堂々と言われると、何も言えなくなりますね、はい。

 そしてそれはだね。
『ホットミルク飲んで部屋戻ってとっとと寝ろ!ガキが俺の自由時間を邪魔するんじゃねえ、殺すぞ!』
 という意味が込められてるんだと思います。

 そんな黒カルシス様を知らない、能天気な姫様は。

 延々とカルシスはぁ~とか言い続けてるのだった。

 早く帰って来てカルシス様。私、右の拳がムズムズするの抑えられそうにないです、はい。




しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

氷の公爵の婚姻試験

潮海璃月
恋愛
ある日、若き氷の公爵レオンハルトからある宣言がなされた――「私のことを最もよく知る女性を、妻となるべき者として迎える。その出自、身分その他一切を問わない。」。公爵家の一員となる一世一代のチャンスに王国中が沸き、そして「公爵レオンハルトを最もよく知る女性」の選抜試験が行われた。

私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた

まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。

醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい

サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。 ──無駄な努力だ。 こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。

不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない

翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。 始めは夜会での振る舞いからだった。 それがさらに明らかになっていく。 機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。 おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。 そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?

ストーカーはもうしません!

エヌ
恋愛
ス、トー...カー? 自分の行為がストーカーかもしれないと気づき自重する令嬢と無表情無反応されるがままとみせかけたヤンデレ令息のお話。

【完結】お嬢様だけがそれを知らない

春風由実
恋愛
公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者でもあるお嬢様には秘密があった。 しかしそれはあっという間に公然の秘密となっていて? それを知らないお嬢様は、日々あれこれと悩んでいる模様。 「この子たちと離れるくらいなら。いっそこの子たちを連れて国外に逃げ──」 王太子殿下、サプライズとか言っている場合ではなくなりました! 今すぐ、対応してください!今すぐです! ※ゆるゆると不定期更新予定です。 ※2022.2.22のスペシャルな猫の日にどうしても投稿したかっただけ。 ※カクヨムにも投稿しています。 世界中の猫が幸せでありますように。 にゃん。にゃんにゃん。にゃん。にゃんにゃん。にゃ~。

頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして

犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。 王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。 失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり… この薔薇を育てた人は!?

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

処理中です...