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しおりを挟む「リンカ!お前は自分を聖女だと偽って国全体を騙していたな!詐欺は大罪だ、よってお前を国外追放する!!」
「そんな……!アーサー様、私はこれまで頑張って来ました!なのに国外追放なんて……」
「うるさい黙れ!本物の聖女はここにいるアシェリーだ!聖女としての証、聖印が確かに彼女の背中にはある、私は見た!だがリンカ、お前は?お前に聖印はあるのか!?」
「そ、それはありませんが……ですがこれまで私は国の為に……!」
「国の為になんだ、聖女ではないということは、お前の力は偽物だということだ!これまでの功績も全て偶然による偽物なのではないか!?」
「そんな……」
「皆の者、今の私の話を聞いたな!?リンカは何一つ自身が聖女であることを証明できない!だがここにいる公爵令嬢アシェリーには聖印という、明らかに証明できるものがあるのだ!リンカは偽物、本物の聖女はアシェリーだ!よって私の婚約者はアシェリーとなる。文句はないな!?」
王太子の発言に否やがあろうか。王太子と公爵令嬢という文句なしの関係に、夜会に集まった貴族たちはワッと歓声を上げる。
対して平民出身の、今や偽聖女というレッテルが貼られた私に向けられる視線は……非常に冷たい。そこに置かれた飲み物用の氷より冷たいんじゃなかろうか。
「この偽者が!よくも騙したな!」
「私の娘の病気が治ったのも偶然だったのね!寄付金を返して!」
「枯れた大地が復活したのも偶然だったんだな!この詐欺師め!」
「聖女を語り国を騙すなど、なんと恐ろしい女か!追放など生温い、処刑しろ!」
好き放題言ってくれる。元が平民の私の味方になる者などいるはずもなく、罵倒され続けていたら不意に腕を掴まれた。王城の衛兵だ。
「連れて行け」
王太子であるアーサー様は冷たく命令を下し、衛兵はそれに黙って従う。弁明する機会すらもなく……私は地下牢へと連れられたのだった。
ピチョン
「ひあおえあうっ!?」
連れられた地下牢はジメジメとして汚く、空気も悪い。天井から落ちてきた水滴が首に落ちてきて、変な悲鳴が出たわ。
「うるさいぞ、黙れ!」
牢番がガンッと強く牢の扉を叩く。そのまま立ち去る足音が聞こえた。それが聞こえなくなったところで、私は深く溜め息をつき、据え置かれたカビ臭い寝台に座り込むのだった。
聖女として国の為に働いて五年。12歳の時に神託があったとのことで教会が私を迎えにきてから、だ。その間に私は聖女として国の為、人々の為にあくせく働いた。
癒しを求めて来る人達を治療し、飢饉に苦しむ土地へ向かっては土地を潤した。
それら全ては聖女の力……ではないんだけどね!
そうだよ、私本当に聖女じゃないんですよ!
神託が下ったってのは、まああれだ、教会の勘違いだ。『なんか目覚めちゃったかも!』と言って癒しの力とか村で行使してたら、噂が広がって……背びれに尾ひれ手びれも付いて……結果、神託が下ったとまで話が膨らんじゃったわけだね。
言ってないよ私、神託が下りましたなんて。
言ってないよ私、聖女でーすなんて。一度も。なんか聖女と言われてまーす、とは言ったことあるけどさ。
でもなんで癒しの力に目覚めたんだろうと不思議に思った事もある。だがまあ人生なんてそんなものだ。あれだよあれ、死にそうになるととんでもない力に目覚めるってやつ。火事場の馬鹿力?
当時村は雨が降らなくて作物が取れず飢えに苦しんでいた。そこへもって病が流行しちゃってさ。私の親も瀕死。私も飢えで瀕死。あ、これ死ぬやつ、とか思ってた。
そしたら目覚めたんだ。
軽いとか思わないでよ。能力が目覚める時なんてこんなもんだよ。そんなもんなんだよ!
たまたまこの国では珍しい癒しの力に目覚めただけなんだよ!
ちょっと肥沃の力に目覚めただけなんだよ!
だからもう一度言おう、私は自分を聖女だなんて言ってない。一度も言ってない。
なのに教会も王家も貴族も、みんなして私を聖女だと決めつけて。
でもって聖女ならばと王太子と婚約させて。
私の人生好き勝手決めてくれたところで……この仕打ちですよ!
ふざけんな!と怒ってもいい案件だと思います。
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