ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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41、悪役令嬢はヒロインを考察する

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 思うにぶりっ子はトラブルメーカーなんだと思う。

 魔王に魔族襲来に魅了魔法による混乱。そして──

「う~ん、なんでこうなるんだろう」

 首を傾げるぶりっ子の頭を軽くポカリとやる。

「なんでもくそもあるか!どう考えてもお前の魅了魔法のせいだろうが!」
「モテるって大変……」

 わざとらしく溜め息をつくぶりっ子にイラっとくるのは当然だと思います。

 私はそばで警戒を強めるゾルゼンスとベルシュ様を見やり。
 横で「う~ん、連れて帰りたいなあ」とか言ってるケアミスを見やって。

 そして空を見上げた。

 黒いなあ~。
 赤いなあ~。

 赤と黒って不思議と合う色合いだよねえ。

 ただいま現実逃避の真っ最中です、すみません。

 って、何の事か分からないよねえ。

 説明しよう!
 先ほどぶりっ子が放った魅了魔法だが、強引に止めたけれど既に時遅く!

 予想以上に遠方まで届いちゃってたその魔法で引き寄せちゃいました!

 何をって?

 それは今、頭上に居る者だ!

 真っ黒な鱗に覆われた爬虫類がごとき皮膚に、鋭い爪、血のように赤い瞳の上には短いけれど尖った角。眉間には赤いルビーのような宝石が埋まっていた。

 ニヤリと笑ってるかのように見える口元から覗く舌は長く、岩をも噛み砕きそうな大きくて鋭利な牙が見え隠れしている。

 そう。

 ──ブラックドラゴンだ!!!!

 飛び蹴りくらわして強引に魔法を止めたし、私達以外人影もなかったから大丈夫だと思ってたんだけどなあ。

 まさか人外にまで影響するとは!

「まあ魔王にも効果があったわけなんだし……全生物に効くのかもね。これは今後が益々楽しみだわあ♪ちょっとそこの悪役令嬢、謝るなら今のうちよ!」
「待て、お前何する気だ」
「ドラゴン率いるあたしに勝てると思ってんの?」

 それお前が魔王になるフラグな台詞だけど分かってんのかな。
 もうヒロインじゃなくなりそうなんですけど。なりふり構ってられないってか。

「恐怖で男をはべらすとかどこの魔女だ」
「何言ってんのよ、あたしは誰からも好かれる愛されキャラでしょ!ドラゴン使役してあんたを退治してやるわ!」

 魅了魔法使ってるやつが何言ってるんだ。

「全生物か……てことはひょっとして虫にも効くんじゃない?」
「え」

 そこでハタとその恐ろしい現実に気が付いたのか、ぶりっ子が青ざめた。うん、虫に好かれて嬉しい女性はあんまり居ないよね。

 まあ言ってはみたけど、本当に全生物に効果のある魔法ならとっくに色々な生物が集って終末世界のようになってると思うから。つまり全生物には効かないって事だ、安心しろ。言わないけど。

「え、え~……虫?虫ぃ?あ、でも蚊は全てアンナのとこに行けと命じるのとかアリかしら蟻かしら」

 おいそこの聖女、地味に嫌なこと考えんじゃねーよ。そして寒いこと言ってんな。

 でもそうだな、どの生物に魅了魔法の効果があるのか検証する必要が──

 などと考えていた時だった。

 

グオオオオ!



 思わず耳を塞ぐような大きな声で、ドラゴンが咆哮を上げたのだった!

「きゃああああ!」

 って、魅了魔法かけてる本人が叫んでんじゃないわ!

 どうやらゾルゼンスとベルシュ様が邪魔で、ぶりっ子に近付けない事に不満のようだ。

 いやね、別にぶりっ子を差し出しても構わないんだけどね。本人が嫌がってるんだもん。ドラゴン使役して私を倒すとか言ってる割には、それを実行しようとしないんだもん。

 よく考えたら魔王だって、使役して私を排除できるはずなのにね。

「ぶりミサキって、実はいいやつなのね」
「はあ!?」

 私の思考を読めるはずもないぶりっ子は、突然の私の言葉にギョッとして叫び声をあげた。

「いやさあ……馬鹿だけど悪になりきれないよね」
「なななな、何言って、何言って、んの!?」

 そんな事を言われ慣れてないんだろう。赤くなったり青くなったりしてる。

「いやまあ、ふと思っただけなんだけどね」
「そ、そう?馬鹿は余計だけど、今頃気付いたの?あたしは見てのとおり、この大きな胸の内に広い心をもった女神なのよ!」
「うんやっぱドラゴンのとこ行け?」

 ドヤ顔されてイラッ。
 胸を強調されてイライラッ。

 まあなんだ。
 結局私らは相性悪いってことね。ヒロインと悪役令嬢から始まったもんな。

 でもそれも終わりが近いのを感じた。

 ベルシュ様が王となったのなら、私は追放とか処刑はないだろう。
 ぶりっ子は聖女としてそれなりに安定しつつ、ゾルゼンスとベルシュ様に睨まれて大人しくするだろう。

 大団円は近い!近いよ!

 だからここで死ぬわけにはいかない!

 原作がどうあっても私を殺したいと動くのか。

 それとも、ゲームの世界とはいえ、ここは確かに意思をもった者が住まう現実世界──住人の意思が勝るのか!

「来るぞ!」

 ベルシュ様の声に空を見上げて。

 強引に近づいて来ようとするドラゴンを目の当たりにして。

 私は手を強く握りしめるのだった。











=====作者の独り言=====

別連載のファンタジー小説の影響じゃないですよ。筆者はドラゴン出すのが好きなんです(苦笑
そういえば先日、何十年ぶりかに映画ネ〇ーエン〇ィングス〇ーリー1見ました。なぜか涙が出た。

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