ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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42、悪役令嬢は懐柔する

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「──って押すなあぁ!!」

 なんで後ろから押すんだぶりっ子!

「ドラゴンの狙いはお前だろうがあ!ドラゴンとイチャラブなんて日本ではありえない話なんだぞ!?」
「い~や~よ!あたしはあくまで現実派!人間派なんだから!」

 だからってなぜ私を前に押し出す!?やっぱり私をヤル気だな、貴様!

「当たり前でしょ、悪役令嬢なんてヒロインの踏み台よ!」
「ふざけんな!ていうか飛行能力に目覚めたんでしょ!?だったら飛んで逃げろ!」

 そしたらきっとドラゴンも付いて行く!

「そしたらドラゴンも付いてくるじゃない!」

 くそう!ぶりっ子のくせにこんな時だけ頭の回る!

「じゃあ魅了の力で大人しくさせろよ!」
「それが出来るならとっくにやってるわよ!」

 それもそうか。

 魅了魔法でメロメロになり大人しくなった魔王とは違って。
 なぜかドラゴンは興奮してるんだよなあ。ハアハアと息遣いも荒くてなんかキモイ。ぶりっ子でなくても嫌だなあれは。

「でも押す」
「ちょおっ!いつの間にあたしの背後に!」
「悪役令嬢舐めんな!嫌がらせなら私の専売特許だ!さあ行けドンと行け、ドラゴンの胸に飛び込め!」
「ぬおおお!負けないんだから!」

 あ、こんにゃろ、私の押しに踏ん張って対抗してやがる!くそう、結構力がついてきてるな、こいつ!

 見るとゾルゼンスとベルシュ様がそれぞれ魔法と剣で攻撃してるんだけど、ドラゴンは怯む気配はない。じゃあケアミスはと見れば、なんか魔力で作り出した真っ黒な紐でドラゴン捕まえようとしてる。

 グアアアア!

「「うっきゃああ!?」」

 ドラゴンの叫びで突風が!
 私とぶりっ子はあやうく飛ばされそうになった。

「ちょっと、ハモるんじゃないわよ!」

 どうでもいいだろそんなこたぁ!今はとにかくドラゴンなんとかしろ!

 見上げてみれば、ドラゴンはベルシュ様たちを警戒しつつも、ぶりっ子の方をチラチラ見てる。うん、目がハート、まだ魅了魔法の効果継続中だね。

 よし。
 こうなったら打つ手は一つだ!

 ドラゴンとて所詮は獣!「え、そうなの?」というぶりっ子の声は聞こえない!

 動物を手懐ける方法なんて一つしかないのじゃあ!

「アンナ!?」
「何を──!?」

 ベルシュ様とゾルゼンスが驚愕で目を見開く中。

 私は前に歩み出たのだ。
 あ、勿論ぶりっ子を引っ張ってね。

「ちょおおおお!なっにすんのよう!」
「こうすんだよう!」

 有無を言わせず私達は更にドラゴンの前へと躍り出た!

 うおおおおお!でか!迫力!

 間近に迫ったドラゴンは、でかかった。
 地上に降り立ってるとはいえ、十分すぎるくらいに見上げる高さ!首痛い!

 ゾルゼンスが防御結界張ってくれてるとはいえ、完璧ではないだろう。緊張と恐怖で汗が伝う。

 けれど国を襲いにきたわけでもない、偶然通りかかってぶりっ子の魔法の餌食になってしまったドラゴンは何も悪くないんだ!二人が攻撃して怪我をさせるなんて以ての外。ケアミスに掴まってしまうなんてもっと酷い!

 そんなことさせない!

 私は恐怖で震えながらもドラゴンから目を離さないまま、ぶりっ子に話しかけた。

「ドラゴンを懐柔しなさい」
「は?」
「魅了魔法であんたに妄信してるんだから!うまくやれば大人しく懐柔できるでしょ!?」
「えええええええ!!!!」

 そんなに驚くことか?
 どうみてもぶりっ子に心酔したハートの目で見てるじゃないか!今ならきっと出来る!お前なら出来る!駄目で元々だ!

「だ、駄目だった場合は?」
「その時は一緒に死んであげるわよ!」
「やだ男前!って違うわ!あたしは死にたくなーい!」

 ええい、うだうだと!いつも無駄に自信だけあるぶりっ子はどこへ行った!?

「少なくとも魅了されてるんだからあんたは死なないわよ。殺されるとしたらあたしよ」
「それもそうか」

 おい切り替わり早いな。なんか腹立つんですけど。

「じゃ、じゃあ……いくわよ?」

 ゴクリと誰かが喉を鳴らす。私かぶりっ子か両方かはたまた……。

 恐る恐るぶりっ子はドラゴンに手を伸ばした。

「ちょっ、ちょっとあんた……おとなしくしなさい。ね?」

 ガクぅっ!
 んなんじゃそりゃあ!そんなんで手懐けられるか!見ろ、ドラゴンがキョトンとしてんじゃないか!

 グオオオオ!

 でもってまた叫んでんじゃないか!そのまま攫われてもいいのか!?

「だから大人しく──ちょっと!駄目じゃないの!」

 ぶりっ子が焦った目で私を見てきた。

 ちっがーう!そうじゃない!日本人なら分かるでしょ!?

「日本人とか言うな!どうすんのよ!」
「こうだこう!そっと手を伸ばして──よ~しよしよし、よ~しよしよし」

 私はバッとドラゴンに手を伸ばしてナデナデし始めた!

 すると気持ち良いのかこそばゆいのか、ドラゴンが頭を下げてきた!
 一瞬焦ったけど、角の辺りを私に差し出してきたってことは──撫でろってことか?

「よ~しよしよし、いい子だいい子だ!よ~しよしよし、よ~しよしよし」

 なでなでなでなで。

「そ、その方法は!」
「どやあ!白髪眼鏡のおじいちゃんが伝えしこの技、このあやし方!これでドラゴンもイチコロよお!」
「な、なんか気持ち良さそうね」
「なんだやって欲しいのか、よしこい、ほれ。よ~しよしよし、よ~しよしよし」
「わふんわふ~ん」
「気持ちわりいな」
「……てふざけんじゃないわよ、こんなんで懐柔できると思ったら大間違い……!」
「ほれよ~しよしよし、よ~しよしよし」
「あはん、気持ちいひん、ふひ、ふひひひ……」
「気持ちわりいなあ!!」

 なぜかぶりっ子の頭や喉の辺りもなでなで。

 ちょっと待てやおい。

 なんであたしがドラゴンとぶりっ子の両方を同時なでなでしてるわけ!?!?!?










 そうしてなでなですること数十分。

 いい加減私の両腕が死にかけたところで、ドラゴンは私に腹を見せて完全に懐柔されていた!

 ついでにぶりっ子もなんでか懐いててキモイ!

「はあん、気持ちいい~。もっとぉ~」
「ええいキモイわ!離れんかーい!」

 誤解されそうな声出すなああ!!!!




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