行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)

リオール

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28、

 
 
 一般的に寝る時間。そんな時間帯に、女性の部屋にノックも無しに入ってくる存在。
 そんな存在に心当たりがあるのは一人しか居ない!

 そして。

「おね~さま♪」

 案の定、それは姿を現した。ヒョコッと扉から顔を覗かせた存在。

 私は……
 バッと立ち上がる→ツカツカと早足で扉に向かう→バンッ!と扉を閉める。
 をコンボするのだった!その間わずか3秒!

「ふう、扉が勝手に開くとは、なんて恐ろしい。心霊現象かしら?」
「悪霊じゃないですかねえ」
「そうかもね。マイヤ、塩の用意を……」
「悪霊じゃないですぅ!!」

 塩を持ってきて貰おうと背後のマイヤを振り返った瞬間。
 バンッとこれまた勢いよく扉が開いたのであった!

ゴーンッ……!

 教会の鐘より鈍い音を立てて。
 扉は私の後頭部を直撃するのだった。痛い。

「おね~さま♪」

 めげない奴がもう一度顔を出してきたよ。
 私はスックと立ち上がりツカツカと机に向かって、それをおもむろに手に取った。
 そして!

「おね~さ……」
「おーっと手が滑ったあぁ!!」

 狙い通りに手を滑らしたよ!

「ふごっ!?」

 ゴンッと実にいい音が響き、耳触りの良い悲鳴が上がった。
 ペン立てが頭に当たったのだ。スザンナという娘の頭に。

「あらやだ、我ながらナイスコントロールだわ」
「お嬢様、手が滑ったのですからコントロール云々は言いっこなしですよ」

 自分に感心したらマイヤが首を横に振りながら駄目出ししてきた。おっとそうだね。手が滑ったんだった。

「ごめんねスザンナ。忙しくて手が言うこと聞いてくれないのよ」
「い、今ナイスコントロールって言いませんでし、た……?」

 頭を抱えて蹲りながらも耳ざとく聞いたのか、スザンナからの指摘が入った。ち、頭にぶつけたのだから記憶喪失にでも成ればよいものを!

「聞き間違いでしょ?姉が妹に向かってペン立てを投げるなんてことするわけないじゃない」
「手が滑ったと?」

 どうにか立ち上がったスザンナは涙目でこちらを見ている。それに対して大きく頷き返してあげた。

「そうよ。いやあね年のせいか手が滑りやすいのよ」
「そうですね」

 そのそうですね、はどの部分への同意かな?お姉ちゃん、ジックリ聞きたいよ。

 だがこれ以上の戯れはよろしくない。本当に時間が無いのだ。だからスザンナに問うた。

「こんな夜分に何の用?仕事で何か分からない事でもあったの?」

 これは半分嫌味である。
 公爵家屋敷を留守にしている私は、このベントル村で出来うる限りの作業をしている。だが、当然それで全てが回るわけない。しつこく言うが私は有能では無いのだ。

 そして何度も言うが父はやらない。
 スザンナがやるわけもない。

 そうなればだ。

「仕事!そうですよお姉様、仕事ちゃんとしてます!?凄い苦情が来てるんですけど!?」

 まあ当然そうなるよね~。

「ごめんね、お姉ちゃんは物凄くいっぱいいっぱいなのよ」

 だからお前がやれ。嫌なら父に仕事させなさい。
 そう目で訴えてから、私は机に向かうのだった。

「そうですか。お姉様がその気なら私にも考えがあります」

 だがおかしなことをスザンナは言う。なぜに強気なのか。考えとはなんなのか。

 訝し気な目で見やると、スッと何かを彼女は取り出した。

「なに?」

 問えばニヤリと音のしそうな笑みを返された。

「これが何か分かりますか?」
「紙でしょ」
「手紙です」

 手紙?首を傾げてると、フフッと笑われてしまった。

 まさか仕事が滞ってるがために、公爵家への責任を問う内容とかではないでしょうね。

 嫌な予感は、斜め上に当たることとなる。

「これはですね~」

 ンフフ~と声に出す笑いが、また私の神経を逆なでさせた。

 だがそれも直後の

「ヘンリー様からのお手紙でっす☆」

 語尾に星が付いたセリフで、一気に怒りは飛んで行くのだった。

 なぜスザンナがヘンリー様からの手紙を持ってるのか分からない。
 だが嫌な予感しかしない私は、机に戻ろうとしていた足を、再び戻すこととなる。

「ヘンリー様からの?」
「はい」
「手紙?」
「は~い」
「私へ?」
「そうでっひゅふふふふ!!??」

 けしてバグが発生したわけではない。いや、スザンナは常にバグなのかもしれないけど。

 そうでっす、と言い終わらぬうちにスザンナの頬を思い切りつねった結果こうなったと。

「な・ん・で!スザンナがそんな物を持ってるわけ!?」
「い゛、い゛だい゛……」

 いだいも痛いもない!早くその手紙を寄越しなさい!

 私は涙目になってるスザンナから奪うようにしてその手紙を受け取るのだった。
 そしてはやる気持ちを抑えながら、丁寧に手紙を開く。

 手紙に目を通して。

 そして。

「お嬢様?」

 マイヤが訝し気に問うのに返事する事も忘れ。
 私は書かれてる無いように目を見開いて、ハラハラと手紙を落としてしまうのだった。

 手紙には一言。

『ごめんね』

 そう書かれていたのだった。



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