行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)

リオール

文字の大きさ
36 / 37

36、

 
 
「で?」

 私を抱きしめながら、ヘンリー様は父を見やった。その声は既に冷たく冷え切っている。

「この手紙。誤解を生むような書き方をした、この嫌な手紙。誰が用意した?」
「そ、れは……」
「トラドスです!」

 言いよどむ父。たまらず叫んだのはスザンナだった。

「す、スザンナ?」

 泣きそうなトラドスを無視して、スザンナは言葉を続けた。

「先ほども言いましたが、計画したのはトラドスです。全て自分の欲望の為に、私達家族を唆して……!」
「あんまりだスザンナ!君が王子と結婚したいと言うから!俺は俺でアデラと一緒になれば楽できるだろうって言ったのは君じゃないか!直接的な手紙はまずいから、匂わすような端的なあの言葉を書けば、きっとアデラは迷うと、苦しむと君が言ったんだ!王子からの手紙も全て破棄するよう手を回して……。全部君の計画──」
「黙れ馬鹿!!」

 もう醜いとしか言いようがなかった。
 トラドスのせいだと言い張るスザンナに、全てを暴露するトラドス。そんなトラドスに本を投げつけるスザンナ。

「なんと醜い──」

 私と同じ事を思ったヘンリー様は、顔をしかめて二人を見るのだった。

 そしてこれ以上見ていたくない、というように父に目を向けて言う。

「公爵、もはや貴方たちの罪は言い逃れ出来ないレベルだ。公爵家は取り潰しだ」
「な──!!」
「トラドス、君もだ。君の家、侯爵家も同様となる」
「そ、そんな……」

 スザンナと取っ組み合いの喧嘩になりかけてたトラドスは、その言葉を聞いてその場に泣き崩れるのだった。同情の余地はない。

「スザンナ、君の醜さはあの夜会の日から何ら変わってない。俺が君と結婚など万に一つもない事を覚えておくんだな。平民となる君とはもう二度と会うこともないだろう」
「そんな──!……じゃあお姉様はどうなるのよ!公爵家が潰れるなら、お姉様もまた平民よ!」

 確かに。理屈ではそうなる。
 そもそも私は被害者だが、王印を盗んで王子の手紙を偽造、などという大罪を犯した者達の親族だ。私にもお咎めがあって当然なのであるが……。

「アデラはこれまでの功績が認められた。彼女には新たに爵位が与えられる事になっている」
「え?」

 驚いてヘンリー様を見れば、優しく微笑まれた。

「また改めて話すけど。そう決まったから」
「では──」
「公爵領は、そのまま君のものとなる」

 私の領地。
 その言葉が意味する事を考えて胸がつまる。

 やる事はこれまでと変わらない。けれど、それでも。
 嬉しさがこみあげて仕方ないのだ。

「俺も勿論一緒に統治していくから。君だけにやらせることはない。共に頑張ろう」

 そう言って、また抱きしめてくれる。もう、私の胸はいっぱいだ──

 だが、それを良しとしない存在が、この場には居たのだ。

「そんなの嘘よ!!」

 スザンナだ。
 常に私を小馬鹿にし、見下していたスザンナ。
 自分の方が愛され、大切にされるのが当然と思っていたスザンナ。

 その愛らしい容姿は、今や醜悪なものへと変貌していた。怒り狂った顔でこちらを見ていたのだ。

「スザンナ、もう──」
「黙れ!!」

 もうやめて。
 そんな言葉は届かない。
 怒りに顔を真っ赤にした彼女には、もう何も届かないのだ。

「愛されるのは私よ!全ての望みが叶い、全てが私にひれ伏す!私こそが幸せになるべき存在、美しく光り輝くべき存在なのよ!あんたなんか、あんたなんか……!!」

 叫ぶや否や、どこに隠し持っていたのか。
 スザンナの手に光るは短刀。

「スザンナ!?」
「あんたなんか、死ねばいいのよ!!」

 そう叫んで、スザンナはその短刀を私に繰り出すのだった。


感想 153

あなたにおすすめの小説

知らない男に婚約破棄を言い渡された私~マジで誰だよ!?~

京月
恋愛
 それは突然だった。ルーゼス学園の卒業式でいきなり目の前に現れた一人の学生。隣には派手な格好をした女性を侍らしている。「マリー・アーカルテ、君とは婚約破棄だ」→「マジで誰!?」

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて

nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…

醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました

つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。 けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。 会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……

妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓
恋愛
 魔力が優れていた公爵令嬢の姉妹は、どちらかが次の聖女になることが決まっていた。  新たな聖女に妹のセローナが選ばれ、私シャロンは無能な姉だと貴族や王子達に蔑まれている。  傍に私が居たからこそセローナは活躍できているも、セローナは全て自分の手柄にしていた。  私の力によるものだとバレないよう、セローナは婚約者となった王子を利用して私を貶めてくる。  その結果――私は幽閉されることとなっていた。  幽閉されて数日後、ある魔道具が完成して、それによって真実が発覚する。  セローナが聖女に相応しくないと発覚するも、聖女の力を継承したから手遅れらしい。  幽閉しておいてセローナに協力して欲しいと私に貴族達が頼み始めるけど、協力する気は一切なかった。

公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に

ゆっこ
恋愛
 王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。  私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。 「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」  唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。  婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。 「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」  ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。

婚約破棄されたら兄のように慕っていた家庭教師に本気で口説かれはじめました

鳥花風星
恋愛
「他に一生涯かけて幸せにしたい人ができた。申し訳ないがローズ、君との婚約を取りやめさせてほしい」 十歳の頃に君のことが気に入ったからと一方的に婚約をせがまれたローズは、学園生活を送っていたとある日その婚約者であるケイロンに突然婚約解消を言い渡される。 悲しみに暮れるローズだったが、幼い頃から魔法の家庭教師をしてくれている兄のような存在のベルギアから猛烈アプローチが始まった!? 「ずっと諦めていたけれど、婚約解消になったならもう遠慮はしないよ。今は俺のことを兄のように思っているかもしれないしケイロンのことで頭がいっぱいかもしれないけれど、そんなこと忘れてしまうくらい君を大切にするし幸せにする」 ローズを一途に思い続けるベルギアの熱い思いが溢れたハッピーエンドな物語。

せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから

甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。 であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。 だが、 「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」  婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。  そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。    気がつけば、セリアは全てを失っていた。  今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。  さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。  失意のどん底に陥ることになる。  ただ、そんな時だった。  セリアの目の前に、かつての親友が現れた。    大国シュリナの雄。  ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。  彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。