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「リメリア、悪いけど今日は帰ってくれないか?」
「え。どうしてよ!」

 しっかりその胸の谷間に視線をやりつつ、カルシスはリメリアに言った。その視線を感じながらも帰れと言われた事にリメリアは怒りを顕にした。

「ちょっとミーシャと話があるんだ」
「──じゃあ、その後に抱いてよ。待ってるから」
「……はあ……仕方ないな、分かったよ」

 分かったの!?何この人、気持ち悪い!

 下がる一方の私の中のカルシス評価。それが今、一気にマイナスへと突き破ったのだった。

「それじゃあミーシャ、行こうか」

 行こうかじゃないです。私は行きたくありません。
 そう思うも、未だ男に掴まれた腕。男はいかつい顔に似合わず主人の命令に従順なのか、私の腕を引っ張って屋敷の中へと導くのだった。それに抵抗する術を私は持たない。

 玄関をくぐり、中へ。大した家具が置かれて無いのは、あくまで別荘だからか。
 察するに、主にここでリメリアと乳繰り合ってたと思われます。

 ──という事は。

「それでは失礼します」
「ああ。呼ぶまで誰も入れるなよ」

 とある部屋に入ると男がようやく腕を放してくれた。痛い。多分赤くなってる。

 そして男は頭を下げて部屋を出て行き、残されたのは私とカルシス二人きり。

 で、目の前には──

「余計な家具置いてないんだよね。ソファ無いからここ座って」

 先に座ったカルシスが、その横をポンポンと叩くのだけど。

 それ、ベッドですよね。どう見てもベッドですよね。

 ──絶対座りません!

「話なら立ったままでも出来るわ」
「それじゃ疲れるだろ?話しにくいから。ほら」

 ポンポンとベッドを叩かないでください。
 そこに座ったら何が起こるか。

 想像したくないです。

 チラリと窓を見れば、カーテン越しに陽の光を感じた。時刻は夕方、もうすぐ陽は沈む。ここは二階だ、明るいうちにあのカーテンを開けて外を見れば、少しは場所の把握が出来るかしら?

「空気が濁ってて気分が悪いの。窓を開けてもいいかしら?」

 そう言って、私は窓に向かった。
 いや、向かおうとした。

 だが、それは阻まれる。カルシスの手によって。

「空気を綺麗にする魔道具を作動させた。窓を開ける必要はないよ」

 そう言って、私の腕を掴むカルシス。そこ、見事に先ほどの男が掴んだ場所。痛いんだけど、狙ってるの?

 反論は受け入れない。そんな無言の圧を漂わせ、私の腕を引いて、カルシスは強引に私を座らせるのだった。ベッドに。

 勿論カルシスは私の横に座る。

 微妙に距離を取ろうとニジリ……と動けば、ニジリと近寄られる。

「近寄らないで」
「離れないで」

 何この押し問答。
 ニジリニジリと動き続けた結果。
 ついに体はベッドの端……ポールにぶつかってしまった。

 体の右にポール。左にカルシス。嬉しくない、美味しくないサンドイッチ。





===筆者一人言===
ダラダラしてて長くなってきたので、土日は更新3回でいきます<(_ _)>
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