婚約者が親友と浮気してました。婚約破棄だけで済むと思うなよ?

リオール

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「ふっざけんな!!」

 感動的(?)な場面に横やりが入れられた事に不満なのか。テルート様の口元から「チッ」と舌打ちが聞こえた気がした。気のせい……じゃないですね、物凄い剣呑な光を宿した目をしておられます。
 私も人のこと言えませんが。
 きっと今なら視線で人を殺せる……そんな目で見た。リメリアを。まだそこに居た、リメリアを。

 私とテルート様は同時に睨みつけたのだった。

 その視線に一瞬息を呑んだリメリアだったが。
 怯むことなく睨み返してきた。

「ふざけんなふざけんな、ざっけんな!!ミーシャ!この悪女!カルシスだけじゃなく王子様まで誑かすなんて……この淫乱!あばずれ!」

 いやどの口が言うのそれ。
 私は呆れて言葉を失ってしまった。それを何か都合よく勘違いしたのか、リメリアの口は勢いを増す。

「どうしてあんたばかりが美味しい思いすんのよ!?カルシスと婚約破棄したと思ったら、次は初恋の王子様だあ!?ふっざけんな!あんたなんかより私の方が何十倍、何百倍も魅力的なんだよ!お前のようなチンチクリンで寸胴でペタンコの女なんてお呼びじゃないんだよ!!」

 寸胴とペタンコとは、似て非なる物ですね。随分な事を言われてるのだが、豹変というか現れたリメリアの本性にポカンとなってしまって言葉が出ない。

「あんなたんか、たまたま公爵家に生まれて、たまたまカルシスと婚約しただけの魅力皆無のモブ女なんだから!美人でスタイル抜群、男を喜ばせる術を知ってるのは私よ!みんな私の虜になるんだから!だから……だから!黙ってヒロイン体質の私に王子様を寄越しなさいよ!!」
「えええええ……」

 なんともまあ。
 プッツンきてしまったリメリアはもう滅茶苦茶だ。鬼の形相で言うわ言うわ。

「リメリア、あのね……」
「あんたなんて!!」

 とにかくちょっと落ち着いて。なだめようとようやく口を開いたら、阻まれてしまった。
 恐ろしい顔のままスックと立ち上がったリメリアは。

「あんたなんて死んでしまえ!!」

 その瞬間。
 私はリメリアに少し足を踏み出していたせいで、テルート様との距離が出来てしまった。

 それをリメリアは見逃さない。

 どこから出したのか、短刀を片手に。
 私に斬りかかるのだった!

「死ねえ!!」
「ミーシャ!」

 正面から血眼で私に斬りかかるリメリア。
 背後からは焦った声のテルート様。

 この場で冷静なのは……きっと私だけ。

 私は先ほどのカルシスの行動を思い出していた。私に斬りかかったカルシスの事を。
 ──似たような行動をするのね、あなた達。お似合いよ!!




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