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しおりを挟む後に生まれるというのは何かと不利だ。
まず生まれた時から既に一番では無くなってる。
オモチャも服もお下がりが多い。……兄姉が同性ならそれは顕著だ。
親の愛情を独占する事も出来ず。
何かと上の兄姉と比較される。
弟妹が余程突出して優秀なら立場逆転も有り得るだろうが、そうで無ければ……。
そして私は妹の立場だ。上には姉が一人。
頭脳はそれほど差異はない。
だが──幸運なことに、容姿はかなり異なった。
姉は父譲りの地味な顔立ちだけれど、私は母譲りの美しさを持っていた。輝く金髪に妖艶さをも醸し出す紫の瞳。パッチリした目に通った鼻筋、形の良い唇はほんのり赤みが差している。誰が見ても美人な私は、茶髪茶眼の姉とは大違いだ。
だというのに。
これほどまでに美しい私を差し置いて、姉が──我が公爵家に置いて第一子でもある姉が。
王太子と婚約する事が決まったという。
これほど馬鹿な話は無いだろう。
理由なんて大したものは無い。
我が家が公爵家だから。
姉が長女で王太子と年が近かったから。
おかしいと思わない?
私だって公爵家の娘だ。
私だって王太子と年は近い。私より二つ上の姉、王太子は三つ上なだけ。
差があるとすれば、私が美しすぎる事だ。
けれどそれが問題。それこそが大問題。
金髪碧眼の美しき王太子の横に並ぶべきは金髪紫眼の美しい私。
私こそが相応しい。
だから、ね?
「ねえお姉様、王太子の婚約者の座、譲ってくださいな」
私は当然のようにその願いを口にしたのである。
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