吸血鬼公爵に嫁いだ私は血を吸われることもなく、もふもふ堪能しながら溺愛されまくってます

リオール

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第一部

23、吸血鬼と妹(4)

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 ん何やっとんじゃ、貴様ぁ!

 叫びそうになったのを必死に押しとどめたけど。

 ホント何やってんのこの子!

「宜しくしてくださいね、お兄様ぁ」

 とか。

 語尾を伸ばすな!
 鼻につく甘えた声だすな!
 抱きつくな、腕を公爵の首にまわすな!

 胸を押し付けるなあぁぁぁ!!!

 ウェンティは私とは異なる存在感半端ない胸を公爵に押し付けながら、公爵に密着し続けてるのである。
 殺意が抑えられない!

 慌てて引き離そうとしたのだけど。

「離れろ、暑苦しい」

 何の動揺もなく、べりッと公爵が引きはがしたのだった。

「あん」

 あんじゃねーわ!全然可愛くないわ!ざけんな!

「フィーリアラ様、心の声が漏れてます」

 あらやだ出てた?そりゃ失礼。
 ヨシュに言われて口を押えたけど、幸い公爵は聞いてなかったようだ。
 どうやらかなりイライラしてるみたい。

「何なのだお前は。私に気安く触るな」
「そんな冷たい事をおっしゃらないでくださいな。わたくし貴方の妹になるんですのよ?」
「義理でもお前のような妹はいらん」

 気持ちいいわ~!公爵気持ちいいですよ!
 気持ちいいくらいにバッサリ妹を切ってくれた!

「あ、フィーリアラ……すまない、キミの妹に」
「いえ、ありがとうございます!」

 思わずお礼言っちゃうわ!

「そもそも買い物しに町に行ったはずなのに、何も買ってないとはどうしたんだ?そしてなぜキミの妹がいるんだ?」

 いやホントにね。私も聞きたい。なんで妹が居るのか。

「何も買ってないってことはないですよー。見てください、この立派な肉を!」

 マイペースに肉を袋から出してかざすのは、ヨシュだ。
 肉を買えた事がよっぽど嬉しかったんだろうなあ。狼の耳と尻尾が出てますよ。パタパタ動いて気持ちよさそうですよ!

「そうかそうか、それは良かったな」

 良かったなとか言いながらヨシュの尻尾モフモフする公爵ってどうよ。
 可愛い絵図だなこれ。

 ああ、余裕が出来たら映像記録魔道具欲しいなあ。
 などと思わず考えていたら。

「もう!私のこと忘れないでください!」

 また邪魔が入った。
 本当に邪魔だ。邪魔でしかない。もう帰れお前。

「ウェンティ、公爵への挨拶も済んだ事ですし、今日のところは帰りなさい」
「え、どうやって?」
「え、歩く以外どうするの?」

 歩いて帰る以外の選択肢ないと思うんだけど?
 私最初にここ来るとき、森の中をエミリーと共に頑張って歩いたよ。お前も歩けよ。

「か弱いわたくしが歩いて帰れるとでも?」
「いや歩けよ」

 か弱いって誰のことやねん。
 お前いっつもツケで買い物しに出かけてたやないか。伯爵家御用達の馬車、なんていいもの無いから、自力で歩いて買いに行っとったやないか。歩きまくっとったやないかあ!!!

 思わずとある地域の言葉使いになってしまったよ。

 己の欲のためなら苦労もいとわぬくせに!
 何非力アピールしてんだ。

「ひどい!お姉さま酷いです!もう夜も更けてきましたのよ!?か弱い私を危険な森に放り出す気ですか!?」
「うん、放り出した……いげふんげふん」
「いげふんげふんて何ですの」

 ほんと何だろうね。本音がダダ洩れしすぎてるから、ちょっとセーブかけちゃったよ。

 でもまあ確かに夜の森は危険かな。
 町への往復で、時刻はすっかり夜になっていた。
 お腹空いた、夕飯のメニュー何かな。
 じゃないや、ウェンティどうすっかな。

 頑として私が受け入れようとしないからだろう。
 ウェンティはまたもターゲットを公爵へと絞る。

「お兄様、しばらく泊めていただけませんか?」

 いや「しばらく」て何なの。何泊する気なの。

「え、いやだ」
「え」
「え」

 安定のバッサリ拒絶!惚れちゃいますよ、公爵!





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