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裏4-4、国にざまぁ(4)
それからはあっという間の出来事だった。
揺れ続ける建物に皆が慌てふためいてる隙に、私の腕を引いてアーロン王子はこの場を立ち去るのだった。
「あ!待て!待ちなさいよお姉様!!」
いち早く気付いた妹のカンナが大声を出すも、揺れがどんどんひどくなって立ってられなくなり、それどころではなくなっている。
両親や姉妹、あと忘れそうになってたというか忘れてたベニートとその一家、そして王族。あとモブ。
全員の悲鳴や怒号が遠ざかるのを感じながら、私は引っ張られるまま走り続けるのだった。
不思議なことに。
本当に不思議なことなのだけど。
こんなにも揺れてるのに、私とアーロン王子は平気で走れるのだ。
揺れてるのは感じるのだけど、不思議と足元だけはシッカリしてて走れる。こんな不思議なことってある?
「闇の神の祝福のおかげだよ」
そんな私の疑問を感じ取ったのだろう。
前を見据えたまま、王子が教えてくれた。
「闇の神の──」
「やはりキミも祝福を受けてるのだな」
そう言って、一度立ち止まり、振り返って私を見る。ニコリと微笑まれると何だかくすぐったいのはどうしてだろう。
「どうしてでしょうか?」
照れ隠しに質問すれば、軽く肩を竦められた。
「キミは確かにシュタウトの王族の血を引いてるからね」
「でも父や姉妹もひいてますよ?」
「あれは違う。シュタウトの血はより外見に現れる。あれらの中に流れるシュタウトの血は微々たるものだ。どうしてかキミだけが多く受け継ぎ、祝福を受けている」
「どうして……」
「最後の希望だったのかもしれない」
言って、また前を向いて王子は足早に歩きだした。私の息が切れてるのを感じ取ったのだろう。走らないでいてくれるのはありがたい。
王城地下深くにあった処刑場。
長い階段はさすがにキツイ。
歩きでも息が上がる私に、王子はポツリと言った。
「王女の監禁で心を痛めた闇の神が、それでも最後の希望としてキミという存在を生み出したんじゃないかな」
「というと?」
「もし、その外見に関わらず、キミが確かに家族から愛情を受けていれば。国としてではなくとも、せめて……家族には大切にされたなら、きっと闇の神も希望を持ったはずなんだ」
だが私の家族はそうはしなかった。
全てのボランジュ国民同様、私の存在を疎ましく思った。虐げた。最後には──殺そうとした。
「これはきっと、キミの処刑への怒りの現れなんだろう」
そう王子が言った瞬間。
ようやく階段を登り切った私達は外へと出るのだった。
眩しさに目がくらむ──
一瞬目を閉じて。
そしてそっと目を慣らしながら開いた瞬間。
「これは──!!」
目の前の光景に絶句するのだった。
*****
「きゃあああああああ!お父様、お父様!何なのですかこれは!早く外へ──」
「うわわわ!た、立ってられん!なんだこれは地震か!?」
その頃。
ミレナが去った処刑場では慌てふためく大勢の人間が居た。それが誰かは……言わずもがなである。
立ってられないほどの揺れにモリアは叫んで王太子にしがみついた。
だがそれは直ぐに引きはがされることとなる。
「おい、私にしがみつくな!危ないだろうが!!」
冷たく突き飛ばされたモリアは、情けなく床に倒れ込む。
「きゃあ!酷いですわアルンド様!」
「うわあああ!!」
モリアが抗議の声を上げた瞬間。
彼女の体に覆いかぶさる存在が一人。
「ぎゃ!!ベニート、ちょっと!退きなさいよ!」
「ああああ、すまない、立ってられなくて……うわ、また揺れがひどく……!!」
「いやあ!ちょっとどこ触ってるのよ!」
「あ、すまない。小さすぎて胸だと分からなかった……」
「何ですってぇっ!?あんたね、いっつもいっつも小さいって失礼なのよ!!もっと揉んでくれたら大きくなるって言ったでしょう!?」
「だからいっぱい揉んだだろうが!それでも全然大きくならなくて……」
あまりの状況に、おそらく忘れてしまったのだろう。
馬鹿二人は完全に忘れていたのだ。
「おい……」
低い声を出す人物を。
「お前ら、何の話をしている?」
王太子の存在を。
「あ……あ!え、いや、違う、違うんですアルンド様!今のは違う!」
「何が違うのだモリア!お前やはり不貞を……!!」
「違う、違います!今のは私じゃなくミレナが……」
「ミレナなど何処にいる!もうあいつは居ない!!」
鬼の形相で近づく王太子に慌てふためくモリア。
慌てて立ち上がろうとするも、未だ上に乗ったままのベニートが邪魔で動けない。
「ベニート!退きなさいよ!」
「お、王太子、落ち着いてください!今はそれどころでは!!」
「黙れ!貴様ら許さんぞ、処刑だ!処刑だああぁぁ!!!!」
完全なる裏切りの発覚。
怒りに我を忘れた王子は、床に刺さったままの剣を引っ掴んだ。
剣を構え、揺れる足場をものともせず二人に駆ける!
そして──
「死ね!!」
「ぎゃ!!」
「うぎゃあああ!!!!」
モリアとベニート。
二人もろとも串刺しにするのだった。
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