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プロローグ
01 : 不運すぎる死亡
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人生は退屈だ。
それが、俺が17年間生きてきた中で悟ったことだった。
毎日学校へ行き、ご飯を食べて、寝る。
喜怒哀楽なんて、大きく見れば一時の感情の浮き沈みに過ぎない。
ましてや特別な行事や体験なんて、一体日常の何分の一なんだろうか。
「退屈だなぁ...」
俺はそう独り言を呟きながら靴を履き、玄関を出る。
俺の通っている高校は隣の県にあるので、電車で通学しなければならない。
いつも通りの道を自転車で走り、駅へ向かう。
体を撫でる朝の風が冷たくて気持ちがいい。
俺は歌を口ずさみながらペダルを漕ぐ。
ーーこの角を曲がれば女神様がいて、俺が伝説の勇者であることを告げてくれるーー
そう妄想しながら角を曲がるが、当然そこにはいつもの景色が広がるばかり。
俺はついため息をつく。
「そんなことある訳ねぇよなぁ...」
そんな妄想をしても現実には何も起こらない。それも、俺が悟ったことだった。
だがこんな俺も、子どもの頃は純粋な気持ちを持っていた。
子どもの頃は毎日が新しい発見にあふれていて、興味が尽きることはなかった。退屈なんて全くの無縁だったし、自分のまだ見ぬ世界があると本気で信じていた。
いつだったか、教師や社会に常識と現実を叩き込まれるまでは、だが。
自転車置場に自転車を止め、駅へ入る。改札の読み込み口に定期を当て、ホームへ向かう。
と、人がいつもに比べて少ないことに気づいた。いつもは人が4人ほど並んでいる定位置に誰もいない。
電車の遅延でもあったのか?
でもまあ、人が少ないのはありがたい。
俺はカバンからスマホを取り出して、日課である音ゲーを始めた。
ちょうど一曲終わったところで、電車が来ることを示す音が流れ始めた。電車のライトが、次第にこちらに近づいて来る。
結局、俺の後ろに誰も並ぶことはなかった。
俺は少し不思議に思いつつ、電車が来るのを待った。
こんなこともあるんだなぁ。
と不意に、どん、と俺の背中で音がした。
いや、音がしたのではない、後ろから当たられたのだ。
「ーちょ、」
後ろを向くと、缶ビールを持った、酔っ払っいのおっさんがそこにいた。本来赤いはずの顔が、引きつって異様に青ざめている。
横を向くと、電車のライトが眩いほどに近いことに気づいた。
ああそうか、俺はあのおっさんに当たられてホームから落ちているんだな、と今になって実感できた。
電車のライトが次第に近くなってくる。
死ぬ直前は感覚がスローになるというが、どうやら本当のようだ。
死を目の前に実感しながら、走馬灯のようなものが脳をよぎっていく。だがどれも退屈だったものばかりで、現実にあまり未練がないことに気づく。強いて言うなら、家族のことくらいだろうか。
目前に迫った電車を見て、俺はつい目を外して空を見る。
瞬間、俺の脳裏に1つの未練がよぎった。
ーー異世界にいきたかったなぁ
俺はつい失笑してしまう。
子どもの頃にそんな妄想は捨てた筈だろ、と心の中で嘲笑する。
直後、俺の視界が反転し、そして真っ暗になった。
それが、俺が17年間生きてきた中で悟ったことだった。
毎日学校へ行き、ご飯を食べて、寝る。
喜怒哀楽なんて、大きく見れば一時の感情の浮き沈みに過ぎない。
ましてや特別な行事や体験なんて、一体日常の何分の一なんだろうか。
「退屈だなぁ...」
俺はそう独り言を呟きながら靴を履き、玄関を出る。
俺の通っている高校は隣の県にあるので、電車で通学しなければならない。
いつも通りの道を自転車で走り、駅へ向かう。
体を撫でる朝の風が冷たくて気持ちがいい。
俺は歌を口ずさみながらペダルを漕ぐ。
ーーこの角を曲がれば女神様がいて、俺が伝説の勇者であることを告げてくれるーー
そう妄想しながら角を曲がるが、当然そこにはいつもの景色が広がるばかり。
俺はついため息をつく。
「そんなことある訳ねぇよなぁ...」
そんな妄想をしても現実には何も起こらない。それも、俺が悟ったことだった。
だがこんな俺も、子どもの頃は純粋な気持ちを持っていた。
子どもの頃は毎日が新しい発見にあふれていて、興味が尽きることはなかった。退屈なんて全くの無縁だったし、自分のまだ見ぬ世界があると本気で信じていた。
いつだったか、教師や社会に常識と現実を叩き込まれるまでは、だが。
自転車置場に自転車を止め、駅へ入る。改札の読み込み口に定期を当て、ホームへ向かう。
と、人がいつもに比べて少ないことに気づいた。いつもは人が4人ほど並んでいる定位置に誰もいない。
電車の遅延でもあったのか?
でもまあ、人が少ないのはありがたい。
俺はカバンからスマホを取り出して、日課である音ゲーを始めた。
ちょうど一曲終わったところで、電車が来ることを示す音が流れ始めた。電車のライトが、次第にこちらに近づいて来る。
結局、俺の後ろに誰も並ぶことはなかった。
俺は少し不思議に思いつつ、電車が来るのを待った。
こんなこともあるんだなぁ。
と不意に、どん、と俺の背中で音がした。
いや、音がしたのではない、後ろから当たられたのだ。
「ーちょ、」
後ろを向くと、缶ビールを持った、酔っ払っいのおっさんがそこにいた。本来赤いはずの顔が、引きつって異様に青ざめている。
横を向くと、電車のライトが眩いほどに近いことに気づいた。
ああそうか、俺はあのおっさんに当たられてホームから落ちているんだな、と今になって実感できた。
電車のライトが次第に近くなってくる。
死ぬ直前は感覚がスローになるというが、どうやら本当のようだ。
死を目の前に実感しながら、走馬灯のようなものが脳をよぎっていく。だがどれも退屈だったものばかりで、現実にあまり未練がないことに気づく。強いて言うなら、家族のことくらいだろうか。
目前に迫った電車を見て、俺はつい目を外して空を見る。
瞬間、俺の脳裏に1つの未練がよぎった。
ーー異世界にいきたかったなぁ
俺はつい失笑してしまう。
子どもの頃にそんな妄想は捨てた筈だろ、と心の中で嘲笑する。
直後、俺の視界が反転し、そして真っ暗になった。
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