たとえ運命の番じゃなくても

暁 紅蓮

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大学生活最後の年の出来事

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日がジリジリと人の肌を焼いている暑い夏。
キャンパス内で、それは起きた。

俺は見てしまったんだ。
…和哉が一人の男性の腕を掴んで、抱きしめた所を。

「…え?」

二人の声はギリギリ聞こえない位置にいて、周りの音も騒がしい。
なのに周りの音なんて聞こえないほど俺は魅入ってしまったんだ。
…嗚呼、和哉は運命の番に出会ってしまったんだって…。
なんで分かったかって?…番っているから嫌でもわかる。声は聞こえないのに、匂いは分かるから。
…喜んでいるような、とても熱い想いの匂い。

俺はすぐに二人から視線を逸らし、大学の窓口に向かった。
窓口で何するかって?決まってる。もう和哉とは居られないから、大学を辞めようと思う。
Ω枠をもらって入ったからとても心苦しい。奨学金も貰って4年生にもなっておいて、何様だって。
でももう、和哉の横に、傍には居られないから…。

俺は窓口で手続きを行なった。
でもしたのは退学ではなく、休学。
一応さちゅ…母に電話して(まだ和哉の話はできてないけど)辞めようと思うって伝えたら一度休学の形にしてまたやりたいって時に戻れば良いし、そのまま辞めたいのならその時に辞めたらいいって言われた。
理由も何も言えてなくて急に言ったのに理由も聞かずにそう言ってくれる親に感謝。
後は荷物。でも荷物は基本自分のはなるべく少なめにしてたから…和哉が買ってくれたものの方が多いけれど。

「…取り敢えず对のモノは要らないよね…元と言えど番だった俺のがあったって捨てられるだけだろうし。だったらこのくらい俺が持って行ったって、いいよね…」

頬に何かが伝っているような気がしたけどそんなこと気にしてられる状態では無い。
とにかく一刻も早く、この場所から消えなければ。
取り敢えず実家に帰ろう。実家に帰って、さちゅとしょーに頭下げて、向こうで就職して。

「…和哉に実家の話とかしなくて良かった」

胸がズキリと痛んだけれど、そんなのは気にしていられない。

「…俺が居なくならなきゃ。和哉は優しいから…救ってくれた和哉に、俺ができることはこれだけだから…」

最後に二人で使っていた机の上にメッセージを手書きで残す。



今までありがとう、番は解消してくれていい。
幸せになって。悠より。



そうして俺は、和哉の前から消えた。
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