=KBOC= 『セハザ《no1》-(1)- 』s

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第12記

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 -[滞在2日目]

 任務の途中、私たちはある村へやってきた。
そこでは緊急の任務に就くはずだった。
しかし、緊急要請には申請の有効性が認められなかった。
私は虚偽報告と判断した。
本部にはそれを正確に報告した。

私の判断は正しいと思っている。
本部がどう判断するかが重要だ。
でも、私と同じ判断になると思っている。

私は、気になっている。
私は村の要請を拒否した。
でも、村ではそれを気に留めていない。
なにかおかしい気がする。

村の人たちは親切だ。
夕飯も豪勢で、ドームで食べる食事よりも珍しくていろんな料理があって美味しかった。
特に牛肉を使った料理が初めて食べたけど美味しかった。
誰かの手作り料理を食べたのは久しぶりだ。

寮の食事は、たまに手作り料理っぽいのあるけど、どっちかわからないのでカウントしないでおく。

村の人たちが私たちをお客さんとして呼んだのはわかっている。
だから丁重に扱ってくれるし、よく扱ってくれる。
でも、何を求めているのか、何を狙っているのか。
それがわからない、それが奇妙なんだと思う。

私はそれが気のせいであれば良い、と思っている

彼らは、悪い人たちじゃない、と思う。
でも何かを望んでいる。
それは、はっきりさせたいけれど。
でも、向こうのその何かが自分から今も近づいてくる気がする。
村の人たちがそう言っている。
彼らは待っているのかもしれない、その何かを。

ならば、私たちは準備をしておく。
何が起きても動けるように。
常にどういう判断をするか、それが重要だ。

明日(というか今日)は、散歩でもしたい。
あと、ご飯も今日も美味しいのだといいな。
夕飯は期待している。

追記:本部の判断はやはり拒否処分だった。
待機は継続。
後で仔細しさい確認を取る。

―――――ファム-ミリア-ノァ,S.S.822.x.x


「ふむ。」
小さく鼻を鳴らすようにミリアが、書き上げた日記を軽く読み返して、携帯を閉じた。
いつもなら昨夜書く日記だけど、なんか疲れてたので寝起きの朝に書いた。
頭がすっきりして、まとまった考えを書けたと思う。
守秘義務があるから、詳しいことは書けないのは注意して。
・・ケイジのイビキが聞こえる静かな部屋の中では、リースは静かに寝ているようで、ガイも起きているような気配はあったけれど。
ミリアは私用の携帯を枕元に置いて、仕事用の携帯を操作し、村中に停めてある軽装甲車と通信を無線で繋ぐ。
警備部本部からの指令に関してはさっき確認したので、今日のニュースをチェックしていると、ガイがベッドから起き上がってた。
時間を見れば頃合いか、ミリアも起き上がって。
立ち上がったガイが、あくびをしていたので、声をかけようと・・・思ったら、ミリアもあくびが出てた。
「よ、おはよう」
ガイに先に言われたので、ミリアは自然と出た涙を目に溜めて。
「おはよ、」
小さく弱い吐息で応えた。


 『ブルーレイク』に来て翌日の朝、目が覚めたミリア達一行はのんびり朝の支度をしている間にも、今日の予定をミリアが口頭で伝えてから、朝ご飯までは自由時間にした。
ミリアとガイは軽装甲車まで行って本部と再度、連絡確認を取ったりして、リースはぶらつくと言って外へ散歩に出て、ケイジは朝ご飯に呼ばれるまで寝てた。
時間が来ると村のおばさんに案内されて村長宅で軽い朝食を頂いた。
朝はパンにバターやペーストを塗ったり、昨夜の料理の残りからスープなどを頂いて、それらも美味しかった。
それから、寝ぼけ眼のケイジが、食べる時には元気になっていた。
ガイは村長さんたちと笑顔を交えて話していて、リースは散歩してきたからかいつもよりはスープなどを食べていたように見えた。
それから朝食後は、許可をもらって改めて村の様子を見て回っていた。
昨日は夕焼けの景色と夜の景色しか見れなかったが、日が高い村は改めて見ても最初の印象どおり、日差しは強くてもどこか牧歌的で穏やかな雰囲気だ。
頭に被ったキャップのつばの影からも足りない、手で庇《ひさし》を作って見上げれば、自分たちが大きな断崖を背にした村の麓にいることがわかる。
今は強い日差しに晒されている村だが、太陽の角度を考えると午後を過ぎればその巨大な崖が影を作って、日陰は次第に村全体に広がっていきそうだ。
地図を見た時も思ったが、特殊な地形だ。
でも、この地形のお陰でここは拠点を作りやすかったんだろう。
その大きな影は身体を休められるオアシスみたいなものなんだろう。
更に歩いた村の境界近くでは、遠い歪なフェンスやバリケード越しに砂漠の景色が見えるというのに、村の敷地内には雑草なりの黄色や緑色の草が短くもまばらに生えているのが見える。
歩いている場所を靴で踏むと、乾いた砂ではなく土の様な硬さにぽろぽろとした砂利のようなものも見られる。
それに、村の中には牧場らしい施設に土地を囲む柵などがあり、その柵内の高いところで空を覆うプリズム色の大きな傘の下では、「めぇ~めぇ~」と鳴く家畜たちがのんびりしているようだ。
あれは『プリズム・ディバイダ』だ。
プリズム色の傘は、熱の多すぎる有害な日差しから地面を守る。
太陽光が傘を透過し適度に和らぐ日差しになり、有害な光線を除去して変化し、草木が育つのに適した環境へと調整してくれる。
それらは砂漠で生きるためには重要な設備と道具で、和らぐ日差しの下はとても気持ちいい。
ドーム、『リリー・スピアーズ』でも日常的に見かけるし、傘の下で見上げるプリズム色の空は、とても特別だ。
それからも村の中を歩いたが、他にも野菜を作る畑らしきものがあった。
知識として知っている、映像などで見る畑の光景では野菜は一面の黒い土で育つものらしいから、黄色い土で育つ野菜は少し奇妙というか、不思議な感覚の光景である。
でも、そういうもんなのかもしれない。
そんな牧場の傍の様子を眺めながら歩くミリア達4人は、しばらく歩けばまた家屋が集まる一角を通りがかっていた。


 乾いた土地、家の乾いた木の色、強烈な日差しが、ここが砂漠だという事を思い出させてくれるのに、村の中は麗らかで、穏やかな雰囲気が満ちている。
日差しを避けるように日陰から日陰へ走り回る子供たちが元気に笑い合って。
日陰の中には、お年寄りのおばあさんがいて、手仕事をしながら椅子に座って子供たちを見守っている。
村を眺めていると過ごす人たちは男性や女性が程ほどにいて、こちらを珍しげに見てくる視線もある。
彼らは頭からスカーフを目深に巻いた、煩わしい砂風や日光を防ぐ衣装で、こういう環境、他の場所やリリーの外でよく見かけるスタイルだ。
4人で歩いてるミリアは、日除けのキャップのつばを深く被り直した。
それから、汗も乾く熱さの息を、ほぅっと吐いて水筒に口を付けて水を飲む。
「こりゃあ、のんびりしたところだな。」
ガイが日差しの下で、遠くに目を細めながら言ってたけど。
「なんていうか、のどかさを絵に描いたら、素敵だねぇ」
「なんだよいきなり」
ミリアが暑さに目を細めて言ったのを、向こうの柵を覗き込んでたケイジが振り返ってた。
「言いたい事はわかる、隊長」
ガイはミリアの気持ちがわかるらしい。
「そういや、この村にいろって話になってるって事は、次の命令が来るまで動くなってことだろ?」
と、ケイジがミリアへ聞いていた。
「そうだね。逗留《とうりゅう》命令に切り替わったんだけど、いつになるかまでは。ま、警備部の仕事だから適当なとこも多いよね」
「それな。すぐに帰還命令が来ると思ってたんだが、」
ガイもそう思っていたようだ。
それはミリアも気になった所だが。
「リプクマの調整はどうなるんだよ」
ケイジは柵に寄り掛かりながら、欠伸しながらだ。
「ん-、それね。一応、そっちとも連絡とったから、向こうで何とかしてくれるでしょう。」
「取れるのか?」
「うん?」
「・・ゲームの予約をしたい」
「帰ってからにしなよ」
「・・あつい」
って、急に、リースが耐えられなくなったようで、喉の奥から絞り出したような声がした。
「あ、おい!?大丈夫かリース?」
ふらふらしているリースに気が付いたケイジが、リースの腕をつかんで立たせようとしてた。
「・・大丈夫」
「ふらついてんぞ!?おまえ!」
「もしかして貧血・・?」
さすがにミリアも心配になって。
「・・そんな事無い、真っ直ぐ歩いてるじゃないか・・・」
「おまえ、頭もぐらついねぇか?意識ちゃんとしてんのかよ」
「・・大丈夫じゃない?」
「なんで疑問系なんだよ」
「日陰で水飲むか。」
ガイがそう言ってくれる。
「そもそも、意識がおかしくなっている人に向かって、意識大丈夫かという質問をしたってまともな返事は返ってこないでしょう」
リースが急に長い言葉をすらすら話す。
「そ、その通りだけど、なんで薀蓄うんちくを語る、いや、やっぱやばいんじゃないかお前」
「リース、朝の散歩してきたばかりだもんねぇ」
「リースはそんなに散歩好きなんだな?」
「俺が知るかよ、ほれ、飲めよ」
日陰にリースを座らせたケイジが、リースの携帯している水筒を指さす。
リースは黙って、こくこくと喉を動かして飲み込んで、一息つけたようだった。
現在の装備は日中の標準軽装で、各自の小さめの携帯バッグには水筒、携帯食、救急セットなど、他にも拳銃などの小型武器も携行している。
村の中に危険はないだろうが、強い太陽光が出ている間は歩いているだけでも危険だし、これらの軽装も日陰のない直射日光の当たる場所を歩くための最低限の装備だ。
リースの様子を見届けてから適当な日陰でミリアたち一行は、適当にその辺のボロい椅子やコンテナに腰掛けて休み始める。
ボロボロだけど金属製の小さいテーブルもあったりと、普段から誰かが過ごしている憩いの場のようだ。
「やっぱり日中はあっついわー」
ぱたぱたと、着ている砂漠迷彩ジャケットの中に風を送るケイジだ。
ミリアも、少し歩いただけなのに、熱さで汗が全身から吹き出ている。
そんな彼らが屯うそこへ、近づく人影があって、いち早く目に留めたのは、リースだった。
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