3 / 75
序章 ある研究員の記録『ZERO』IS SLEEPING
第1話 目覚め
しおりを挟む
情報局資料ナンバ―XA2648320
特殊機密指定資料レベル5
O‐10以下の者の閲覧を硬く禁ず。
資料名『朽木光男戦技研魔力研究開発部門主任の日記(?)』
(何故、俺は生きている?)
目が覚めて、自分の今置かれている状況を認識して最初にそう思った。
(俺は死んだ。間違いなくあの時殺された)
しかし今、現に俺は病院にいる。正確には病院らしきところなのだが。ベットに横になっている。生きている。
(何故・・・)
思考がまとまらない、どうも俺は自分が生きていることについて自分の認識以上に混乱しているようだ。
「ん・・・」
自分のベットの前に誰かが立っている。メガネが無いせいでよく見えない。だがその人は僕が目を覚ましたのを確認したようで、病室から去っていった。その後の約数分、俺はずっと天井を見ていた。混乱している時には動かないほうがいい。そのおかげか、だいぶ思考がまとまるようになった。意識もはっきりとしてくる。
(右手の魔力回路はどうだろうか)
右手の甲にある痣には大きな傷あとがあった。
(魔力回路が暴走した?)
それを確認したと同時に、あることを確認する。
(右目が無い)
右目のあったところには何の感触もなかった、それだけでなく、左腕と両足の感触もなかった。
(まさか・・・義体?)
そのとき誰かが病室に入ってきた。その人は俺に近づき、顔をのぞき込んだ。黒髪の男性、顔はよく見えない、白衣を着ている、医者だろうか。
「君、私の声が聞こえるか?私の言葉が理解できるか?」
「はい、聞こえます、理解できます」
自分でも驚くほどか細い声で俺は質問に答えた。
「君に質問がしたい、いいか」
「はい」
特に断る必要もないし、偽ることはないと判断する。それより他人と会話するほうが落ち着く。
「名前は?」
「朽木光男です」
「漢字ではどう書く?」
「朽ちた木に光る男と書いて朽木光男です」
「住んでいる国は?」
「日本」
「日本のどこだ?」
「京都と言うところです」
「今何歳?」
「15歳です」
「なるほど、つまり外の世界から来たのか、どうりで・・・質問は以上だ、ありがとう。気分はどうだ」
「はい大丈夫です。頭が混乱していますが・・・それより僕のメガネを知りませんか?」
「ああ、これかのことか」
メガネを掛けられようやく男性の顔をみることができた。黒髪の男性だった。
「しかし、あの大爆発に巻き込まれてよく生きていたな」
「爆発・・・」
おかしい、俺は殺された、爆発になんかに巻き込まれた憶えは無い。
「あの・・・僕は何かに巻き込まれたのですか?」
何がなんだか分からず、僕は黒髪の男性に尋ねる。
「まあ、そうだろうな実際何が起こったのか分からなかっただろう・・・すまないが落ち着いて話を聞いてくれないか?」
「・・・はい」
僕の身何があったというのだろうか。
「君は20年前、大きな爆発に巻き込まれたんだ。そしてその時からずっと君は昏睡状態にあった。20年間ずっと」
・・・寝すぎた
殺される直前に俺は左腕と両足を切断され、右目を撃たれた。その事実だけは間違いないようだ。左腕は義手になっているし、両足も同様に義足だ。右目はつぶれている。いま掛けているメガネも右のレンズが無くなっている。だから、殺されたことは間違い無い筈だが・・・
(しかし、何故生きている?)
そう思いながら俺は白衣の男に連れられて廊下を歩いていた。どうもここのトップ(白衣の男性曰く総司令)に呼ばれているようだ。
(ここは何処だ?)
窓の外にはヘリコプターやら戦闘機らしきものがあることから(むしろヘリや戦闘機が残っていることに驚いた)どうも軍の施設にいるようだが、
(明らか人間じゃない奴がいるんだよな・・・)
普通に頭から角生やした人いるし、尻尾生やした人いるし・・・表示が日本語だからここは自衛隊の秘密基地なのだろうか。
しかし、自分の冷静さにも驚く。右目はつぶれ、左腕と両足が義体になっているのに。
どうも、まだ心が半壊しているようだ。
(まあ、全壊状態から復帰しただけまだましなのだが)
そうこうしているうちに目的地に着いたらしい。
大きな木製のドア。上には『総司令執務室』と書いてある。
「さて、ここからは一人で入ってもらう」
「一人で、ですか?」
「ああそうだ。総司令の指示でな、では私は仕事に戻る」
そういって白衣の男は廊下の向こうに行ってしまった。どうも多忙の身らしい。
(しかし、どうやって中に入ったものか・・・)
昔、ドアをC4で爆破したことがあったが、それをここでやると非常に面倒なことになるのは明白なことである。
俺は面倒が嫌いなんだ。しかし、ただ扉を開けて部屋に入るのはどうも礼儀がなっていない気がする。
ここはちゃんとした手順でいこう。
(たしかドアの前でノックだっけ)
高校受験の前の面接練習でよくやった(と思う)。
恐る恐るノックをすると中から「どうぞ」という声が聞こえた。
「失礼します」
そういって部屋の中に入りドアを閉め部屋の中を見回す。部屋の右側には本棚があった。ここまではよかった。だが左側には・・・
(プラモデル!?)
しかも完成度高っ、何なんだこの力の入れようは、
しかも、それらの大半は一部の人しか知らないようなものばかりだった。
「やあ、僕のコレクションが気に入ったかい?)」
気がつくと目の前に白いT-シャツに迷彩柄のズボンを履いたメガネの男がいた。目測で身長180cm、40代
うん、どうみてもオタクだ。だがしかしなんだこの感じは、まるで・・・
そう思ったとき、男が名乗った。
「どうもはじめまして、僕の名は、レオス・オブライエン、ここの総司令だ。」
(偽名だな)
そう心の中でおもいつつ、しかし顔にださぬように、相手に気づかれないように、丁寧に挨拶する。
「どうもはじめまして、僕の名前は朽木光男です」
「朽木光男ねえ・・・まあそこに掛けて」
レオス総司令にすすめられてソファに腰を掛ける。ここからが重要だ。
「助けてもらって、ありがとうございます」
まずは助けてもらったことに感謝し、善良なる一般市民を装う!!
「いや、僕たちは当然の働きをしただけだよ。それよりも、20年間眠った気分はどうだ」
「自分の中ではまだ頭の中が混乱しているのでなんとも・・・」
少々混乱しているように振る舞い、僕は慎重に一番聞きたかったことを聞く。
「あの・・・ここはどこですか?」
「ああ、説明するのを忘れていたね」
そういってレオス総司令はこういった。
「ここは戦略機動隊の本部、山城基地だよ」
全く知らない組織名と全く・・ではなくどっかで聞いた土地の名を言った気がするが、とりあえず言わせてくれ。
「もしかしてここを本部にしている戦略機動隊って・・・サイバー犯罪とか電脳犯罪専門の組織ですか?」
「それって公安9課だと思うけど・・・」
違うよ、名前の元ネタではあるけどね。と彼は否定し付け加えた。
「正式名称は極東連合機構軍直轄対特殊事象戦略機動部隊、それを略して戦略機動隊」
「なるほど・・・極東連合?」
そんな連合聞いたことないぞ。
「そう、極東連合。ウィザドニア、アラストリア、ギガル、バビロス、極東の4大国家が対フリークス連合だよ。しかし君、それを知らないということはやはり君は人間界からきたようだね」
レオス総司令の話を途中までまとめよう。(文才のない俺がまとめたので、よく分からないところもあると思うが、レオス総司令の語りよりマシなのは保障しよう)
この世界は魔族(悪魔やら吸血鬼)や神族(天使や精霊)、人間が共存し、魔法などが発達している世界、まあよくある異世界らしい。
ただ一つちがうのは、この世界が人間界(アメリカやロシアが存在する、所謂現実世界)とつながっていて、さらに大陸の形、大きさ、地形、配置が同じだと言う。
旧世代の産物と言うのが今最も有力な説だが、ここではおいて置く。
三十年ほど前、この地で魔族対神族の大きな戦争があったらしい。
第三次神魔大戦。
魔族陣営にはウィザドニア帝国、バビロス帝国。
神族陣営には聖アラストリア王国、ギガル皇国。
正確な死者数は分かっていない。
地獄と表現される程壮絶だったそうだ。
しかし、四年間続いた続いた戦争はあっさりと、唐突に終わった。
勝者はいない。
戦争は、未知の何かによって終わらされた。
超攻撃的魔法生物、フリークスの襲来である。
フリークス、その正体についたはあまり分かっていないと言う。
大きく分かっていることは二つ、一つはそれが既存の動植物に似ていること。
もう一つは、人間や悪魔、神族に対する明確な敵意だけだそうだ。
フリークスの襲撃は一度だけでなく連続的に襲来し、それによって世界は壊滅的なダメージを受けた。
事態を重く見た極東の四ヵ国は極東連合を設立、独自の軍である極東連合軍を編成、そしてフリークスの調査及び研究、対フリークスを目的とした部隊、戦略機動隊を創設した。それから僅か一年後、戦略機動隊はある機動兵器を開発した。
「ウィザード・ギア」
レオス総司令はそういった。
「まあ、手と足とブースターを付けて二足歩行出来て、ついでにマッハ2以上で飛べる戦車なんだけどね・・・よく作ったもんだよ。当時僕たちは狭い古城を拠点にしていたからね、今のように機材も充実しているとはいえなかったし、僕も総司令にも関わらず軍事に関してはほぼ素人だった」
「素人・・・」
「何故、あなたが総司令を」
「・・・いや、話したいんだけれども、高校の国語の最終成績が3の僕にはこの話をうまく語れる自信がなくてさ・・・」
「ある程度省略してもらっても構わないです」
いざとなったらさっきと同じようにまとめるまでだ。
「極東四ヶ国のトップである女魔王、女騎士王、女巫女、竜王によるリアルファンタジーバトルに巻き込まれたあと、なんかその人たちと友達になって、極東連合設立に協力した後、軍事について少々知っているというだけで総司令に任命された」
「非常に分かりやすいお話ありがとうございました」
要は巻き込まれたんですね分かります。
「最初の頃は大変だったよ全く、あいつが居なければどうなっていたことやら・・・・まあいい、とにかくウィザード・ギアという力を手に入れた我々は攻勢に打って出た。この基地もそうさ。ここ山城基地は僕たち戦略機動隊の本部であり、対フリークス戦略の要だ」
「山城・・・たしかそれって」
「そう、ここは人間界でいえば日本の京都市にあたるからね。まあいい、とにかく我々は順調に戦果をあげ、ついにフリークス殲滅一歩手前までいった・・・が、その最後に大きな事件がおきた」
「大きな事件?」
「南極事件」
レオス総司令は静かにそう言った。
「南極でのフリークス殲滅作戦、『南極作戦』。その作戦は我々にとって最後の作戦になる筈だった」
「・・・何が起きたんですか」
「事実だけを言うなら時空に大穴ができて南極が消し飛んだと言うしかないな。そのせいか爆心地近くの天候は常時不安定、いつも大型の竜巻が二つ以上存在している有様だ。もっともそれは爆心地の付近だけ影響した訳ではなく、世界各地に様々な影響を及ぼした。ちなみに、君はその爆心地で見つかった」
「爆心地で・・・」
「これはあくまで推測だけど、恐らく君はあの時出現した空間の穴の影響でこの世界に来たんだろうね」
「どんな超理論ですかそれは・・・しかし、南極が消し飛ぶほどの爆発に巻き込まれて無事とは」
「いや全然無事じゃないよ。見つかった時、君は右目は潰れていたし右足と左腕が吹っ飛んでいただけでなく、内臓と全身の皮膚組織が壊死していたんだよ、よく生きていられたもんだよまったく」
「それ死んでますよね!?」
しかし20年か、ということは・・・
「現実世界は、人間界は今西暦2036年ですか・・・」
あいつは今36歳、ということか・・・もっとも今のあいつに寿命なんて概念は無いが。
「いや、2041年だよ」
・・・へ
「えっと、今から20年前って西暦2016年ですよね」
「いや、2021年だよ」
おかしい、俺が死んだのは2016年の筈、2017年までならまだ分かるが、五年の違いは大きい・・・もしかして時空の穴の通った時、時空移動も同時にしたのか?
(いや違う)
そう、俺の直感が言っている。
俺は考えるうえで最悪(に面倒)な可能性から当たるため、恐る恐るある事を聞いてみる。
「今、現実世界は・・・人間界は滅んでいますよね?」
レオス総司令はあっさりとこう言った。
「いや、滅んでいないよ」
・・・わーいなんか面倒そうな事に巻き込まれてる感がバリバリするー
「まあ、諜報局からの情報で面倒くさいことになるには予想していたがね・・・朽木光男君。この世界と人間界、百年前から今までのあらゆる国、あらゆる地域の情報を探ってみたが、君という人間の情報は人間界にも、この世界にも無かったよ」
俺が出した結論は一つ。
面倒な事態確定。
平行世界というやつなのだろうか。自分が元いた世界をAとし、この世界をXとする。俺は死んだときに何かに巻き込まれて、あるいは気づかないうちに何かヤバイことをやらかして(よくよく考えたらもうやらかしてるし)、AからXに飛んだという事だろうか。もっとも仮説だが。
しかし転生でないことは確かだ。
まあ、それはさておきだ・・・
「何故に僕が戦略機動隊の採用試験を受けなければならないんですか?」
「いやあ、うちは慢性的な人手不足でね・・・何とか改善しようとしているんだが」
だからってねえ、僕みたいな奴が役に立つとは思わないが・・・
「実戦なんて、魔改造F-14を乗り回していただけですよ」
「光男君、何があったんだい?」
思わずボロがでてしまった。しかし、あえて訂正せず、一つの事実を述べる。
「実は前、魔術絡みで色々と戦っていたんです」
「魔術絡みで・・・ああ、君の右手の魔力回路はそういうことか」
これが魔術回路ではなく魔力回路だと見破ったということは、レオス総司令にもそれなりの魔術知識があると分析しつつ、会話を続ける。
「ええ、だから少々、いやかなりヤバイ事をやっていまして・・・」
「まあ、聞かないでおくよ。むしろ、そういった経験があるとやりやすいよ」
と、そんな会話をしつつ俺とレオス総司令は基地の中を移動する。
さすが本部だけあって基地も大きそうで、人も多いらしく、様々な建物が立ち並んでいる。そのどれもが、重要な施設だということが見てとれた。
・・・というか採用試験とかいっているけど、さっきの説明通りなら、ここは極東連合軍直轄の軍事組織ということだよな。
「僕、軍事知識とか詳しく無いんですが・・・」
「光男君、まさか詳しい知識も無いままF-14を乗り回していたの?」
「強引に魔力を流して操縦していました。知識なんて全くもっていませんでしたよ」
ちなみに、飛行時にかかるGは、弟にコックピット周りに重力関係の魔法をかけて貰うことで対処し、弾薬などは・・・ちょっと口では言えない所からもらった。
「・・・まあいいよ。大丈夫、ロボットを操縦してもらうだけだから」
「ロボット・・・もしかしてさっき言ってたウィザード・ギアとかいう」
「そう、そのウィザード・ギアを操縦してもらう」
・・・それ、よく考えたらかなりのハイテク兵器だよな、二足歩行可能な兵器って。
「いいんですか、それってかなり高額なんじゃ・・・」
「うん。1機10億円ぐらいするよ」
よし、間違っても壊さないようにしよう。(初飛行で新品のF-35をぶっ壊した件については・・・忘れよう)
「というか別にシミュレーターとかそんなのでいいんじゃ」
「だって、操縦したいでしょ。人型巨大ロボット」
「いやまあそうですけど」
でもお高いんでしょうと心の中で通販的な突っ込みをいれる。
「大丈夫、最低限の操作説明は行うから・・・さあ着いたよ」
着いた所は大きな滑走路の横に立ち並ぶ建物の一つ、どうやら格納庫らしい。
レオス総司令は端にある鉄製の扉を開き中に入る。俺もそれに続き中に入り、
「おお・・・」
そこにあったのはまさに人型機動兵器、アニメでは定番の二足歩行型ロボットと呼ぶべき物であった。
防御力が高そうな大きな鋼鉄の脚、脚の裏には戦車のような無限軌道が格納されている、やはり戦術上、二足歩行以外の移動方法が必要なのだろう。背中には大きなブースター、右手にはライフルらしきもの、左手には頑丈そうな盾、背中にもいくつかの武器がマウントされているようだ。肩部に付いている箱型の物体はミサイルポッドだろうか?機体にはそのほかにもウインチなどの、実用的な装備も搭載されていた。たしかに戦車に手足をくっつけた感じだが、かっこよさも重視している。
(二足歩行型ロボットとしてのロマンを維持しつつ、兵器としての運用性も考えられている)
完璧な設計とは、まさにこのことを指すのだろう。
レオス総司令が説明する。
「これが世界初のウィザード・ギア、一式/オープニングだ」
「これを操縦してフリークスの群の中に突入し、殲滅する。以上が採用試験の詳しい内容だ」
「ファ!?」
特殊機密指定資料レベル5
O‐10以下の者の閲覧を硬く禁ず。
資料名『朽木光男戦技研魔力研究開発部門主任の日記(?)』
(何故、俺は生きている?)
目が覚めて、自分の今置かれている状況を認識して最初にそう思った。
(俺は死んだ。間違いなくあの時殺された)
しかし今、現に俺は病院にいる。正確には病院らしきところなのだが。ベットに横になっている。生きている。
(何故・・・)
思考がまとまらない、どうも俺は自分が生きていることについて自分の認識以上に混乱しているようだ。
「ん・・・」
自分のベットの前に誰かが立っている。メガネが無いせいでよく見えない。だがその人は僕が目を覚ましたのを確認したようで、病室から去っていった。その後の約数分、俺はずっと天井を見ていた。混乱している時には動かないほうがいい。そのおかげか、だいぶ思考がまとまるようになった。意識もはっきりとしてくる。
(右手の魔力回路はどうだろうか)
右手の甲にある痣には大きな傷あとがあった。
(魔力回路が暴走した?)
それを確認したと同時に、あることを確認する。
(右目が無い)
右目のあったところには何の感触もなかった、それだけでなく、左腕と両足の感触もなかった。
(まさか・・・義体?)
そのとき誰かが病室に入ってきた。その人は俺に近づき、顔をのぞき込んだ。黒髪の男性、顔はよく見えない、白衣を着ている、医者だろうか。
「君、私の声が聞こえるか?私の言葉が理解できるか?」
「はい、聞こえます、理解できます」
自分でも驚くほどか細い声で俺は質問に答えた。
「君に質問がしたい、いいか」
「はい」
特に断る必要もないし、偽ることはないと判断する。それより他人と会話するほうが落ち着く。
「名前は?」
「朽木光男です」
「漢字ではどう書く?」
「朽ちた木に光る男と書いて朽木光男です」
「住んでいる国は?」
「日本」
「日本のどこだ?」
「京都と言うところです」
「今何歳?」
「15歳です」
「なるほど、つまり外の世界から来たのか、どうりで・・・質問は以上だ、ありがとう。気分はどうだ」
「はい大丈夫です。頭が混乱していますが・・・それより僕のメガネを知りませんか?」
「ああ、これかのことか」
メガネを掛けられようやく男性の顔をみることができた。黒髪の男性だった。
「しかし、あの大爆発に巻き込まれてよく生きていたな」
「爆発・・・」
おかしい、俺は殺された、爆発になんかに巻き込まれた憶えは無い。
「あの・・・僕は何かに巻き込まれたのですか?」
何がなんだか分からず、僕は黒髪の男性に尋ねる。
「まあ、そうだろうな実際何が起こったのか分からなかっただろう・・・すまないが落ち着いて話を聞いてくれないか?」
「・・・はい」
僕の身何があったというのだろうか。
「君は20年前、大きな爆発に巻き込まれたんだ。そしてその時からずっと君は昏睡状態にあった。20年間ずっと」
・・・寝すぎた
殺される直前に俺は左腕と両足を切断され、右目を撃たれた。その事実だけは間違いないようだ。左腕は義手になっているし、両足も同様に義足だ。右目はつぶれている。いま掛けているメガネも右のレンズが無くなっている。だから、殺されたことは間違い無い筈だが・・・
(しかし、何故生きている?)
そう思いながら俺は白衣の男に連れられて廊下を歩いていた。どうもここのトップ(白衣の男性曰く総司令)に呼ばれているようだ。
(ここは何処だ?)
窓の外にはヘリコプターやら戦闘機らしきものがあることから(むしろヘリや戦闘機が残っていることに驚いた)どうも軍の施設にいるようだが、
(明らか人間じゃない奴がいるんだよな・・・)
普通に頭から角生やした人いるし、尻尾生やした人いるし・・・表示が日本語だからここは自衛隊の秘密基地なのだろうか。
しかし、自分の冷静さにも驚く。右目はつぶれ、左腕と両足が義体になっているのに。
どうも、まだ心が半壊しているようだ。
(まあ、全壊状態から復帰しただけまだましなのだが)
そうこうしているうちに目的地に着いたらしい。
大きな木製のドア。上には『総司令執務室』と書いてある。
「さて、ここからは一人で入ってもらう」
「一人で、ですか?」
「ああそうだ。総司令の指示でな、では私は仕事に戻る」
そういって白衣の男は廊下の向こうに行ってしまった。どうも多忙の身らしい。
(しかし、どうやって中に入ったものか・・・)
昔、ドアをC4で爆破したことがあったが、それをここでやると非常に面倒なことになるのは明白なことである。
俺は面倒が嫌いなんだ。しかし、ただ扉を開けて部屋に入るのはどうも礼儀がなっていない気がする。
ここはちゃんとした手順でいこう。
(たしかドアの前でノックだっけ)
高校受験の前の面接練習でよくやった(と思う)。
恐る恐るノックをすると中から「どうぞ」という声が聞こえた。
「失礼します」
そういって部屋の中に入りドアを閉め部屋の中を見回す。部屋の右側には本棚があった。ここまではよかった。だが左側には・・・
(プラモデル!?)
しかも完成度高っ、何なんだこの力の入れようは、
しかも、それらの大半は一部の人しか知らないようなものばかりだった。
「やあ、僕のコレクションが気に入ったかい?)」
気がつくと目の前に白いT-シャツに迷彩柄のズボンを履いたメガネの男がいた。目測で身長180cm、40代
うん、どうみてもオタクだ。だがしかしなんだこの感じは、まるで・・・
そう思ったとき、男が名乗った。
「どうもはじめまして、僕の名は、レオス・オブライエン、ここの総司令だ。」
(偽名だな)
そう心の中でおもいつつ、しかし顔にださぬように、相手に気づかれないように、丁寧に挨拶する。
「どうもはじめまして、僕の名前は朽木光男です」
「朽木光男ねえ・・・まあそこに掛けて」
レオス総司令にすすめられてソファに腰を掛ける。ここからが重要だ。
「助けてもらって、ありがとうございます」
まずは助けてもらったことに感謝し、善良なる一般市民を装う!!
「いや、僕たちは当然の働きをしただけだよ。それよりも、20年間眠った気分はどうだ」
「自分の中ではまだ頭の中が混乱しているのでなんとも・・・」
少々混乱しているように振る舞い、僕は慎重に一番聞きたかったことを聞く。
「あの・・・ここはどこですか?」
「ああ、説明するのを忘れていたね」
そういってレオス総司令はこういった。
「ここは戦略機動隊の本部、山城基地だよ」
全く知らない組織名と全く・・ではなくどっかで聞いた土地の名を言った気がするが、とりあえず言わせてくれ。
「もしかしてここを本部にしている戦略機動隊って・・・サイバー犯罪とか電脳犯罪専門の組織ですか?」
「それって公安9課だと思うけど・・・」
違うよ、名前の元ネタではあるけどね。と彼は否定し付け加えた。
「正式名称は極東連合機構軍直轄対特殊事象戦略機動部隊、それを略して戦略機動隊」
「なるほど・・・極東連合?」
そんな連合聞いたことないぞ。
「そう、極東連合。ウィザドニア、アラストリア、ギガル、バビロス、極東の4大国家が対フリークス連合だよ。しかし君、それを知らないということはやはり君は人間界からきたようだね」
レオス総司令の話を途中までまとめよう。(文才のない俺がまとめたので、よく分からないところもあると思うが、レオス総司令の語りよりマシなのは保障しよう)
この世界は魔族(悪魔やら吸血鬼)や神族(天使や精霊)、人間が共存し、魔法などが発達している世界、まあよくある異世界らしい。
ただ一つちがうのは、この世界が人間界(アメリカやロシアが存在する、所謂現実世界)とつながっていて、さらに大陸の形、大きさ、地形、配置が同じだと言う。
旧世代の産物と言うのが今最も有力な説だが、ここではおいて置く。
三十年ほど前、この地で魔族対神族の大きな戦争があったらしい。
第三次神魔大戦。
魔族陣営にはウィザドニア帝国、バビロス帝国。
神族陣営には聖アラストリア王国、ギガル皇国。
正確な死者数は分かっていない。
地獄と表現される程壮絶だったそうだ。
しかし、四年間続いた続いた戦争はあっさりと、唐突に終わった。
勝者はいない。
戦争は、未知の何かによって終わらされた。
超攻撃的魔法生物、フリークスの襲来である。
フリークス、その正体についたはあまり分かっていないと言う。
大きく分かっていることは二つ、一つはそれが既存の動植物に似ていること。
もう一つは、人間や悪魔、神族に対する明確な敵意だけだそうだ。
フリークスの襲撃は一度だけでなく連続的に襲来し、それによって世界は壊滅的なダメージを受けた。
事態を重く見た極東の四ヵ国は極東連合を設立、独自の軍である極東連合軍を編成、そしてフリークスの調査及び研究、対フリークスを目的とした部隊、戦略機動隊を創設した。それから僅か一年後、戦略機動隊はある機動兵器を開発した。
「ウィザード・ギア」
レオス総司令はそういった。
「まあ、手と足とブースターを付けて二足歩行出来て、ついでにマッハ2以上で飛べる戦車なんだけどね・・・よく作ったもんだよ。当時僕たちは狭い古城を拠点にしていたからね、今のように機材も充実しているとはいえなかったし、僕も総司令にも関わらず軍事に関してはほぼ素人だった」
「素人・・・」
「何故、あなたが総司令を」
「・・・いや、話したいんだけれども、高校の国語の最終成績が3の僕にはこの話をうまく語れる自信がなくてさ・・・」
「ある程度省略してもらっても構わないです」
いざとなったらさっきと同じようにまとめるまでだ。
「極東四ヶ国のトップである女魔王、女騎士王、女巫女、竜王によるリアルファンタジーバトルに巻き込まれたあと、なんかその人たちと友達になって、極東連合設立に協力した後、軍事について少々知っているというだけで総司令に任命された」
「非常に分かりやすいお話ありがとうございました」
要は巻き込まれたんですね分かります。
「最初の頃は大変だったよ全く、あいつが居なければどうなっていたことやら・・・・まあいい、とにかくウィザード・ギアという力を手に入れた我々は攻勢に打って出た。この基地もそうさ。ここ山城基地は僕たち戦略機動隊の本部であり、対フリークス戦略の要だ」
「山城・・・たしかそれって」
「そう、ここは人間界でいえば日本の京都市にあたるからね。まあいい、とにかく我々は順調に戦果をあげ、ついにフリークス殲滅一歩手前までいった・・・が、その最後に大きな事件がおきた」
「大きな事件?」
「南極事件」
レオス総司令は静かにそう言った。
「南極でのフリークス殲滅作戦、『南極作戦』。その作戦は我々にとって最後の作戦になる筈だった」
「・・・何が起きたんですか」
「事実だけを言うなら時空に大穴ができて南極が消し飛んだと言うしかないな。そのせいか爆心地近くの天候は常時不安定、いつも大型の竜巻が二つ以上存在している有様だ。もっともそれは爆心地の付近だけ影響した訳ではなく、世界各地に様々な影響を及ぼした。ちなみに、君はその爆心地で見つかった」
「爆心地で・・・」
「これはあくまで推測だけど、恐らく君はあの時出現した空間の穴の影響でこの世界に来たんだろうね」
「どんな超理論ですかそれは・・・しかし、南極が消し飛ぶほどの爆発に巻き込まれて無事とは」
「いや全然無事じゃないよ。見つかった時、君は右目は潰れていたし右足と左腕が吹っ飛んでいただけでなく、内臓と全身の皮膚組織が壊死していたんだよ、よく生きていられたもんだよまったく」
「それ死んでますよね!?」
しかし20年か、ということは・・・
「現実世界は、人間界は今西暦2036年ですか・・・」
あいつは今36歳、ということか・・・もっとも今のあいつに寿命なんて概念は無いが。
「いや、2041年だよ」
・・・へ
「えっと、今から20年前って西暦2016年ですよね」
「いや、2021年だよ」
おかしい、俺が死んだのは2016年の筈、2017年までならまだ分かるが、五年の違いは大きい・・・もしかして時空の穴の通った時、時空移動も同時にしたのか?
(いや違う)
そう、俺の直感が言っている。
俺は考えるうえで最悪(に面倒)な可能性から当たるため、恐る恐るある事を聞いてみる。
「今、現実世界は・・・人間界は滅んでいますよね?」
レオス総司令はあっさりとこう言った。
「いや、滅んでいないよ」
・・・わーいなんか面倒そうな事に巻き込まれてる感がバリバリするー
「まあ、諜報局からの情報で面倒くさいことになるには予想していたがね・・・朽木光男君。この世界と人間界、百年前から今までのあらゆる国、あらゆる地域の情報を探ってみたが、君という人間の情報は人間界にも、この世界にも無かったよ」
俺が出した結論は一つ。
面倒な事態確定。
平行世界というやつなのだろうか。自分が元いた世界をAとし、この世界をXとする。俺は死んだときに何かに巻き込まれて、あるいは気づかないうちに何かヤバイことをやらかして(よくよく考えたらもうやらかしてるし)、AからXに飛んだという事だろうか。もっとも仮説だが。
しかし転生でないことは確かだ。
まあ、それはさておきだ・・・
「何故に僕が戦略機動隊の採用試験を受けなければならないんですか?」
「いやあ、うちは慢性的な人手不足でね・・・何とか改善しようとしているんだが」
だからってねえ、僕みたいな奴が役に立つとは思わないが・・・
「実戦なんて、魔改造F-14を乗り回していただけですよ」
「光男君、何があったんだい?」
思わずボロがでてしまった。しかし、あえて訂正せず、一つの事実を述べる。
「実は前、魔術絡みで色々と戦っていたんです」
「魔術絡みで・・・ああ、君の右手の魔力回路はそういうことか」
これが魔術回路ではなく魔力回路だと見破ったということは、レオス総司令にもそれなりの魔術知識があると分析しつつ、会話を続ける。
「ええ、だから少々、いやかなりヤバイ事をやっていまして・・・」
「まあ、聞かないでおくよ。むしろ、そういった経験があるとやりやすいよ」
と、そんな会話をしつつ俺とレオス総司令は基地の中を移動する。
さすが本部だけあって基地も大きそうで、人も多いらしく、様々な建物が立ち並んでいる。そのどれもが、重要な施設だということが見てとれた。
・・・というか採用試験とかいっているけど、さっきの説明通りなら、ここは極東連合軍直轄の軍事組織ということだよな。
「僕、軍事知識とか詳しく無いんですが・・・」
「光男君、まさか詳しい知識も無いままF-14を乗り回していたの?」
「強引に魔力を流して操縦していました。知識なんて全くもっていませんでしたよ」
ちなみに、飛行時にかかるGは、弟にコックピット周りに重力関係の魔法をかけて貰うことで対処し、弾薬などは・・・ちょっと口では言えない所からもらった。
「・・・まあいいよ。大丈夫、ロボットを操縦してもらうだけだから」
「ロボット・・・もしかしてさっき言ってたウィザード・ギアとかいう」
「そう、そのウィザード・ギアを操縦してもらう」
・・・それ、よく考えたらかなりのハイテク兵器だよな、二足歩行可能な兵器って。
「いいんですか、それってかなり高額なんじゃ・・・」
「うん。1機10億円ぐらいするよ」
よし、間違っても壊さないようにしよう。(初飛行で新品のF-35をぶっ壊した件については・・・忘れよう)
「というか別にシミュレーターとかそんなのでいいんじゃ」
「だって、操縦したいでしょ。人型巨大ロボット」
「いやまあそうですけど」
でもお高いんでしょうと心の中で通販的な突っ込みをいれる。
「大丈夫、最低限の操作説明は行うから・・・さあ着いたよ」
着いた所は大きな滑走路の横に立ち並ぶ建物の一つ、どうやら格納庫らしい。
レオス総司令は端にある鉄製の扉を開き中に入る。俺もそれに続き中に入り、
「おお・・・」
そこにあったのはまさに人型機動兵器、アニメでは定番の二足歩行型ロボットと呼ぶべき物であった。
防御力が高そうな大きな鋼鉄の脚、脚の裏には戦車のような無限軌道が格納されている、やはり戦術上、二足歩行以外の移動方法が必要なのだろう。背中には大きなブースター、右手にはライフルらしきもの、左手には頑丈そうな盾、背中にもいくつかの武器がマウントされているようだ。肩部に付いている箱型の物体はミサイルポッドだろうか?機体にはそのほかにもウインチなどの、実用的な装備も搭載されていた。たしかに戦車に手足をくっつけた感じだが、かっこよさも重視している。
(二足歩行型ロボットとしてのロマンを維持しつつ、兵器としての運用性も考えられている)
完璧な設計とは、まさにこのことを指すのだろう。
レオス総司令が説明する。
「これが世界初のウィザード・ギア、一式/オープニングだ」
「これを操縦してフリークスの群の中に突入し、殲滅する。以上が採用試験の詳しい内容だ」
「ファ!?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる