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序章 ある研究員の記録『ZERO』IS SLEEPING
第19話 アヴェント・アーサー
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「ぐはあ・・・」
苦しい。
息苦しい。
いや、苦しいとかそういうんじゃなくて、痛い。
肺と喉が痛い。
「み・・・水・・・」
俺はなんとか水場に行き、蛇口を上にして、栓を開けた。
「・・・助かった・・・」
まったく。まさか異世界に来ても、またこれに苦しめられるとは。
聖暦3017年 5月6日 月曜日。12時7分
本日の体育。マラソン。
体力の無い俺にとって、苦行でしかない。
空は雲一つ無い。快晴だ。直射日光ががんがん当たる。眩しい。
(まあ、舗装されているだけマシか)
浜大津総合学校第一グラウンド。
きちんとしたトラックが整備されているため、砂の上より走りやすい。
俺は学校指定のジャージを脱ぎ、半袖になり、トラックの端に行き、走っているやつらを見る。先頭には、
「「うおおおおおおお!!!」」
(お前らオリンピック出ろ。金メダル当確だから)
ザーフとザジルが恐ろしい速さで走っている。まったく息切れしていない。
その後ろを、
「2人とも待ってー・・・」
(ラビー、無理をするな)
ラビラトスがへとへとになりながら走っている。
長髪のせいで頭に熱が篭っているのだろう。汗をたらたら流しながら走っている。
そしてその後ろを、
「ぜえ・・・ぜえ・・・」
(オール、もうリタイアしていいんだぞ)
オールがふらつきながら走って、いやもうほぼ歩いている。
無理して走っているのが目に見えて分かる。
更にその後ろを、
「・・・ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレカイジャリスイギョノ・・・ラ・・ララ・・ララララララララララララララララララララ」
(交野帰ってこーい)
まあ、そんな感じで、俺達はマラソンと言う名の苦行をやっていた。
「・・・中学の時もやってたなあ・・・」
俺は大抵、一番後ろにいて、頃合いを見かねて葛葉と一緒にリタイアしてたな。
あの時も苦行だった。
(体力測定のシャトルラン程では無かったがな!!!)
あれも苦行だと思うの。まあそれはいいとして、
「足が義体でも疲れるんだな・・・)
俺の足、灰色の繊維が剥き出しになっているそれを見る。
今のところ不具合なんかはないし、問題は無いと思う。しかし疑問なのは、
「・・・どうしてこんなに早く慣れることができたんだ?」
普通、こういうのはリハビリを積んでやっと歩けるようになると思うのだが、それに今の俺は、両足の他に左腕が義体で、右目が無い。
それによってバランスが取りにくくなっているはずだが、どういう訳か違和感無く走れる。
(戦技研の技術力の賜物だろうか・・・いや、もしかしてこの義体を作ったのって・・・ん?)
影が生まれた。
さっきまで日が当たってた所に、影が生まれた。そしてその影は、運動場を飲み込んでいった。
雲だろうか、俺は上を見上げた、
雲じゃなかった。
航空艦だ。
「!!!」
大きい。
三胴形(トリマラン)の航空艦。
全長は800mぐらい。それが、艦底部に多くの魔方陣、恐らく気流制御術式を展開して航行していた。
この規模になると、
「まさか・・・『近江山城』?」
「違うな。確かに似ているが、あれはアルマダ級山城型航空巡洋艦三番艦改『伊勢志摩』だ。艦底部に格納砲台とレーダーがある。第二世代改修だ・・・それでも古い発想の航空艦であることに変わりないが」
そう言うのは、眼鏡を掛け、ジャージを着用した青髪のインキュバス。
「アヴェント、分かるのか?」
「ああ、父親の手伝いをしていればすぐ覚えられるよ・・・しかし『近江山城』もそうだがいつ見ても魔改造だな。航空巡洋艦三つにに航空甲板と潜水艦を合体させただけの事はある」
「やっぱり魔改造だったんだあれ・・・」
よくもまあ折れないもんだ。
「どこへ向かっているんだろうか」
「恐らく琵琶湖にあるラファーズの沖島ドッグだろう。この数日、よく航空艦が出入りしている」
「そうなのか?」
「ああ。昨日、『近江山城』が沖島ドッグに入るのを見た・・・かなり大規模な改修作業をやるらしい」
「大規模な改修をやっている?」
「ああ。近日中に同じ山城型の改シリーズ。二番艦改『摂津丹波』四番艦改『讃岐淡路』五番艦改『釧路十勝』六番艦改『若狭越前』七番艦改『周防長門』八番艦改『大隅日向』九番艦改『相模武蔵』がそれぞれ入るとの通達があった」
「そうか・・・おいそれって」
「ああ。山城型航空巡洋艦の改シリーズである9艦全てが五月中にあの沖島ドッグに入る予定だ」
「同型艦全ての一斉大規模改修・・・どういう事だ?」
「分からん・・・それはお前の上司が知っているんじゃないのか? 誰かは知らんが」
「そうだった」
帰ってから局長に聞こう・・・山城型航空艦の名称が日本の地名や旧国名ばかりなのは気のせいだろうか?
「しかしお前もリタイアしたのな」
「当然だ。体が持たん」
こいつも俺と同じ体質か。
「そうだ朽木・・・お前、今日唐橋工廠に行くか?」
「え、ああ。戦技研に寄ってから行くよ。それがどうした?」
「決まっているじゃないか・・・」
アヴェントは笑いながら言った。
「資金」
「忘れてたあああ!!!」
そうだった、こいつ俺達の自作WG開発に資金提供していたんだ。
「先行投資した一億ゴルドだ。情報によればもう使い切ったようだが・・・」
「え? あ、うん」
「ということは・・・何らかの形になったのだろうな」
「ま、まあな」
先日ナーバルの奴が壊したっきりだがな!!!
「今日、唐橋工廠に行く。もし何も出来ていなかったら・・・」
「出来ていなかったら?」
「話し合い、だな」
「話し合い・・・」
嫌な予感しかしないッ!!!
「では今日の放課後、唐橋工廠で会おう。ああ、ナーバルの奴には伝えておいた。連絡する必要は無い」
そう言ってアヴェントは立ち去ろうとし・・・ザーフにスライディングされた。
「困ったことになったね光男君・・・」
「ああ・・・すまないな、お前の研究が生かせる場だと言うのに」
「いいよいいよ・・・でも本当にどうするんだろう」
「さあな・・・」
浜大津総合学校食堂。
俺とオールは昼食を摂りつつ、対策(?)の様なものを検討していた。
「・・・光男君、さっきから思ってるんだけどさ・・・食べすぎじゃない?」
「そうか?」
スパゲッティ五皿ぐらいしか食べてないぞ?それに、
「言うならこいつの方だ」
俺の右隣。白髪緑眼のメイド服を着た少女が、山盛りとかそういうレベルじゃない位の牛丼を一心不乱に食っている。
ていうかアレサだ。
「この子、いつも教室の端っこでメイド服のまま授業を受けているけど・・・なんなの?」
「聞かないでくれ」
まあそれはいいとして、
「一億ゴルドか・・・すぐに用意できる金額じゃないな」
「そうだね・・・技術を売るという手もあるけど、僕の技術は一銭の価値も無いし」
「それは無いだろうオール。オールのあのフレーム技術は凄いものだぞ」
「そう?」
「ああ。俺が認める」
オールが、とたんに驚いた顔をした。
「認める?」
「ああ。認めるよ。戦技研で何週間か研究したからそこらへんは分かる。オールのフレーム技術は凄いよ」
「・・・ありがとう」
そう言うオールの顔は、何だか嬉しそうな顔だった。
「・・・そ、そうだ。光男君、唐橋に行く前に戦技研に行くって言ってたけど、どうして?」
「ああ・・・それはさすがに」
「・・・言えない事?」
「ああ・・・ごめん。これは極秘扱いの件だから」
「いいよいいよ・・・相当まずいの? やっぱり前の襲撃?」
「それも関係しているけどね」
特別輸送列車の件。
一番はそれだ。事が事だけに局長から口止めされている。
研究員を飴で口止めっていったい・・・。
まあ、そういう事で。
「うん。察してくれ」
「うん。分かった・・・何時ぐらいに唐橋に来れそう?」
俺は言った。
「分からん」
「・・・来たか」
俺が唐橋工廠の格納庫に来た時には既にアヴェントが来ていた。
そしてその前で、茶髪の角生やした女子、ナーバルが正座していた。その後ろに『三毛猫』・・・あれ、なんか前よりも酷くなってる?
格納庫の端っこにはメンバーが全員集結して、遠くからその光景を見ていた。
俺は茜に聞いた。
「やっぱり駄目だったか」
「うん。それでナーバルが説教されてたところだよ・・・」
アヴェントが大きなため息をついた。そして言った。
「さて、説教はこれ位にして・・・本題に入ろうか」
来た。俺は身構える。
(とにかく、アヴェントが何を言って来ようが、WG開発の存続させなければ)
ならば交渉だ。交渉してWG開発を存続させる。それがこの場においての俺の目的だ。
俺は交渉が得意ではない。俺のやり方が通用するのは武器商人だけだ。
なんとかして最善の・・・いや違う。
交渉結果は双方にとって可能な限りWIN-WINな結果でなければならないと俺は思っている。
この場合もそうだ。だからこの場で交渉した場合、アヴェントにとってもいい結果で無ければならない。だから、この場においての俺の目的は、
(WG開発を存続させつつ、『奥の手』を使わないようにすることだ!!)
「と、思ったが。後回しにする」
・・・ワッツ?
「ここに来たときから、どうしても言いたいことがあった」
言いたいこと? なんだろうか?
アヴェントは言った。
「ザーフ、何故お前がここにいる」
「何って・・・手伝いだけど」
ザーフの発言、それにアヴェントは間髪入れず食いついてきた。
「ほう・・・手伝い? 奇声発しながらフリークスに輸送艦で特攻する熱血単純馬鹿が手伝いだと?」
「誰が熱血単純馬鹿だ!!」
「お前だよ!!」
アヴェントが大声で突っ込みを入れた。
「お前が手伝うと碌な事にならん!! あの時だってそうだった・・・俺は忘れんぞ、あの冬の大惨事を!!!」
「しょうがなかったろあれは!!」
「もっと他に方法があったろろうが!! お前は自分が熱血単純馬鹿ということを自覚しろ!!」
「ああ自覚しているとも。だがなあ、俺だって学習するんだ!!」
「大人しくなるのと成長するのは全くの別物だ!!」
「ああそうだ。俺は前より大人しくなったし学習した!! だから・・・」
ザーフはガッツポーズをして言った。
「WGに大出力魔力をぶち込んで爆発させたぜ!!!」
「「バカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」
俺とアヴェントが叫んだ。
(馬鹿? 馬鹿なの? 何やってくれてんの!? 動機だ!! 動機プリーズッ!!!)
「もちろん。これは俺の計算に基づいて行われた実験だ。ナーバルの許可も取った」
「ほう・・・ではどんな試験か言ってみろ・・・」
アヴェントの質問に対して、ザーフは堂々と、あたかも正当な事を言うような顔で言った。
「耐久試験だ!!」
「「!!!???」」
いや・・・違う・・・そうじゃない・・・
「動機だ・・・」
俺は、頭を抱えて座り込んでいるアヴェントの意思を伝える。
「どうして・・・そんなことをした?」
「そりゃお前・・・」
ザーフは言った。
「・・・あれ、なんでやったんだっけな」
うん・・・
「ザーフ、いいか?」
「? なんだ朽木?」
「お前の事、誤解してたようだ」
「どういうことだ?」
俺は叫んだ。
「お前馬鹿だろォ!!!!!」
「今更」
「ああホンッと今更ってタリヌゥ!!??」
いつのまにかタリヌがいた。いやもしかして最初からいたの!?
「おま、何故ここにいる!?」
「いやー、レーダー関係強いっていうからさあ・・・ちょっと手伝ってもらおうと」
そう、苦笑いしながらナーバルは言った・・・いやいいのかそれ!?タリヌがレーダー関係に詳しいって初耳なんだけど。
「タリヌ、詳しいのか」
「詳しい」
自分で言っちゃったよ。
「でも、アヴェントの要求次第」
「・・・そうだな。では言わせて貰おう」
アヴェントの要求は俺の予想通りだった。
アヴェントは真剣な顔で言った。
「渡してた一億ゴルド・・・それに二千万ゴルド追加で返してもらおう」
来た。
俺はナーバルが何か言う前に始める。
「合計一億二千万ゴルド、払えと?」
「ああそうだ。払えるか?」
「ちなみに渡してくれた一億ゴルド。どこから出した?」
「俺のポケットマネーだ・・・」
「・・・・・」
ポケットマネーでしたかそうでしたか。
「で、それがどうした」
「いや、何にも」
これでアヴェントはこちらの存在を完全認識した。
ここからだ。へまを踏まないように、俺の交渉術(口で言えないところ用)を実行させてもらおう。
まず結論。言葉は短く。
「払おう」
「・・・払う?」
「ああ。俺が払おう。一億二千万ゴルド。そして」
俺は言った。
「俺はこのWG開発に十億ゴルド出そう」
博打の時間じゃゴルアアアアア!!!
「・・・十億ゴルド、だと?」
「ああそうだ。十億ゴルド・・・安心しろ、一億二千万ゴルドは別に払う」
「どこにそんな金がある!!」
「ほらよ」
俺は銀行の預金通帳を渡す。
その内容を見たアヴェントの顔色が変わった。
「・・・十二億五千万ゴルド・・・だと?」
「それが俺の資金だ。なに、一億ゴルドぐらいあれば十分生きていける」
「・・・分かった。一億二千万ゴルドはお前から貰おう。それでこの話は終わりだ」
「これ以上の資金提供はしないと?」
「ああ」
「・・・本当に、いいのか?」
「どういうことだ」
俺は、ある人物に書いてもらった領収書を渡す。
「領収書・・・イラクス・アーノイド戦略機動隊技術研究局局長!?」
「それは戦技研が俺に金を支払い、俺が、俺の開発した魔力技術を使用することを認めた事を証明する物だ。その金額は・・・まあ、見ての通りだ」
「十二億ゴルド・・・いったいお前はどうやって・・・」
「どうもしないよ、俺の開発した魔力技術を局長に見せたら、『是非買わせてくれ!!』って言われて」
「だが、それがどうした」
「実はこの技術・・・開発中のこのWG(三毛猫)にも使っている」
「それが?」
「分からないのか? 戦技研の局長が十二億ゴルドの価値をつけた技術がこのWGには使われている。もっと言えば、俺が今回買ってもらった技術はこのWGの末端の末端に使われている。中枢あたりの技術は・・・低く見積もって一兆はいくだろう。それだけの技術が、このWGには使われている・・・いや、予定ではもっと高度な技術も導入する予定だ」
「・・・凄いWGだと言うのは分かった。しかしだ。そう言うのなら、お前が払えばいいじゃないか」
掛かった。
「・・・そうだな。俺が払えばいい・・・但しそうなると」
俺は言う。
「俺がこのWG開発の最も多くの資金を提供したことになる」
つまり
「俺が『ロゴマーク』を付ける権利を持つことができるが・・・いいのか?」
この光景を他と同じように見ていた竜人。ザジル・バルボルドはこの交渉を、その日の日記でこう書いている。
『朽木、あいつは場数を踏んでいる』
そこから数行に渡って、ザジルの見解が述べられている。
『アヴェントの父親が経営している北海通運は投資も行っている。主に兵器開発や出版などだ。その際、他のどこよりも多くの資金を出す代わりに商品に北海通運のロゴマーク、つまり商標と名前を入れることを条件としている。別に他のどこよりも多くの資金を出さなくてもいいが、これは投資元が複数ある場合の時、他より優位に立つ為だ。投資を受けた所にとって一番多くの金を出してくれた所の方が優先度が高い。これならロゴマークを付けることも可能だ。
人間界の『株式会社』と似たようなものだ。持っている株の多さ、つまり投資、出資した額の多さで会社の影響力が変わる。
何故このような事をするか。それは宣伝のためだ。
利益を上げるため、宣伝は必要不可欠な物。そしてその本質は物の良し悪しではなく知名度だ。まず会社の名前を知ってもらう必要がある。それが新たな利益を生む第一歩だ。
朽木が十億ゴルド出し、ロゴマークを付ける。
『三毛猫』には軍の研究機関が金で買うほどの技術が使われている。かなり高性能な機体になるのはほぼ間違いないだろう。
完成したそれに朽木のロゴマークがあれば、『三毛猫』の高性能さもあって、世間に対する朽木の知名度は大きく上がる。それが朽木の新たな利益に繋がるだろう。そしてそれに投資しなかったアヴェントの損失は計り知れない。
アヴェントの負けだ。これら全てを、朽木はあの一言で分からせた。その上で、あいつは言った』
「今なら・・・二千万にする。そしてお前が一億出す。それでお前のこのWG開発の最大出資者だ。だから自分のロゴマークを載せることが可能だ。さてd」
「乗った!!!」
「早アアア!!!」
ええ? ええええ?
「プ・・・プライドとか、無いの?」
「俺のビジネスにおいて、プライドはあまり重要ではない!!」
アヴェントは晴れやかな笑顔をして、おれの手を握った。
「これに一億ゴルドだしたら、俺のロゴマークが付けられるんだな!!」
「う、うん」
「そうかそうか、ならいい・・・そうだな、これは明らかに高性能機になるだろう。有名になるのは間違いない。それに俺のロゴマークがあれば・・・は、ははははあは」
・・・こいつ、何者?
「諦めろ朽木、こいつの基準は利益だ」
そう呆れながら言うのはザーフだ。
「昔っからそうだった・・・何も変わっちゃあいない」
そう、何にも変わっていない。そうザーフは言った。
「ああ。俺は変わっていない」
そう、アヴェントが急に真剣な顔で言った。
「真面目な話だが、このWG開発には将来性がある。それに」
アヴェントは言った。
「お前という男にも、興味を持った」
「そうか・・・」
さっきの態度と全然違うのは気のせいだろうか?・・・というかなんかあっさり終わったな。
(『奥の手』必要性無かったな・・・)
まあ、奥の手、と言うよりか交渉材料なんだが。というか俺の本当の総資産だが。
「・・・でも朽木、さっきの貴方の発言、あれ嘘でしょう」
端っこで事の推移を見ていたメルトが呆れながら言った。
「いくらなんでも十二億ゴルドはないでしょう。貴方がそんな額のお金持っているわけが無い。さっきの預金通帳だって嘘でしょう」
・・・ばれますよねさすがに。
「ああ、そうだ。十二億ゴルドではない。ブラフだよブラフ」
「やっぱり。本当は幾ら?」
・・・うん、その事なんだけど。
「千二百億ゴルド」
「「「・・・・・マジで?」」」
マジです。
そうそう。その後気になって、この世界の富豪について調べてみた。そのトップとその総資産は、
メアリー・ブラッド 約二十兆ゴルド
『上には上がいる』という言葉を実感した瞬間だった。
苦しい。
息苦しい。
いや、苦しいとかそういうんじゃなくて、痛い。
肺と喉が痛い。
「み・・・水・・・」
俺はなんとか水場に行き、蛇口を上にして、栓を開けた。
「・・・助かった・・・」
まったく。まさか異世界に来ても、またこれに苦しめられるとは。
聖暦3017年 5月6日 月曜日。12時7分
本日の体育。マラソン。
体力の無い俺にとって、苦行でしかない。
空は雲一つ無い。快晴だ。直射日光ががんがん当たる。眩しい。
(まあ、舗装されているだけマシか)
浜大津総合学校第一グラウンド。
きちんとしたトラックが整備されているため、砂の上より走りやすい。
俺は学校指定のジャージを脱ぎ、半袖になり、トラックの端に行き、走っているやつらを見る。先頭には、
「「うおおおおおおお!!!」」
(お前らオリンピック出ろ。金メダル当確だから)
ザーフとザジルが恐ろしい速さで走っている。まったく息切れしていない。
その後ろを、
「2人とも待ってー・・・」
(ラビー、無理をするな)
ラビラトスがへとへとになりながら走っている。
長髪のせいで頭に熱が篭っているのだろう。汗をたらたら流しながら走っている。
そしてその後ろを、
「ぜえ・・・ぜえ・・・」
(オール、もうリタイアしていいんだぞ)
オールがふらつきながら走って、いやもうほぼ歩いている。
無理して走っているのが目に見えて分かる。
更にその後ろを、
「・・・ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレカイジャリスイギョノ・・・ラ・・ララ・・ララララララララララララララララララララ」
(交野帰ってこーい)
まあ、そんな感じで、俺達はマラソンと言う名の苦行をやっていた。
「・・・中学の時もやってたなあ・・・」
俺は大抵、一番後ろにいて、頃合いを見かねて葛葉と一緒にリタイアしてたな。
あの時も苦行だった。
(体力測定のシャトルラン程では無かったがな!!!)
あれも苦行だと思うの。まあそれはいいとして、
「足が義体でも疲れるんだな・・・)
俺の足、灰色の繊維が剥き出しになっているそれを見る。
今のところ不具合なんかはないし、問題は無いと思う。しかし疑問なのは、
「・・・どうしてこんなに早く慣れることができたんだ?」
普通、こういうのはリハビリを積んでやっと歩けるようになると思うのだが、それに今の俺は、両足の他に左腕が義体で、右目が無い。
それによってバランスが取りにくくなっているはずだが、どういう訳か違和感無く走れる。
(戦技研の技術力の賜物だろうか・・・いや、もしかしてこの義体を作ったのって・・・ん?)
影が生まれた。
さっきまで日が当たってた所に、影が生まれた。そしてその影は、運動場を飲み込んでいった。
雲だろうか、俺は上を見上げた、
雲じゃなかった。
航空艦だ。
「!!!」
大きい。
三胴形(トリマラン)の航空艦。
全長は800mぐらい。それが、艦底部に多くの魔方陣、恐らく気流制御術式を展開して航行していた。
この規模になると、
「まさか・・・『近江山城』?」
「違うな。確かに似ているが、あれはアルマダ級山城型航空巡洋艦三番艦改『伊勢志摩』だ。艦底部に格納砲台とレーダーがある。第二世代改修だ・・・それでも古い発想の航空艦であることに変わりないが」
そう言うのは、眼鏡を掛け、ジャージを着用した青髪のインキュバス。
「アヴェント、分かるのか?」
「ああ、父親の手伝いをしていればすぐ覚えられるよ・・・しかし『近江山城』もそうだがいつ見ても魔改造だな。航空巡洋艦三つにに航空甲板と潜水艦を合体させただけの事はある」
「やっぱり魔改造だったんだあれ・・・」
よくもまあ折れないもんだ。
「どこへ向かっているんだろうか」
「恐らく琵琶湖にあるラファーズの沖島ドッグだろう。この数日、よく航空艦が出入りしている」
「そうなのか?」
「ああ。昨日、『近江山城』が沖島ドッグに入るのを見た・・・かなり大規模な改修作業をやるらしい」
「大規模な改修をやっている?」
「ああ。近日中に同じ山城型の改シリーズ。二番艦改『摂津丹波』四番艦改『讃岐淡路』五番艦改『釧路十勝』六番艦改『若狭越前』七番艦改『周防長門』八番艦改『大隅日向』九番艦改『相模武蔵』がそれぞれ入るとの通達があった」
「そうか・・・おいそれって」
「ああ。山城型航空巡洋艦の改シリーズである9艦全てが五月中にあの沖島ドッグに入る予定だ」
「同型艦全ての一斉大規模改修・・・どういう事だ?」
「分からん・・・それはお前の上司が知っているんじゃないのか? 誰かは知らんが」
「そうだった」
帰ってから局長に聞こう・・・山城型航空艦の名称が日本の地名や旧国名ばかりなのは気のせいだろうか?
「しかしお前もリタイアしたのな」
「当然だ。体が持たん」
こいつも俺と同じ体質か。
「そうだ朽木・・・お前、今日唐橋工廠に行くか?」
「え、ああ。戦技研に寄ってから行くよ。それがどうした?」
「決まっているじゃないか・・・」
アヴェントは笑いながら言った。
「資金」
「忘れてたあああ!!!」
そうだった、こいつ俺達の自作WG開発に資金提供していたんだ。
「先行投資した一億ゴルドだ。情報によればもう使い切ったようだが・・・」
「え? あ、うん」
「ということは・・・何らかの形になったのだろうな」
「ま、まあな」
先日ナーバルの奴が壊したっきりだがな!!!
「今日、唐橋工廠に行く。もし何も出来ていなかったら・・・」
「出来ていなかったら?」
「話し合い、だな」
「話し合い・・・」
嫌な予感しかしないッ!!!
「では今日の放課後、唐橋工廠で会おう。ああ、ナーバルの奴には伝えておいた。連絡する必要は無い」
そう言ってアヴェントは立ち去ろうとし・・・ザーフにスライディングされた。
「困ったことになったね光男君・・・」
「ああ・・・すまないな、お前の研究が生かせる場だと言うのに」
「いいよいいよ・・・でも本当にどうするんだろう」
「さあな・・・」
浜大津総合学校食堂。
俺とオールは昼食を摂りつつ、対策(?)の様なものを検討していた。
「・・・光男君、さっきから思ってるんだけどさ・・・食べすぎじゃない?」
「そうか?」
スパゲッティ五皿ぐらいしか食べてないぞ?それに、
「言うならこいつの方だ」
俺の右隣。白髪緑眼のメイド服を着た少女が、山盛りとかそういうレベルじゃない位の牛丼を一心不乱に食っている。
ていうかアレサだ。
「この子、いつも教室の端っこでメイド服のまま授業を受けているけど・・・なんなの?」
「聞かないでくれ」
まあそれはいいとして、
「一億ゴルドか・・・すぐに用意できる金額じゃないな」
「そうだね・・・技術を売るという手もあるけど、僕の技術は一銭の価値も無いし」
「それは無いだろうオール。オールのあのフレーム技術は凄いものだぞ」
「そう?」
「ああ。俺が認める」
オールが、とたんに驚いた顔をした。
「認める?」
「ああ。認めるよ。戦技研で何週間か研究したからそこらへんは分かる。オールのフレーム技術は凄いよ」
「・・・ありがとう」
そう言うオールの顔は、何だか嬉しそうな顔だった。
「・・・そ、そうだ。光男君、唐橋に行く前に戦技研に行くって言ってたけど、どうして?」
「ああ・・・それはさすがに」
「・・・言えない事?」
「ああ・・・ごめん。これは極秘扱いの件だから」
「いいよいいよ・・・相当まずいの? やっぱり前の襲撃?」
「それも関係しているけどね」
特別輸送列車の件。
一番はそれだ。事が事だけに局長から口止めされている。
研究員を飴で口止めっていったい・・・。
まあ、そういう事で。
「うん。察してくれ」
「うん。分かった・・・何時ぐらいに唐橋に来れそう?」
俺は言った。
「分からん」
「・・・来たか」
俺が唐橋工廠の格納庫に来た時には既にアヴェントが来ていた。
そしてその前で、茶髪の角生やした女子、ナーバルが正座していた。その後ろに『三毛猫』・・・あれ、なんか前よりも酷くなってる?
格納庫の端っこにはメンバーが全員集結して、遠くからその光景を見ていた。
俺は茜に聞いた。
「やっぱり駄目だったか」
「うん。それでナーバルが説教されてたところだよ・・・」
アヴェントが大きなため息をついた。そして言った。
「さて、説教はこれ位にして・・・本題に入ろうか」
来た。俺は身構える。
(とにかく、アヴェントが何を言って来ようが、WG開発の存続させなければ)
ならば交渉だ。交渉してWG開発を存続させる。それがこの場においての俺の目的だ。
俺は交渉が得意ではない。俺のやり方が通用するのは武器商人だけだ。
なんとかして最善の・・・いや違う。
交渉結果は双方にとって可能な限りWIN-WINな結果でなければならないと俺は思っている。
この場合もそうだ。だからこの場で交渉した場合、アヴェントにとってもいい結果で無ければならない。だから、この場においての俺の目的は、
(WG開発を存続させつつ、『奥の手』を使わないようにすることだ!!)
「と、思ったが。後回しにする」
・・・ワッツ?
「ここに来たときから、どうしても言いたいことがあった」
言いたいこと? なんだろうか?
アヴェントは言った。
「ザーフ、何故お前がここにいる」
「何って・・・手伝いだけど」
ザーフの発言、それにアヴェントは間髪入れず食いついてきた。
「ほう・・・手伝い? 奇声発しながらフリークスに輸送艦で特攻する熱血単純馬鹿が手伝いだと?」
「誰が熱血単純馬鹿だ!!」
「お前だよ!!」
アヴェントが大声で突っ込みを入れた。
「お前が手伝うと碌な事にならん!! あの時だってそうだった・・・俺は忘れんぞ、あの冬の大惨事を!!!」
「しょうがなかったろあれは!!」
「もっと他に方法があったろろうが!! お前は自分が熱血単純馬鹿ということを自覚しろ!!」
「ああ自覚しているとも。だがなあ、俺だって学習するんだ!!」
「大人しくなるのと成長するのは全くの別物だ!!」
「ああそうだ。俺は前より大人しくなったし学習した!! だから・・・」
ザーフはガッツポーズをして言った。
「WGに大出力魔力をぶち込んで爆発させたぜ!!!」
「「バカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」」
俺とアヴェントが叫んだ。
(馬鹿? 馬鹿なの? 何やってくれてんの!? 動機だ!! 動機プリーズッ!!!)
「もちろん。これは俺の計算に基づいて行われた実験だ。ナーバルの許可も取った」
「ほう・・・ではどんな試験か言ってみろ・・・」
アヴェントの質問に対して、ザーフは堂々と、あたかも正当な事を言うような顔で言った。
「耐久試験だ!!」
「「!!!???」」
いや・・・違う・・・そうじゃない・・・
「動機だ・・・」
俺は、頭を抱えて座り込んでいるアヴェントの意思を伝える。
「どうして・・・そんなことをした?」
「そりゃお前・・・」
ザーフは言った。
「・・・あれ、なんでやったんだっけな」
うん・・・
「ザーフ、いいか?」
「? なんだ朽木?」
「お前の事、誤解してたようだ」
「どういうことだ?」
俺は叫んだ。
「お前馬鹿だろォ!!!!!」
「今更」
「ああホンッと今更ってタリヌゥ!!??」
いつのまにかタリヌがいた。いやもしかして最初からいたの!?
「おま、何故ここにいる!?」
「いやー、レーダー関係強いっていうからさあ・・・ちょっと手伝ってもらおうと」
そう、苦笑いしながらナーバルは言った・・・いやいいのかそれ!?タリヌがレーダー関係に詳しいって初耳なんだけど。
「タリヌ、詳しいのか」
「詳しい」
自分で言っちゃったよ。
「でも、アヴェントの要求次第」
「・・・そうだな。では言わせて貰おう」
アヴェントの要求は俺の予想通りだった。
アヴェントは真剣な顔で言った。
「渡してた一億ゴルド・・・それに二千万ゴルド追加で返してもらおう」
来た。
俺はナーバルが何か言う前に始める。
「合計一億二千万ゴルド、払えと?」
「ああそうだ。払えるか?」
「ちなみに渡してくれた一億ゴルド。どこから出した?」
「俺のポケットマネーだ・・・」
「・・・・・」
ポケットマネーでしたかそうでしたか。
「で、それがどうした」
「いや、何にも」
これでアヴェントはこちらの存在を完全認識した。
ここからだ。へまを踏まないように、俺の交渉術(口で言えないところ用)を実行させてもらおう。
まず結論。言葉は短く。
「払おう」
「・・・払う?」
「ああ。俺が払おう。一億二千万ゴルド。そして」
俺は言った。
「俺はこのWG開発に十億ゴルド出そう」
博打の時間じゃゴルアアアアア!!!
「・・・十億ゴルド、だと?」
「ああそうだ。十億ゴルド・・・安心しろ、一億二千万ゴルドは別に払う」
「どこにそんな金がある!!」
「ほらよ」
俺は銀行の預金通帳を渡す。
その内容を見たアヴェントの顔色が変わった。
「・・・十二億五千万ゴルド・・・だと?」
「それが俺の資金だ。なに、一億ゴルドぐらいあれば十分生きていける」
「・・・分かった。一億二千万ゴルドはお前から貰おう。それでこの話は終わりだ」
「これ以上の資金提供はしないと?」
「ああ」
「・・・本当に、いいのか?」
「どういうことだ」
俺は、ある人物に書いてもらった領収書を渡す。
「領収書・・・イラクス・アーノイド戦略機動隊技術研究局局長!?」
「それは戦技研が俺に金を支払い、俺が、俺の開発した魔力技術を使用することを認めた事を証明する物だ。その金額は・・・まあ、見ての通りだ」
「十二億ゴルド・・・いったいお前はどうやって・・・」
「どうもしないよ、俺の開発した魔力技術を局長に見せたら、『是非買わせてくれ!!』って言われて」
「だが、それがどうした」
「実はこの技術・・・開発中のこのWG(三毛猫)にも使っている」
「それが?」
「分からないのか? 戦技研の局長が十二億ゴルドの価値をつけた技術がこのWGには使われている。もっと言えば、俺が今回買ってもらった技術はこのWGの末端の末端に使われている。中枢あたりの技術は・・・低く見積もって一兆はいくだろう。それだけの技術が、このWGには使われている・・・いや、予定ではもっと高度な技術も導入する予定だ」
「・・・凄いWGだと言うのは分かった。しかしだ。そう言うのなら、お前が払えばいいじゃないか」
掛かった。
「・・・そうだな。俺が払えばいい・・・但しそうなると」
俺は言う。
「俺がこのWG開発の最も多くの資金を提供したことになる」
つまり
「俺が『ロゴマーク』を付ける権利を持つことができるが・・・いいのか?」
この光景を他と同じように見ていた竜人。ザジル・バルボルドはこの交渉を、その日の日記でこう書いている。
『朽木、あいつは場数を踏んでいる』
そこから数行に渡って、ザジルの見解が述べられている。
『アヴェントの父親が経営している北海通運は投資も行っている。主に兵器開発や出版などだ。その際、他のどこよりも多くの資金を出す代わりに商品に北海通運のロゴマーク、つまり商標と名前を入れることを条件としている。別に他のどこよりも多くの資金を出さなくてもいいが、これは投資元が複数ある場合の時、他より優位に立つ為だ。投資を受けた所にとって一番多くの金を出してくれた所の方が優先度が高い。これならロゴマークを付けることも可能だ。
人間界の『株式会社』と似たようなものだ。持っている株の多さ、つまり投資、出資した額の多さで会社の影響力が変わる。
何故このような事をするか。それは宣伝のためだ。
利益を上げるため、宣伝は必要不可欠な物。そしてその本質は物の良し悪しではなく知名度だ。まず会社の名前を知ってもらう必要がある。それが新たな利益を生む第一歩だ。
朽木が十億ゴルド出し、ロゴマークを付ける。
『三毛猫』には軍の研究機関が金で買うほどの技術が使われている。かなり高性能な機体になるのはほぼ間違いないだろう。
完成したそれに朽木のロゴマークがあれば、『三毛猫』の高性能さもあって、世間に対する朽木の知名度は大きく上がる。それが朽木の新たな利益に繋がるだろう。そしてそれに投資しなかったアヴェントの損失は計り知れない。
アヴェントの負けだ。これら全てを、朽木はあの一言で分からせた。その上で、あいつは言った』
「今なら・・・二千万にする。そしてお前が一億出す。それでお前のこのWG開発の最大出資者だ。だから自分のロゴマークを載せることが可能だ。さてd」
「乗った!!!」
「早アアア!!!」
ええ? ええええ?
「プ・・・プライドとか、無いの?」
「俺のビジネスにおいて、プライドはあまり重要ではない!!」
アヴェントは晴れやかな笑顔をして、おれの手を握った。
「これに一億ゴルドだしたら、俺のロゴマークが付けられるんだな!!」
「う、うん」
「そうかそうか、ならいい・・・そうだな、これは明らかに高性能機になるだろう。有名になるのは間違いない。それに俺のロゴマークがあれば・・・は、ははははあは」
・・・こいつ、何者?
「諦めろ朽木、こいつの基準は利益だ」
そう呆れながら言うのはザーフだ。
「昔っからそうだった・・・何も変わっちゃあいない」
そう、何にも変わっていない。そうザーフは言った。
「ああ。俺は変わっていない」
そう、アヴェントが急に真剣な顔で言った。
「真面目な話だが、このWG開発には将来性がある。それに」
アヴェントは言った。
「お前という男にも、興味を持った」
「そうか・・・」
さっきの態度と全然違うのは気のせいだろうか?・・・というかなんかあっさり終わったな。
(『奥の手』必要性無かったな・・・)
まあ、奥の手、と言うよりか交渉材料なんだが。というか俺の本当の総資産だが。
「・・・でも朽木、さっきの貴方の発言、あれ嘘でしょう」
端っこで事の推移を見ていたメルトが呆れながら言った。
「いくらなんでも十二億ゴルドはないでしょう。貴方がそんな額のお金持っているわけが無い。さっきの預金通帳だって嘘でしょう」
・・・ばれますよねさすがに。
「ああ、そうだ。十二億ゴルドではない。ブラフだよブラフ」
「やっぱり。本当は幾ら?」
・・・うん、その事なんだけど。
「千二百億ゴルド」
「「「・・・・・マジで?」」」
マジです。
そうそう。その後気になって、この世界の富豪について調べてみた。そのトップとその総資産は、
メアリー・ブラッド 約二十兆ゴルド
『上には上がいる』という言葉を実感した瞬間だった。
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