あなたは一体誰ですか?

らがまふぃん

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番外編 劇的☆びふぉーあふたー

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 「羨ましいことですね、殿下。あなたのような方でも、皇族と言うだけで守られて。誰も近付こうともしないことを、あまり使用されない頭でお考えになった方がよろしいかと愚考いたします」

 皇族のとある夜会での出来事。

 子爵家の次男、おまえの発言は、本当に愚考であり、愚行だ。思わず吹き出しそうになり、グッと堪える。震えまでは止められなかったが仕方がない。
 何も出来ない怠惰な僕は、皇族という身分だけの男であると。身分だけはどう足掻いても勝てないけれど、身分が上そんな人間こそを、貶めて優越感に浸りたいのか。上の人間を下に見ることで得られる優越感モノがある人間。

 メリオラーザは伯爵家。
 コイツは子爵家。

 よし、潰そう。

 サッと周囲を探るが、誰もいない。僕の右手が次男の口を塞ぐように、両頬を掴む。

 「むぐうぅっ?!」
 「ビズ」

 誰もいないはずの廊下に話しかける。

 「ビズ。今回の噂は、“身分しか取り柄のない第四皇子とからかわれ、何も言い返せず震えていた情けない皇子”、だよ」

 側近のビズは、顔をしかめる。姿は見えないが、それがありありと伝わってくる。

 「そんな顔しないの。ああ、子爵家自体はまだ様子見でいい」

 それだけ伝えると、空き部屋に次男を引きずり込んだ。

 部屋に入ると、次男を投げ捨てるように手を離す。床に倒れ込む次男は、目を白黒させている。まったく状況が把握出来ていない。その状態の内に、次男のポケットからハンカチを取り出し、丸めてその口に突っ込んだ。ジャケットを着させたまま両肩から外し、肘の辺りで止めておく。これで両腕は動かせない。素早く次男のベルトを抜き取ると、それで足首を拘束する。

 「さて、子爵家の次男」

 次男は驚いている。僕が、コイツのことを誰だかわからないと思っていたのだろう。

 「おまえには二つ、選択肢がある」

 次男を見下ろしながら、指を一つ立てた。

 「ひとつ。私の実験台となり、生きて子爵家へ帰る」

 二本目の指を立てる。

 「ひとつ。私の実験台となり、死んで子爵家へ帰る」

 実験台は確定。生きて帰るか死んで帰るか。

 「もう一度聞く。選んだ方に頷け」

 次男はワケがわからなすぎて、抵抗らしい抵抗も見せない。所詮その程度の器なのだ。瞬時に状況を把握出来ず、頭も切り換えられない。だから、提示された二択からしか選べない。選ぶことしか出来ない。

 「そう。生きていたいんだね。いいよ」

 僕は嗤う。

 「ああ、実験台になる時間は、この夜会が終わるまで」

 まだまだ時間はある。

 「お互い、楽しもうか」

………
……


 「次男は、監視付きアフターケア。とりあえず三ヶ月。になったら報せてね」

 自室でビズに湯浴みをされながら伝える。

 「あーあ。リオとゆっくりしたかったのに、とんだ邪魔が入った」
 「ティシモ嬢の方は問題なく」
 「それなら良かった。リオには、僕以外のことで煩わされることはないようにしたいからね」



 子爵家の次男は、少々やんちゃなところがあった。それは家族に向けられるもので、外に向けていなかったために、子爵家は問題にすることはなかった。だが、そういう性質を持っている者なのだ。何をきっかけに、それが表に出てしまうかわからない。それを、子爵家は危惧するべきだった。いや、しなかったから良かったのか。

 カダージュの手によりを施された次男は、些細な物音にも怯え、小動物のように目を潤ませる、愛くるしい人物へと変貌を遂げたのでした。




*おしまい*
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