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そのじゅう
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隻眼が、心の底からの殺意を容赦なくハウメルにぶつけてきたのだ。
愛して止まないジュエル様の側に自分以外がいることなど考えられない、耐えられない、許さないし、赦さない。けれど、貴様如きがジュエル様の発言を否定することなどあってはならないし、あり得ない。
そんな思いが、ありありと伝わってきた。
これは、敬愛なのだろうか。狂愛、の、間違いではないか。
ハウメルは震えが止まらない。捕食者と被捕食者どころではない。
カイン対ハウメル。
普通なら、ハウメルなど目にさえ止まらなかった。それなのに、何の因果か視界に入ってしまい、命が風前の灯火となっている。蟻にさえ、全力で叩き潰してきそうな恐ろしさがある。きそう、ではない。全力で叩き潰す。間違いない。
受けても地獄、断っても地獄。
ならば。
ハウメルは、今にも意識を失って倒れそうになりながら、正に命懸けで口を開いた。
「み、身、に、余る、お言葉、誠に、あ、あり、がたき、幸せ、に、ござい、ます。わた、し、は、覇王、様の、盾に、すら、なれない、未熟という、言葉すら、烏滸がま、しいほどの、矮小な、存在に、ございます。そのよう、な、この、矮小な身が、勘違い、するような、お、お、お戯、れ、は、あま、りに、酷、かと」
冗談だということにして欲しい。
紙のように白くなったハウメルが、深く深く頭を下げながらそう言うと、
「おやおや、よく自分をわかっているようで何よりですね。真に受けるような愚か者であれば、私自ら手塩にかけて絶望の中で死んでいただこうと思っておりましたが」
カインが感心したようにそう言った。
良かった。どんな絶望が待っていたのかは知りたくない。本当に良かった。
何とか及第点をもらえたようで、ハウメルは心の底から安堵し、そのまま意識が暗転した。
親切心というか、人として当然の行動をしたがために、これほどまでに恐ろしい目に遭うなど、誰が想像出来ただろう。憐れなハウメルが、とにかく生き延びてくれて良かったと、誰もが思った。
そんなみんなの思いを知る由も当然なく、魔法の国の二人は会話を続けている。
「たまにはか弱いペットを飼ってみようと思ったのだが」
「あなた様に群がるモノは、すべて噛み殺して見せましょう」
昏く笑うカイン。
「独占欲の強い駄犬だ」
楽しそうに笑うジュエル。
「当然です。あなた様にすべてを捧げるのは私だけでいいのです。そう思っている者は星の数ほどいるでしょう。ですが、私が赦しません。その栄誉を受けられるのは、私だけでいいのです」
ジュエルが右手を伸ばすと、カインは腰を屈めてその手に首を差し出す。ジュエルはその首をグッと引き寄せた。
赤くなるカインを見て上機嫌になったジュエルは、ワインレッドの眼帯を優しく撫でる。
すべてを捧げると誓った証が、この眼帯の奥にある。
それを思うだけで、ジュエルは舌舐めずりをした。
「最高にいい女だ、カイン」
*つづく*
愛して止まないジュエル様の側に自分以外がいることなど考えられない、耐えられない、許さないし、赦さない。けれど、貴様如きがジュエル様の発言を否定することなどあってはならないし、あり得ない。
そんな思いが、ありありと伝わってきた。
これは、敬愛なのだろうか。狂愛、の、間違いではないか。
ハウメルは震えが止まらない。捕食者と被捕食者どころではない。
カイン対ハウメル。
普通なら、ハウメルなど目にさえ止まらなかった。それなのに、何の因果か視界に入ってしまい、命が風前の灯火となっている。蟻にさえ、全力で叩き潰してきそうな恐ろしさがある。きそう、ではない。全力で叩き潰す。間違いない。
受けても地獄、断っても地獄。
ならば。
ハウメルは、今にも意識を失って倒れそうになりながら、正に命懸けで口を開いた。
「み、身、に、余る、お言葉、誠に、あ、あり、がたき、幸せ、に、ござい、ます。わた、し、は、覇王、様の、盾に、すら、なれない、未熟という、言葉すら、烏滸がま、しいほどの、矮小な、存在に、ございます。そのよう、な、この、矮小な身が、勘違い、するような、お、お、お戯、れ、は、あま、りに、酷、かと」
冗談だということにして欲しい。
紙のように白くなったハウメルが、深く深く頭を下げながらそう言うと、
「おやおや、よく自分をわかっているようで何よりですね。真に受けるような愚か者であれば、私自ら手塩にかけて絶望の中で死んでいただこうと思っておりましたが」
カインが感心したようにそう言った。
良かった。どんな絶望が待っていたのかは知りたくない。本当に良かった。
何とか及第点をもらえたようで、ハウメルは心の底から安堵し、そのまま意識が暗転した。
親切心というか、人として当然の行動をしたがために、これほどまでに恐ろしい目に遭うなど、誰が想像出来ただろう。憐れなハウメルが、とにかく生き延びてくれて良かったと、誰もが思った。
そんなみんなの思いを知る由も当然なく、魔法の国の二人は会話を続けている。
「たまにはか弱いペットを飼ってみようと思ったのだが」
「あなた様に群がるモノは、すべて噛み殺して見せましょう」
昏く笑うカイン。
「独占欲の強い駄犬だ」
楽しそうに笑うジュエル。
「当然です。あなた様にすべてを捧げるのは私だけでいいのです。そう思っている者は星の数ほどいるでしょう。ですが、私が赦しません。その栄誉を受けられるのは、私だけでいいのです」
ジュエルが右手を伸ばすと、カインは腰を屈めてその手に首を差し出す。ジュエルはその首をグッと引き寄せた。
赤くなるカインを見て上機嫌になったジュエルは、ワインレッドの眼帯を優しく撫でる。
すべてを捧げると誓った証が、この眼帯の奥にある。
それを思うだけで、ジュエルは舌舐めずりをした。
「最高にいい女だ、カイン」
*つづく*
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