精霊の使い?いいえ、違います。

らがまふぃん

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3.

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こちらの話は、前半に非常に不快で残酷な表現があります。
ラーナのシーナに対する精神的嫌がらせ(の度を超えていますが)をしている話ですので、苦手な方は後半部分の*~*~*~*~*より下からお読み下さい。


∴∽∴∽∴∽∴∽∴


 「ねぇ、わたくし、おまえに聞きたいことがあるのよ」
 ある日、とても珍しくラーナがシーナの部屋を訪ねた。
 「はい、おねぇさま」
 床に座って何やらしていたシーナは、ラーナが来ると立ち上がって駆け寄った。
 「ああ、ダメダメ。わたくしをお姉様なんて呼んではダメ」
 ラーナはそんなシーナのお腹を強くつねる。
 「いたい、やめて、おねぇさま」
 「痛くしているんだもの、当然よ。お姉様と呼んではダメと言っているのに。おまえは本当におバカさんねぇ」
 抓る指が、さらに爪を立てた。
 「いたい、ごめんなさい、おねぇさまっていわないわ、ごめんなさい、おねぇさま」
 「本当にバカな子。まあいいわ。話が進まないから」
 呆れて溜め息をくと、ラーナは手を離して笑った。
 「おまえ、何のために生きているの?」
 シーナは首をかしげる。
 「ねぇ、おまえは、誰からも疎まれて邪魔者にされて除け者にされて」
 シーナは首を今度は反対側に傾げる。通常、三歳の幼児にラーナの言葉は通じない。六歳の子どもは、ラーナのような語彙力もない。
 「誰からも必要とされていないおまえが、生きている意味って何なのかしら。生きていて恥ずかしくないの?」
 「ねー」
 シーナはニコニコと返事をした。
 「ふふ。本当におまえは、心の底から価値のない人間だと思うわ」
 「えへへ。だいじょぶよー」
 ラーナはシーナの足を思い切り踏んで、笑顔で部屋を出ていった。
 シーナはそれでも、ニコニコとラーナに手を振って見送った。


*~*~*~*~*


 シーナは十四歳になっていた。
 相変わらずシーナは家族からつまはじきにされ、六歳になった頃には王都を離れ、療養の名目で領地に押し込められていた。
 体裁からだろう、食事を与えられないということはなかったが、様子を見に領地に来ることもなかった。そうして存在がないかのように扱われていた。


 アビアント侯爵家サロンにて。
 「あの子、このまま学園に入れるのは嫌ですわ、旦那様」
 夫人が侯爵に言った。貴族の子どもは、十五になる歳から二年、学園に通う。学園を卒業すると、成人デビュタントを迎える。デビュタント前の小さな社交の場が学園だ。
 勉強が出来ない、マナーがなっていない、ダンスも下手。それに加え、ひとりでよく喋っている。突然笑ったり怒ったりもする。その奇行により、とても人前になど出せるものではなく。
 「シーナアレは我が家の恥にしかならん。だがアレの存在は周知の事実。学園に入れないことで何を言われるか」
 つくづく目障りな存在よ、と侯爵は忌々しく吐き捨てた。
 「更に悪いことに、王女殿下もアレと一緒に入学ですからね」
 嫡男ユーリの言葉に夫妻が顔をしかめる。
 高位貴族は、王族と縁を結ぶチャンスを逃さないため、王妃や側妃が懐妊すると、二、三年はベビーラッシュになる。その例にもれず自分たちが動いた結果なのだが。
 美しく聡明な長女ラーナは、第一王子の婚約者の座を見事射止めた。第一王子と同い年は嫡男のユーリ。ラーナは第二王子の一つ下だったのだが、第二王子ではなく第一王子が婚約者となったことは、世間を驚かせた。そのことから、アビアント侯爵家の面々は鼻が高かった。だが、それ故余計にシーナの存在が邪魔になる。あと半年でラーナの結婚式だというのに、シーナの奇行を知られたらご破算になりかねない。それどころか、そんな家族がいたことを報告していなかったということで、何らかの賠償問題にまで発展しかねない。シーナのことは、な妹が領地にいる、と報告しているだけ。その奇行が外部にもれないよう、すべてたったひとりの侍女に任せていた。
 領地に行かせる頃にはその進捗状況から、家庭教師をつけても無駄だと感じ、放置していた。
 「このまま体が弱いということで、通わせないのは如何でしょう」
 「そうですわね。王都の空気は体に障るということで、よろしいのではないでしょうか」
 ユーリの言葉に夫人も頷いた。

 だが。



*つづく*
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