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レイガード新王即位編
7
本当にもう勘弁してくれ。
前王と新王ディアンが内心、頭を抱えた。
ディレイガルドを怒らせるなと言っているだろう、と怒鳴り散らしてやりたい衝動に駆られる。
“王宮での祝い事で騒ぎを起こすとは何事か”、でも、“他国からの要人が大勢来ているのに恥を晒すとは”、でも、“即位直後に何してくれてるの”、でもない。そんなことより何よりも真っ先に頭に浮かぶのは、“ディレイガルドを怒らせるなんて”、だった。
外からやって来た衛兵が、会場の扉を警護する衛兵に定期報告を装い、サインを送ると持ち場へと戻る。平静を装う扉前の衛兵が、王族やその側近にサインを送ると、全員一瞬驚きに目を見開く。
ディレイガルド嫡男が、ヤバイ。
前王とディアンは顔を引き攣らせた。
今はディアン新王即位の祝賀会。各国から要人が集まっている。要人たちに緊急事態を悟られてはならない。前王は第二王子改め第一王弟メラルディと第二王弟カルセドにサインを送ると、二人も頷いた。
他国の要人をとにかく避難させなくては。メラルディとカルセドは、側近たちを使って要人たちをサロンへと案内するよう動き出す。メラルディとカルセドは、そのままサロンで要人たちの迎えが来るまでもてなす手筈である。何かがあったと悟られないよう、別の目的でサロンに集められたと思わせるよう動く。
ディレイガルド参加の式典や夜会は、他国の要人もいることが多い。自国の貴族がいるだけであれば、やらかした貴族がやられればいいし、それを他の者たちは戒めとすればいい。だが、他国がいてはそれもままならない。国内のトラブルを他国に晒すわけにはいかない。何がきっかけで他国とのトラブルに発展するかわからないからだ。ディレイガルドから指示がない限り、騒動は隠蔽する。そのため、王家は何かがあったときのために、他国要人誤魔化しプランをいくつも用意していた。
前王とディアンは、思わず深いため息を吐いてしまった。他国向け対策が無駄になるからやめて、と側近は呆れ顔だが、気持ちはわかる。自分もサインを見たとき、同じように溜め息が出たから、と。
だが、ディアンは気付く。
招いた要人は、当然すべて把握している。
厄介だな。
ディアンは内心舌打ちをし、気付いたことを前王に耳打ちをする。前王も苦い顔をした。
「私が行こう。父上はこのまま夜会をお続けください」
すぐにディアンが動く。
「だが主役がいなくなるのはどうだ」
前王は悩みながら声をかける。
自分が行くのはイヤだけど、主役が抜けるのはよろしくない。父、頑張る。
そう思ったが、ディアンは首を振る。
「次代のディレイガルドと付き合っていくのは私ですからね。少しでも為人を把握したいので」
前王は、なるほど、と頷いた。安堵の表情が漏れてしまうのは仕方がない。
「頼もしい限りだ。では頼んだぞ」
ディアンは一礼して席を離れた。
会場を出ると、すぐに衛兵が側に来た。
報告内容はこうだ。
ディレイガルド嫡男夫妻は会場から姿が見えなくなっていたが、奥方と庭園を見に行っていたようだ。そこで、トラブル発生。カーレインド国の侯爵家が、アリスに何かをしようとしたらしい。
ディアンの気付き通り、自国ではなくカーレインドが騒ぎを起こしてしまった。
もう、ホントおとなしくしてっ!
頭を掻き毟りたくなったディアンであった。
*幕間を挟んでつづく*
前王と新王ディアンが内心、頭を抱えた。
ディレイガルドを怒らせるなと言っているだろう、と怒鳴り散らしてやりたい衝動に駆られる。
“王宮での祝い事で騒ぎを起こすとは何事か”、でも、“他国からの要人が大勢来ているのに恥を晒すとは”、でも、“即位直後に何してくれてるの”、でもない。そんなことより何よりも真っ先に頭に浮かぶのは、“ディレイガルドを怒らせるなんて”、だった。
外からやって来た衛兵が、会場の扉を警護する衛兵に定期報告を装い、サインを送ると持ち場へと戻る。平静を装う扉前の衛兵が、王族やその側近にサインを送ると、全員一瞬驚きに目を見開く。
ディレイガルド嫡男が、ヤバイ。
前王とディアンは顔を引き攣らせた。
今はディアン新王即位の祝賀会。各国から要人が集まっている。要人たちに緊急事態を悟られてはならない。前王は第二王子改め第一王弟メラルディと第二王弟カルセドにサインを送ると、二人も頷いた。
他国の要人をとにかく避難させなくては。メラルディとカルセドは、側近たちを使って要人たちをサロンへと案内するよう動き出す。メラルディとカルセドは、そのままサロンで要人たちの迎えが来るまでもてなす手筈である。何かがあったと悟られないよう、別の目的でサロンに集められたと思わせるよう動く。
ディレイガルド参加の式典や夜会は、他国の要人もいることが多い。自国の貴族がいるだけであれば、やらかした貴族がやられればいいし、それを他の者たちは戒めとすればいい。だが、他国がいてはそれもままならない。国内のトラブルを他国に晒すわけにはいかない。何がきっかけで他国とのトラブルに発展するかわからないからだ。ディレイガルドから指示がない限り、騒動は隠蔽する。そのため、王家は何かがあったときのために、他国要人誤魔化しプランをいくつも用意していた。
前王とディアンは、思わず深いため息を吐いてしまった。他国向け対策が無駄になるからやめて、と側近は呆れ顔だが、気持ちはわかる。自分もサインを見たとき、同じように溜め息が出たから、と。
だが、ディアンは気付く。
招いた要人は、当然すべて把握している。
厄介だな。
ディアンは内心舌打ちをし、気付いたことを前王に耳打ちをする。前王も苦い顔をした。
「私が行こう。父上はこのまま夜会をお続けください」
すぐにディアンが動く。
「だが主役がいなくなるのはどうだ」
前王は悩みながら声をかける。
自分が行くのはイヤだけど、主役が抜けるのはよろしくない。父、頑張る。
そう思ったが、ディアンは首を振る。
「次代のディレイガルドと付き合っていくのは私ですからね。少しでも為人を把握したいので」
前王は、なるほど、と頷いた。安堵の表情が漏れてしまうのは仕方がない。
「頼もしい限りだ。では頼んだぞ」
ディアンは一礼して席を離れた。
会場を出ると、すぐに衛兵が側に来た。
報告内容はこうだ。
ディレイガルド嫡男夫妻は会場から姿が見えなくなっていたが、奥方と庭園を見に行っていたようだ。そこで、トラブル発生。カーレインド国の侯爵家が、アリスに何かをしようとしたらしい。
ディアンの気付き通り、自国ではなくカーレインドが騒ぎを起こしてしまった。
もう、ホントおとなしくしてっ!
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*幕間を挟んでつづく*
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