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第16話
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リリアナが恐れていたそれは突然やって来た。
いつものように、ルシファーの部屋の掃除をしていた時だった。
庭から爆発音がし、シエラが「見てきます。」と姿を消してからなかなか帰ってこないことを心配し庭へ向かいリリアナはその光景を見て足を止める。
「…エリー離れろ。」とルシファーは言うがその目は柔らかく、本気で嫌がってはいない。
ルシファーに抱きついている女性は「えー、嫌よ。」と可愛らしく微笑みルシファーを見つめる。
「リリアナ様!」
リリアナがその光景を見ていることに気づいたシエラが慌てたようにリリアナに駆け寄る。
「リリアナ…?」
先程まで、ルシファーに抱きついていたエリーという女性がリリアナという名前に反応しこちらに近づいて来る。
「へー、貴女がお気に入りの、おもちゃ…。」と上から下までまるで品定めするかのように見られリリアナは居たたまれなくなりただ、俯くことしかできなかった。
「なぁーんだ。ルシファーお兄様のお気に入りができたとか噂が立ってるからどんな子かと思ったら…心配して損しちゃった。」ときゃっきゃと笑い。
リリアナに興味が無くなったのか、またルシファーにべったりとくっつき、こっちの存在は目に入らないと言いたげだ。
リリアナは色々起きすぎて未だにこの状況についていけていなかった。
「リリアナ。」と名前を呼ばれハッとし、ようやく我に返り、すぐに微笑みを浮かべ「何でしょう。ルシファー様。」と答える。
それにいち早く反応したのはルシファーではなくエリーだった。
「私のルシファーお兄様のお名前を気安く呼ばないでくれる?」
さっきまでの優しい瞳が嘘のだったかのように今リリアナに向けられている目は殺気さえこもっているように見える。
「…おい。エリー。」とエリーを嗜めるように名を呼ぶ。
「だって!」と愛らしく頬を膨らませる姿は先程まで殺気を出していた人物と同一人物だろうか。
「婚約者の私を差し置いて話そうとするんだもん!」
エリーのその言葉にリリアナはスーと血の気が引いていくのを感じた。
「婚約者…様なのですか?」
「そうよ!だから…」と何か言おうとするエリーに「申し訳ありません。私は今、ルシファー様に聞いています。」とエリーの言葉を止め、ルシファーを見つめる。
「あぁ、親が決めた婚約者だが、一応正式ではあるな。」とさも当然のように答える。
リリアナは頭が真っ白になっていくのを感じながら「…そう、ですか…。」と言い残しその場を立ち去る。
「リリアナ様!」というシエラの声が聞こえた気がしたが今のリリアナに届くことはなかった。
いつものように、ルシファーの部屋の掃除をしていた時だった。
庭から爆発音がし、シエラが「見てきます。」と姿を消してからなかなか帰ってこないことを心配し庭へ向かいリリアナはその光景を見て足を止める。
「…エリー離れろ。」とルシファーは言うがその目は柔らかく、本気で嫌がってはいない。
ルシファーに抱きついている女性は「えー、嫌よ。」と可愛らしく微笑みルシファーを見つめる。
「リリアナ様!」
リリアナがその光景を見ていることに気づいたシエラが慌てたようにリリアナに駆け寄る。
「リリアナ…?」
先程まで、ルシファーに抱きついていたエリーという女性がリリアナという名前に反応しこちらに近づいて来る。
「へー、貴女がお気に入りの、おもちゃ…。」と上から下までまるで品定めするかのように見られリリアナは居たたまれなくなりただ、俯くことしかできなかった。
「なぁーんだ。ルシファーお兄様のお気に入りができたとか噂が立ってるからどんな子かと思ったら…心配して損しちゃった。」ときゃっきゃと笑い。
リリアナに興味が無くなったのか、またルシファーにべったりとくっつき、こっちの存在は目に入らないと言いたげだ。
リリアナは色々起きすぎて未だにこの状況についていけていなかった。
「リリアナ。」と名前を呼ばれハッとし、ようやく我に返り、すぐに微笑みを浮かべ「何でしょう。ルシファー様。」と答える。
それにいち早く反応したのはルシファーではなくエリーだった。
「私のルシファーお兄様のお名前を気安く呼ばないでくれる?」
さっきまでの優しい瞳が嘘のだったかのように今リリアナに向けられている目は殺気さえこもっているように見える。
「…おい。エリー。」とエリーを嗜めるように名を呼ぶ。
「だって!」と愛らしく頬を膨らませる姿は先程まで殺気を出していた人物と同一人物だろうか。
「婚約者の私を差し置いて話そうとするんだもん!」
エリーのその言葉にリリアナはスーと血の気が引いていくのを感じた。
「婚約者…様なのですか?」
「そうよ!だから…」と何か言おうとするエリーに「申し訳ありません。私は今、ルシファー様に聞いています。」とエリーの言葉を止め、ルシファーを見つめる。
「あぁ、親が決めた婚約者だが、一応正式ではあるな。」とさも当然のように答える。
リリアナは頭が真っ白になっていくのを感じながら「…そう、ですか…。」と言い残しその場を立ち去る。
「リリアナ様!」というシエラの声が聞こえた気がしたが今のリリアナに届くことはなかった。
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