8 / 48
一章
7話 ~仲直りには~
しおりを挟む
「お待たせいたしました。殿下。」
「あぁ」
どうやら優しい王子になるのはやめたようだ。クラウドは気まずそうにカトレアをみて目が合えば目をすごい速さでそらす。
「……………。」
「……………。」
沈黙が痛い…。
さっきから殿下は落ち着かない様子だし。ガイは殿下を睨んでるし。耐えられないんだけど、良いよね。殿下が黙るなら私が話しても良いよね?
「殿下。」
クラウドはビクっと肩をはねらせる。
とって食うわけじゃないのに。
「…な、なんだ。」
「殿下がお話にならないのでしたら、私から話してもよろしいですか。」
「あぁ、かまわないが。」
殿下のお許しが出たので言わせていただこう。
「頭に血が上ったからといって、頬を叩いてしまい申し訳ありません。」
カトレアは立ち上がると美しく礼をする。そして、頭を上げクラウドの目を捉える。
クラウドは謝罪されると思っていなかったのか目を見開く。
「…ですが、ガイを庇った事も殿下をお叱りした事も後悔はしておりませんし、訂正するつもりもありません。ですから、どんなお叱りも受けるつもりです。」
両親に迷惑をかけるのは申し訳ないがどうしても訂正する気にはなれなかった。
公爵令嬢としては、謝罪すべきなのだろう。
それでも、カトレアは自分の気持ちを曲げなかったのだ。
「……かった……。」
ん?
あまりに小さな声で聞き取れなかった。
「えっと…、申し訳ありません。聞こえませんでした。」
「…だから、悪かったと言っている!」
「……………。」
…まさかの逆ギレ?
謝った事を褒めるべきか、人生経験が上の者として、注意すべきか。
カトレアはなんとも言えないといった反応しかできなかった。それが気に入らなかったのか、クラウドの眉間にシワが寄る。
「…クラウド様。カトレア様に醜態をされしているからと言ってこれ以上、さらしてどうするんですか。」とクラウドの護衛が呆れたようにクラウドを叱る。
容赦ないわぁ。
クラウドの護衛であるジェンがさっきまで黙っていたのに主人の不器用加減に痺れを切らし呆れたようにため息を吐く。
クラウドはというと決まりが悪そうにより一層シワを深める。
確か、小説でもジェンは出てくる。
クラウドの護衛兼教育係であり、そして、クラウドの兄的ポジションだったはずなのに、なぜドSキャラに?殿下も王子キャラだった筈なのに残念キャラだし、小説とは異なってるんだろうか?それなら、良いことなんだけど、なんか納得できない。ヒロインの相手が残念王子ってなんか、やだ。
「…カトレア嬢。」
「は、はい。」
考え事に没頭しすぎて急に名前を呼ばれ驚いてしまった。
「すまなかった。俺は、一つの命も大切にできない最低な人間になるとこだった。それを止めてくれたお前に怒鳴り本当に悪かった。ガイと言ったか。…酷いことを言って怪我を負わせようとしてすまなかった。」
クラウドの瞳からは嘘は見えなかった。
今度は百点満点だ。
今まで、謝ることのなかった殿下がここまでちゃんと謝れると思わなかった。
本当は素直なんだな子何だと思う。
カトレアは表情が緩みそうになるのを抑える。
クラウドは照れ臭そうに頬をかいてそっぽを向く。こう見ると年相応の男の子だ。
「…私は気にしていません。ガイもこのとおりすっかり治りましたし。」
ガイを見ると興味を無くしたのか眠りについていた。
一体何しにきたのやら。まぁ、可愛いから良いけどね。
でも、話ってこれだけ?
待っても、クラウドが話す気配はない。むしろ清々しい顔をしている。
「…あの、今日の訪問はそれだけでしょうか。」
いつまでたっても、罰の話が出ることがなく痺れを切らしたカトレアは遠回しに聞いてみる。
「あぁ、そうだが。」
「他に何かあるのか」と不思議そうに聞いてくる。
えぇ、あるでしょう?!あるよね?私が気にしすぎなの?
「婚約破棄はどう致しますか?出来れば、殿下からして頂ければ嬉しいのですが。」
「あぁ、そうだったな。」
今思い出したと言わんばかりのセリフだ。
自分から言ったのに忘れていたんだろうか。
「その事なんだが、カトレア嬢さえ良ければ婚約破棄は今は無しにしよう。」
「えっと…今はとは?」
今はと言うことはいずれすると言うことだろう。
「お互い、婚約破棄をしたからと言ってすぐに相手を用意しれるだろう。だから、少しでも気が知れている人とつまりカトレアと婚約をしている方が楽だと言うことに気がついた。勿論カトレア嬢が今すぐと言うのなら、そうしよう。」
確かに、クラウドの言うことには一理ある。
それに、クラウドの婚約のままでいればダンスだって他の人と踊らなくてよくなるし、何かと楽だ。
何よりも、近くでヒロインであるメアリーちゃんとクラウドのラブラブが見てるかも知れない。
「私は構いません。」
これに乗らない手がない。
「なら良かった。よろしく頼む。カトレア。」
え?
カトレアは急に名前を呼ばれ固まる。
「ダメだったか?出来れば俺のことも殿下ではなくクラウドと呼んで欲しいのだが。」
何でそんな急にフレンドリーに?
別に嫌ではないから良いのだが。
「ではよろしくお願いします。クラウド様。」
クラウドは満足そうに微笑む。
天使か!なんて可愛く微笑むんだ。
クラウドがガイに近づこうと挑戦している時、ジェンは周りに聞こえないようにカトレアに話しかける。
「カトレア様に厳しく叱られたことでクラウド様、ずいぶん反省したんですよ。とても良い薬になりました。ですから、そのまま、王妃になって下さい。うちの殿下は単純バカですからね。貴女のような方が支えてくだされば嬉しいのですが。」
「嫌です。」
「即答ですか。」
嫌なものは嫌だ。だいたい主人の事馬鹿って言うのはどうかと思う。
それだけ、親しい仲ということなのだろうか。
「わかりました。でしたら、今からしっかり調…っと失礼、教育しなければなりませんね。勿論、カトレア様のことを諦めたわけではありませんが。」
いま、絶対調教って言おうとしたでしょ!それに諦めませんとも。
怖い。この人色々と怖すぎるよ。
カトレアはこの人は敵には回してはいけないタイプだと思った。そして出来れば関わりたくないとも。
「あぁ」
どうやら優しい王子になるのはやめたようだ。クラウドは気まずそうにカトレアをみて目が合えば目をすごい速さでそらす。
「……………。」
「……………。」
沈黙が痛い…。
さっきから殿下は落ち着かない様子だし。ガイは殿下を睨んでるし。耐えられないんだけど、良いよね。殿下が黙るなら私が話しても良いよね?
「殿下。」
クラウドはビクっと肩をはねらせる。
とって食うわけじゃないのに。
「…な、なんだ。」
「殿下がお話にならないのでしたら、私から話してもよろしいですか。」
「あぁ、かまわないが。」
殿下のお許しが出たので言わせていただこう。
「頭に血が上ったからといって、頬を叩いてしまい申し訳ありません。」
カトレアは立ち上がると美しく礼をする。そして、頭を上げクラウドの目を捉える。
クラウドは謝罪されると思っていなかったのか目を見開く。
「…ですが、ガイを庇った事も殿下をお叱りした事も後悔はしておりませんし、訂正するつもりもありません。ですから、どんなお叱りも受けるつもりです。」
両親に迷惑をかけるのは申し訳ないがどうしても訂正する気にはなれなかった。
公爵令嬢としては、謝罪すべきなのだろう。
それでも、カトレアは自分の気持ちを曲げなかったのだ。
「……かった……。」
ん?
あまりに小さな声で聞き取れなかった。
「えっと…、申し訳ありません。聞こえませんでした。」
「…だから、悪かったと言っている!」
「……………。」
…まさかの逆ギレ?
謝った事を褒めるべきか、人生経験が上の者として、注意すべきか。
カトレアはなんとも言えないといった反応しかできなかった。それが気に入らなかったのか、クラウドの眉間にシワが寄る。
「…クラウド様。カトレア様に醜態をされしているからと言ってこれ以上、さらしてどうするんですか。」とクラウドの護衛が呆れたようにクラウドを叱る。
容赦ないわぁ。
クラウドの護衛であるジェンがさっきまで黙っていたのに主人の不器用加減に痺れを切らし呆れたようにため息を吐く。
クラウドはというと決まりが悪そうにより一層シワを深める。
確か、小説でもジェンは出てくる。
クラウドの護衛兼教育係であり、そして、クラウドの兄的ポジションだったはずなのに、なぜドSキャラに?殿下も王子キャラだった筈なのに残念キャラだし、小説とは異なってるんだろうか?それなら、良いことなんだけど、なんか納得できない。ヒロインの相手が残念王子ってなんか、やだ。
「…カトレア嬢。」
「は、はい。」
考え事に没頭しすぎて急に名前を呼ばれ驚いてしまった。
「すまなかった。俺は、一つの命も大切にできない最低な人間になるとこだった。それを止めてくれたお前に怒鳴り本当に悪かった。ガイと言ったか。…酷いことを言って怪我を負わせようとしてすまなかった。」
クラウドの瞳からは嘘は見えなかった。
今度は百点満点だ。
今まで、謝ることのなかった殿下がここまでちゃんと謝れると思わなかった。
本当は素直なんだな子何だと思う。
カトレアは表情が緩みそうになるのを抑える。
クラウドは照れ臭そうに頬をかいてそっぽを向く。こう見ると年相応の男の子だ。
「…私は気にしていません。ガイもこのとおりすっかり治りましたし。」
ガイを見ると興味を無くしたのか眠りについていた。
一体何しにきたのやら。まぁ、可愛いから良いけどね。
でも、話ってこれだけ?
待っても、クラウドが話す気配はない。むしろ清々しい顔をしている。
「…あの、今日の訪問はそれだけでしょうか。」
いつまでたっても、罰の話が出ることがなく痺れを切らしたカトレアは遠回しに聞いてみる。
「あぁ、そうだが。」
「他に何かあるのか」と不思議そうに聞いてくる。
えぇ、あるでしょう?!あるよね?私が気にしすぎなの?
「婚約破棄はどう致しますか?出来れば、殿下からして頂ければ嬉しいのですが。」
「あぁ、そうだったな。」
今思い出したと言わんばかりのセリフだ。
自分から言ったのに忘れていたんだろうか。
「その事なんだが、カトレア嬢さえ良ければ婚約破棄は今は無しにしよう。」
「えっと…今はとは?」
今はと言うことはいずれすると言うことだろう。
「お互い、婚約破棄をしたからと言ってすぐに相手を用意しれるだろう。だから、少しでも気が知れている人とつまりカトレアと婚約をしている方が楽だと言うことに気がついた。勿論カトレア嬢が今すぐと言うのなら、そうしよう。」
確かに、クラウドの言うことには一理ある。
それに、クラウドの婚約のままでいればダンスだって他の人と踊らなくてよくなるし、何かと楽だ。
何よりも、近くでヒロインであるメアリーちゃんとクラウドのラブラブが見てるかも知れない。
「私は構いません。」
これに乗らない手がない。
「なら良かった。よろしく頼む。カトレア。」
え?
カトレアは急に名前を呼ばれ固まる。
「ダメだったか?出来れば俺のことも殿下ではなくクラウドと呼んで欲しいのだが。」
何でそんな急にフレンドリーに?
別に嫌ではないから良いのだが。
「ではよろしくお願いします。クラウド様。」
クラウドは満足そうに微笑む。
天使か!なんて可愛く微笑むんだ。
クラウドがガイに近づこうと挑戦している時、ジェンは周りに聞こえないようにカトレアに話しかける。
「カトレア様に厳しく叱られたことでクラウド様、ずいぶん反省したんですよ。とても良い薬になりました。ですから、そのまま、王妃になって下さい。うちの殿下は単純バカですからね。貴女のような方が支えてくだされば嬉しいのですが。」
「嫌です。」
「即答ですか。」
嫌なものは嫌だ。だいたい主人の事馬鹿って言うのはどうかと思う。
それだけ、親しい仲ということなのだろうか。
「わかりました。でしたら、今からしっかり調…っと失礼、教育しなければなりませんね。勿論、カトレア様のことを諦めたわけではありませんが。」
いま、絶対調教って言おうとしたでしょ!それに諦めませんとも。
怖い。この人色々と怖すぎるよ。
カトレアはこの人は敵には回してはいけないタイプだと思った。そして出来れば関わりたくないとも。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる