毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

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一章

7話 ~仲直りには~

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「お待たせいたしました。殿下。」

「あぁ」

どうやら優しい王子になるのはやめたようだ。クラウドは気まずそうにカトレアをみて目が合えば目をすごい速さでそらす。

「……………。」
「……………。」

沈黙が痛い…。
さっきから殿下は落ち着かない様子だし。ガイは殿下を睨んでるし。耐えられないんだけど、良いよね。殿下が黙るなら私が話しても良いよね?

「殿下。」

クラウドはビクっと肩をはねらせる。

とって食うわけじゃないのに。

「…な、なんだ。」

「殿下がお話にならないのでしたら、私から話してもよろしいですか。」

「あぁ、かまわないが。」

殿下のお許しが出たので言わせていただこう。

「頭に血が上ったからといって、頬を叩いてしまい申し訳ありません。」

カトレアは立ち上がると美しく礼をする。そして、頭を上げクラウドの目を捉える。
クラウドは謝罪されると思っていなかったのか目を見開く。

「…ですが、ガイを庇った事も殿下をお叱りした事も後悔はしておりませんし、訂正するつもりもありません。ですから、どんなお叱りも受けるつもりです。」

両親に迷惑をかけるのは申し訳ないがどうしても訂正する気にはなれなかった。
公爵令嬢としては、謝罪すべきなのだろう。
それでも、カトレアは自分の気持ちを曲げなかったのだ。

「……かった……。」

ん?
あまりに小さな声で聞き取れなかった。

「えっと…、申し訳ありません。聞こえませんでした。」

「…だから、悪かったと言っている!」

「……………。」

…まさかの逆ギレ?
謝った事を褒めるべきか、人生経験が上の者として、注意すべきか。

カトレアはなんとも言えないといった反応しかできなかった。それが気に入らなかったのか、クラウドの眉間にシワが寄る。

「…クラウド様。カトレア様に醜態をされしているからと言ってこれ以上、さらしてどうするんですか。」とクラウドの護衛が呆れたようにクラウドを叱る。

容赦ないわぁ。

クラウドの護衛であるジェンがさっきまで黙っていたのに主人の不器用加減に痺れを切らし呆れたようにため息を吐く。
クラウドはというと決まりが悪そうにより一層シワを深める。

確か、小説でもジェンは出てくる。
クラウドの護衛兼教育係であり、そして、クラウドの兄的ポジションだったはずなのに、なぜドSキャラに?殿下も王子キャラだった筈なのに残念キャラだし、小説とは異なってるんだろうか?それなら、良いことなんだけど、なんか納得できない。ヒロインの相手が残念王子ってなんか、やだ。

「…カトレア嬢。」

「は、はい。」

考え事に没頭しすぎて急に名前を呼ばれ驚いてしまった。

「すまなかった。俺は、一つの命も大切にできない最低な人間になるとこだった。それを止めてくれたお前に怒鳴り本当に悪かった。ガイと言ったか。…酷いことを言って怪我を負わせようとしてすまなかった。」

クラウドの瞳からは嘘は見えなかった。

今度は百点満点だ。
今まで、謝ることのなかった殿下がここまでちゃんと謝れると思わなかった。
本当は素直なんだな子何だと思う。

カトレアは表情が緩みそうになるのを抑える。

クラウドは照れ臭そうに頬をかいてそっぽを向く。こう見ると年相応の男の子だ。

「…私は気にしていません。ガイもこのとおりすっかり治りましたし。」

ガイを見ると興味を無くしたのか眠りについていた。

一体何しにきたのやら。まぁ、可愛いから良いけどね。

でも、話ってこれだけ?

待っても、クラウドが話す気配はない。むしろ清々しい顔をしている。

「…あの、今日の訪問はそれだけでしょうか。」

いつまでたっても、罰の話が出ることがなく痺れを切らしたカトレアは遠回しに聞いてみる。

「あぁ、そうだが。」

「他に何かあるのか」と不思議そうに聞いてくる。

えぇ、あるでしょう?!あるよね?私が気にしすぎなの?

「婚約破棄はどう致しますか?出来れば、殿下からして頂ければ嬉しいのですが。」

「あぁ、そうだったな。」

今思い出したと言わんばかりのセリフだ。

自分から言ったのに忘れていたんだろうか。

「その事なんだが、カトレア嬢さえ良ければ婚約破棄は今は無しにしよう。」

「えっと…今はとは?」

今はと言うことはいずれすると言うことだろう。

「お互い、婚約破棄をしたからと言ってすぐに相手を用意しれるだろう。だから、少しでも気が知れている人とつまりカトレアと婚約をしている方が楽だと言うことに気がついた。勿論カトレア嬢が今すぐと言うのなら、そうしよう。」

確かに、クラウドの言うことには一理ある。
それに、クラウドの婚約のままでいればダンスだって他の人と踊らなくてよくなるし、何かと楽だ。
何よりも、近くでヒロインであるメアリーちゃんとクラウドのラブラブが見てるかも知れない。

「私は構いません。」

これに乗らない手がない。

「なら良かった。よろしく頼む。カトレア。」

え?

カトレアは急に名前を呼ばれ固まる。

「ダメだったか?出来れば俺のことも殿下ではなくクラウドと呼んで欲しいのだが。」

何でそんな急にフレンドリーに?
別に嫌ではないから良いのだが。

「ではよろしくお願いします。クラウド様。」

クラウドは満足そうに微笑む。

天使か!なんて可愛く微笑むんだ。

クラウドがガイに近づこうと挑戦している時、ジェンは周りに聞こえないようにカトレアに話しかける。

「カトレア様に厳しく叱られたことでクラウド様、ずいぶん反省したんですよ。とても良い薬になりました。ですから、そのまま、王妃になって下さい。うちの殿下は単純バカですからね。貴女のような方が支えてくだされば嬉しいのですが。」

「嫌です。」

「即答ですか。」

嫌なものは嫌だ。だいたい主人の事馬鹿って言うのはどうかと思う。
それだけ、親しい仲ということなのだろうか。

「わかりました。でしたら、今からしっかり調…っと失礼、教育しなければなりませんね。勿論、カトレア様のことを諦めたわけではありませんが。」

いま、絶対調教って言おうとしたでしょ!それに諦めませんとも。
怖い。この人色々と怖すぎるよ。

カトレアはこの人は敵には回してはいけないタイプだと思った。そして出来れば関わりたくないとも。
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