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二章
~新しい出会い~
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行きたくないわ。凄く行きたくない。
「サラ、行かなきゃダメ?」
「当たり前です。」
今日は、王宮でのお茶会なのだがカトレアはあまりその場が好きではなかった。
子供だからと言って貴族の子は貴族なのだ。
話す事と言ったら、お父様に何を買ってもらっただの、コンクールで賞をとっただのと正直言ってつまらない。
お菓子をたくさん食べれるなら楽しいのだろうけどそうもいかない。
はぁー憂鬱だ。
「お嬢様準備できました。」
「…ありがとう。」
今日も完璧な毒薔薇姫だ。
これから、カトレアは毒薔薇姫にならなくてはならない。それが何よりも憂鬱でならないのだ。
自分でも回避しなくてはならないのにと矛盾していることは分かっている。
しかし、この世界にも建前というものはあるのだ。
馬車に揺られる事数十分あっという間についてしまった。
「カトレア様、お手を。」
ガイが差し出す手を取る。
さぁ、ここからは公爵令嬢として頑張るのよ。
「よく来てくれましたね。待っていましたよ。」
このふわふわした人はクラウドの母親であり王妃様だ。
「お招きいただき嬉しく思います。王妃様。」
「やだわ。私の事は義母様と呼んでくれていいのよ。娘になるんですから。」
そして、私が避けたい人でもある。なんたって、クラウドの結婚に乗り気というか話を進めているのはこの方と言っても過言ではない。
「そのように思っていただけて光栄ですわ。」
少し談笑をし、礼をしてその場を離れる。
外に空気を吸おうと庭へ出ようとしたとき、嫌な覚えのある声に引き止められる。
「あら、カトレア様ではありませんか。今日はいらしてたんですね。」
「……ごきげんよう。ルミア様。」
ルミア・ヴァイレトは侯爵令嬢でカトレアに何かと構ってくる。公爵令嬢であり殿下の婚約者なのが気にくわないのだ。
カトレアはルミアと関わりたくはなかった。
めんどくさいのもあるが何よりもルミアが小説のなかでカトレアの取り巻きだったからだ。
意志の強そうなつり目に何よりも金髪の縦ロール。
悪役令嬢感がすごい。
私よりも見た目だけだったら、ルミアの方が似合っている。
「それではみなさん揃った事ですし、お茶会を始めましょう。」
王妃の合図てお茶会が始まる。
カトレアは当たり障りのない話をしながら、空気になるように努めるがそうも行かない。
何故かって?
「カトレアちゃんはいつ見ても可愛いわね。違うわね。どんどん綺麗になってる。息子にはもったいないわ。」
この方が原因なのは明らかだ。
「王妃様はどんどん美しくなられて、感動しているのです。私も見習はなくてはと日々自分磨きをしております。」
「まぁ、嬉しい!」
はい。その笑顔にどれだけの男が落とされたことか。
笑顔も美しいですがそろそろ私をべた褒めするのをやめてください令嬢たち、特にルミアの視線が突き刺さって痛いです。
「まぁ!ルミア様のお付けになっている宝石、最新のもにではないですか!」
ルミアの取り巻きAがわざとらしく声を大きくして褒め称える。
その声を聞いた。令嬢たちが次々に褒めていく。
「うふふ。ありがとうございます。でも、カトレア様が付けていらっしゃる宝石もシンプルで小ぶりで可愛らしいですわ。」
何故こっちに話を振るんだ。
しかも、他のものならいくらでも我慢できたけどガイにもらったネックレスを馬鹿にしてタダで済むと思わないでね。
「そうですわね。でも、私は大きくかざられたしたものよりも小さく美しく輝くこの首飾りが大好きですわ。まるで、星の輝きのようで。ゴテゴテと大きいものだけをつけるのは三流がすることだと思っております。あ、ルミア様のことでは決してありませんよ?感性は人それぞれですもの。」
言い返してくると思っていなかったのか、ルミアは顔を真っ赤にして今にも怒鳴って来そうだ。
少し言いすぎたわね。
「そうね。大きな宝石もいいけど小さな宝石も素敵だわ。」
やはりここで場をまとめるのは王妃様である。
「……私もそう思います。」
ルミアはそれだけ言うとどこかに言ってしまった。
「ありがとうございます。」
「なんのことかしら。」とウインクしてくる王妃様はやっぱり可愛いと思う。
「王妃様、お庭を見にいてもいいですか。」
「えぇ、構いませんよ。」
カトレアは香水の匂いに気分が少し悪くなり外に出る。
やっぱり、王宮の庭はいつ見ても綺麗ね。
カトレアは少し奥に入り人影があることに気づく。
「あの。」
「ひゃっ!」
どうやらびっくりさせてしまったらしい。
「ごめんなさい。急に声をかけて。私、カトレア・ローズと申します。」
少女は目を見開いたかと思うと急いで立ち上がる頭を下げる。
「私は、ファーラ・エバートンと申します。」
カトレアは急いで頭の中で名前と爵位を照らし合わせる。
エバートンと言えば、最近男爵の名を継承された。
確か、アルテ国とアール国で手広く商売をしているとか。
「頭を上げてください。ファーラ様。」
「私なんかが、恐れ多いです。」
よくみるとファーラの手は緊張でか震えていた。
まるで、私がいじめているみたい。
そんなに顔が怖いかしら?
「私が後に来てしまったのですもの。私こそごめんなさいね。」
「い、いえっ!そんな!」
「ファーラ様はお花が好きなの?」
「……はい。」
話題は間違っていないようだ。さっきよりも緊張が取れたように見える。
「私も、薬草を育てたりしてるの。」
「薬草ですか?!凄いです!」
したばかり向いていたからよくわからなかったが、目の覚めるような美少女だ。
蜂蜜色の髪はふわふわでアクアマリンのように透き通っている瞳はキラキラ輝いている。
カトレアはファーラと花の話や家でのことをちょっとずつ話した。
「庭師のトム爺と一緒に作ってるの。ファーラ様はお花を育てているの?」
「はい。こんなに立派な庭ではありませんが。小さな庭にお花を育てています。」
「まぁ!見に行って見たいわ!」
ファーラは黙り込んでしまった。
迷惑だったんだろうか。
もしかしてごり押ししすぎて引かれた?!
「ダメかしらやっぱり。」
「いえ、違うんです。ダメとかではなく…カトレア様は私が気持ち悪くないのですか?こんな醜い顔。」
カトレアはファーラの言っている意味がわからず首をかしげる。
「私の顔は醜いとよく言われます。私なんかがカトレア様の近くにいるのもおこがましいのに。」
ファーラは耳を隠すように手で覆う。
確かに、ファーラの耳は少しトンガっている。
だからそれがどうして醜いと言えるのだろうか。
「私はとても愛らしいと思います。その耳も貴女もすごく可愛いですわ。」
これは、カトレアの本心だ。
「人と違って何がいけないのです。自分にしかないものをなぜ嫌う必要があるのです。それに、ファーラ様の瞳はキラキラしていて綺麗だと思いますわ。もし、ファーラ様の事を醜いと言う人がいるならそれはただのひがみです!」
そうよ!こんなに優しくて可愛い子を醜いと言うなら私の髪も瞳も他とは違う醜いものだ。
でも、カトレアは自分の髪の色も瞳の色も嫌いではなかった。
「カトレア様はお強いのですね。」
「…いいえ、私は弱いですわ。だから、もっと強くなりたいのです。」
守りたい人たちがいるから。
「私も、強くなりたいです。」
「えぇ!絶対なれるわ!」
「はい!」
「ファーラ、そろそろ帰ろう。」
奥の所から男の人の声が聞こえてくる。
「お兄様!」
ファーラはその青年の元へかける。
年はガイより少し上ぐらいだろうか。
「お兄様、こちらカトレア・ローズ様です。カトレア様兄のルイス・エバートンです。」
「妹がお世話になりました。」
さすが兄妹、二人並ぶとキラキラして目が潰れそうだ。
それにしても何故か睨まれてる気がするのは気にせいかしら?
「お兄様今度カトレア様をうちに招待したいのですがよろしいですか?」
「……、あぁ。構わない。」
少し驚いたように目を見開いたがすぐにファーラの頭を撫でながら微笑む。
わ、笑った。
これは、他の女子が見たら鼻血を出すんじゃないだろうか。
しかし、カトレアはルイスの笑顔に見向きもせずファーラを見つめていた。
「カトレア様?」
ファーラは何故自分が見られているのかわからず首をかしげる。
可愛過ぎて鼻血が出てしまったのは私のせいではない。
「…招待していただけるのですか?」
「はい。カトレア様がよろしければ。」
ファーラは不安そうな顔をする。
「う、嬉しいですわ!!絶対に行きます。何が何でも行きますわ!」
若干引かれてる気もしないでもないが気にしない。だって、行っていいと行ってくれたのだ。
嬉しい!!!
「はい!でわ、また改めて連絡いたします。」
そう言うと、ファーラとルイスは奥へと消えて行った。
「カトレア様こちらにいらしたのですね。そろそろ、お茶会も終わりますので帰る支度をしてください。」
「分かったわ。」
ガイが呼びに来たので、カトレアは王妃様達にお礼と帰りの挨拶をし馬車に向かう。
馬車に乗ると早速ガイに今日あったこちを報告する。
「それでね!来ていいて言われたの!」
「良かったですね。」
ガイは相変わらずの無表情だ。
もう少し喜んでくれてもいいじゃん!
『カトレア様!』
この声はセバスチャン 。
セバスチャンはお父様の執事で、カトレアにとって第2の父親だ。
「どうしたの?」
この世界には携帯というものは存在しないが、魔法陣に相手と自分の名前を書き込めば、相手と連絡ができる。
しかし、セバスチャンが使っているのは相手の頭に直接話しかけているものだ。これを使える人はほとんどいない。
「カトレア様?どうされましたか?」
やっぱりガイには聞こえてないらしい。
「セバスチャンから。」
『カトレア様、落ち着いて聞いてくだい………。』
なんで……。
どうして、忘れてたんだろう。
もっと早く思い出せてたら。
カトレアは体の震えを抑えようと手に力を入れるが止まらない。
また、また、私は…。
「カトレア様、落ち着いて下さい。」
「……ガイ。」
「落ち着いてゆっくり話してください。何があったんですか?」
「ガイどうしよう!お母様が…お母様が」
それだけで察したのかガイはカトレアの震える手をぎゅっと握りしめる。
大丈夫だと伝えるように。
「大丈夫です。俺がいますから。」
ガイはカトレアを抱きしめ、運転手に急ぐよう合図する。
お母様。お母様。
お願い間に合って
カトレアは強く強く祈る。
「サラ、行かなきゃダメ?」
「当たり前です。」
今日は、王宮でのお茶会なのだがカトレアはあまりその場が好きではなかった。
子供だからと言って貴族の子は貴族なのだ。
話す事と言ったら、お父様に何を買ってもらっただの、コンクールで賞をとっただのと正直言ってつまらない。
お菓子をたくさん食べれるなら楽しいのだろうけどそうもいかない。
はぁー憂鬱だ。
「お嬢様準備できました。」
「…ありがとう。」
今日も完璧な毒薔薇姫だ。
これから、カトレアは毒薔薇姫にならなくてはならない。それが何よりも憂鬱でならないのだ。
自分でも回避しなくてはならないのにと矛盾していることは分かっている。
しかし、この世界にも建前というものはあるのだ。
馬車に揺られる事数十分あっという間についてしまった。
「カトレア様、お手を。」
ガイが差し出す手を取る。
さぁ、ここからは公爵令嬢として頑張るのよ。
「よく来てくれましたね。待っていましたよ。」
このふわふわした人はクラウドの母親であり王妃様だ。
「お招きいただき嬉しく思います。王妃様。」
「やだわ。私の事は義母様と呼んでくれていいのよ。娘になるんですから。」
そして、私が避けたい人でもある。なんたって、クラウドの結婚に乗り気というか話を進めているのはこの方と言っても過言ではない。
「そのように思っていただけて光栄ですわ。」
少し談笑をし、礼をしてその場を離れる。
外に空気を吸おうと庭へ出ようとしたとき、嫌な覚えのある声に引き止められる。
「あら、カトレア様ではありませんか。今日はいらしてたんですね。」
「……ごきげんよう。ルミア様。」
ルミア・ヴァイレトは侯爵令嬢でカトレアに何かと構ってくる。公爵令嬢であり殿下の婚約者なのが気にくわないのだ。
カトレアはルミアと関わりたくはなかった。
めんどくさいのもあるが何よりもルミアが小説のなかでカトレアの取り巻きだったからだ。
意志の強そうなつり目に何よりも金髪の縦ロール。
悪役令嬢感がすごい。
私よりも見た目だけだったら、ルミアの方が似合っている。
「それではみなさん揃った事ですし、お茶会を始めましょう。」
王妃の合図てお茶会が始まる。
カトレアは当たり障りのない話をしながら、空気になるように努めるがそうも行かない。
何故かって?
「カトレアちゃんはいつ見ても可愛いわね。違うわね。どんどん綺麗になってる。息子にはもったいないわ。」
この方が原因なのは明らかだ。
「王妃様はどんどん美しくなられて、感動しているのです。私も見習はなくてはと日々自分磨きをしております。」
「まぁ、嬉しい!」
はい。その笑顔にどれだけの男が落とされたことか。
笑顔も美しいですがそろそろ私をべた褒めするのをやめてください令嬢たち、特にルミアの視線が突き刺さって痛いです。
「まぁ!ルミア様のお付けになっている宝石、最新のもにではないですか!」
ルミアの取り巻きAがわざとらしく声を大きくして褒め称える。
その声を聞いた。令嬢たちが次々に褒めていく。
「うふふ。ありがとうございます。でも、カトレア様が付けていらっしゃる宝石もシンプルで小ぶりで可愛らしいですわ。」
何故こっちに話を振るんだ。
しかも、他のものならいくらでも我慢できたけどガイにもらったネックレスを馬鹿にしてタダで済むと思わないでね。
「そうですわね。でも、私は大きくかざられたしたものよりも小さく美しく輝くこの首飾りが大好きですわ。まるで、星の輝きのようで。ゴテゴテと大きいものだけをつけるのは三流がすることだと思っております。あ、ルミア様のことでは決してありませんよ?感性は人それぞれですもの。」
言い返してくると思っていなかったのか、ルミアは顔を真っ赤にして今にも怒鳴って来そうだ。
少し言いすぎたわね。
「そうね。大きな宝石もいいけど小さな宝石も素敵だわ。」
やはりここで場をまとめるのは王妃様である。
「……私もそう思います。」
ルミアはそれだけ言うとどこかに言ってしまった。
「ありがとうございます。」
「なんのことかしら。」とウインクしてくる王妃様はやっぱり可愛いと思う。
「王妃様、お庭を見にいてもいいですか。」
「えぇ、構いませんよ。」
カトレアは香水の匂いに気分が少し悪くなり外に出る。
やっぱり、王宮の庭はいつ見ても綺麗ね。
カトレアは少し奥に入り人影があることに気づく。
「あの。」
「ひゃっ!」
どうやらびっくりさせてしまったらしい。
「ごめんなさい。急に声をかけて。私、カトレア・ローズと申します。」
少女は目を見開いたかと思うと急いで立ち上がる頭を下げる。
「私は、ファーラ・エバートンと申します。」
カトレアは急いで頭の中で名前と爵位を照らし合わせる。
エバートンと言えば、最近男爵の名を継承された。
確か、アルテ国とアール国で手広く商売をしているとか。
「頭を上げてください。ファーラ様。」
「私なんかが、恐れ多いです。」
よくみるとファーラの手は緊張でか震えていた。
まるで、私がいじめているみたい。
そんなに顔が怖いかしら?
「私が後に来てしまったのですもの。私こそごめんなさいね。」
「い、いえっ!そんな!」
「ファーラ様はお花が好きなの?」
「……はい。」
話題は間違っていないようだ。さっきよりも緊張が取れたように見える。
「私も、薬草を育てたりしてるの。」
「薬草ですか?!凄いです!」
したばかり向いていたからよくわからなかったが、目の覚めるような美少女だ。
蜂蜜色の髪はふわふわでアクアマリンのように透き通っている瞳はキラキラ輝いている。
カトレアはファーラと花の話や家でのことをちょっとずつ話した。
「庭師のトム爺と一緒に作ってるの。ファーラ様はお花を育てているの?」
「はい。こんなに立派な庭ではありませんが。小さな庭にお花を育てています。」
「まぁ!見に行って見たいわ!」
ファーラは黙り込んでしまった。
迷惑だったんだろうか。
もしかしてごり押ししすぎて引かれた?!
「ダメかしらやっぱり。」
「いえ、違うんです。ダメとかではなく…カトレア様は私が気持ち悪くないのですか?こんな醜い顔。」
カトレアはファーラの言っている意味がわからず首をかしげる。
「私の顔は醜いとよく言われます。私なんかがカトレア様の近くにいるのもおこがましいのに。」
ファーラは耳を隠すように手で覆う。
確かに、ファーラの耳は少しトンガっている。
だからそれがどうして醜いと言えるのだろうか。
「私はとても愛らしいと思います。その耳も貴女もすごく可愛いですわ。」
これは、カトレアの本心だ。
「人と違って何がいけないのです。自分にしかないものをなぜ嫌う必要があるのです。それに、ファーラ様の瞳はキラキラしていて綺麗だと思いますわ。もし、ファーラ様の事を醜いと言う人がいるならそれはただのひがみです!」
そうよ!こんなに優しくて可愛い子を醜いと言うなら私の髪も瞳も他とは違う醜いものだ。
でも、カトレアは自分の髪の色も瞳の色も嫌いではなかった。
「カトレア様はお強いのですね。」
「…いいえ、私は弱いですわ。だから、もっと強くなりたいのです。」
守りたい人たちがいるから。
「私も、強くなりたいです。」
「えぇ!絶対なれるわ!」
「はい!」
「ファーラ、そろそろ帰ろう。」
奥の所から男の人の声が聞こえてくる。
「お兄様!」
ファーラはその青年の元へかける。
年はガイより少し上ぐらいだろうか。
「お兄様、こちらカトレア・ローズ様です。カトレア様兄のルイス・エバートンです。」
「妹がお世話になりました。」
さすが兄妹、二人並ぶとキラキラして目が潰れそうだ。
それにしても何故か睨まれてる気がするのは気にせいかしら?
「お兄様今度カトレア様をうちに招待したいのですがよろしいですか?」
「……、あぁ。構わない。」
少し驚いたように目を見開いたがすぐにファーラの頭を撫でながら微笑む。
わ、笑った。
これは、他の女子が見たら鼻血を出すんじゃないだろうか。
しかし、カトレアはルイスの笑顔に見向きもせずファーラを見つめていた。
「カトレア様?」
ファーラは何故自分が見られているのかわからず首をかしげる。
可愛過ぎて鼻血が出てしまったのは私のせいではない。
「…招待していただけるのですか?」
「はい。カトレア様がよろしければ。」
ファーラは不安そうな顔をする。
「う、嬉しいですわ!!絶対に行きます。何が何でも行きますわ!」
若干引かれてる気もしないでもないが気にしない。だって、行っていいと行ってくれたのだ。
嬉しい!!!
「はい!でわ、また改めて連絡いたします。」
そう言うと、ファーラとルイスは奥へと消えて行った。
「カトレア様こちらにいらしたのですね。そろそろ、お茶会も終わりますので帰る支度をしてください。」
「分かったわ。」
ガイが呼びに来たので、カトレアは王妃様達にお礼と帰りの挨拶をし馬車に向かう。
馬車に乗ると早速ガイに今日あったこちを報告する。
「それでね!来ていいて言われたの!」
「良かったですね。」
ガイは相変わらずの無表情だ。
もう少し喜んでくれてもいいじゃん!
『カトレア様!』
この声はセバスチャン 。
セバスチャンはお父様の執事で、カトレアにとって第2の父親だ。
「どうしたの?」
この世界には携帯というものは存在しないが、魔法陣に相手と自分の名前を書き込めば、相手と連絡ができる。
しかし、セバスチャンが使っているのは相手の頭に直接話しかけているものだ。これを使える人はほとんどいない。
「カトレア様?どうされましたか?」
やっぱりガイには聞こえてないらしい。
「セバスチャンから。」
『カトレア様、落ち着いて聞いてくだい………。』
なんで……。
どうして、忘れてたんだろう。
もっと早く思い出せてたら。
カトレアは体の震えを抑えようと手に力を入れるが止まらない。
また、また、私は…。
「カトレア様、落ち着いて下さい。」
「……ガイ。」
「落ち着いてゆっくり話してください。何があったんですか?」
「ガイどうしよう!お母様が…お母様が」
それだけで察したのかガイはカトレアの震える手をぎゅっと握りしめる。
大丈夫だと伝えるように。
「大丈夫です。俺がいますから。」
ガイはカトレアを抱きしめ、運転手に急ぐよう合図する。
お母様。お母様。
お願い間に合って
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