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二章
~そして、別れ~
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小説ではカトレアの過去の描写で母親が12歳の時に亡くなったとあったはずなのにどうして今まで忘れていたのだろうか。
もっと早く気づいていたら運命は変わっていたはずなのに。
私はいつも、気づくのが遅いんだ。
「お嬢様、つきました。」
運転手がドアを開けた瞬間カトレアは母親の部屋へ走る。
がむしゃらに必死に走る。
「お母様!」
「あら、カトレア。お帰りなさい。」
カトレアは伸ばされたカリーナのてを恐る恐る掴む。
折れてしまいそうなその手にカトレアは今にも泣き出してしまいそうになった。
いつも通り、なはずがない。
ベットの周りには治療用の陣がかかれ、カリーナの顔色は白を通り越して土色になっている。
どうして、昨日まではあんなに元気だったのに。
私はまたま違えてしまったの?
「お母様、ごめんなさい。ごめんなさい。」
何もできない、今の私じゃ、お母様を助けられない。
力も時間も足りない。
なんて弱いんだ。大切な人を守りたいと言っておきながら自分は、無力で、弱いままだ。
強くなんてなれてないじゃないか。
助けたいと言う気持ちばかりが空回りする。
この病気は、体に黒い斑点が出て高熱が3日続き死んでしまう。
そして、この病気の薬が出来るのは、一年後その間に何百万の死人が出てしまう。
「何故、カトレアが謝るの?」
「私は、お母様に何も出来ません。助けたいのに、何も出来ない。」
「貴女は誰よりも優しい子だわ。その気持ちだけでお母様は強くなれるわ。」
お母様の手は冷たいはずなのに暖かく優しい。
「お母様、大好きです。私はお母様の子で幸せです。とてもとても幸せです。」
「愛してるわ。ねぇ、カトレアは好きな人いるの?」
急にそんなことを質問されどもってしまう。
「えっ?!い、いませんわ。」
「えー、ほんとかしら?」
「本当です。」
カリーナはからかうように言っていたと思ったら急に真面目な顔になる。
「人を愛する気持ちはね。とても大切だと思うの。私はお父様を貴女を屋敷にいる人達を愛せて幸せよ?だから、カトレア貴女もお父様みたいな素敵な人を見つけて。家に縛られなくていいの自分の好きだとこの人のそばにいたいと思った人と一緒に生きていきなさい。」
最後は悪戯っぽくウインクする。
お母様には何でもお見通しのようだ。
「はい。」とカトレアはカリーナに抱きつく。
「もう、疲れたでしょ。休みなさい。」
これが、お母様と最後になってしまう。
どれだけ嫌だと思っても胸が裂けそうなほど苦しくても、それが現実なのだ。
カトレアは最高の笑顔で笑う。
最後は泣き顔じゃなくて、笑顔でいたいから。
「お休みなさい。お母様、愛してます。」
「カトレア、愛してるわ。」
********
カトレアは部屋に戻るとベランダの椅子に座る。
「サラ、お茶を淹れてくれる?」
「はい。」
カリーナはサラに淹れてもらった紅茶を一口飲む。
綺麗な月だわ。
「…サラ、もう部屋に戻っていいわ。」
「しかし…。」
「大丈夫よ。お休みなさい。」
「はい。」
サラは礼をすると部屋を出て行った。
紅茶をゆっくりと全部飲み干す。
「サラの淹れた紅茶が一番ね。」
「カトレア様。」
部屋にガイが入ってくる。
「ガイ。明日も早いでしょ?もう自分の部屋に戻りなさい。」
「カトレア様。」
やめて。
「明日は、薬草を取りに行きたいわ!」
「カトレア様。」
そんなに優しく私の名前を呼ばないで。
「あ!ガイも一緒に探しましょう!」
「カトレア様!」
「大きな声出してどうしたの?びっくりするじゃない。」
「無理に話さなくてもいいです。今は俺しかいません。俺も見ていませんから。泣きたい時は泣いてください。」
ガイはカトレアの頭を抑え自分の胸に抑える。
「もー、どうしたの?ガイ。」
「無理に笑うなって行ってるんですよ!貴女は十分頑張ったじゃないですか。」
こんなに、怒ってるガイは初めて見た。
でも、ガイ私は頑張ってないの。
もっと頑張れた。もっともっと力があれば。才能があれば。お母様を助けられたはずなの。
「…ガイ。私、親不孝ものね。助けることも出来ない。涙も出ない。」
カトレアはポツポツと喋っていく。
普通の人間じゃにのかな?
ははは、元から普通じゃなかったじゃないか。
幸せは直ぐに壊れてしまう。知ってたはずなのに。
「大切な人はいつもいつも助けられない。」
ガイは何も言わずただ背中を撫で続ける。
感情を殺そうとしていたのだ。
堰を切ったように感情が溢れてくる。
カトレアは静かにガイの胸に顔を埋める。
それでも、涙は出てこない。
行き場のない感情が溢れる。
「…ありがとう。ガイ。」
カトレアは急に恥ずかしくなり下を向く。
「ガイには、いつも情けないところばかり見られてるわね。」
「……今日だけです。」
そう言うとガイは狼の姿になった。
「ふふふ。ありがとう。」
カトレアはベットの中に入りガイの体に顔を埋める。
ふかふかで気持ちいい。
この感触も久しぶりだ。
いつもは、絶対に狼の姿になってくれないのに。
今日は甘えてもいいだろうか。
カトレアはゆっくりと意識を手放す。
悲しみがなくなったわけじゃない。それでも、前へ進むために今は少しだけ休むことにした。
もっと早く気づいていたら運命は変わっていたはずなのに。
私はいつも、気づくのが遅いんだ。
「お嬢様、つきました。」
運転手がドアを開けた瞬間カトレアは母親の部屋へ走る。
がむしゃらに必死に走る。
「お母様!」
「あら、カトレア。お帰りなさい。」
カトレアは伸ばされたカリーナのてを恐る恐る掴む。
折れてしまいそうなその手にカトレアは今にも泣き出してしまいそうになった。
いつも通り、なはずがない。
ベットの周りには治療用の陣がかかれ、カリーナの顔色は白を通り越して土色になっている。
どうして、昨日まではあんなに元気だったのに。
私はまたま違えてしまったの?
「お母様、ごめんなさい。ごめんなさい。」
何もできない、今の私じゃ、お母様を助けられない。
力も時間も足りない。
なんて弱いんだ。大切な人を守りたいと言っておきながら自分は、無力で、弱いままだ。
強くなんてなれてないじゃないか。
助けたいと言う気持ちばかりが空回りする。
この病気は、体に黒い斑点が出て高熱が3日続き死んでしまう。
そして、この病気の薬が出来るのは、一年後その間に何百万の死人が出てしまう。
「何故、カトレアが謝るの?」
「私は、お母様に何も出来ません。助けたいのに、何も出来ない。」
「貴女は誰よりも優しい子だわ。その気持ちだけでお母様は強くなれるわ。」
お母様の手は冷たいはずなのに暖かく優しい。
「お母様、大好きです。私はお母様の子で幸せです。とてもとても幸せです。」
「愛してるわ。ねぇ、カトレアは好きな人いるの?」
急にそんなことを質問されどもってしまう。
「えっ?!い、いませんわ。」
「えー、ほんとかしら?」
「本当です。」
カリーナはからかうように言っていたと思ったら急に真面目な顔になる。
「人を愛する気持ちはね。とても大切だと思うの。私はお父様を貴女を屋敷にいる人達を愛せて幸せよ?だから、カトレア貴女もお父様みたいな素敵な人を見つけて。家に縛られなくていいの自分の好きだとこの人のそばにいたいと思った人と一緒に生きていきなさい。」
最後は悪戯っぽくウインクする。
お母様には何でもお見通しのようだ。
「はい。」とカトレアはカリーナに抱きつく。
「もう、疲れたでしょ。休みなさい。」
これが、お母様と最後になってしまう。
どれだけ嫌だと思っても胸が裂けそうなほど苦しくても、それが現実なのだ。
カトレアは最高の笑顔で笑う。
最後は泣き顔じゃなくて、笑顔でいたいから。
「お休みなさい。お母様、愛してます。」
「カトレア、愛してるわ。」
********
カトレアは部屋に戻るとベランダの椅子に座る。
「サラ、お茶を淹れてくれる?」
「はい。」
カリーナはサラに淹れてもらった紅茶を一口飲む。
綺麗な月だわ。
「…サラ、もう部屋に戻っていいわ。」
「しかし…。」
「大丈夫よ。お休みなさい。」
「はい。」
サラは礼をすると部屋を出て行った。
紅茶をゆっくりと全部飲み干す。
「サラの淹れた紅茶が一番ね。」
「カトレア様。」
部屋にガイが入ってくる。
「ガイ。明日も早いでしょ?もう自分の部屋に戻りなさい。」
「カトレア様。」
やめて。
「明日は、薬草を取りに行きたいわ!」
「カトレア様。」
そんなに優しく私の名前を呼ばないで。
「あ!ガイも一緒に探しましょう!」
「カトレア様!」
「大きな声出してどうしたの?びっくりするじゃない。」
「無理に話さなくてもいいです。今は俺しかいません。俺も見ていませんから。泣きたい時は泣いてください。」
ガイはカトレアの頭を抑え自分の胸に抑える。
「もー、どうしたの?ガイ。」
「無理に笑うなって行ってるんですよ!貴女は十分頑張ったじゃないですか。」
こんなに、怒ってるガイは初めて見た。
でも、ガイ私は頑張ってないの。
もっと頑張れた。もっともっと力があれば。才能があれば。お母様を助けられたはずなの。
「…ガイ。私、親不孝ものね。助けることも出来ない。涙も出ない。」
カトレアはポツポツと喋っていく。
普通の人間じゃにのかな?
ははは、元から普通じゃなかったじゃないか。
幸せは直ぐに壊れてしまう。知ってたはずなのに。
「大切な人はいつもいつも助けられない。」
ガイは何も言わずただ背中を撫で続ける。
感情を殺そうとしていたのだ。
堰を切ったように感情が溢れてくる。
カトレアは静かにガイの胸に顔を埋める。
それでも、涙は出てこない。
行き場のない感情が溢れる。
「…ありがとう。ガイ。」
カトレアは急に恥ずかしくなり下を向く。
「ガイには、いつも情けないところばかり見られてるわね。」
「……今日だけです。」
そう言うとガイは狼の姿になった。
「ふふふ。ありがとう。」
カトレアはベットの中に入りガイの体に顔を埋める。
ふかふかで気持ちいい。
この感触も久しぶりだ。
いつもは、絶対に狼の姿になってくれないのに。
今日は甘えてもいいだろうか。
カトレアはゆっくりと意識を手放す。
悲しみがなくなったわけじゃない。それでも、前へ進むために今は少しだけ休むことにした。
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