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二章
~決心と苦しみ~
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「みんなお疲れ様。何とか大事には至らなかったね。」
自分の父親なのにカトレアは恐ろしいと思った。
そして、同時に仕事をしている時の父の偉大さを知った。
この人が居なかったら多分ほとんど助けることはできなかった。
「1週間よく頑張ってくれた。今日はゆっくり休んでくれ。」
みんなが部屋を出て行く中カトレアはその場に立ち止まっていた。
「カトレア、どうしたんだい。」
こんなに優しく笑う人が、悪魔の貴公子だったなんて信じ硬い。
アルベルトは貴族の間では、どんな相手にも厳しく、そして何よりも妻と娘を愛してると有名である。
「お話があります。」
「……座りなさい。」
カトレアの緊張を読み取ったのか、アルベルトはソファーに座るよう誘導する。
もちろん、ガイとサラはカトレアの隣に控えている。
「私に、あの土地をください。」
アルベルトの顔つきが急に厳しくなる。
「…それは、無理だ。お前が子供だからという理由だけではない。カトレアお前は賢い子だ。わかるだろう。」
カトレアは張り詰めた空気に逃げ出したくなる。
分かってる。でもここで諦めたら。
運命はもう変えられない。
「分かっています。私はまだ幼い。周りが私のことを認めません。」
「それなら、この話は……。」
「ですから、私は娘としてではなく、一人の契約者だと思ってください。絶対に後悔はさせません。」
「何をしようと考えているんだ。」
カトレアは深呼吸をしゆっくりとこれからあの土地に施設を作りたいこと。
また、研究所を作りたいことを話す。
「それは、カトレアの自己満足じゃないのか?この世界に孤児は何人いると思う?それにこちらに利益がない。」
お父様の言うことは正しい。
確かに、何の利益もない。
カトレアがその土地を放棄してしまえば、民が路頭に迷ってしまう。
「私が作った特効薬の権限を全てお父様にお渡しします。」
これは賭けだ。薬の権限を渡すということは、私はその薬が何に使われようとなんの口出しもできないという事になる。
正直怖い。それでも、お父様になら預けられる。
それにもう、失いたくない。
あの小さな手を私は離したくない。
「…お父様にとって…いいえ、公爵家にとって悪い話ではないはずです。」
沈黙が続く。
カトレアはアルベルトの目を見つめる。
今、そらしたら負ける。
「…分かった。」
やった!
足がガクガクだ。
「ありがとうございます!」
「そのかわり条件二つある。」
条件……。
そう簡単には行かないらしい。
「何でしょう。」
「一つ目、僕以外にも支援者をつくること。そして、二つ目は、二つ薬を作ることだ。一つは、今回の薬でいい。あと一つ作って持ってきてから決める。期限は次のカトレアの誕生日までだ。勿論、勉強も手を抜いてはダメだ。」
と言うことは、半年後…。
できるか五分五分だ。
今回、上手く特効薬ができたが次出来るとは限らない。
そうだ、そもそもできなかったら支援なんてしてもらえない。
できないかもじゃない、やらないといけないのだ。
「はい。」
「じゃ、話は終わりだ。」
そう言うと、アルベルトはカトレアを抱き上げた。
「お、お父様!」
突然の事にカトレアは慌ててアルベルトの首に手を回す。
「こうやって抱っこするにはいつぶりだろうか。大きくなったね、カトレア。」
お父様?
どうして、泣きそうな顔をなさるのですか?
「カトレアよく頑張ったね。お母様の事も薬の事も本当によく頑張った。でも、今は今この時だけでも、休憩しないかい?悲しんでいい。泣いたっていいんだよ?僕は寂しい。とてもとても辛い。親子なんだから、我慢なんてしなくてもいい。」
お父様の胸の中は暖かくて力強くて、そして震えていた。
お父様も辛いんだ。
心が痛いんだ。
「…会いたい。最後まで一緒に居たかった。痛い。痛いよ。お母様…お母様!お母様!」
溜めて居た言葉と涙が次々に溢れる。
苦しい。辛い。
カトレアは赤子のように声を荒げて泣いた。
声が枯れるほど泣き続けた。
アルベルトはただ、うんうんと背中を撫で続ける。
カトレアは泣き疲れアルベルトの腕の中で眠ってしまった。
アルベルトは愛おしそうに娘の頬を撫でる。
「サラ、部屋に運んでくれるかい?」
「かしこまりました。」
アルベルトがカトレアを預けるとサラはカトレアを抱え部屋を出て行く。
部屋にはガイとアルベルトだけが残る。
「ガイ、そんな顔をするな。家族だからね、仕方ないんだよ。それに、まだ誰にもこの子をあげる予定はないからね。」
ガイは自分の前では弱音は言っても狼の姿の時にしか涙を見せてくれなかった。
それは、本当の弱さを見せてくれているとは言えない。
「俺は、どんな時もそばにいると誓いましたので、長くじっくり囲っていきます。」
「ははは。君は昔の僕そっくりだ。でも、あの子を傷つけるのは許さないよ?ガイ?いや、ガイアス殿下とお呼びすべきか。」
ガイはその言葉に目を見開き固まる。
「君も出て来ていいよ。」
アルベルトは上に声をかける。
ガイは全てをアルベルトがわかっていると悟る。
自分の父親なのにカトレアは恐ろしいと思った。
そして、同時に仕事をしている時の父の偉大さを知った。
この人が居なかったら多分ほとんど助けることはできなかった。
「1週間よく頑張ってくれた。今日はゆっくり休んでくれ。」
みんなが部屋を出て行く中カトレアはその場に立ち止まっていた。
「カトレア、どうしたんだい。」
こんなに優しく笑う人が、悪魔の貴公子だったなんて信じ硬い。
アルベルトは貴族の間では、どんな相手にも厳しく、そして何よりも妻と娘を愛してると有名である。
「お話があります。」
「……座りなさい。」
カトレアの緊張を読み取ったのか、アルベルトはソファーに座るよう誘導する。
もちろん、ガイとサラはカトレアの隣に控えている。
「私に、あの土地をください。」
アルベルトの顔つきが急に厳しくなる。
「…それは、無理だ。お前が子供だからという理由だけではない。カトレアお前は賢い子だ。わかるだろう。」
カトレアは張り詰めた空気に逃げ出したくなる。
分かってる。でもここで諦めたら。
運命はもう変えられない。
「分かっています。私はまだ幼い。周りが私のことを認めません。」
「それなら、この話は……。」
「ですから、私は娘としてではなく、一人の契約者だと思ってください。絶対に後悔はさせません。」
「何をしようと考えているんだ。」
カトレアは深呼吸をしゆっくりとこれからあの土地に施設を作りたいこと。
また、研究所を作りたいことを話す。
「それは、カトレアの自己満足じゃないのか?この世界に孤児は何人いると思う?それにこちらに利益がない。」
お父様の言うことは正しい。
確かに、何の利益もない。
カトレアがその土地を放棄してしまえば、民が路頭に迷ってしまう。
「私が作った特効薬の権限を全てお父様にお渡しします。」
これは賭けだ。薬の権限を渡すということは、私はその薬が何に使われようとなんの口出しもできないという事になる。
正直怖い。それでも、お父様になら預けられる。
それにもう、失いたくない。
あの小さな手を私は離したくない。
「…お父様にとって…いいえ、公爵家にとって悪い話ではないはずです。」
沈黙が続く。
カトレアはアルベルトの目を見つめる。
今、そらしたら負ける。
「…分かった。」
やった!
足がガクガクだ。
「ありがとうございます!」
「そのかわり条件二つある。」
条件……。
そう簡単には行かないらしい。
「何でしょう。」
「一つ目、僕以外にも支援者をつくること。そして、二つ目は、二つ薬を作ることだ。一つは、今回の薬でいい。あと一つ作って持ってきてから決める。期限は次のカトレアの誕生日までだ。勿論、勉強も手を抜いてはダメだ。」
と言うことは、半年後…。
できるか五分五分だ。
今回、上手く特効薬ができたが次出来るとは限らない。
そうだ、そもそもできなかったら支援なんてしてもらえない。
できないかもじゃない、やらないといけないのだ。
「はい。」
「じゃ、話は終わりだ。」
そう言うと、アルベルトはカトレアを抱き上げた。
「お、お父様!」
突然の事にカトレアは慌ててアルベルトの首に手を回す。
「こうやって抱っこするにはいつぶりだろうか。大きくなったね、カトレア。」
お父様?
どうして、泣きそうな顔をなさるのですか?
「カトレアよく頑張ったね。お母様の事も薬の事も本当によく頑張った。でも、今は今この時だけでも、休憩しないかい?悲しんでいい。泣いたっていいんだよ?僕は寂しい。とてもとても辛い。親子なんだから、我慢なんてしなくてもいい。」
お父様の胸の中は暖かくて力強くて、そして震えていた。
お父様も辛いんだ。
心が痛いんだ。
「…会いたい。最後まで一緒に居たかった。痛い。痛いよ。お母様…お母様!お母様!」
溜めて居た言葉と涙が次々に溢れる。
苦しい。辛い。
カトレアは赤子のように声を荒げて泣いた。
声が枯れるほど泣き続けた。
アルベルトはただ、うんうんと背中を撫で続ける。
カトレアは泣き疲れアルベルトの腕の中で眠ってしまった。
アルベルトは愛おしそうに娘の頬を撫でる。
「サラ、部屋に運んでくれるかい?」
「かしこまりました。」
アルベルトがカトレアを預けるとサラはカトレアを抱え部屋を出て行く。
部屋にはガイとアルベルトだけが残る。
「ガイ、そんな顔をするな。家族だからね、仕方ないんだよ。それに、まだ誰にもこの子をあげる予定はないからね。」
ガイは自分の前では弱音は言っても狼の姿の時にしか涙を見せてくれなかった。
それは、本当の弱さを見せてくれているとは言えない。
「俺は、どんな時もそばにいると誓いましたので、長くじっくり囲っていきます。」
「ははは。君は昔の僕そっくりだ。でも、あの子を傷つけるのは許さないよ?ガイ?いや、ガイアス殿下とお呼びすべきか。」
ガイはその言葉に目を見開き固まる。
「君も出て来ていいよ。」
アルベルトは上に声をかける。
ガイは全てをアルベルトがわかっていると悟る。
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