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三章
変化
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妹はとある事件から塞ぎがちになっていた。
それは、親戚である令嬢に怪我をさせてしまった時からである。
妹に悪意があったわけでは決してない。
溺れそうになっていた令嬢を助けたい一心でパニックになり魔力が暴走し怪我をさせてしまった。
人を傷つけてしまった恐怖からかファーラは部屋から出なくなった。
出るとしたら、庭の手入れの時ぐらいである。
ある日、パーティーの招待状が届た。
それは、王妃主催のお茶会。必ず出席しなければならない。
「お兄様……。」
袖を掴み不安そうに揺れる瞳で見つめられる。
「俺も一緒に行こう。」
ファーラは安心したように微笑む。
パーティー当日、ルイスは走り回っていた。
くそっ!
ルイスは苛立ちを隠せなかった。
パーティーに行き少したった時、ファーラを見失ってしまったのだ。
あいつを守るって決めたのにこんな事で見失ってどうする。
何処だ?
ファーラなら何処に行く?
ルイスは足を止め思い立った場所に向かう。
そこには、誰かと話しているファーラの姿があった。
後ろ姿だから誰か分からないが、ルイスはファーラに声をかける。
「ファーラ、そろそろ帰ろう。」
「お兄様!」
ファーラは笑顔でこちらに駆けつける。
ルイスは振り向いた少女を見て息をのむ。
あぁ、美しいとはこのことを言うのだろうか。
「お兄様、こちらカトレア・ローズ様です。カトレア様……。」
カトレア・ローズと言えばあの我儘な令嬢と有名ではないか。
美しい美貌をひけらかし男を良いようにしていると、でもルイスにはその様には見えなかった。
確かに目を惹く美貌の持ち主だが、その瞳はとても美しいと思った。
だからこそ、ファーラがこんなにも楽しく話しているのかもしれない。
家族でもダメだったファーラをここまで明るくしてくれた。
「妹がお世話になりました。」
でも、もしも心を開いて裏切られたら。
見極めるように見つめているとカトレアがびっくりしたようにこちらを見て来た。
いけない、また睨んだように見えただろうか。
しかしカトレアに気分を害した様子はない。
「お兄様今度カトレア様をうちに招待したいのですがよろしいですか?」
「………あぁ、構わない。」
驚いた。
ここまでだとは思わなかった。
でも、ファーラが友達を作ろうとするのは嬉しいことだ。
ルイスはファーラの頭を撫でる。
*********
今日は確かあの令嬢が遊びにくる日だった気がする。
ルイスは早く仕事を終わらし、遠くから見るために庭の裏に向かう。
そこには、何故かルミアが来ていた。
今日、来る予定はなかったはずだ。
話を聞いてみれば、どうやら怪我をさせる奴だから友達をやめろと言う事らしい。
ルイスはファーラを助けようと一歩踏み出したがカトレアの言葉に足を止める。
カトレアは離れないと友達でいると堂々と言ってのけたのだ。
しかし、ファーラはカトレアに怪我をさせてしまうかもしれない恐怖に支配されていた。
やっぱり、ファーラが心を開ける人は…と思った時思いもよらない事をカトレアが言ったのだ。
「でもでもって五月蝿いわよ!私がいいと言ってるのだからから良いのよ!大体ね、私は貴女より強いわ。だから簡単に怪我させられると思ったら大間違いなんですからね!」
その言葉を聞いてルイスは吹き出してしまった。
令嬢に似合わない言葉使いだったが不思議と清々しい気分だった。
おかげで、ファーラたちにバレてしまったが。それも好都合だ。
ルイスはルミア帰ってもらえるようにお願いをし、帰ってもらえたがいつも逃げるように帰って行く。
俺が何かしただろうか?
目つきが悪いのは自覚しているが。
どうやら、ファーラもやっと覚悟が決まったらしい。
元々、ファーラは強い。
俺なんかより、出来がいいのだ。男だったらいいライバルになっただろうそれほど多才な才能を持っている。だからこそ、外の世界に出ないのは勿体無いと思っていた。
カトレア様は本当に
「君は、優しい人だな。」
口に出すつもりはなかったがつい出てしまうった。
人にはない何かを持ってる人だと思った。
そして、強い瞳をする人だと。
最近はいい事ばかりだ。
出来れば、この人にもファーラにも泣いて欲しくない。
初めて、ファーラ以外に守りたいものができた瞬間だった。
しかし、その本当の気持ちに気づくのはまだまだ先の話し。
それは、親戚である令嬢に怪我をさせてしまった時からである。
妹に悪意があったわけでは決してない。
溺れそうになっていた令嬢を助けたい一心でパニックになり魔力が暴走し怪我をさせてしまった。
人を傷つけてしまった恐怖からかファーラは部屋から出なくなった。
出るとしたら、庭の手入れの時ぐらいである。
ある日、パーティーの招待状が届た。
それは、王妃主催のお茶会。必ず出席しなければならない。
「お兄様……。」
袖を掴み不安そうに揺れる瞳で見つめられる。
「俺も一緒に行こう。」
ファーラは安心したように微笑む。
パーティー当日、ルイスは走り回っていた。
くそっ!
ルイスは苛立ちを隠せなかった。
パーティーに行き少したった時、ファーラを見失ってしまったのだ。
あいつを守るって決めたのにこんな事で見失ってどうする。
何処だ?
ファーラなら何処に行く?
ルイスは足を止め思い立った場所に向かう。
そこには、誰かと話しているファーラの姿があった。
後ろ姿だから誰か分からないが、ルイスはファーラに声をかける。
「ファーラ、そろそろ帰ろう。」
「お兄様!」
ファーラは笑顔でこちらに駆けつける。
ルイスは振り向いた少女を見て息をのむ。
あぁ、美しいとはこのことを言うのだろうか。
「お兄様、こちらカトレア・ローズ様です。カトレア様……。」
カトレア・ローズと言えばあの我儘な令嬢と有名ではないか。
美しい美貌をひけらかし男を良いようにしていると、でもルイスにはその様には見えなかった。
確かに目を惹く美貌の持ち主だが、その瞳はとても美しいと思った。
だからこそ、ファーラがこんなにも楽しく話しているのかもしれない。
家族でもダメだったファーラをここまで明るくしてくれた。
「妹がお世話になりました。」
でも、もしも心を開いて裏切られたら。
見極めるように見つめているとカトレアがびっくりしたようにこちらを見て来た。
いけない、また睨んだように見えただろうか。
しかしカトレアに気分を害した様子はない。
「お兄様今度カトレア様をうちに招待したいのですがよろしいですか?」
「………あぁ、構わない。」
驚いた。
ここまでだとは思わなかった。
でも、ファーラが友達を作ろうとするのは嬉しいことだ。
ルイスはファーラの頭を撫でる。
*********
今日は確かあの令嬢が遊びにくる日だった気がする。
ルイスは早く仕事を終わらし、遠くから見るために庭の裏に向かう。
そこには、何故かルミアが来ていた。
今日、来る予定はなかったはずだ。
話を聞いてみれば、どうやら怪我をさせる奴だから友達をやめろと言う事らしい。
ルイスはファーラを助けようと一歩踏み出したがカトレアの言葉に足を止める。
カトレアは離れないと友達でいると堂々と言ってのけたのだ。
しかし、ファーラはカトレアに怪我をさせてしまうかもしれない恐怖に支配されていた。
やっぱり、ファーラが心を開ける人は…と思った時思いもよらない事をカトレアが言ったのだ。
「でもでもって五月蝿いわよ!私がいいと言ってるのだからから良いのよ!大体ね、私は貴女より強いわ。だから簡単に怪我させられると思ったら大間違いなんですからね!」
その言葉を聞いてルイスは吹き出してしまった。
令嬢に似合わない言葉使いだったが不思議と清々しい気分だった。
おかげで、ファーラたちにバレてしまったが。それも好都合だ。
ルイスはルミア帰ってもらえるようにお願いをし、帰ってもらえたがいつも逃げるように帰って行く。
俺が何かしただろうか?
目つきが悪いのは自覚しているが。
どうやら、ファーラもやっと覚悟が決まったらしい。
元々、ファーラは強い。
俺なんかより、出来がいいのだ。男だったらいいライバルになっただろうそれほど多才な才能を持っている。だからこそ、外の世界に出ないのは勿体無いと思っていた。
カトレア様は本当に
「君は、優しい人だな。」
口に出すつもりはなかったがつい出てしまうった。
人にはない何かを持ってる人だと思った。
そして、強い瞳をする人だと。
最近はいい事ばかりだ。
出来れば、この人にもファーラにも泣いて欲しくない。
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しかし、その本当の気持ちに気づくのはまだまだ先の話し。
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