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三章
~卑怯でも~
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カトレアはある場所に来ていた。
大丈夫よ!
きっと、大丈夫。
「カトレア・ローズです。」
「お待ちしておりました。カトレア様。」
少し細過ぎないかと心配になるが姿勢の綺麗な執事が出て来た。
カトレアは執事に応接室に通され落ち着かない気持ちで待っていた。
「何の用ですの?」
その人物は入って来た瞬間から敵意丸出しである。
「ルミア様にお話があり伺わせていただきました。」
ルミアは嫌そうな顔をしたが静かに椅子に座ってくれた。
ファーラの事もあるし気まずい。でもここで逃げるわけにはいかないのだ。
カトレアはカバンから丸い形をしたガラスの箱を取り出す。
そして、それをルミア差し出す。
「なんですの?これは。」
「傷跡を消す薬です。」
そう、私はこの日のためにファーラの家から帰ってずっとこの研究をしていたのだ。
ルミアはそれを取ることなく、顔を真っ赤にさせ怒鳴る。
「傷を治す?敵にこんな物を渡されてハイそうですかと受け取るはすがないでしょう!」
ですよねー。
そう簡単にいかないのは分かってますよ。
でも、諦めるわけにはいかないのだ。
例え、狡い手を使っても。
「ルイス様の為にも傷は残したくないでしょう?それに、ルイス様の妹を虐めたからといってルイス様が見てくれないのは分かっているはずですわ。」
「あ、貴女に何がわかるのよ!」
椅子が倒れるのではと思うほどの勢いで立ち上がる。
彼氏がいた事のない私には確かに恋愛の好きはイマイチよくわからない。
でも、家族や友達を好きだと思う気持ちはわかる。
「ルミア様の気持ちは確かに私にはわかりませんわ。でも、貴女がしている事が間違っていて貴女も悩んでいることは分かります。」
本当に嫌いなら話だってかけないし、この人なら自らあんな事をしなくても周りにさせればいいでもそれをしないと言うことは、本当は
「仲直り、したいのですよね?」
ルミアはポロポロと涙をこぼし椅子に深く座る。
「……ど、どうしたらいいか分からない。もう、きっとあの子もルイス様も許してくれない。」
きつい物言いも、傲慢な言い方も自分を守る為だったのだ。
侯爵令嬢だから周りになめられない様に、心を許さない様に。
その気持ちはよくわかった。記憶を思い出すまでの自分がそうだったのだから。
でも、ルミアは12歳のまだ子供なのだ。そんな器用なことが出来るはずがない。
「…素直に謝ればいいのです。きっとファーラもルイス様も許してくださりますわ。」
カトレアはルミアの手を握る。
「簡単な事です。グダグダ考える前にこれを塗って、治してください。」
ルミアはピタリと泣き止みカトレアを凝視する。
「そう言うことですか。そう言って薬を塗らそうと言う考えね!」
うっ、鋭い。
どうしたらいいか考えているとルミアが立ち上がり薬を取ると扉まで行きこちらを振り向かず小さな声で「ありがとう。」と言い出ていった。
「ツンデレ…。」
あれが世に言うツンデレ!
関わりたくないと思っていたがどうやら無理そうである。
だって、こんなにも可愛いのに仲良くしないなんて勿体無いじゃない!
カトレアは馬車に乗る前にふと窓の方へ目線を向ければこちらをみているルミアが居た。
本当なんていうか、懐かない猫みたい。
「突然押しかけてすいませんでした。」
カトレアは執事さんに改めてお礼を言う。
この時間をつくってくれたのは何を隠そう、この執事さんだったりする。
「いえ。お嬢様は少し素直じゃないですからあのぐらいが良かったのですよ。」
執事はそう言うとウインクをしすぐにいつもの表情に戻る。
「はい。」
カトレアは馬車に乗りやっぱりあの薬を作って良かったなと思った。
「嬉しそうですね。上手くいったんですか?」
「うん!なかなか可愛い子を見つけたわ。」
サラが聞いてくるので満面の笑みで答えれば何故か苦笑いされた。
「俺はいつかお嬢様が刺されないか心配です。」
ガイまで呆れた様にそんな事を言ってくる。
なんか失礼な気もするけど今は気分がいいから良いや!
「ところで、援助はどうなされんですか?」
うっ、痛い所を突かれた。
「まさか、まだ決まっていないのですか?」
「あはは、そのまさか?」
ガイは頭に手をあて盛大なため息をつく。
サラに助けを求めれば知りませんと言う顔をされてしまった。
「どうするんですか?もう1ヶ月をきってるんですよ。」
そうなのだ。
気づけば残りわずか。
さてどうしたものか。
「1人だけ居るんだけど、すっご~くお願いしたくないんだよね。」
でも、腹に背は変えられないからな。
カトレアは腹をくくることにした。
女は度胸だ。
あれ?
これどっかで言ったことある様な。
ま、いっか。
カトレアは運転手に頼みその場所に向かってもらう。
大丈夫よ!
きっと、大丈夫。
「カトレア・ローズです。」
「お待ちしておりました。カトレア様。」
少し細過ぎないかと心配になるが姿勢の綺麗な執事が出て来た。
カトレアは執事に応接室に通され落ち着かない気持ちで待っていた。
「何の用ですの?」
その人物は入って来た瞬間から敵意丸出しである。
「ルミア様にお話があり伺わせていただきました。」
ルミアは嫌そうな顔をしたが静かに椅子に座ってくれた。
ファーラの事もあるし気まずい。でもここで逃げるわけにはいかないのだ。
カトレアはカバンから丸い形をしたガラスの箱を取り出す。
そして、それをルミア差し出す。
「なんですの?これは。」
「傷跡を消す薬です。」
そう、私はこの日のためにファーラの家から帰ってずっとこの研究をしていたのだ。
ルミアはそれを取ることなく、顔を真っ赤にさせ怒鳴る。
「傷を治す?敵にこんな物を渡されてハイそうですかと受け取るはすがないでしょう!」
ですよねー。
そう簡単にいかないのは分かってますよ。
でも、諦めるわけにはいかないのだ。
例え、狡い手を使っても。
「ルイス様の為にも傷は残したくないでしょう?それに、ルイス様の妹を虐めたからといってルイス様が見てくれないのは分かっているはずですわ。」
「あ、貴女に何がわかるのよ!」
椅子が倒れるのではと思うほどの勢いで立ち上がる。
彼氏がいた事のない私には確かに恋愛の好きはイマイチよくわからない。
でも、家族や友達を好きだと思う気持ちはわかる。
「ルミア様の気持ちは確かに私にはわかりませんわ。でも、貴女がしている事が間違っていて貴女も悩んでいることは分かります。」
本当に嫌いなら話だってかけないし、この人なら自らあんな事をしなくても周りにさせればいいでもそれをしないと言うことは、本当は
「仲直り、したいのですよね?」
ルミアはポロポロと涙をこぼし椅子に深く座る。
「……ど、どうしたらいいか分からない。もう、きっとあの子もルイス様も許してくれない。」
きつい物言いも、傲慢な言い方も自分を守る為だったのだ。
侯爵令嬢だから周りになめられない様に、心を許さない様に。
その気持ちはよくわかった。記憶を思い出すまでの自分がそうだったのだから。
でも、ルミアは12歳のまだ子供なのだ。そんな器用なことが出来るはずがない。
「…素直に謝ればいいのです。きっとファーラもルイス様も許してくださりますわ。」
カトレアはルミアの手を握る。
「簡単な事です。グダグダ考える前にこれを塗って、治してください。」
ルミアはピタリと泣き止みカトレアを凝視する。
「そう言うことですか。そう言って薬を塗らそうと言う考えね!」
うっ、鋭い。
どうしたらいいか考えているとルミアが立ち上がり薬を取ると扉まで行きこちらを振り向かず小さな声で「ありがとう。」と言い出ていった。
「ツンデレ…。」
あれが世に言うツンデレ!
関わりたくないと思っていたがどうやら無理そうである。
だって、こんなにも可愛いのに仲良くしないなんて勿体無いじゃない!
カトレアは馬車に乗る前にふと窓の方へ目線を向ければこちらをみているルミアが居た。
本当なんていうか、懐かない猫みたい。
「突然押しかけてすいませんでした。」
カトレアは執事さんに改めてお礼を言う。
この時間をつくってくれたのは何を隠そう、この執事さんだったりする。
「いえ。お嬢様は少し素直じゃないですからあのぐらいが良かったのですよ。」
執事はそう言うとウインクをしすぐにいつもの表情に戻る。
「はい。」
カトレアは馬車に乗りやっぱりあの薬を作って良かったなと思った。
「嬉しそうですね。上手くいったんですか?」
「うん!なかなか可愛い子を見つけたわ。」
サラが聞いてくるので満面の笑みで答えれば何故か苦笑いされた。
「俺はいつかお嬢様が刺されないか心配です。」
ガイまで呆れた様にそんな事を言ってくる。
なんか失礼な気もするけど今は気分がいいから良いや!
「ところで、援助はどうなされんですか?」
うっ、痛い所を突かれた。
「まさか、まだ決まっていないのですか?」
「あはは、そのまさか?」
ガイは頭に手をあて盛大なため息をつく。
サラに助けを求めれば知りませんと言う顔をされてしまった。
「どうするんですか?もう1ヶ月をきってるんですよ。」
そうなのだ。
気づけば残りわずか。
さてどうしたものか。
「1人だけ居るんだけど、すっご~くお願いしたくないんだよね。」
でも、腹に背は変えられないからな。
カトレアは腹をくくることにした。
女は度胸だ。
あれ?
これどっかで言ったことある様な。
ま、いっか。
カトレアは運転手に頼みその場所に向かってもらう。
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