毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

文字の大きさ
28 / 48
三章

~卑怯でも~

しおりを挟む
カトレアはある場所に来ていた。

大丈夫よ!
きっと、大丈夫。

「カトレア・ローズです。」

「お待ちしておりました。カトレア様。」

少し細過ぎないかと心配になるが姿勢の綺麗な執事が出て来た。
カトレアは執事に応接室に通され落ち着かない気持ちで待っていた。

「何の用ですの?」

その人物は入って来た瞬間から敵意丸出しである。

「ルミア様にお話があり伺わせていただきました。」

ルミアは嫌そうな顔をしたが静かに椅子に座ってくれた。

ファーラの事もあるし気まずい。でもここで逃げるわけにはいかないのだ。

カトレアはカバンから丸い形をしたガラスの箱を取り出す。
そして、それをルミア差し出す。

「なんですの?これは。」

「傷跡を消す薬です。」

そう、私はこの日のためにファーラの家から帰ってずっとこの研究をしていたのだ。

ルミアはそれを取ることなく、顔を真っ赤にさせ怒鳴る。

「傷を治す?敵にこんな物を渡されてハイそうですかと受け取るはすがないでしょう!」

ですよねー。
そう簡単にいかないのは分かってますよ。
でも、諦めるわけにはいかないのだ。
例え、狡い手を使っても。

「ルイス様の為にも傷は残したくないでしょう?それに、ルイス様の妹を虐めたからといってルイス様が見てくれないのは分かっているはずですわ。」

「あ、貴女に何がわかるのよ!」

椅子が倒れるのではと思うほどの勢いで立ち上がる。

彼氏がいた事のない私には確かに恋愛の好きはイマイチよくわからない。
でも、家族や友達を好きだと思う気持ちはわかる。

「ルミア様の気持ちは確かに私にはわかりませんわ。でも、貴女がしている事が間違っていて貴女も悩んでいることは分かります。」

本当に嫌いなら話だってかけないし、この人なら自らあんな事をしなくても周りにさせればいいでもそれをしないと言うことは、本当は

「仲直り、したいのですよね?」

ルミアはポロポロと涙をこぼし椅子に深く座る。

「……ど、どうしたらいいか分からない。もう、きっとあの子もルイス様も許してくれない。」

きつい物言いも、傲慢な言い方も自分を守る為だったのだ。
侯爵令嬢だから周りになめられない様に、心を許さない様に。
その気持ちはよくわかった。記憶を思い出すまでの自分がそうだったのだから。
でも、ルミアは12歳のまだ子供なのだ。そんな器用なことが出来るはずがない。

「…素直に謝ればいいのです。きっとファーラもルイス様も許してくださりますわ。」

カトレアはルミアの手を握る。

「簡単な事です。グダグダ考える前にこれを塗って、治してください。」

ルミアはピタリと泣き止みカトレアを凝視する。

「そう言うことですか。そう言って薬を塗らそうと言う考えね!」

うっ、鋭い。

どうしたらいいか考えているとルミアが立ち上がり薬を取ると扉まで行きこちらを振り向かず小さな声で「ありがとう。」と言い出ていった。

「ツンデレ…。」

あれが世に言うツンデレ!
関わりたくないと思っていたがどうやら無理そうである。
だって、こんなにも可愛いのに仲良くしないなんて勿体無いじゃない!

カトレアは馬車に乗る前にふと窓の方へ目線を向ければこちらをみているルミアが居た。

本当なんていうか、懐かない猫みたい。

「突然押しかけてすいませんでした。」

カトレアは執事さんに改めてお礼を言う。
この時間をつくってくれたのは何を隠そう、この執事さんだったりする。

「いえ。お嬢様は少し素直じゃないですからあのぐらいが良かったのですよ。」

執事はそう言うとウインクをしすぐにいつもの表情に戻る。

「はい。」

カトレアは馬車に乗りやっぱりあの薬を作って良かったなと思った。

「嬉しそうですね。上手くいったんですか?」

「うん!なかなか可愛い子を見つけたわ。」

サラが聞いてくるので満面の笑みで答えれば何故か苦笑いされた。

「俺はいつかお嬢様が刺されないか心配です。」

ガイまで呆れた様にそんな事を言ってくる。

なんか失礼な気もするけど今は気分がいいから良いや!

「ところで、援助はどうなされんですか?」

うっ、痛い所を突かれた。

「まさか、まだ決まっていないのですか?」

「あはは、そのまさか?」

ガイは頭に手をあて盛大なため息をつく。
サラに助けを求めれば知りませんと言う顔をされてしまった。

「どうするんですか?もう1ヶ月をきってるんですよ。」

そうなのだ。
気づけば残りわずか。
さてどうしたものか。

「1人だけ居るんだけど、すっご~くお願いしたくないんだよね。」

でも、腹に背は変えられないからな。

カトレアは腹をくくることにした。
女は度胸だ。

あれ?
これどっかで言ったことある様な。
ま、いっか。

カトレアは運転手に頼みその場所に向かってもらう。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...