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三章
別れの日
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ガイはカトレアを部屋まで見送った後また、中庭に戻っていた。
テラスから差し込む月の光、それに照られ漆黒のドレスに包まれた貴女は誰よりも気高く美しかった。
一週間前はまだまだだった礼儀作法も完璧にこなし見た目だけではなく、立ち振る舞いまで気高くなってしまった。
これでは、本当に遠い存在、いや、違うな。
元から、俺は彼女の隣にいるべき人間ではないのだ。
俺には眩しい、それは化物が太陽や月に憧れる事と一緒だ。
なんと、おこがましいことだろう。
「…ガイアス様、本当によろしいのですか?」
ノアは主人を心配そうに見る。
「もう、決めたことだ。」
「しかし!貴方様はまだカトレア様を……。」
「ノア。」
その呼び掛けはもう決意を決めているように冷静でかたかった。
ノアはそれ以上口を開く事ができなかった。
「ノア、お前には迷惑をかける。最後まで付き合ってくれるか?」
ノアが死なないという保証はない。
だから、離れるなら今しかない。
今なら、アルベルト様がノアだけでも保護してくださるだろうから。
「何を言ってるんですか?そんなの当たり前じゃないですか。貴方様が離れろと言ってもこの命が尽きぬ限りついていきます。」
「そうか…。お前の命、俺が預かる。」
ノアは嬉しそうに胸に手をあて深々と礼をする。
「全ては主の意のままに。」
『やれやれ、面倒ごとは嫌やでほんま。』
ノアが消えたのと同時に呑気な声が頭に響いた。
聞こえたのではない。直接頭の中に流れ込む感じだ。
「誰だ!」
あたりを見渡すがどこにもその姿はない。
『上や、うえ。』
上を向けばそこには黒猫と白猫が宙に浮いていた。
「……カトレア様の猫がどうして。」
『驚くとこそこかいな!まぁえけどな、ええけど、もっとこう…。』
妖精か何かの類だったとしたら浮いても何の問題もないだろう。と思っていたガイはそれ程驚きはしないが、何故この気まぐれな2人が自分の元にいるのかが理解できなかった。
『ミケ、話が脱線してますよ。』
『おー、すまんすまん。まーつまりなんや…。そうそう、面倒なんや!』
ミケは前足をピシッとガイに向けドヤ顔だが当のガイは状況が掴めていなかった。
それもそのはずだ。
この話の流れで迷惑と言われて理解できる人間がいるだろうか。答えは否である。
『はぁー。馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたがここまで馬鹿とは尊敬に値しますよ。尊敬などしませんが。』
ティナは冷たい目でミケを睨む。
『今のごっつ傷ついたで!俺の心はガラスのハートなんやで!』
『この馬鹿はほっときましょう。』
「はー。俺は構わないが…。」
ミケを見れば白い毛を振り乱してぴょんぴょん跳ねていた。
『それでは、単刀直入に言わせていただきます。』
『おーい!無視すんなぁー。傷つくやんけ~えぇんか?』
『このまま、カトレアに何も言わず去られてはこちらが面倒なんです。』
どうやら、ミケのことは無視をするらしい。
「つまり、後始末をして行けと。」
『早く言えばそう言うことです。』
確かにそれもそうだ、カトレア様がすんなり俺がいなくなった事を受け止めるはずがない。
これは、自惚れとか関係なく一緒にいればわかる事だ。
カトレア様が一度家族と言った人をほっとくはずがない。
それを、嬉しいと思ってしまう俺は…もう…。
「わかった。」
『わかっていただけたのなら私達はこれで。』
もう、興味が薄れたのだろう。
ティナは何処かに消えてしまった。
カトレア様のことは以外は全く興味がないのだろう。
『何べん声かけても無視するし、俺はどうせ…どうせ…。』
ミケから、何かめんどくさいオーラが出ている。
できれば、近づきたくないな。
『…忘れ物でした。では。』
『おい!何すんねん!ティナ、はな…!』
ガイが声をかけようとした時ティナが戻って来てそして、今度はミケを連れて消えてしまった。
何だったんだ…。
まるで、嵐が去ったようだな。
「…渡すか悩んでいたが、仕方ない。」
カトレア様…、お元気で。
ガイは闇に溶け込みように姿を消した。
テラスから差し込む月の光、それに照られ漆黒のドレスに包まれた貴女は誰よりも気高く美しかった。
一週間前はまだまだだった礼儀作法も完璧にこなし見た目だけではなく、立ち振る舞いまで気高くなってしまった。
これでは、本当に遠い存在、いや、違うな。
元から、俺は彼女の隣にいるべき人間ではないのだ。
俺には眩しい、それは化物が太陽や月に憧れる事と一緒だ。
なんと、おこがましいことだろう。
「…ガイアス様、本当によろしいのですか?」
ノアは主人を心配そうに見る。
「もう、決めたことだ。」
「しかし!貴方様はまだカトレア様を……。」
「ノア。」
その呼び掛けはもう決意を決めているように冷静でかたかった。
ノアはそれ以上口を開く事ができなかった。
「ノア、お前には迷惑をかける。最後まで付き合ってくれるか?」
ノアが死なないという保証はない。
だから、離れるなら今しかない。
今なら、アルベルト様がノアだけでも保護してくださるだろうから。
「何を言ってるんですか?そんなの当たり前じゃないですか。貴方様が離れろと言ってもこの命が尽きぬ限りついていきます。」
「そうか…。お前の命、俺が預かる。」
ノアは嬉しそうに胸に手をあて深々と礼をする。
「全ては主の意のままに。」
『やれやれ、面倒ごとは嫌やでほんま。』
ノアが消えたのと同時に呑気な声が頭に響いた。
聞こえたのではない。直接頭の中に流れ込む感じだ。
「誰だ!」
あたりを見渡すがどこにもその姿はない。
『上や、うえ。』
上を向けばそこには黒猫と白猫が宙に浮いていた。
「……カトレア様の猫がどうして。」
『驚くとこそこかいな!まぁえけどな、ええけど、もっとこう…。』
妖精か何かの類だったとしたら浮いても何の問題もないだろう。と思っていたガイはそれ程驚きはしないが、何故この気まぐれな2人が自分の元にいるのかが理解できなかった。
『ミケ、話が脱線してますよ。』
『おー、すまんすまん。まーつまりなんや…。そうそう、面倒なんや!』
ミケは前足をピシッとガイに向けドヤ顔だが当のガイは状況が掴めていなかった。
それもそのはずだ。
この話の流れで迷惑と言われて理解できる人間がいるだろうか。答えは否である。
『はぁー。馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたがここまで馬鹿とは尊敬に値しますよ。尊敬などしませんが。』
ティナは冷たい目でミケを睨む。
『今のごっつ傷ついたで!俺の心はガラスのハートなんやで!』
『この馬鹿はほっときましょう。』
「はー。俺は構わないが…。」
ミケを見れば白い毛を振り乱してぴょんぴょん跳ねていた。
『それでは、単刀直入に言わせていただきます。』
『おーい!無視すんなぁー。傷つくやんけ~えぇんか?』
『このまま、カトレアに何も言わず去られてはこちらが面倒なんです。』
どうやら、ミケのことは無視をするらしい。
「つまり、後始末をして行けと。」
『早く言えばそう言うことです。』
確かにそれもそうだ、カトレア様がすんなり俺がいなくなった事を受け止めるはずがない。
これは、自惚れとか関係なく一緒にいればわかる事だ。
カトレア様が一度家族と言った人をほっとくはずがない。
それを、嬉しいと思ってしまう俺は…もう…。
「わかった。」
『わかっていただけたのなら私達はこれで。』
もう、興味が薄れたのだろう。
ティナは何処かに消えてしまった。
カトレア様のことは以外は全く興味がないのだろう。
『何べん声かけても無視するし、俺はどうせ…どうせ…。』
ミケから、何かめんどくさいオーラが出ている。
できれば、近づきたくないな。
『…忘れ物でした。では。』
『おい!何すんねん!ティナ、はな…!』
ガイが声をかけようとした時ティナが戻って来てそして、今度はミケを連れて消えてしまった。
何だったんだ…。
まるで、嵐が去ったようだな。
「…渡すか悩んでいたが、仕方ない。」
カトレア様…、お元気で。
ガイは闇に溶け込みように姿を消した。
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