毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

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四章

~2日目(前半)、小さな不安~

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500人以上入るだろう会場で皆が1組の男女に目を奪われていた。
まだ16だというのに妖艶な雰囲気を醸し出し周りの男女共に魂を抜かれたように惚けるが 少女はそんな視線も気にした様子もなく隣にいる絵本から出てきたような美しい王子様の手を取り優雅に踊っている。
お手本のように完璧なダンスがより一層2人の魅力を引き立てている。
全ての動作が美しいと言っても過言ではない。
だからこそ、皆はその雰囲気にけをされダンスが終わってもちかづけないでいた。
その空気をぶち破るように1人の少女が2人に近づく。
しかし、ぶち破るどころかその少女が加わったことにより、余計近ずけなくなった。
彼女もまた美しい容姿とオーラを持っていたのだ。

「殿下、カトレア…じゃなくて、カトレア様!、御機嫌よう。」

「あぁ。久しいな。ファーラ嬢。」

「ファーラ、御機嫌よう。…どうしたのそんなに見つめて」

ファーラがあまりに見つめてくるものだからカトレアは気になって聞いて見た。

「カトレア様があまりにも美しいから同じ人間なのかなぁーと思いまして。」

えへへと微笑むあなたはこの世界に舞い降りた妖精様ですか?
とは言えないので微笑み返すだけにとどめる。

「ありがとう。ところでパートナーはどちらにいらっしゃいるのかしら?」

この3日間はほとんどパートナーと一緒に過ごすのだ。
しかし、ファーラの近くにその姿がなかった。

「あ!カトレア様に会えて嬉しくてすっかり忘れていました!」

それは凄く嬉しんだけど…ファーラの事少し心配になってきたわ。

ファーラは辺りをキョロキョロし始め、どうやらパートナーを探している様だ。
見つけたのか花が咲くような微笑みを一点に向ける。
一体どんな人となのか見ようとファーラの視線の先を追ってカトレアは驚愕する。

「酷いなぁー。カトレア様を見つけた瞬間消えてしまうんだから。」

「ごめんなさい。ジェン様。」

「まぁ、君らしいからいいけどね。」

ジェンは優しくファーラの頭を撫でる。

ジェンがファーラのパートナーであるのはもちろん驚いた。でも、それ以上にジェンのファーラを見るときのなんともいえない優しい目に驚いたのだ。

「相変わらず仲がいいな。」

カトレアはクラウドが呟いた言葉を聞き逃さなかった。

「ファーラとジェンは昔からの知り合いなのですか?」

「俺とジェンとファーラそれからルイスは幼馴染だ。」

それは、初耳だ。
でも、確かにファーラがヒロインと親友になったきっかけは城で出会ったってだった気がする。
パーティもないのになんで出会ったのか読んでる時は疑問に思わなかったけど今考えるとおかしい。
つまり、ファーラはジェン達と遊ぶ予定だったという事だろうか。

「カトレア様、私のパートナーのジェン様です。」

「昨日ぶりですね。カトレア様。」

「えぇ、そうね。」

できれば会いたくなかったけどね。

「お二人とも仲がいいですね!」

これをどう見てそんな解釈になるんだ。

「わかりますか?僕達凄く仲がいんですよ~!」

「面白い冗談ですわね。オホホ。」

本当に面白い冗談だ。
昨日も今日も何を見てみんなは仲がいいなど恐ろしい冗談が言えるのだろうか。
全くもって凄く仲がいいわけではない!断じてない!

「やっぱり仲良しさんですね。」

その笑顔は可愛いんだけどね?
一回、病院行った方がいいと思うわ。

「ところで、ルミア様の姿が見えないのだけど、どこにいるか知ってる?」

同い年だからルミアも来ているはずなのにさっきから一回も会っていない。

「ルミア様なら、ルイスお兄様とあちらにいらっしゃいますよ。」

ほんとだ。

そこには幸せそうなルミアが立ていた。
ルイスも優しくルミアをエスコートしている。

「ルミア様、幸せそうで良かったわ。」

本当は優しくていい子だもの。
きっと、2人がくっつくのも時間の問題かもね。

「…お姉ちゃんになるならカトレア様が良かったんですが、まぁ、ルミア様も好きなんですが…やっぱりカトレアお姉様とお呼びしたかった!」

「どうしたの?」

ルミアが頭を抱えブツブツと何かを唱えている。

「いえ、なんでもありません!カトレア様!あちらで少しお話致しませんか?」

ファーラは
あちらとは初めてファーラと出会った庭だった。

「もちろんよ!」

「あ!男性陣は挨拶回りを続けてくださし!」

ファーラはそれだけ言い残しカトレアの手を引いて庭に出ていった。

二人残された男たちは、去っていく自分たちのパートナーを眺めていた。

「…なんか、あいつ変わったな。」

昔は確かに笑っていたがあんなによく笑っていなかった。

「そうですね。きっと、カトレア様のおかげですね。」

「あぁ。そうだな。」

「…貴方が惹かれるのもきっと自然だったんだろうな。相手もライバルもはなかなか手強いですけど。」

「なんか言ったか?ジェン。」

「早くしないと、俺がとっちゃいますよー。」

「なんの話だ?」

それより、俺はあの女が気になるな。

「早く片付けろよ。」

何を言っているのか察したクラウドは真剣な顔で頷く。

「…あぁ。そのために、今探している。」

「そうですね。早く見つかるといいですね?運命の相手でしたっけ?」

「お前、馬鹿にしてるだろう?」

「いいえ。してませんよー。それじゃ、僕は挨拶回りに行ってきますね。」

「おい!……たく、わかってるんだよ。俺だって早くあいつに気持ちを伝えたい。はぁー。ほんとに俺は馬鹿だな。」

そんな、クラウドの呟きは音楽と人の声にかき消され誰かに届くことは無かった。

そして、ジェンの心の奥底に生まれた不安が後に大きな問題に変わるなど誰が考えただろうか。
きっと、誰もその小さな不安には気づかない。

刻一刻とその時は始まろうとしているた。
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