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四章
~1日目、波乱の予感?!~
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この世界は、16歳から18歳までの紳士淑女が集まるパーティーが三日間にわたって開かれる。
1日目は国王と王妃にカーテシーを行い。
2日目は舞踏会が開かれる。
3日目は貴族でも選ばれたものだけが国王から晩餐会に招待される。
この三日間を乗り切れば本当の貴族として認められる。成人式みたいなものである。
必ず参加しないといけないのは分かっている。
パーティーが嫌なわけじゃない。
小さい頃にお父様に連れ回されたからその辺はもう慣れたが、
今回はプレッシャーが今までの比ではないのだ。
公爵令嬢で皇太子殿下の婚約者注目されるのは当たり前だそれはよく理解しているのだが、できれば注目されたくない。
しかも、パートナーを付けなくてはならないこのパーティーで必然的に私はクラウドになるわけで。
これがまた、女子から睨まれる。
別に気にしていないができれば睨まれたくのも本音だ。
でも仕方ない、私にはクラウド達を見守るという使命もあるのだから。
なぜなら、クラウドにはもう主人公という誰も太刀打ちできない運命の相手がいるのだ。
だから私は物語のハッピーエンドを拝むためにクラウドの近くにいたのだが、今では友人の幸せを願っている。
「お嬢様、到着いたしました。」
カトレアは馬車を出るとクラウドが手を出しカトレアを出迎えていた、周りには使用人がずらりと並んでいる。
まるで、ドラマのワンシーンの様だ。
そんな事をボーと考えていたらクラウドに声をかけられ我にかえる。
「カトレア、行くぞ。」
カトレアは優雅にクラウドの手を取り、会場へと歩く。
カトレアとクラウド2人が歩くその姿を誰しもがため息を漏らし見つめる。
それほどまでに二人の纏う空気は優雅で、美しかった。
大きな扉の前で名前を呼ばれるのを待つ。
もうすぐ、自分たちの番だ。
こういう場でのクラウドは本当に頼りになると言うか安心する。
16歳になったクラウドは美貌にも磨きがかかりますます輝いている。
令嬢達が色めき立つのもわかる。
かっこよくて優しくて賢い。理想の王子様だ。
それでも、私達の順番が近づくごとにクラウドの握る手に力が入る。
「クラウド様、緊張なさってます?」
「…あぁ、少しだけな。」
照れ臭そうにそっぽを向く。
完璧なこの王子様が素直なクラウドが可愛く見えるのは小さい頃から一緒にいるからだろう。
「一緒ですね。」
「あぁ。」と微笑むクラウドはやっぱり可愛くてでもかっこいい。
「皇太子殿下クラウド・アース・ヴェルト様、公爵令嬢、ローズ・カトレア嬢様」
名前を呼ばれ2人は中に入る。
軽く礼をし大階段を下り、国王と王妃の玉座の前にたち、クラウド、カトレアの順番に深く美しく礼をする。
「よく来てくれました。」
クラウドとカトレアはゆっくりと顔を上げる。
「このもの達に祝福を。」
国王の手から小さな光が現れ溶け込む様にカトレアとクラウドの中に入る。
この魔法は、国王のみ使える魔法。
祝福の光だ。
この光を受けたものは、より強くアース様の加護を受けることができるのだ。
疲れたぁー。
顔には全く出さずにカトレアは紅茶を飲みながら心の中でぼやく。
ようやく長い1日目の式が終わり、今は客室に通され紅茶を飲んでいた。
流石に半日たちっぱなしはきつい。
足がパンパンだ。
これは、帰ったらマッサージしなきゃ。
「疲れだだろう、ゆっくり休め。それよりも、こうやってゆっくり話すのも久しぶりだな。」
剣の訓練は半年前に一通り教えてもらい終わったり施設の計画や実験が忙しく数ヶ月近くあっていない。
剣の結果は、うん。才能がなかったとしか言いようがない。人並みにはできる、はずだ。
うまくも下手でもない。
自分の身を守ることはできるのだからよしとしようと思っている。
「そうですね。あまり上達はしませんでしたが、クラウド様に教えていただき光栄でしたわ。」
「…いや、最後まで頑張った。と思うぞ。」
「そうですか?そう言っていただけると嬉しいです。」
「……やっぱりお前はそうやって笑ってる方がいい。」
「え?」
クラウドがふと真面目な顔でボソリと言う。
無意識だったのだろう、自分の言ってしまった言葉に慌てている。
「あの、何だ。あれだ、こういう場所でのお前は…お前らしく、ないと思う。だ、だから!俺は今みたいなお前の方が好ましい!」
クラウドは勢いよくそう言ったあと、頭を抱え悶えている。
そんな風に思ってくれていたんだ。
耳が赤い…。
「ありがとうございます。こんな事言うと失礼かもしれませんが、どうしてかクラウド様といると立場とかそんな事忘れてしまうんです。」
初めは関わらずの見守ろうと思っていたのにいつの間にかカトレアにとってクラウドはかけがえのない存在になっていた。
「それって……。」
クラウドが少し赤くなった顔を上げカトレアを見つめる。
「カトレアも俺と同じ気持ちってことか?」
「はい。私にはおこがましいことですが…。」
「そ、そんなことない!俺は…俺は!」
「いつの間にか、こんなにも大切な友人になっていたなんて」
「……………。」
恥ずかしい気持ちをこらえカトレアが告白するとクラウドが固まって動かなくなってしまった。
やっぱり、失礼だったのだろうか。
あんなにも拒否していたのに今更友達なんて、おこがましい?
でも、クラウドはそんな事で怒る人じゃない。
神様、どうかもう少し勇気をください。
「クラウド様、私と親友になってくださいますか?」
「…………、あぁ…親友だ!」
なぜか、ヤケクソっぽいけどきっと気のせいだろう。
「でもな。覚悟しろ。」
クラウドがは急に立ち上がったと思ったらカトレアの元にやって来て手を掴む。
「…今はそれでいい。でも、すぐにそんな余裕なくしてやるから。」
えっと…これはどう言った状況なのかな?
覚悟しろって何か悪いことしちゃったのかな?
「余裕なんてありませんでしたよ?言うのに勇気いったんですから!」
そうだ、この国の王子に親友なんて、おこがましくて言うのにどれだけ勇気がいったか。
「…これでも伝わらないのか?!」
クラウドは驚愕したようにワナワナと震え「鈍感過ぎだろ…。」とブツブツ何か唱え出した。
大丈夫か確認しようとしたときドアから誰かの吹き出す声が聞こえ振り向けば、目に涙をためお腹を抱え何故か爆笑しているジェンが立っていた。
「…ぷっ、あははははは。さすがですね。カトレア様の鈍感もここまでくれば才能ですね。」
いつもの服ではなく今日は正装をしているからなのか纏っているオーラが違う。
今日は、公爵家の次男として来てるらしい。
「ジェンッ、いつからいたんだ!」
クラウドはジェンいたことに気づき、顔を真っ赤にさせて怒鳴る。
「そうですね。疲れただろうってとこからです。」
冒頭からじゃないですか。
クラウドを見れば今度は黙りワナワナと震えていた。
「声をかけてくださればよかったのに。盗み聞きはどうかと思いますよ?」
この男は本当に何を考えているかわからない。
だから、少し嫌味のつもりなのだが全く効き目はないらしい。
「いやー。邪魔しては悪いかな?と思いまして。」
「……ジェン。」
復活したらしいクラウドがジェンに近づく。
「どうしたんですか?」
「…炎の精霊よ。こいつを焼き尽くせ。」
クラウドの手から炎が出てきたと思うとその炎がジェンを襲いかかる。
しかし、ジェンはその炎を軽々と水の魔法で包み消してしまった。
「魔法はまだまだ俺の方が上だな。クラウド。」
クラウドと接する時のジェンは本当に友であり親、そしてドSだ。
だからといって急に目の前で戯れられてもいい迷惑だ。
カトレアは右目に付けているマスクを取り、「止まれ」と囁くとクラウド達の動きが急に止まった。
カトレアの目を見れば、赤い目がより一層濃い赤になっている。
「カトレア!目をあまり使っては…。」
カトレアを止めようとクラウドが手を動かそうと試すが全く動かない。
「このぐらいなら大丈夫です。それに、口で言ってみどうせお二人は止まってくださらなかったでしょうから。」
クラウドは図星を突かれ黙る。
カトレアは力のコントロールが18になるまでできない。と言うよりも誰でも彼でも魅了してしまい、その場が地獄絵図と化してしまう。
しかし、ミケ達の特訓もあってか数分だったらコントロール出来るようになったのだ。
ここまで行くのにどれほど血と汗と涙を流したことか。
ミケもティナも可愛い見た目をして鬼なのだ。っと話が脱線していた。つまり、いま2人が止まっているのは魅了の力で動きを封じている。
「勝負は私がいないときにしてください。」
「分かった。」
「分かりました。」
2人の魔力が落ち着いたのを確認しカトレアはマスクをはめる。
これ使った後結構体力が削られるんだよね。
帰った後爆睡コースだなぁーと思いながらカトレアはジェンに問う。
「で、ジェンは何かをいいにここにきたんですよね?」
「いやー、やっぱりカトレア様は鋭いですね。」
「茶化さなくて結構です。」
「バッサリですね~。」とヘラヘラ笑っていた顔が急に何を考えているか全く読ませない笑顔に変わる。
他の人が見たら分からない程度の変化だが嫌でも長い付き合いだ。分かってしまう。
「賭けは僕の負けみたいですね。」
「えぇ。」
「…一体どんな手を使ったんですか?」
これが、本音だろう。
ジェンと賭けをした、この国の孤児の半分を施設に入れそして、お金がなくて勉強をできなかった子供達が行けるよう学校も作った。しかも、四年で。
子供のカトレアがどうしてここまでできたのか、家の繁栄のためにそして、内側に入るために聞きたいんだろう。
今ここにいるのは、ジェンじゃなくて公爵家の次男だ。
「どんな手…ですか。ひとえにみなさんのおかげですとしか言えませんね。私1人では到底ここまでできませんでしたから。」
これもほんとだけど、私がここまで出来たのは前世の記憶が大きな鍵になっている。
でも、これは誰かに簡単に言う事じゃない。
「…みなさんですか。」
「はい。」
数十分、いや。数秒だったかもしれない。
カトレアとジェンはただ微笑みお互いを見つめる。
お互いがお互いに探り合うように。
「そうですか。残念です。僕のもの(妻)になった暁には後悔させの程可愛がるつもりでしたのに。」
「あはは。悪い冗談ですこと。」
普通に鳥肌が立ってしまった。
やっぱり、こいつは敵に回すと危険だ。
「おい!何を楽しそうに話してるんだ。」
何をどう見て聞いたらそう言う発想になるんだ。
一つも楽しそうな要素なかったでしょうに!
「そうなんですよ。仲良しなんですよ。僕たち、ね?カトレア様。」
はぁー?!どこがですか?
こっちは変な冷や汗でまくりですけど!
「あははは。」
とりあえず笑っとく。
うまく笑えてる自信は今の私にはないけど。
「あ!もちろん、クラウド様が一番の親友ですよ。」
「お、おう!当たり前だ!」
まんざらでもないご様子。
王子、チョロい。チョロすぎる。
あぁー、早くヒロイン様!
ビシバシと2人をしつけてください。
この国の明日とヒロインちゃんの苦労を想像し心配になるカトレアだった。
1日目は国王と王妃にカーテシーを行い。
2日目は舞踏会が開かれる。
3日目は貴族でも選ばれたものだけが国王から晩餐会に招待される。
この三日間を乗り切れば本当の貴族として認められる。成人式みたいなものである。
必ず参加しないといけないのは分かっている。
パーティーが嫌なわけじゃない。
小さい頃にお父様に連れ回されたからその辺はもう慣れたが、
今回はプレッシャーが今までの比ではないのだ。
公爵令嬢で皇太子殿下の婚約者注目されるのは当たり前だそれはよく理解しているのだが、できれば注目されたくない。
しかも、パートナーを付けなくてはならないこのパーティーで必然的に私はクラウドになるわけで。
これがまた、女子から睨まれる。
別に気にしていないができれば睨まれたくのも本音だ。
でも仕方ない、私にはクラウド達を見守るという使命もあるのだから。
なぜなら、クラウドにはもう主人公という誰も太刀打ちできない運命の相手がいるのだ。
だから私は物語のハッピーエンドを拝むためにクラウドの近くにいたのだが、今では友人の幸せを願っている。
「お嬢様、到着いたしました。」
カトレアは馬車を出るとクラウドが手を出しカトレアを出迎えていた、周りには使用人がずらりと並んでいる。
まるで、ドラマのワンシーンの様だ。
そんな事をボーと考えていたらクラウドに声をかけられ我にかえる。
「カトレア、行くぞ。」
カトレアは優雅にクラウドの手を取り、会場へと歩く。
カトレアとクラウド2人が歩くその姿を誰しもがため息を漏らし見つめる。
それほどまでに二人の纏う空気は優雅で、美しかった。
大きな扉の前で名前を呼ばれるのを待つ。
もうすぐ、自分たちの番だ。
こういう場でのクラウドは本当に頼りになると言うか安心する。
16歳になったクラウドは美貌にも磨きがかかりますます輝いている。
令嬢達が色めき立つのもわかる。
かっこよくて優しくて賢い。理想の王子様だ。
それでも、私達の順番が近づくごとにクラウドの握る手に力が入る。
「クラウド様、緊張なさってます?」
「…あぁ、少しだけな。」
照れ臭そうにそっぽを向く。
完璧なこの王子様が素直なクラウドが可愛く見えるのは小さい頃から一緒にいるからだろう。
「一緒ですね。」
「あぁ。」と微笑むクラウドはやっぱり可愛くてでもかっこいい。
「皇太子殿下クラウド・アース・ヴェルト様、公爵令嬢、ローズ・カトレア嬢様」
名前を呼ばれ2人は中に入る。
軽く礼をし大階段を下り、国王と王妃の玉座の前にたち、クラウド、カトレアの順番に深く美しく礼をする。
「よく来てくれました。」
クラウドとカトレアはゆっくりと顔を上げる。
「このもの達に祝福を。」
国王の手から小さな光が現れ溶け込む様にカトレアとクラウドの中に入る。
この魔法は、国王のみ使える魔法。
祝福の光だ。
この光を受けたものは、より強くアース様の加護を受けることができるのだ。
疲れたぁー。
顔には全く出さずにカトレアは紅茶を飲みながら心の中でぼやく。
ようやく長い1日目の式が終わり、今は客室に通され紅茶を飲んでいた。
流石に半日たちっぱなしはきつい。
足がパンパンだ。
これは、帰ったらマッサージしなきゃ。
「疲れだだろう、ゆっくり休め。それよりも、こうやってゆっくり話すのも久しぶりだな。」
剣の訓練は半年前に一通り教えてもらい終わったり施設の計画や実験が忙しく数ヶ月近くあっていない。
剣の結果は、うん。才能がなかったとしか言いようがない。人並みにはできる、はずだ。
うまくも下手でもない。
自分の身を守ることはできるのだからよしとしようと思っている。
「そうですね。あまり上達はしませんでしたが、クラウド様に教えていただき光栄でしたわ。」
「…いや、最後まで頑張った。と思うぞ。」
「そうですか?そう言っていただけると嬉しいです。」
「……やっぱりお前はそうやって笑ってる方がいい。」
「え?」
クラウドがふと真面目な顔でボソリと言う。
無意識だったのだろう、自分の言ってしまった言葉に慌てている。
「あの、何だ。あれだ、こういう場所でのお前は…お前らしく、ないと思う。だ、だから!俺は今みたいなお前の方が好ましい!」
クラウドは勢いよくそう言ったあと、頭を抱え悶えている。
そんな風に思ってくれていたんだ。
耳が赤い…。
「ありがとうございます。こんな事言うと失礼かもしれませんが、どうしてかクラウド様といると立場とかそんな事忘れてしまうんです。」
初めは関わらずの見守ろうと思っていたのにいつの間にかカトレアにとってクラウドはかけがえのない存在になっていた。
「それって……。」
クラウドが少し赤くなった顔を上げカトレアを見つめる。
「カトレアも俺と同じ気持ちってことか?」
「はい。私にはおこがましいことですが…。」
「そ、そんなことない!俺は…俺は!」
「いつの間にか、こんなにも大切な友人になっていたなんて」
「……………。」
恥ずかしい気持ちをこらえカトレアが告白するとクラウドが固まって動かなくなってしまった。
やっぱり、失礼だったのだろうか。
あんなにも拒否していたのに今更友達なんて、おこがましい?
でも、クラウドはそんな事で怒る人じゃない。
神様、どうかもう少し勇気をください。
「クラウド様、私と親友になってくださいますか?」
「…………、あぁ…親友だ!」
なぜか、ヤケクソっぽいけどきっと気のせいだろう。
「でもな。覚悟しろ。」
クラウドがは急に立ち上がったと思ったらカトレアの元にやって来て手を掴む。
「…今はそれでいい。でも、すぐにそんな余裕なくしてやるから。」
えっと…これはどう言った状況なのかな?
覚悟しろって何か悪いことしちゃったのかな?
「余裕なんてありませんでしたよ?言うのに勇気いったんですから!」
そうだ、この国の王子に親友なんて、おこがましくて言うのにどれだけ勇気がいったか。
「…これでも伝わらないのか?!」
クラウドは驚愕したようにワナワナと震え「鈍感過ぎだろ…。」とブツブツ何か唱え出した。
大丈夫か確認しようとしたときドアから誰かの吹き出す声が聞こえ振り向けば、目に涙をためお腹を抱え何故か爆笑しているジェンが立っていた。
「…ぷっ、あははははは。さすがですね。カトレア様の鈍感もここまでくれば才能ですね。」
いつもの服ではなく今日は正装をしているからなのか纏っているオーラが違う。
今日は、公爵家の次男として来てるらしい。
「ジェンッ、いつからいたんだ!」
クラウドはジェンいたことに気づき、顔を真っ赤にさせて怒鳴る。
「そうですね。疲れただろうってとこからです。」
冒頭からじゃないですか。
クラウドを見れば今度は黙りワナワナと震えていた。
「声をかけてくださればよかったのに。盗み聞きはどうかと思いますよ?」
この男は本当に何を考えているかわからない。
だから、少し嫌味のつもりなのだが全く効き目はないらしい。
「いやー。邪魔しては悪いかな?と思いまして。」
「……ジェン。」
復活したらしいクラウドがジェンに近づく。
「どうしたんですか?」
「…炎の精霊よ。こいつを焼き尽くせ。」
クラウドの手から炎が出てきたと思うとその炎がジェンを襲いかかる。
しかし、ジェンはその炎を軽々と水の魔法で包み消してしまった。
「魔法はまだまだ俺の方が上だな。クラウド。」
クラウドと接する時のジェンは本当に友であり親、そしてドSだ。
だからといって急に目の前で戯れられてもいい迷惑だ。
カトレアは右目に付けているマスクを取り、「止まれ」と囁くとクラウド達の動きが急に止まった。
カトレアの目を見れば、赤い目がより一層濃い赤になっている。
「カトレア!目をあまり使っては…。」
カトレアを止めようとクラウドが手を動かそうと試すが全く動かない。
「このぐらいなら大丈夫です。それに、口で言ってみどうせお二人は止まってくださらなかったでしょうから。」
クラウドは図星を突かれ黙る。
カトレアは力のコントロールが18になるまでできない。と言うよりも誰でも彼でも魅了してしまい、その場が地獄絵図と化してしまう。
しかし、ミケ達の特訓もあってか数分だったらコントロール出来るようになったのだ。
ここまで行くのにどれほど血と汗と涙を流したことか。
ミケもティナも可愛い見た目をして鬼なのだ。っと話が脱線していた。つまり、いま2人が止まっているのは魅了の力で動きを封じている。
「勝負は私がいないときにしてください。」
「分かった。」
「分かりました。」
2人の魔力が落ち着いたのを確認しカトレアはマスクをはめる。
これ使った後結構体力が削られるんだよね。
帰った後爆睡コースだなぁーと思いながらカトレアはジェンに問う。
「で、ジェンは何かをいいにここにきたんですよね?」
「いやー、やっぱりカトレア様は鋭いですね。」
「茶化さなくて結構です。」
「バッサリですね~。」とヘラヘラ笑っていた顔が急に何を考えているか全く読ませない笑顔に変わる。
他の人が見たら分からない程度の変化だが嫌でも長い付き合いだ。分かってしまう。
「賭けは僕の負けみたいですね。」
「えぇ。」
「…一体どんな手を使ったんですか?」
これが、本音だろう。
ジェンと賭けをした、この国の孤児の半分を施設に入れそして、お金がなくて勉強をできなかった子供達が行けるよう学校も作った。しかも、四年で。
子供のカトレアがどうしてここまでできたのか、家の繁栄のためにそして、内側に入るために聞きたいんだろう。
今ここにいるのは、ジェンじゃなくて公爵家の次男だ。
「どんな手…ですか。ひとえにみなさんのおかげですとしか言えませんね。私1人では到底ここまでできませんでしたから。」
これもほんとだけど、私がここまで出来たのは前世の記憶が大きな鍵になっている。
でも、これは誰かに簡単に言う事じゃない。
「…みなさんですか。」
「はい。」
数十分、いや。数秒だったかもしれない。
カトレアとジェンはただ微笑みお互いを見つめる。
お互いがお互いに探り合うように。
「そうですか。残念です。僕のもの(妻)になった暁には後悔させの程可愛がるつもりでしたのに。」
「あはは。悪い冗談ですこと。」
普通に鳥肌が立ってしまった。
やっぱり、こいつは敵に回すと危険だ。
「おい!何を楽しそうに話してるんだ。」
何をどう見て聞いたらそう言う発想になるんだ。
一つも楽しそうな要素なかったでしょうに!
「そうなんですよ。仲良しなんですよ。僕たち、ね?カトレア様。」
はぁー?!どこがですか?
こっちは変な冷や汗でまくりですけど!
「あははは。」
とりあえず笑っとく。
うまく笑えてる自信は今の私にはないけど。
「あ!もちろん、クラウド様が一番の親友ですよ。」
「お、おう!当たり前だ!」
まんざらでもないご様子。
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あぁー、早くヒロイン様!
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