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第一章 - 出会いと成長
29話 最悪な相手を怒らせた
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「きゃっ!! もお、離しなさいよー! きゃっ!! 痛いじゃないのぉ……っ!」エリゼが腕を捕まれ、反対の手でエリゼの頬に爪を当てられた。
エリゼには簡易的な結界を張っていたので、完全に油断をしていた。低級の魔物しか現れていなかったし、目の前の悪魔も大したことがなかったので結界の強化をしていなかった。
よく思い出せば……悪魔の爪は結界やバリアごと切り裂けると言っていたよな。
「大人しく殺されなさい……」ダイモンが冷たく囁くように言うと、エリゼが抵抗し動いたからか頬から血がにじみ出てきた。
エリゼを傷つけられたという、怒りの感情が溢れ出しエリゼに改めて完全遮断の結界を張った。この結界はこの世界と切り離されているので周りで何が起きようが影響を受けない、だが何が起きているのか見えず聞こえず閉じ込められた感じになってしまう。空間の中に外の風景を投影してストレス軽減をしておいた。
エリゼの傷は回復魔法が効かないと言っていたので、俺のスキルのイメージで治療した。回復ではなく、イメージで元の状態を復元した感じで治すのとは違う。
さて、コイツをどうしよう……? 大切な仲間のエリゼを傷付けた大罪人を。背負われていたあーちゃんがいつの間にか擬態を解きディアブロの姿で現れていた。
「主よ……どうか怒りをお沈め下さい」現れたディアブロが怯えた様子で跪いてきた。
「なんでさ? 仲間を傷付けられて許せるわけ無いでしょ。なに? 同族が殺されるのが嫌なわけ?」と、ムスッとした表情をしてディアブロに言った。
俺の仲間が傷つけられて許せっていうの? それで、自分の同族はゆるせって? あり得ないしっ。
「あんなヤツは、どうでもいいですが……。その力で攻撃は……マズイです。辺りが滅びます」ん!? あ、同族をかばう気はないらしい。『あんなヤツ』とか言ってるし。
「ん? ディアブロには関係ないことじゃないの? 不死なんだろ?」
「……相手が悪魔なので、魂ごと消し去るおつもりかと……完全に私も巻き込まれます」
「あぁ~なるほどね、巻き込まれるね~」
「貴様ら……最上位の悪魔の擬態をしてもバレバレだぞ! 私を怯えさせる作戦か! まあ最上位の悪魔が、その様に威圧感が無いわけがないがな! それに……この様な場所にいるわけもないだろ!」
「貴様こそ、黙っていろ……消すぞ……!!」とディアブロがいうと、抑えていた悪魔のオーラを解き放ち、禍々しい声でダイモンに言うと力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「な、なぜ……貴方様が……この様な場所に……!?」
ディアブロがオーラを解き放ったので、辺りは紫色の邪悪な悪魔の高密度のオーラの霧に包まれピキピキと音が聞こえる。間違いなく最上位の悪魔で公爵様だと確信をした。
ダイモンは、状況が分からなすぎる。確かなことは目の前に公爵級の悪魔が人間に主と言っていること、自分が最悪な状況にいることは間違いないと理解した。
「最上位の公爵様が恐れている!? なにを? 弱みでも握っているのか? ……ダメだ、公爵様のオーラでまともに考えられん……。さすが公爵様だな……? ん!? 公爵様のオーラ以上に禍々しく殺意を放つオーラが……何者なのだ、これはヤバい、ヤバ過ぎるぞ……」ダイモンがブツブツと呟き顔色を悪くしていた。
「はい、これなら良いでしょ! うっさいんだからぁ……」レイニーが静かに手のひらを上に向けた。
その手のひらに集まった闇のエネルギーが凝縮され、一瞬のうちに特大の黒炎球がドンと現れた。その黒炎球はまるで生き物のように揺らめき、深い闇から禍々しい光を放つ。黒炎の炎は暗闇の中で踊り、周囲の温度を一気に引き下げるような冷たい風が吹き始める。
黒炎球からはまるで魂を引き裂くような恐怖が溢れ出し、見る者の心に深く刻み込まれる。黒炎の揺らめきは不安定でありながらも力強く、禍々しいエネルギーが周囲に広がり、誰もがその場から逃げ出したくなるような圧倒的な威圧感を放っている。
レイニーの顔には冷酷な微笑が浮かび、深紅の瞳に変わりさらに鋭く輝いた。「俺の仲間を傷つける者には、地獄の苦しみが待っていることを教えてやる。悪魔だろうが……神だろうが……関係なくね」
その言葉とともに、黒炎球はさらに大きくなり、周囲にいる者たちの心に恐怖の影を落とし続ける。その恐ろしい光景は、まさに闇の魔法の真髄を見せつけるものであった。
「レイニー様、デカすぎます……それ、黒炎弾ですよね?」ディアブロが確認をした。
はい? 黒炎弾?知らないなぁ~。ディアブロの放ってきたモノをただイメージをしただけだしぃ。
「知らない~黒炎球って感じ? 知らないけど……?」
「存じ上げませんが……その威力は……ここにいるだけでもダメージを受けるほどです」
「あーはいはい。威力を落とせば良いんだね……心配性だなぁ……ディアブロは~」
「は? ディアブロ様……え? あのディアブロ様?」ダイモンが僅かにディアブロという名前を耳にした。
レイニーが魔力を抑えシューと黒炎球が小さくなりビー玉程度に抑えられ、レイニーが指で弾くとゆっくりとダイモンへ向かっていく。見た目は弱々しく弾き返せそうで、避けるのも簡単そうに見えた。
ダイモンがニヤッと笑いシールドを張ったが、黒炎球がシールドをミシミシと音を立て貫通してきた。転移を使い逃げるが追いかけてくる、徐々に迫る恐怖を味わった。
「な……なんなんですか? あれ」
「あー徐々に押し迫る恐怖を与えてみたの、アイツにね」ニコッとした笑顔で答えた。
「あれは、コワイですね……悪魔を怖がらせる天才ですね。最悪な相手を怒らせちゃいましたからね……自業自得だな、あれは……」ディアブロがレイニーとダイモンをチラチラと交互に見た。それに黒炎球の時のレイニー様の顔は……最上位の悪魔の瞳だったのを忘れられない、あの瞳で睨まれたら心に恐怖を深く刻まれるだろう。
エリゼには簡易的な結界を張っていたので、完全に油断をしていた。低級の魔物しか現れていなかったし、目の前の悪魔も大したことがなかったので結界の強化をしていなかった。
よく思い出せば……悪魔の爪は結界やバリアごと切り裂けると言っていたよな。
「大人しく殺されなさい……」ダイモンが冷たく囁くように言うと、エリゼが抵抗し動いたからか頬から血がにじみ出てきた。
エリゼを傷つけられたという、怒りの感情が溢れ出しエリゼに改めて完全遮断の結界を張った。この結界はこの世界と切り離されているので周りで何が起きようが影響を受けない、だが何が起きているのか見えず聞こえず閉じ込められた感じになってしまう。空間の中に外の風景を投影してストレス軽減をしておいた。
エリゼの傷は回復魔法が効かないと言っていたので、俺のスキルのイメージで治療した。回復ではなく、イメージで元の状態を復元した感じで治すのとは違う。
さて、コイツをどうしよう……? 大切な仲間のエリゼを傷付けた大罪人を。背負われていたあーちゃんがいつの間にか擬態を解きディアブロの姿で現れていた。
「主よ……どうか怒りをお沈め下さい」現れたディアブロが怯えた様子で跪いてきた。
「なんでさ? 仲間を傷付けられて許せるわけ無いでしょ。なに? 同族が殺されるのが嫌なわけ?」と、ムスッとした表情をしてディアブロに言った。
俺の仲間が傷つけられて許せっていうの? それで、自分の同族はゆるせって? あり得ないしっ。
「あんなヤツは、どうでもいいですが……。その力で攻撃は……マズイです。辺りが滅びます」ん!? あ、同族をかばう気はないらしい。『あんなヤツ』とか言ってるし。
「ん? ディアブロには関係ないことじゃないの? 不死なんだろ?」
「……相手が悪魔なので、魂ごと消し去るおつもりかと……完全に私も巻き込まれます」
「あぁ~なるほどね、巻き込まれるね~」
「貴様ら……最上位の悪魔の擬態をしてもバレバレだぞ! 私を怯えさせる作戦か! まあ最上位の悪魔が、その様に威圧感が無いわけがないがな! それに……この様な場所にいるわけもないだろ!」
「貴様こそ、黙っていろ……消すぞ……!!」とディアブロがいうと、抑えていた悪魔のオーラを解き放ち、禍々しい声でダイモンに言うと力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「な、なぜ……貴方様が……この様な場所に……!?」
ディアブロがオーラを解き放ったので、辺りは紫色の邪悪な悪魔の高密度のオーラの霧に包まれピキピキと音が聞こえる。間違いなく最上位の悪魔で公爵様だと確信をした。
ダイモンは、状況が分からなすぎる。確かなことは目の前に公爵級の悪魔が人間に主と言っていること、自分が最悪な状況にいることは間違いないと理解した。
「最上位の公爵様が恐れている!? なにを? 弱みでも握っているのか? ……ダメだ、公爵様のオーラでまともに考えられん……。さすが公爵様だな……? ん!? 公爵様のオーラ以上に禍々しく殺意を放つオーラが……何者なのだ、これはヤバい、ヤバ過ぎるぞ……」ダイモンがブツブツと呟き顔色を悪くしていた。
「はい、これなら良いでしょ! うっさいんだからぁ……」レイニーが静かに手のひらを上に向けた。
その手のひらに集まった闇のエネルギーが凝縮され、一瞬のうちに特大の黒炎球がドンと現れた。その黒炎球はまるで生き物のように揺らめき、深い闇から禍々しい光を放つ。黒炎の炎は暗闇の中で踊り、周囲の温度を一気に引き下げるような冷たい風が吹き始める。
黒炎球からはまるで魂を引き裂くような恐怖が溢れ出し、見る者の心に深く刻み込まれる。黒炎の揺らめきは不安定でありながらも力強く、禍々しいエネルギーが周囲に広がり、誰もがその場から逃げ出したくなるような圧倒的な威圧感を放っている。
レイニーの顔には冷酷な微笑が浮かび、深紅の瞳に変わりさらに鋭く輝いた。「俺の仲間を傷つける者には、地獄の苦しみが待っていることを教えてやる。悪魔だろうが……神だろうが……関係なくね」
その言葉とともに、黒炎球はさらに大きくなり、周囲にいる者たちの心に恐怖の影を落とし続ける。その恐ろしい光景は、まさに闇の魔法の真髄を見せつけるものであった。
「レイニー様、デカすぎます……それ、黒炎弾ですよね?」ディアブロが確認をした。
はい? 黒炎弾?知らないなぁ~。ディアブロの放ってきたモノをただイメージをしただけだしぃ。
「知らない~黒炎球って感じ? 知らないけど……?」
「存じ上げませんが……その威力は……ここにいるだけでもダメージを受けるほどです」
「あーはいはい。威力を落とせば良いんだね……心配性だなぁ……ディアブロは~」
「は? ディアブロ様……え? あのディアブロ様?」ダイモンが僅かにディアブロという名前を耳にした。
レイニーが魔力を抑えシューと黒炎球が小さくなりビー玉程度に抑えられ、レイニーが指で弾くとゆっくりとダイモンへ向かっていく。見た目は弱々しく弾き返せそうで、避けるのも簡単そうに見えた。
ダイモンがニヤッと笑いシールドを張ったが、黒炎球がシールドをミシミシと音を立て貫通してきた。転移を使い逃げるが追いかけてくる、徐々に迫る恐怖を味わった。
「な……なんなんですか? あれ」
「あー徐々に押し迫る恐怖を与えてみたの、アイツにね」ニコッとした笑顔で答えた。
「あれは、コワイですね……悪魔を怖がらせる天才ですね。最悪な相手を怒らせちゃいましたからね……自業自得だな、あれは……」ディアブロがレイニーとダイモンをチラチラと交互に見た。それに黒炎球の時のレイニー様の顔は……最上位の悪魔の瞳だったのを忘れられない、あの瞳で睨まれたら心に恐怖を深く刻まれるだろう。
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