転生したら王族だった

みみっく

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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆

101話 グリムファング王国との話し合いの続き2

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「じゃあさ、村に入った時に渡したお守りのネックレスを取ってみれば分かると思うよ。それで、ただのガキだと言えるなら……その言葉を許すよ。まぁ……耐えられないと思うけどね。」
 俺が冷静にそう告げると、ダミエンは何かを察したようで硬直し、動かずにいた。しかし、彼以外の兵士たちがビクビクしながらネックレスに手を伸ばす。

 次の瞬間――数人がその場で気絶し、他の者たちは慌ててネックレスを元に戻し、青褪めた表情で震えていた。「……も、申し訳、ない。訂正させてください。失言でした……。」
 先ほど文句を言ってきた兵士が、顔色を悪くさせながら震えつつ謝罪を口にした。

「わかったなら、いいよ。許す! えっへん!」
 満足げに返すシオン。ご機嫌な様子で、ソファーに座る俺の後ろから抱きしめてきた。その小柄な体から伝わる温もりとともに、「えへへ。ボク、がまんできたよ。エライでしょ~」と、褒めてもらいたそうに言ってくる。

『……我慢できてなかったよね。』
 内心でそう思いつつも、シオンの頭を優しく撫でてやる。その仕草にシオンはさらに笑顔を浮かべ、まるで犬が主人に褒められて喜ぶような無邪気さを見せた。

 場の緊張感が一気に解け、シオンの可愛らしさが空気を和ませる。だが一方で、彼の内に潜む恐るべき力を再確認し、兵士たちはその余韻に怯え続けているようだった。

「そうそう……この事を他言した者がいれば、ここにいる者全てを処罰対象にするからね~。というより、王国を消し飛ばした方が早いかなぁ……。」
 俺はミアパパを見ながら冷静に言い放った。だって、この事態を引き起こした責任を取ってもらわないとね。

「……レイニー様が出なくても、この私が王国を火の海にして焼き尽くしてやる! ガッハッハ……分かったか? 先ほどの5倍の威力を出してやる!」
 ミアパパが豪快に宣言すると、周囲の兵士たちは必死に頷きながらその場の空気に飲まれていた。

「え、それならボクも……いきたい!」
 シオンが無邪気に声を上げる。その言葉に俺は心の中で「勝手にしてください♪」と軽く流した。

「ん……ミアパパが面倒見てくれるなら良いんじゃない?」
 俺は全てをミアパパに丸投げすることに決めた。だって、こういう場面では彼の豪快さが役に立つはずだからね。

「はい? えぇ……私ですか?」
 ミアパパが困った顔をして俺を見つめてくる。その表情には明らかに戸惑いが滲んでいて、少し申し訳ない気持ちになりつつも、まぁ……脅しなので実際に暴れられたら困るんだけどね。

「だって、この事態を引き起こしたのって、ミアパパでしょ? 責任は……ミアパパでしょ?」
 俺は肩をすくめながらさらりと返す。

「え? だって……私じゃ、手に負えないですって……古代の最強の魔王様ですよね……ムリムリ……。」慌てたミアパパが隠してい置いたシオンの正体をバラしてしまった。
 
『あぁ……言っちゃったよ、この人……。』と心の中で呟きあきれてしまった。

 当然、その言葉が場の空気を大きく変えることとなった。

「はぁ? 古代の最強の魔王!? あの伝説の暗黒時代とも言われている? いくつもの王国が、古代の魔王に滅ぼされていた?」
 驚愕した兵士が呟く声が漏れる。

 どうやら他の王国でもシオンの存在が伝説的に語られているらしい。そんなに有名だったとはね……。シオン、君、昔はなかなか派手にやらかしてたんだなぁ。

 でもまぁ、確かにミアパパでも手に負えないのは納得だ。シオンの強大なオーラと魔力がなければ、無秩序の森を維持することだってできない。その力がどれほどのものか、想像するだけでも圧倒される。

「あ、この話も禁止ね!」俺はさらっと釘を刺しておく。 「討伐隊なんか来られちゃ迷惑だし~。今は、俺の可愛い弟くんなんだからさぁ♪ ねぇ~。」
 そう言って後ろを向き、シオンに微笑みかける。

「わぁ……っ。はい。お、おとうとですっ! レイニー様の、弟です! わぁ……うふふ♪」
 シオンが満面の笑みを浮かべながら答える。その可愛らしい姿に、場の空気が一瞬和らいだ。

 だまって話を聞いていたダミエンが、急に立ち上がった。「あ、あの……二人だけでお話が……。」
 真剣な表情でそう言ってくるダミエンに、俺は少し考えた後で「……いいけど」と答えた。

 すると、すかさずルミエールが反応する。「ダメですよ。わたしも同席いたしますっ!」
 彼女の強い意志が感じられる言葉に、ダミエンは少し戸惑いながらも「……はい。では、3人だけでお願いします」と返事をした。

 はぁ……この場から俺が居なくなっても大丈夫かな? 不安しかないんだけど……。

「えっと……動かないようにね、それと話も禁止ぃ~! 破ったら……ゴツンねっ!」
 俺は胸の前で拳を作り、軽くアピールする。そして特にミアパパを見つめながら、「特に……ミアパパね!」と念を押した。

「わ、分かっている。大人しくしていよう……。」
 ミアパパは反省しているらしいが、その表情にはどこか不安が滲んでいる。そんな彼をムスッとした表情で睨みつけるミアが一言放った。
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