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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆
102話 グリムファング王国との話し合いの続き3
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「ホントだよ……大人しくしててよぅ、お父さんっ!!」
ミアが鋭い視線を向けながら注意を促す。その言葉に、ミアパパはさらに小さくなったように見えた。彼の肩が少し落ちているのが、反省の証拠だろう。
俺の言葉を聞いたダミエンが立ち上がり、兵士たちに向かって冷然と言い放つ。「戦略司令官のダミエンとして命じる、余計な言動を禁じる。破った者には反逆罪、謀反の罪として即刻処刑をする! これは、我が王国にとって重要な話し合いの場であると国王陛下から命を受けている。」
その毅然とした態度に場が静まり返る。
わぁ……それ、カッコいい……。俺も、それが言いたかったってばぁ……。ダミエンの真剣な姿に目を輝かせながら、つい見つめてしまった。
その後、ダミエンが少し恥ずかしそうに「え、あ、あの……移動しましょうか」と声を掛けてきた。
ルミエールが部屋を案内し、俺たちは応接室に入った。テーブルを挟んでソファーが2つ置かれた落ち着いた雰囲気の部屋。少人数での話し合いができるように設計されていて、外から明るい光が差し込むその空間は清潔感があり居心地が良い。
そんな中、ラヴェンナが紅茶とお菓子を持って現れ、俺の後ろで控えている。……えっと……3人だけでって話をしてたよね? ラヴェンナさん、聞いてなかったのかな?
仕方がないので、俺は話を進めることにした。「で、話とは?」とダミエンに問いかける。ダミエンはチラッとラヴェンナを見たが、そのまま話を始めた。あれ? 良いんだ? まぁ、ただのメイドさんだから問題ないのかな。
ラヴェンナが控えめにその場にいる様子は、どこか不思議だけど、部屋の空気には特に大きな変化は感じられなかった。さて、ダミエンが何を語り出すのか、聞き入ることにしよう。
ダミエンは真剣な表情で、忠誠を誓うと言い出し、その証として差し出したいモノがあると告げた。ルミエールがすかさず「真実で、偽りないよ」とお墨付きを与えたので、信用することにした。
まあ、確かにこんな話はあの場所ではできないよな……。そこで、一旦全員で元の部屋に戻ることに決め、夜に改めて話し合うことを約束した。うーん、3人だけの話のはずが、きっとこの4人になるんだろうけど。
部屋に戻った俺は周囲を見渡しながら話を締めくくる。「さ、今日は、話し合いはお終いでいいかな? みんな疲れたでしょ? 空き家があるから、自由に使って休んでね。それと、夜に出歩くのは禁止ね。分かってると思うけど……ネックレスを外すと危険だから、絶対に外さないようにね。」
俺自身もかなり疲れていた。正直、今日のイベント盛りだくさんでかなりエネルギーを消耗した気がする。あとは夜の話し合いに備えて少しでも休んでおかないと……。
「私は、ネックレスとやらを受け取ってないが?」
ミアパパが不満そうに言ってきた。『いやいや、現在普通にしていられるなら必要ないと思うけど……?』 シオンのオーラの影響を無効化するためのネックレスだし、ミアパパには特に必要ないはず。村の警備をしている魔物や魔獣には、ミアパパが無害だと伝えてあるから問題ない。
一方で、グリムファング王国の兵士たちに関しては、信用していないので夜中に出歩く者は不審者扱いで攻撃対象にした。ただし、ダミエンは例外だ。夜中に4人で話し合いをする予定もあるし、彼には信頼を置いている。
自分の部屋に戻り、少し休憩することにした。ラヴェンナの頬に触れてぷにぷにと癒される。あの柔らかさ、最高だな……。ついでに、配下のメイドさんのイメージを送ってもらい、転移させるとメイドさんが10人増えた。これで村の生活もさらに快適になるだろう。
各家にはメイドさんが食事を届けた。一方、リビングに残っていたミアパパは、久しぶりに会う娘のミアと話をしていた。ミアの部屋で二人でゆっくり話せばいいのに、どうしてリビングで話しているんだろう……。まぁ、久々の親子の時間だし、邪魔しないでおこう。
夕食後、俺とダミエン、ルミエール、ラヴェンナの4人で集まり、密会をした。とはいえ、密会というほど秘密めいたものではなく、ダミエンたちが帰った後の予定について話し合っただけだ。
それぞれが真剣な表情で意見を交わしながらも、どこかリラックスした雰囲気が漂っていた。ラヴェンナが紅茶を淹れてくれたおかげで、話し合いの場がさらに和やかになった気がする。こういう時間があると、少し肩の力が抜けるよね。さて、翌日の準備も整ったし、これで一安心だ。
翌日、ダミエンたちは帰還した。通行証として2つ、魔物除けの効果があるシオンの微弱なオーラを放つお守りを渡した。さらに念のため、シオンに頼んで王国への帰り道では魔物や魔獣が攻撃しないようにしてもらった。これで安全に帰れるはずだ。
一方、ミアパパは夜には帰っていたらしい。俺に挨拶をしてから帰ると言い張り、しばらく居座っていたようだが、ミアが怒り出したことでようやく諦めて帰ったとのこと。ミアパパらしいと言えばらしいけど、ミアの怒りにはさすがに勝てなかったようだ。
ミアが鋭い視線を向けながら注意を促す。その言葉に、ミアパパはさらに小さくなったように見えた。彼の肩が少し落ちているのが、反省の証拠だろう。
俺の言葉を聞いたダミエンが立ち上がり、兵士たちに向かって冷然と言い放つ。「戦略司令官のダミエンとして命じる、余計な言動を禁じる。破った者には反逆罪、謀反の罪として即刻処刑をする! これは、我が王国にとって重要な話し合いの場であると国王陛下から命を受けている。」
その毅然とした態度に場が静まり返る。
わぁ……それ、カッコいい……。俺も、それが言いたかったってばぁ……。ダミエンの真剣な姿に目を輝かせながら、つい見つめてしまった。
その後、ダミエンが少し恥ずかしそうに「え、あ、あの……移動しましょうか」と声を掛けてきた。
ルミエールが部屋を案内し、俺たちは応接室に入った。テーブルを挟んでソファーが2つ置かれた落ち着いた雰囲気の部屋。少人数での話し合いができるように設計されていて、外から明るい光が差し込むその空間は清潔感があり居心地が良い。
そんな中、ラヴェンナが紅茶とお菓子を持って現れ、俺の後ろで控えている。……えっと……3人だけでって話をしてたよね? ラヴェンナさん、聞いてなかったのかな?
仕方がないので、俺は話を進めることにした。「で、話とは?」とダミエンに問いかける。ダミエンはチラッとラヴェンナを見たが、そのまま話を始めた。あれ? 良いんだ? まぁ、ただのメイドさんだから問題ないのかな。
ラヴェンナが控えめにその場にいる様子は、どこか不思議だけど、部屋の空気には特に大きな変化は感じられなかった。さて、ダミエンが何を語り出すのか、聞き入ることにしよう。
ダミエンは真剣な表情で、忠誠を誓うと言い出し、その証として差し出したいモノがあると告げた。ルミエールがすかさず「真実で、偽りないよ」とお墨付きを与えたので、信用することにした。
まあ、確かにこんな話はあの場所ではできないよな……。そこで、一旦全員で元の部屋に戻ることに決め、夜に改めて話し合うことを約束した。うーん、3人だけの話のはずが、きっとこの4人になるんだろうけど。
部屋に戻った俺は周囲を見渡しながら話を締めくくる。「さ、今日は、話し合いはお終いでいいかな? みんな疲れたでしょ? 空き家があるから、自由に使って休んでね。それと、夜に出歩くのは禁止ね。分かってると思うけど……ネックレスを外すと危険だから、絶対に外さないようにね。」
俺自身もかなり疲れていた。正直、今日のイベント盛りだくさんでかなりエネルギーを消耗した気がする。あとは夜の話し合いに備えて少しでも休んでおかないと……。
「私は、ネックレスとやらを受け取ってないが?」
ミアパパが不満そうに言ってきた。『いやいや、現在普通にしていられるなら必要ないと思うけど……?』 シオンのオーラの影響を無効化するためのネックレスだし、ミアパパには特に必要ないはず。村の警備をしている魔物や魔獣には、ミアパパが無害だと伝えてあるから問題ない。
一方で、グリムファング王国の兵士たちに関しては、信用していないので夜中に出歩く者は不審者扱いで攻撃対象にした。ただし、ダミエンは例外だ。夜中に4人で話し合いをする予定もあるし、彼には信頼を置いている。
自分の部屋に戻り、少し休憩することにした。ラヴェンナの頬に触れてぷにぷにと癒される。あの柔らかさ、最高だな……。ついでに、配下のメイドさんのイメージを送ってもらい、転移させるとメイドさんが10人増えた。これで村の生活もさらに快適になるだろう。
各家にはメイドさんが食事を届けた。一方、リビングに残っていたミアパパは、久しぶりに会う娘のミアと話をしていた。ミアの部屋で二人でゆっくり話せばいいのに、どうしてリビングで話しているんだろう……。まぁ、久々の親子の時間だし、邪魔しないでおこう。
夕食後、俺とダミエン、ルミエール、ラヴェンナの4人で集まり、密会をした。とはいえ、密会というほど秘密めいたものではなく、ダミエンたちが帰った後の予定について話し合っただけだ。
それぞれが真剣な表情で意見を交わしながらも、どこかリラックスした雰囲気が漂っていた。ラヴェンナが紅茶を淹れてくれたおかげで、話し合いの場がさらに和やかになった気がする。こういう時間があると、少し肩の力が抜けるよね。さて、翌日の準備も整ったし、これで一安心だ。
翌日、ダミエンたちは帰還した。通行証として2つ、魔物除けの効果があるシオンの微弱なオーラを放つお守りを渡した。さらに念のため、シオンに頼んで王国への帰り道では魔物や魔獣が攻撃しないようにしてもらった。これで安全に帰れるはずだ。
一方、ミアパパは夜には帰っていたらしい。俺に挨拶をしてから帰ると言い張り、しばらく居座っていたようだが、ミアが怒り出したことでようやく諦めて帰ったとのこと。ミアパパらしいと言えばらしいけど、ミアの怒りにはさすがに勝てなかったようだ。
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