転生したら王族だった

みみっく

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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆

114話 リリィの気持ち

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「あれ? 婚約しちゃったぁ……」と呟くと、リリィがムスッとした表情で現れた。

「……随分と、簡単に婚約されるのですね。良いのですか?」

「うん。自分でもビックリだよ……っていうか、リリィも俺に気があったりして~」ムスッとしていたので、からかってみた。

「ふんっ。知りません……」と言い影の中に潜り消え、しばらくすると現れ「まぁ……。す、好きですけど……」と横を向き現れ消えた。

 ……なんなの、この状況。イラッとするんですけど……可愛い仕草だと思うけど、一方的に言って消えるのやめて欲しい。

 再び影から現れたので腕を掴み、影から引き出した。

「わぁっ!? え? やぁ。わぁぁ……れ、レイニー様」驚いた表情をして、いつも冷静だったリリィが手足をバタバタさせ暴れていた。

 部屋を異次元空間で遮断をした。この部屋は切り抜かれ、異次元の中に漂っている状態になった。

「さ、もう逃げれなくなったからねー」俺がリリィから手を離して、頬を膨らませてリリィに言うとリリィが影に逃げ込もうと影の上に立つが逃げ込めずに焦っていた。

「うぅ……ごめんなさい。調子に乗っていました……」目をうるうるさせて謝ってきた。

「うん。それは良いけど……好きってホントなの?」

「……ムリだと分かっていますけど、まあ……はい。思っていました。なので、モヤモヤした気持ちです……ん……こんな気持は初めてなので、どうすれば良いのか……わかりませんっ」フンっ。とそっぽを向いていたリリィが俯いて、珍しく不快な感情を表に出していた。

「えっ!? あれ……冗談で言ったんだけど……リリィが、俺のことを好きなの? いつも無表情だし、仕事上一緒にいるだけだと思ってたぁ」

「はい。そうですね。始めは、そうでしたけれど……毎日話を掛けてくださって……話しかけられるのが楽しみで、嬉しくなっていました」ほんのりと頬を赤くさせて、女の子っぽくモジモジして話していた。なに、このギャップの可愛さ……

 更に続けた「普段は人との関わりを避けてきました。でも、レイニー様は違います……。 生まれて初めて、声をかけてほしいと思えた人です。 わたしに振り向いて、見ていてほしい人です。」リリィが、一生懸命に話をしてきた。

「そっか、うん。仲良くしていこうねっ」笑顔で答えた。

「はい。もっと仲良くしたいです。わぁ……♪」今まで見せたことのない笑顔で影から出てきてベッドの上に正座をした。

 シャドウアサシンはスカウトスキルや潜入捜査を得意とし、斥候スキルも持っている。 当然、演技も巧みだ。

 だが――演技をしているということは、つまりウソをついているということ。 俺がそれを見逃すわけがない。

 こんな大きなウソをついて、ただで済むはずがない。 リリィも、それを誰よりも理解しているはずだ。

 無いとは思っているけど……もし俺を暗殺すれば、今までの暮らしが一変するだろう。 闇の王が不在となれば、現魔王が支配することになるんじゃないか? だが、あの魔王はあまり好かれていないようだ。

 この屋敷の維持ができる人がいなくなり、統率できる者もいない。となれば、いずれ解散することになるだろう。 そうなれば――リリィ自身も困ることになるんじゃないか。

 両手を広げて、リリィに抱きついてとアピールをしてみた。素直に戸惑いつつ恥ずかしそうに抱きしめてきた。リリィの意外な行動にドキッとして俺もリリィを抱きしめた。

「リリィ、確認だけど……本当に俺が好きなの? 演技や企みでもあったりして?」

「むぅ……わたしの主は、レイニー様です。主を欺き裏切る事はしませし、従者契約もしているので裏切れません!ひどいですっ」俺の胸に顔を強く押し付け文句を言ってきた。ウソの反応は出ていない……。

 あまり人と関わらずにいたためか、落ち着かなそうにソワソワしていたので、異次元空間を解除した。

「異次元空間を解除したけど、出たり入ったりしないでよね。自分の言いたいことだけ言って逃げないでよ~」リリィを抱きしめて文句を言った。

 抱きしめてきたリリィの背中に腕を回してギュゥっと抱きしめた。可愛い反応をしてくるので、リリィの頬にちゅっ……♡と軽くキスをした。ビクッと体を震わせて強く抱きしめてきた。「わぁっ。……ひゃぁ…はぅ……キスをされちゃいましたぁ……あ、ありがとうございます」と言って、影の中に逃げ込んだ。

 はぁ? え? 仲良くするんじゃなかったの?もう少し仲良くしようと思ってたのに……と、思っていると俺の影から出てくると後ろから抱きしめられた。

 あぁ、なるほど……人の視線が恥ずかしいとかかな? でも、これじゃ……俺が抱きしめれないんですけど?

「リリィ、俺が抱きしめられないよ?」

「恥ずかしい……です」リリィが俺の背中に顔を押し当てている感触がした。徐々にでいいかぁ。

 それから、リリィはメイドより身近にいてメイドより気が利き、色々と世話をしてくれた。

 えっと……リリィは俺の専属のメイドなのか? と思ったりした。

 それと、夜に寝る時に影から現れてキスして逃げをするようになった。可愛いから良いけど……
 
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