【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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1 風前の灯火

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 今、底辺冒険者の私が兵士に囲まれている。

場所は、王様とか貴族の家にあるという謁見の間なのか?

名前はサーシャ18歳。

さっきまで、日課の薬草採取をしていた。手に持ったスコップに泥も付いたまま。

なのに、なんでこうなったんだ。


一時間前。

空間収納スキルを持っているけど使い手・・ではない私。

生活のため、薬草を探していた。

いつもの採取場所にいったとき、地面に何か光るものを見た。

丸い形で紋様のようなもの。これが召喚魔法陣だと分かったときは、取り返しがつかなくなっていた。

「魔法陣?なんで森のなかに・・」

好奇心だった。

手に持ってた採取用スコップで、つついてしまった。

「げ、光った」

つぶやいたときには、目の前が反転していた。



黒っぽい泥沼みたいな光景が広がった。

かと思ったら、その中を流された。

またも突然。

今度は、目の前が白。そのあと視界が色づいてきた。


ボロい麻の上下をまとった小柄な私の周りには、煌びやかな鎧をまとった30人ほどの兵士が現れた。

いや、現れたのは私だ。

「ようこそ導かれし者よ!」

赤と金に彩られた上等そうな服を着た太ったオッサンが豪勢な椅子に座ったまま声を上げた。

私以外に、3人の小綺麗な若い男女がいて、4人で部屋の中央にいる。

でかい扉、赤い絨毯、ピカピカの床。

私達から太ったオッサンが座る椅子まで20メートルくらい。左右の壁際には兵士が立っている。
部屋は40メートルくらいの正方形。

「なんだよ、ここ」
「いきなり、なに言ってるんだ」
「私達、駅のホームにいたよね・・」

太ったオッサンの左右にも偉そうなオッサン達がいる。その中の一人が口を開いた。

「ここはブライト王国。この方こそ、国王ベルゼ5世にあらせられます。この国は、あなた方から見ると、異世界になります」

「おお異世界転移」
「本当にあったのね」

「お静かに。さて、この世界には魔王が降臨しました。そこであなた方に魔王の討伐をお願いしたい」


「僕達、日本って国の一般人ですよ」

「大丈夫です。あなた方はこちらに来るとき、女神の間で力を授けられたはずです。その力を振るい、我々の世界を救って下さい」

ん?

「はい、確かに女神を名乗る女性に、僕だけが使える神器をもらいました」

女神の間?

「きっと崇高な使命があると思っていました」

使命・・

「では、我々の鑑定士により、あなた方の神器を鑑定させていただきます」

ヤバい。強力な神器をもらって違う世界から現れる英雄の話は聞いたことがある。

だけど、私はおそらく現地人。

そしてここは、名前とは裏腹に悪名高き独裁国家「ブライト王国」

着飾ったオッサンのど真ん中にいるのが「虐殺王ベルゼ5世」。間違いない。

なによりの問題。

私、女神の間なんか通ってない。

「鑑定が終了しました。男性二人の神器は絶大な攻撃力を持つ「火龍槍」、「風虎剣」」

鑑定士が不思議な顔してる。マズい。

「そして、片方の女性が持つのが「水神杖」と・・・・」

「どうした、鑑定士」
「いえ、そちらの粗末な服を着た女性の、神器の鑑定結果がおかしいもので」

「構わぬ、申せ」
「右手に持つアレが、スコップと出ております」

「スコップ?珍しい神器だな。効果は?」

「薬草の根を傷つけぬよう、土を掘る道具であります」

「普通にスコップだな。女よ、貴様は何者だ」

「ハプン共和国、ナンスギルドのE級冒険者サーシャ」

「宰相、何者だ」
「はい、王様、この者の言うことが正しければ、魔王国の北に隣接する国に住む、底辺冒険者でごさいます」

ざわつく王の側近。そして臨戦態勢に入る兵士たち。

「なんだと!」

「しかし王様、召喚されてきたということは、何らかのスキルを持っておるかも知れませぬ」

「ならば鑑定士、鑑定せよ」

女神に祈った・・

「申し上げます。この女はレベル4で能力も平凡。空間魔法の適正者ですが、スキルは小物入れ程度の「空間収納微小」」

ガーーン、である。

「もう一つあります。スキル名が分かりませんが「水溜まり」を作るスキルでしょうか」

詰んだ。

「こやつ魔王の手先であるな。この者は、魔王軍が召喚に割り込ませた間者であろう」

「なっ、バカだろ。勝手に呼んでおいて、なに言ってるの。肥満シジイ!」

「王様に向かって何を。この魔王軍の手先を捕らえよ! そして召喚者の方々を魔王軍から守るため、別室にお連れせよ」

王と貴族らしき奴らに囲まれ、私以外の三人は避難させられた。

謁見の間に残った兵士に囲まれた私。

モテ期? いや、万事休すだろ。

「観念しろ。抵抗すれば切る」

ちくしょう。これに賭けるしかない。

私は、スコップを高く掲げた。

「本当は神器であってくれ。神器スコップ発動!」

私は一か八か、思いを込めて叫んだ。

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