【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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2 神器発動せよ、発動したのは・・

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私はスコップを高く掲げた。

「私の祈りに応えて。神器スコップ発動!」

「なにっ」
「ふせろっ」 

「・・・・」

使い古したスコップは、やっぱりスコップだった。

「恥ずかしいじゃんよ。ちくしょ!」

か~ん。投げたスコップは兵士の鎧に当たって、先が欠けた。

「ヤバい、ヤバい。空間収納に女神が何か入れてないの?」

スコップ2本、銅のナイフ1本。投石用の石3個。今朝確認したのと、何も変わらない。

残念です。

「捕らえろ。サーシャだったな。薄汚れているが、若い女だ。裸に剥いて、好きに尋問していいぞ」

くそっ、ヤられた上に殺される。

盗賊に捕まるより最低じゃないか。なんだよ、この泥沼にはまったような最悪の展開。

まるで泥沼・・

そうだ鑑定士が言ってた「水溜まり」を作るスキル。

新しいスキル。

私は、このスキルの本当の名前を知っている。


「沼」だ。


「観念したか」

「するか!」

これでダメでも死ぬまで抵抗してやる。

「沼・・発動」ピピピ

ピピピピピピ・・
「沼」レベル1

ゆらゆらゆら。腰くらいのとこに黒い円が浮かんだ。

そいつが落ちて、水が跳ねる音がした。

ぽっちょん。

接見の間に敷いてある大理石の上、漆黒の丸い円が私の足元に出来上がった。

直径80センチ。

なぜか、正確な大きさが分かる。

ゆらゆら、ゆらゆら。

私は、手を伸ばした。

「足元に、水溜まりができてるよ。鑑定士が言ってた通りだ」

「ギャハハ、この人数を相手に、なに出してんだ」

「うっかり踏んだら、足を濡らされるぞ~」

兵士Aが私に接近。沼を右に避けようとした。私は同じ方向に手を動かした。

その前に、沼も猛スピードで動いてた。


とぷんっ。

ずぶっと、兵士Aの片足がいきなり膝まで床に沈む。

ただ、大理石に黒い水溜まり。なのに大きく沈んだ。

「ぐわっ。何が起こった?」

「お、お前、なんで大理石に沈んでんだ」

驚愕の表現を兵士Bが見せた。
私も同じような顔になっていたと思う。

「なんだ、うらああ!」ぬぽっ。

パニクった兵士Aが沼を叩くと、今度は両腕が黒い水溜まりに沈んだ。

「助けろ、おい女!」

声で正気に帰った私は、「沼」の使い方を理解していた。


「強姦して殺そうとした相手に命乞い?あんたで二人目だよ」

顔面を踏んだ。どんどん沈んで、やがて兵士Aが床に飲み込まれた。

最後に音がした。とっぷん・・

蹴るときに沼の端を踏んだけど、私は沈まなかった。

呆気に取られてる兵士たち。

ここがチャンス。というより、今を逃したら殺される。

私を殺す指示を出した、兵士長の足元に沼を移動した。

「うわっ沈む。おい、誰がその女を殺せ」
「はい、お待ちください」

不味い。

剣を抜いた兵士Bの足元に、沼を移動させようとした。

沼には兵士長を捕まえたまんまだ。

破れかぶれで意識すると、嬉しい現象が起きた。

「うわああああ!」

ばきっ。「ぐえっ」

なんと兵士長の両足をとらえたまんま、沼は兵士Bのとこに高速で移動して、二人は激突した。

沼は、うつ伏せに倒れた兵士Bの顔面の下に移動していた。

とぷん、と音がして、兵士Bの首を吸い込んだ。

兵士Bは生きている。足がバタバタと動き、兵士長を激しく蹴るった。

「やめろ、いでっ、でっ」

わずか80センチの穴に大人二人がはまって、片方が暴れている。

ぐったりした兵士長は沈みかけ。だけど、相手は待っていない。

それは、私も同じだ。

走りながら、右手を目まぐるしく動かし、どんどん沼を兵士の足元に移動させた。

「うわあ!」
「離せ!」
「謝るから、助けてくれぇぇ」
「ひいゃああ」

体の一部を沼に引っ掛けられたら、たとえつま先であっても逃げられない。

悲鳴を上げる兵士の塊を容赦なく左右に振りまくった。

重さも感じない。軽快に沼が動く。ゴンゴンゴン!

一度に捕まえられるのは4人が限界。だけど、回転しながら沼を移動させると、鎧を着た大男の塊は最高の武器。

私を捕まえて犯す気だった。舐めきってて、反応が遅れたのもラッキーだった。

一人が沈むのに15秒。

空いたスペースで次の獲物を引っ掻ける。

最後は私を殺す気だった、こいつら。

容赦なし。

「沼兵士ハンマー」で動かないやつにも追い討ちをかけた。



2人の兵士が反撃をあきらめ、貴族が去った方の扉に逃げた。

そいつらに向かって沼を走らせた。

ピタ。止まった瞬間、「沼」射程距離は10メートルと知った。

「うげ、ぐげ」

眼前では、わずか80センチの穴に5人の人間が吸い込まれている。

骨が圧搾される音、苦悶の声が同時に聞こえてくる。

ピピピ沼レベル2ピピ
ピピ沼レベル3ピピ

目の前の残忍な光景はあっという間に終わった。

そして、いきなり沼のレベルが3まで上昇。

私自身が冒険者を3年やってレベル4。空間収納もやっと、お弁当入れ程度に育った。

なにかに負けた気分だ。

なんて、呑気なことばかり考えていられない。

脱出だ。

この国の上層部は召喚者に嘘をついた。
この世の先端をいく善政国家・魔国の魔王様を敵と言った。

悪どい奴らだ。

私もうっかり、拠点と本名を名乗った。

同じ世界から召喚されてしまった上、神器をもらえなかったイレギュラーな存在。

生き残るためには、ただ逃げるだけではいけない。


それくらい、私にだって分かる。



   
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