【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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9 ダツタンから出発

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龍の牙の残党と愉快な仲間達の根城に行って、二階建ての一軒家から中身をすべて収納指輪に回収した。

その足で冒険者ギルドに行き、ギルマスに別れの挨拶をすることにした。

「私がやったこととはいえ、2人も公開処刑したから居にくくなった。次の街に行くね」

「引き留めたいけど冒険者は自由だしね。そうだ、僕の紹介状を持って行ってよ」
「次の街でも普通に冒険者するだけだから、必要ないよ」
「じゃあさ、ブライト王国絡みとかで、僕の力が役に立ちそうなときに、そこのギルドに出してよ」

「そうか、そうだね。ブライト王国のことで困った人がいて、その人にあげてもいいなら持っておくよ」
「うん、それでいい。次はどっちに向かうんだい」

「まず、南西のハルピインに行くのは決めた。そっから色々と動いて、最終的には南」
「故郷に帰るんだね」
「いえ、私達を懸命に育ててくれた孤児院のシスターはおばあちゃんで、恩返しする前に死んじゃった。もう未練はないよ」

「あ、さらに南の魔国に行きたいんだったよね」
「そうなんだ。レベルを上げながら旅して、強くなれたら魔王軍の入団試験を受けるの」

「ああ、それならもう一通、魔国中央のデビルギルドに紹介状を書いてあげるよ」
「魔国に知り合いいるの?」
「本当は魔王様に紹介状を書きたいけど、まだ君は未知数だからね」
「それでも助かる。ありがとうね」

「魔王様はすごい人だよ。自国で特権階級を主張する貴族を何人も粛正し、他国の腐った貴族政治まで変えてしまった」
「武力もすごいんでしょ。チョモラン国では、反魔王派の王族が呼び起こした邪龍を封印したっていうしね」

「そうだよ。100年前を転機に、この大陸はどんどん変わっている。僕が子供の頃に比べると魔王様の大改革が浸透しているよ」
「会ったことがあるんでしょ」

「あの人にあこがれて、僕も強くなろうと努力した」
「私も会いたいな」


「君なら会えるかもね」
「へ?なんで」

「君のスキルは、魔国やブライト王国に影響を及ぼすかも知れない。君のスキルを受けたとき、不思議な感覚があった」

「買いかぶりすぎ」
「中身は聞かないけど、まだ奥の手が沢山あるだろ」
「・・うん」
「30を越えたら上がりにくいレベルも、2ヶ月でかなり上がってるだろ」
「分かるんだ・・」

「僕は魔法の才能があったせいで、エルフの村では同世代のやつに嫌がらせを受けた。だから、余計なトラブルを避けたい、君の気持ちは分かるんだ」
「決闘して、人を殺したバカだけどね」
「いや、決闘の直接の引き金は、受付嬢のマリナのためだろ。だから、ギルマスとしても君をサポートしたい」

「そんな風に言われたの初めて」

「鑑定水晶を持ってくるから、ここでレベルを測ろう。何かあったときのために、信用できる他地区ギルドの人間の名前をリストアップしておくから、その人に相談して」
「本当にありがとう」


「ブライト王国の追手、奴らに囲われた神器持ち。不安要素はあるけど、気を付けて旅をするんだよ」

「ヤバいときは、ここに逃げてくるよ」
「ああ、出発は明日だったよね。ハルピインのギルマスも信用できるから、連絡しとくよ。明日までに紹介状なんかを揃えておくから」

「お世話になりました」

私のレベルは45まで上がっていた。

14歳から18歳まで故郷で薬草採取の冒険者をやってレベル4。
転移魔方陣に吸い込まれて2ヶ月半でレベル4がレベル45は、異常だ。
以前では考えられないくらい好戦的な部分も否定できないし「沼」のオプションに色々と付いている可能性がある。

あと1年くらいで夢のレベル100に届くかもとか期待してしまう。


ギルドの受付でマリナさんに挨拶をした。

旅に必要そうな物資を買い込んで、明日に備えて寝た。

◆◆

ダツタンを出発した。

次の大きな街はケイジュだけど、向かうのはハルピインだ。

理由はハルピインの周りの方がダンジョンが多いからだ。迷路型と洞窟型。

フィールド型や遺跡型の方が解放感があって人気だけど、私のスキルには癖がある。
ブライト王国や神器持ちの追っ手が来ることを考えてレベル上げをしないとならない。

となると、スキル「沼」を十分に生かせる狭い通路がいいのだ。
レベルが上がった私の足なら、ダツタンからケイジュまで4日、ケイジュからハルピインまで4日が妥当か。

野宿は2日目と6日目に2回。残りは村か街で寝る場所が得られる見込みだ。


5日目に農村の隅を借りられた。

パン、スープ、焼いた肉、さらにワインなんて贅沢品まで収納指輪から出して、1人でニンマリだ。

「いい寝袋とテントも買えた。ご飯も腹一杯食えるし、追っ手が来たとしてもプラスの人生だ。スキルをくれた「沼」の神様かな? とにかく沼様ありがとう!」

ぽちょん。

『呼んだな』
「おおっ、沼様だ」

『沼レベル4では長く話せねえけど、来てみた。質問はあるか?』
「沼のレベルが5になったら、長く話せるの?」
『まあの』

「なら今は質問はいいや」
『はい?』

「ありがとう沼様。お陰でビックリするくらい強くなれた」

『へ?』
「安心して眠れて、ご飯沢山食べて、きちんとした服も着れた。全部、沼様のお陰だよ」

『・・』
「沼様?」

『・・また来る』
「本当にありがとうね」
『・・うん』


良かった。どういう存在か分からないけど、やっぱり「沼」と話せたんだ。

お礼が言えた。森の中で一度だけ交信できてから、次を待ってたんだ。

選んでくれてても、偶然でもいい。私は沼のお陰で苦しい生活から脱出できたんだ。あるのは「感謝」の一言だ。




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