【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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20 神器プラス馬鹿、それならなんとかなる

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細目で黒目黒髪。175センチくらいで痩せてる。
私と一緒にブライト王城に飛ばされた、本物の召喚者だ。

彼までの距離は20メートル程度。「沼」の射程距離10メートルを越えている。

目付きの嫌らしさは抜きにして、腰に下げてる剣は恐らく神器だろう。

過去の情報では短、中、長と全ての距離で力を発揮している。

「前にも会ったことあるかって、黒い髪の人と会ったのは初めてよ」

この距離は、圧倒的に私に不利。だけど逃げる訳にはいかない。

ぽちょん、ぽちょん、ぽちょん。

沼様が命令する。勝ってこのクズを食わせろとヨダレを垂らしている音がする。


「ここが盗賊団のアジトって聞いて来たんだよ。知ってたか?魔物より対人戦の方が、殺したときの達成感がすげえんだよ」

「残念ね。私は冒険者だけど、盗賊団が討伐された話を聞いて、お宝が残ってないか探しに来たの」

「んだよ!堂々と人殺しできるから森の奥まで来てやったんだぞ、無駄足じゃねえか」
「沸点低いな・・。なにもなかったから帰らしてもらうわ」
「お~帰れ」
「じゃあね」

明確な殺気。ドシロウト丸出しだけど、すごいエネルギーが膨れ上がっている。

「スラッシュ」
「うおっ!」

後ろを向いた瞬間に風の刃を飛ばしてきた。みえみえの不意打ち。

「お、やるな。ブライトの近衛兵は訓練のとき、この技でバタバタ倒れたんだぜい。次はかわせるかな」

ヤバい!

と思ったら、いきなり距離を詰めてきた。風を纏った剣で直接切りつけてきた。
ギリギリでよけて、4メートルくらい距離を取った。

「あんた、いきなり何すんのよ」
「そうだな、ワケわからねえまんま死ぬのも可愛そうだしな。聞いて驚け、俺が噂のブライト王国召喚者、山田竜都だ。へへへ、女を殺すのもいいかなと思ってな」

なに、こいつ頭悪い。

「おめえ小さな空間収納、それから水魔法か何かで「水溜まり」を作る能力があんだろ」

「え?」
「空間収納からなんか出してみな」
「・・スコップ出てこい。出ない」

「俺の神器「風虎剣」は最強だぜ。風を支配し、相手のスキルを阻害するんだぜ。身体強化がご自慢のブライト王国兵士も無力化して、何人か切り殺してやったぞ」

私はあきれている。
「あんたのスキル阻害、有効距離は?」

「なんと5メートルもあんだぜ」

「そう、さよなら」

とぷっ。

こんだけ注意力がないやつも珍しい。1メートルの沼を4つ出して一気に向かわせると、そのうち一つに簡単に捕まった。


馬鹿だこいつ。さっきまでの私と同じで、慢心していた。

最初の距離を保ったまま風の大技を飛ばしまくられてたら、私になす術はなかった。

「おわっ。なんだこりゃ、沈む。これが「水溜まり」かよ。何で俺の神器の力でスキルが阻害されてねえんだ!」

馬鹿だから、神器のスキル阻害とやらを見せて、私にショックを受けさせて殺す気だったんだろう。
慢心と経験不足が、奴を窮地に陥らせた。

だけど終わりじゃない。しゃべりながら、沼を動かす前に技を発動された。

速い!

「ネーチャン殺せば、スキルは止まるよな。出まくれ「風虎乱舞」!」

「ミスリルの大盾よ、ありったけ出てこい」

山田君は馬鹿でも、神器の効果で反応速度が尋常じゃない。

「沼」は強力だけど、射程距離が10メートルである以上、操作する私が敵の技を範囲内で受けるリスクがある。

シャッ、シャシャッ、ザクザクザク。
ギンギン、ギンギンッ!
ザンッ!

「きゃあああ!」

「くそ、まだ女を仕留められねえ。次だ。え?腕か上がらねえ」

大きく動いた山田君は一気に沈んで、うっかり神器を持った右肘を沼に付けてしまった。

こいつは終わった。

「・・あんたの風の剣が神器でも、きっと私の「沼」は神のスキルだ」
あいつが、神器を介しても「沼」を「水溜まり」としか読めなかった。

神器より「沼」の方が格上なのだ。

私は魔鉄の棒を収納指輪から出した。

「胸まで沈んだわね。火でも吹くなら、あなたの逆転はあるかもね」

「ま、待てそんな棒、バットみたいに構えて・・。やめえくれえ!」

ゴスッ!

とぷっ、とぷんっ。

左のこめかみに魔鉄棒のフルスイングを受けた山田竜都君は、表現してはいけない状態になって神器とともに沼に沈んだ。
1分としないうちに沼の中のリストの山田竜都の名前が消え「高校生」という謎の表示になった。お亡くなりになったようだ。

「戦闘時間はほんの1分。だけど、今までで一番ギリギリだった」

山田君が最後の技を出したとき、ブライト王国で拾ったミスリルの大盾を21枚出した。
19枚はナントカ乱舞が当たって吹き飛ばされ、最終的に私をガードしてくれたのは2枚だった。

「1枚は、横に真っ二つ。最後も半分しか残ってない・・」

左目に血が入るから額か頭が斬れてるだろうし、左肩もざっくり。
右の胸、両方の太ももに大きな切り傷が入っている。

ミスリルフル装備でこれか・・

神器持ちの前に戦った奴らとの戦闘で傷んだ小屋に入り、3メートルのマックス「沼」を出して、中央に座り込んだ。

「ブライトで貴重な特級ポーション盗んどいてよかった。強盗や魔獣が来ても、この沼の展開の仕方なら何とかなるはず・・」

特級ポーションと造血ポーションで時間を置けば傷は回復するけど、もう体力の限界だ。

ぽちょん。
「あ、沼様・・」

『ギリだか勝てたな。神器持ちは2人目だか、おいしくいただくぞ』

「・・私、1人しか倒してないよ・・」

それ以上はしゃべることもできず、眠りに落ちた。


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